北海道Tour23#11
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10:30、上富良野発。灼熱の上富良野市街を横断し、GPS画面と地図を照合しつつ、道道581へ。西側の丘を180m弱登り、富良野盆地を取り囲む400m台の丘陵を越え、裏側の谷に降りてゆく道だ。
ぐいぐいと登ってゆく道の畑の周囲は空に向かって開け、畑と上富良野市街、富良野盆地と一つの空間なのがいかにも富良野盆地の里の道らしい。里の道が故に、道端には木陰が全く無い。しかも1日で一番暑い時間帯が始まったばかり。涼しくなる要因は全く無い。覚悟はしていたものの、照り返しが全力で襲ってきた。暑くて暑くて仕方無い。まあしかし、ゆっくり登ればすぐ熱中症になるという程でもないので我慢して登ってゆくものの、いや、やはりかなり暑い。まああまり気が遠くならないうちに足を停めて水を飲むことにする。
のんびり登ったピーク手前で道が向きを少し変えると、上富良野から富良野盆地、向こう側の山裾から十勝岳を一望する大展望が拡がった。
雲が出始めている空と眼下の下界が一体の大きなお皿みたいな、他ではあまり見かけない空間感覚は、ベベルイ基線の本幸辺りからいつも眺める富良野盆地そのものである。しばらく登って振り返る、ベベルイ基線での眺めの楽しみ方も思い出す。それはこの場所が、ベベルイ基線のまさに反対側だからだろう。今日ベベルイ基線に行けなかった悔しさが思いがけず返せたような気がした。そんな理由だけじゃなくても、やっぱり美瑛から富良野盆地のツーリングを楽しめている。嬉しく大変感慨深い。
ピークを越え、盆地から続いていた農地が少し続いた後は、道道581は西側の谷間へ下ってゆく。
すぐに辺りは森の中になった。そして道が下り基調ではあるものの、標高にしちゃあまり下っていない。
上富良野側からこんな道は以前は無かったと思うし、私の持っている地形図には載っていない道だ。GPSの地形図には載っているから、ちゃんとした道なのだとは思う。いつの間にかこの道ができていたのに気付かなかっただけだ。
長い下りの途中で、道道581は芦別からの道道70と合流した。それでやっと確信できた。これは1986年に撤退した通行止めの続きだ。
その時は、美瑛西側の谷底ダートを遡り途中から道がかなり荒れ始め、通行止めも現れて名実とも通れなくなったところで撤退したのだ。どこかに確かに芦別方面と書いてあったことが記憶に残っている。いたいけな若者だった私は何となく怖ろしい物、見ちゃいけない物を見たような気がしていた。当時の地形図ではどこなのか特定できなかったし、その後ずっと、あの道は今の地図で何処なんだろう、或いはその時通行止めの先に突入すれば芦別には進めたのかもしれないなどと時々思い出しつつ、やはり煮ても焼いても食えなさそうな道だったと思って放置しておいたのだ。
今、目の前の芦別方面への道道70は、完成しているばりばりの今風舗装道道だ。とは言え完成したばかりというわけでもなさそうだから、結構前から完成していたんだろう。そんな場所は美瑛に一杯ある。1990年代に美瑛の道はどんどん拡幅整備されて線形が整っていった。丘の形そのものだって農地改良事業によって少しずつ変えられ、風景全体の印象が1980年代から変わっている場所もあるのだ。そういう変化の一つを、反対からこの地点に到達して実感できたことで、何か美瑛での宿題を解消したような気がした。今日の大きな出来事だったように思う。
記 2024/2/11
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