北海道Tour23#11
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13:20、美馬牛着。山中や谷間から台地上の開けた里にやってきて、標高も低く森も山の風も無くなり、何しろとにかく暑い。
確か商店ぐらいあったはずだと思って脚を向けた駅前で、ちょっと休めそうな佐藤商店へ。まずとにかくソフトを所望、店内の座席に座って地図を眺める振りをしながら空調の冷風直撃とともにとにかく身体を冷やす。助かった、と思いながらソフトをもうひとつ。
冷風に直撃される口実だけじゃなく、地形図を眺めてこの後の作戦を検討することにする。13時半と言えばまだお昼過ぎと言っていい。しかし例えば16時まで行動するとしてあと2時間半しかないとも言える。実際、何だか山裾の道で一仕事終えて里に下りてきた気分になっている。1986年以来の大ネタの後で、行ってみたいような未済経路の小ネタも周辺に無い。宿がある大村までの距離と経路と途中で風景に脚を停めることを考えると、もうあまり大したことは画策できなさそうだとも思う。
ここはもう順当に、大村まで留辺蘂から美瑛西側の丘陵へ、大回り気味に脚を進めてゆくことにした。それだけでそれっぽい時間になってしまうだろう。
13:45、美馬牛発。まずは再び西側の丘を北へ。
なるべく未済経路っぽい道を通ったつもりではあるものの、流石は農道の幹線。見慣れないと思っていた道のところどころに、過去の写真のどこで撮ったかわからなかった風景を見つけたり、または露骨に「あ、この道だったか」と思ったり。美瑛ではアドリブ気味に行動することが多かったので、あまり意識しなければ同じような道を自然に選んでいるのだと思う。
とは言え際限無く直登アップダウンが続く美瑛の丘は、気楽なサイクリングを許してくれない。
丘から谷を渡って次の丘へ移る途中、谷底の集落で見つけた看板屋さんの店内に、もう30年以上前の美瑛市街にあった思い出深い「だるま家食堂」の看板を見つけることができたのは嬉しかった。
美瑛の名店と言っていい美味しいラーメン店だったこのお店、今は確か代替わりして永山のショッピングセンターに移転しているという話を聞いたことがある。しかし今までわざわざ永山までラーメンのために脚を延ばすことは無く、長年の宿題となっている。このため、懐かしいお店に再び出会えた気になった。看板がレプリカだったとしても、少なくともこの店を憶えている人の手になるものだろうし。
空に雲が出始め、陽差しが薄れてきたこともあり、大村西側の台地まで、期待していたような脚が停まる風景ポイントは無かった。このため意外にもすぐ宿に着きそうになってしまった。
少し悪あがきし、更に小さく回り道して東側から大村へ入ることにした。
丘の上で夕方っぽくなってきた風景を眺めて、大分涼しくなってきた風に吹かれて思い返す。今日は天気の良い日に美瑛で1日過ごせて良かった。そして自分で忘れていた、北海道Tour長年の宿題を、いろいろと終えることができて良かった。
こんな気分で美瑛で1日過ごせたのは、確か一番印象的だった1986年以来だ。長い間1986年の美瑛訪問が忘れられなかった、その美瑛にまた会えたような気がする。
15:45大村着。
今日も夕食はブランルージュ。今夜は鶏肉キャベツ煮をお願いしてある。何時までも幸せな旅行ができてこんなにありがたいことはないと思いつつ、美味しい料理と草むらの虫の声で更に良い気分。北海道最後のいい夜となった。
記 2024/2/11
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