帯広空港→糠内
(以上#12-1)
(以下#12-2)
→中札内
(以上#12-2)
(以下#12-3)
→上美生
(以上#12-3)
(以下#12-4)
→八千代町
101km
RYDE WITH GPS
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台風・熱帯低気圧3連発の影響で、北海道Tour20夏は後半に行程がかなり崩れてしまった。
手元にはまだ株優が2枚残っている。またもや秋に北海道に行くとすると、時期として第一候補の9月後半お彼岸年間特異日連休は9/19〜22の4日間。5日間なら悩まず北海道確定なんだがとは思いつつも、4連休なら上々のボリュームである。
もし行くなら今年は十勝だと思い、調べ始めたのは8月下旬。というより、北海道から帰って2〜3日後のことだった。
飛行機は、往路復路とも例によって空席待ちが私を待っていた。まあ空席待ちだし等と軽く思ってとりあえず株優枠で確保しておく。早割もこの段階でまだ一つ前の便が空いていたので、何がどうなってもどうにでもなると安心していた。いつものように比較的早めに予約通知が来るのだろう。その時には旅行に行くことを決めなくちゃいけないね、等と他人事の様に思っていた。つまり、まだこの時は確定した旅というイメージは無かったのだ、いつもの北海道Tour秋のように。
ちなみにこの段階での希望は、
往路:2020年9月19日(土) 羽田06:55→ANA4761→08:25帯広
復路:2020年9月22日(火) 帯広14:30→ANA4766→16:15羽田
である。
更に興味本位で、次は宿の様子をみてみることにした。
まずはダメ元、八千代YHだ。十勝を訪れる度に泊まろうとして、しかし2008年以来どうしても予約できなかった人気の宿だ。ところが予約ページで、これまた毎年秋の一番人気お彼岸連休が、全部空いているではないか。まず目を疑ってから、何度か予約ページを読み込み直し、自分を本気で出発する気にしてから19日、20日を連泊で予約した。もちろん夕食に十勝牛ステーキをお願いしておく。
この段階で、計画は実施を前提としたものとなった。残りの21日には、各日の行程に当たりを着けた上で、同じく長らく興味があったしほろ温泉を予約した。これなら朝食を食べても、14時半の帯広空港には余裕で間に合うはず。
往復の飛行機空席待ちのうち、往路は2〜3日後に空席待ちから予約に変わった。もちろん即購入である。しかし帰りの便はなかなか取れなかった。結局9月上旬まで引っ張って、残り2席になっていた22日の帯広8:55発ANA4762便10:40羽田着を株優で押さえた。しかしこれだと22日は空港には7時半に着いていたい。士幌発自走だと、4時前には出発しておきたいように思われる。やってできないことはないが、十勝で9月の朝4時には、内地の真冬ウェアが必要と思われる。このため、予約できた便は最後の手段のつもりであり、あくまで14時半帯広空港発を確保することを前提としているつもりだった。
しかし出発の19日まで10日を切っても、空席待ちは音沙汰無しだった。そろそろしほろ温泉は諦め、空港近くに宿を確保する必要があるように思えた。
空港近くで一番有力な宿でまず思いつくのは、帯広駅近くのホテルだ。10年以上前ではあるものの、泊まったことはあり、何となく親しみはある。しかしここで、ホームページでは空きが無い八千代YHの21日を、ダメ元で電話で聞いてみた。何事もまずはやってみないと。するとなな何と、意外にももう1泊可能とのこと。私が2連泊する予定の部屋を、人手が足りなくて掃除できないので空きが無い、ということが空きが無い理由だったとのこと。部屋がもう1泊、私を待っていてくれたのだ。
9月14日、やっと復路の第一希望、帯広14:30発ANA4766便株優枠確保の連絡が来た。これならしほろ温泉をキャンセルすることは無かったとは思ったものの、八千代の辺りなら、私的ツーリング幹線の十勝西部縦断道道を核に、どの道へ行っても日高山脈をバックに絶景が続くことはわかっている。八千代YH3連泊なら、行程に全く不満は無い。それに最終日、帯広空港に直行せず、余裕ある行程が組めるだろう。ならばこれでいい。
というわけで、今回の十勝Tourは、2008年以来泊まれたことが無かった八千代YHへの3連泊となったのであった。ちなみに北海道で同じ宿に3連泊するのは、学生時代のしゅまりの宿以来だと思う。
4:20都内某所発、4:40羽田空港着。コロナのせいか、空港は比較的空いているようだ。タク輪アクセスのお陰で手荷物預かり一番乗りももう毎度の事。
がらんとした手荷物預かりカウンター前の、それらしき場所の前に自転車とバッグを置き、受付開始の5:15を待つ。こういう自分を、上野駅で急行八甲田の自由席に並んでいた、高校生の自分に見せてあげたい気がする、などと思う。人生いつかは八甲田じゃなくても北海道に行けるのだ。まあもっとお金があれば、何かに並ぶ必要そのものが無くなってしまうのかもしれない。
R0010654.JPG 北海道Tour20#12 2020/9/19(土)帯広空港→八千代町 東京都大田区羽田空港 空港第2ビル出発ロビーにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
ANA4761便は羽田6:55発、帯広8:25着。出発6:55というのは何の時間なのか、毎回あまりはっきりしないように思う。離陸時間だということを以前機内案内で聞いたような気はするものの、今回実際の離陸時刻は7時を超えていたような気もするし、その前に飛行機が動き始めたのも、6:55ではなくもう少し後だった。搭乗期限は確実にそれより前だし。まあそんなことを考えているうちに、いつの間にか寝てしまった。今日は窓際の席じゃないのだ。
東京は曇りだったのに、十勝は快晴のようだ。隣の列の窓の外が明るくまぶしい。
8:25、帯広空港着。というより、空港に着陸して手荷物受取所に入って8:25だった。前倒し行程で快調な往路航空便だったと言える。
自転車を最後の方で受け取り空港から外に出ると、空気がきりっと涼しい。外の温度表示によると気温18℃とのこと。でも、今のところは18℃で、日陰でも半袖2枚で何とか快適ではあるものの、天気予報によると今日の最高気温は25℃とのこと。けっこう暑くなりそうだ。どこかで上着のポロシャツを脱ぐのだろう。十勝の秋のイメージ通りである。
北海道の鋭い陽差しに備えて日焼け止めを濃いめに塗ったくってから、9:30、帯広空港発。
気が急いて給水を忘れていた。ここから先2時間かそれ以上、確か以前A-COOPの存在を確認している駒畠まで、道端に自販機は期待できない。2〜300mぐらい戻れば空港の自販機があるのだが、何だか気が急いていたので、空港前のトヨタレンタカーに寄って自販機で水を仕入れた。
まずは農道で北上を開始する。周囲は平地まっただ中、標高140mくらい。真っ青な空と真っ白な雲と眩しい日差し、緑の防風林と畑、涼しい木陰。絵に描いた様な青空サイクリングが始まった。北海道という名前に期待する青空と緑の畑が、実際に周囲に拡がっている。夏にあれだけ雨と強風に悩まされたばかりなので、仕切り直しとしてこれ以上無い展開だ。人生こんな日もやってくるのだということが、何だか非現実的ですらある。もうこれだけでも十分、と思いかけていやいやいや、まだまだ4日間これからだ。
そして予想通り、秋ではあるものの日なたは普通に暑い。十勝で夏だとこんなもんじゃ済まないだろうとは思う。さっき18℃だった気温は、もう確実に上がっていると思われる。
R0010655.JPG 北海道Tour20#12 2020/9/19(土)帯広空港→八千代町 北海道帯広市桜木町東4線にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
上途別南から桜木町へ、それまで真っ平らだった道が丘陵裾の丘と谷を横断し始めると、西側に日高山脈まで一気に展望が開けた。手前から拡がる畑、全て人里であるというのがいかにも農業王国十勝を感じさせる風景だ。
R0010656.JPG 北海道Tour20#12 2020/9/19(土)帯広空港→八千代町 北海道中川郡幕別町栄にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
起伏のバウンドが次第に大きくなり、がつんとした激坂で丘に乗り上げるようになってから、北へ向かっていたコースが古賀から東へ向きを変える。端っこに乗り上げかけている帯広南西部の丘陵3つを、まともに横断する農道だ。標高は谷底で100m台から最高で180m台。所詮十勝の丘陵なのでそう長くはないものの、農道ならではの10%登りが続いて汗が噴き出てくる。特に陽差しがもはやすごく熱い。坂の途中、森の木陰が冷やっと有り難い程だ。
坂を登り切るとともに、周囲は明るく開けて台地上の畑、人里となる。しかし、台地上の部分はそう広くない。農道は道はまた一気に谷底へ下ってゆく。もう少し人力の軽車両に優しく道を作れないのかと思う。まあしかし、作れない理由も理解はできる。
10:30、標高110mの谷底、糠内着。
道端、目に付いた公園で水補給とする。まだ水は十分あるにはあるが、立寄りの口実を作って立ち寄ってみたいのだ。
涼しく木漏れ日がきらきら眩しい木陰に自転車を停め、少し向こうで遊んでいた少年少女に水場を尋ねると、大変元気よく可愛らしくはきはきと「そこに水道があります!」と教えてくれ、何だか嬉しくなってしまった。この水は結局この日最後までボトルの中に残ってくれた。
糠内の交差点に建っていたA-COOPには、「閉店しました」という、それほど新しくなさそうな張り紙が貼ってあった。当然のようにもう営業していない。通りすがりのいちツーリストとしては、ここにお店があるといいんだが、とは思う。もっとも、以前(確か2004年)はここにA-COOPを見かけた記憶は無かったな。その時は大樹・忠類方面から北上してきて、とりあえずひたすらわかりやすい目印の幕別を目指していた。駒畠で水分を補給できていたし、気が急いていたのでもうこのまま幕別まで行っちゃえと思っていたかもしれない。
そのかつて何回か通った道道16を越え、更に1本東の農道へ。小さい牧場の脇をぐいぐい登り、森の中から台地上に乗り上げる。この辺では道道16は私的ツーリング幹線道だ。そしての東側、丘陵を囲む山の裾に、ややイレギュラーな線形の細道や牧場や畑っぽい記号と森の記号が散在していることを知ってはいた。そういう場合にありがちなパターンで、どこかで道の実情が廃道だったり、途中に何か難儀するような箇所があるんじゃないかと、あまり脚を踏み込む気がしなかったのだ。或いは現地でこの道の入口が登り返しだったり、通行止めの看板を見かけたような気もする。また、そもそも幹線道路の道道16だけを通っていても、その風景には十分以上に満足できていた。
今回この箇所はちゃんと空撮写真とストリートビューを見ながらコースを計画したので、この要警戒区域がどうも大丈夫そうなことを理解してトラックを描いた。果たして実際の道は、元々空間展開が印象的な道道16の更に山裾寄りの道だけあり、間近な丘を背景として適度な起伏とともに展開する地形、そこに拡がる畑と森が変化に富んでいる。こんなもの当たり前の十勝の風景なのかもしれない。だが、それがいいのだ。
R0010657.JPG 北海道Tour20#12 2020/9/19(土)帯広空港→八千代町 北海道中川郡幕別町中里にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
台地は150m〜180mぐらいで推移し、次第に高度を上げてゆく。本来海岸に近づくはずの南側へ向かって、高度が上がってゆくのが意外だ。そして標高としては、さっき古賀から糠内へ向かった10%アップダウンの丘の上と同じような標高なのに、さっきと全く違い、これだけ楽に標高180mに自分が来れているのがまた意外だ。
R0010658.JPG 北海道Tour20#12 2020/9/19(土)帯広空港→八千代町 北海道中川郡幕別町駒畠にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
台地の南端でコースは西へ向きを変える。ここから中札内まで西向きの道が続く。今日のコースとしては前半の後半、というポジションであり、まずは順調な進行と言える。
R0010659.JPG 北海道Tour20#12 2020/9/19(土)帯広空港→八千代町 北海道中川郡幕別町駒畠にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
11:40、駒畠着。駒畠は道道と農道の五叉路交差点が印象的な、畑の中の集落だ。交差点の少し東にやや小さなA-COOPが建っていて、帯広空港からここまで出会うことが無かった自販機もある、私にとっては十勝南東部のオアシスだ。標高172m。各方面から登りで到着する場所だけあり、意外に標高は高い。
糠内で水の補給ができているので、何か困っているものは無く、今日は駒畠をそのまま通過しても良かった。しかしやはり私に取って駒畠はオアシスである。東京で仕事中にふと駒畠を思い出すこともあるのだ。表敬訪問としてA-COOPの写真を撮り、自販機でコーヒーを飲んでおく。また何時の日か、十勝ツーリングの途中で立寄りに訪れたい。
R0010660.JPG 北海道Tour20#12 2020/9/19(土)帯広空港→八千代町 北海道中川郡幕別町駒畠にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
駒畠から台地の縁を越え、猿別川を渡り、周囲は丘陵から平地に変わった。と思っていると、中札内まで思ったほどの下りが無い。いや、地形図をよく見ると中札内は標高194mもある。何と猿別川を渡ってから、僅かに登り続けるのではないか。
中札内までほとんどコースは一直線なので、12時半には楽勝で着けると思っていた。ところが、その一直線の道が途中からダートに替わってしまったのも意外だった。やや向い風も吹き、だだっ広い畑の中、空腹気味で淡々とした気分でとにかく中札内を目指してゆくのであった。
中札内はさすがにやや大きな町だ。町の手前から路面に舗装が復活、のみならず大型車の通行も急に増えてしまった。仕方無くアドリブで1本道をずらして道の駅を目指す。
12:40、道の駅なかさつない着。人気の道の駅らしく、今日も道の駅は観光客が大勢訪れている。
まずは昼食だ。未だ訪れたことが無い道の駅のレストランを訪問するチャンスではあるものの、ここに来たらまずは売店「サルバトール」のカレーを食べねば。
相変わらず美味しいチキンカレーを食べながら、ここらで地図を確認しておく。空港からここまでコース前半は3時間で55km。今日の予定コースは約95km、後半の残り40kmであと3時間ぐらい余っているので、全体的に安心の順調ペースだと思っていい。余裕があれば、明日の拡張オプションをこなしておいてもいいかもしれない。明日のコースは未済経路経由拡張オプションがやや盛りだくさんながら、十勝平野部一番北の屈足まで行く予定なのだ。なるべく明日の寄り道は少なくしておく方が良い。
などと余裕ある行程の可能性を考察しつつ、美味しいチキンカレーを味わうこの有り難さ。ついでにカレーが普通盛りで良かった。他の人が食べている大盛りは、見た感じ多すぎる。
カレーの後は、出発時に毎回お世話になる母にインカの目覚め5kgを送った。前回2015年、甘くて黄色くてぽくぽくでとても美味しかったのだ。しかし今回、帰ってから到着したインカの目覚めはぽくぽくではあったものの、前回ほど甘くはなかったように思う。
13:25、道の駅中札内発。
後半は中札内から上美生まで一旦北上し、折り返して西側の山裾を八千代に向かうというコースだ。八千代周辺では、3連泊する八千代YH周辺で毎日なるべく経路が重複しないよう、かつなるべく未済経路を多く通れるよう、けっこう考えてトラックを描いている。特に往復経路が集中する八千代町近くでは、南北に平行直行する区画の道毎に、予定コースがずらっと並んでいる。上札内・八千代・上美生間では、並行している道が1本違うだけでそれぞれの景色の表情が替わり、しかもそれぞれ見応えがあるので、こういう走り方をしても毎日楽しめるのだ。そして十勝でこういう走り方ができるのは、八千代YHの3連泊が確保できてしまった今回ぐらいのものだろう。
いつの間にか空にはやや雲が増え始め、辺りは日なたというより薄曇りの明るさになり、やや向かい風気味の横風も吹き始めていた。
しかし陽差しが翳ろうが、この辺の眺めはいい。特に西側の、日高山脈を背景にした畑の風景は素晴らしい。適度な距離とボリュームの山並みが青いシルエットの屏風となり、山裾に近づくにつれそれらは次第に大きくなってゆく。ブロック毎に入れ替わる畑の作物は、畑の拡がりを地形の微妙な起伏とともに引き立てる。
こういう風景に区画毎に脚が停まって仕方無いのは、何度か訪問してよくわかっていた。今日は時間に余裕があって、宿も近いし、脚が停まっても下方修正すれば良いだけだし、そもそも4日間この辺の風景をたっぷり目一杯楽しもうと思っている。何の心配も無く、区画毎に脚を停めることができる。
清川町から八千代の下手、広野町と道は全体的に少しづつ登り基調だ。
R0010661.JPG 北海道Tour20#12 2020/9/19(土)帯広空港→八千代町 北海道帯広市太平町西5線にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
道自体は清川町からずっと安定した表情だったのが、農村の営みまっただ中の太平町で、道がそのままダートに変わったのは意外だった。地図では一見何の不安も無さそうな普通の区画道なので、この辺は全く空撮チェックしていない。
道はやや長い間ダートのまま続いたのみならず、路面は次第にダートというより畦道のように柔らかくなり、ちょっと不安になる程だった。十勝には区画の道に、こういうダートが残っているのだ。というより、交差する区画道路を見ていると、どうやら1区画毎に道が舗装の幹線(道道又は町道)、舗装の町道か農道、ダートという風になっているようだ。
唐突に直交系の区画道でダートは終了。裾を下って道道55に合流し、そのまま帯広川を渡って上美生へ。1996年、最初にこの辺を訪れた時は雨だった。山裾を選んで通っていたら次第に雨が強くなり、たまりかねて山裾からやや下手の里を通る道道55でしばらくお茶を濁そうと思ったのだ。しかし雨は全く止まず、結局やや不安な気持ちのまま、お昼前の清水から終着の広尾まで全区間雨に悩まされたことを思い出す。
今日も道道55はさすがの幹線道道、安定した道が続く。辺りは畑が拡がり、山影はやや遠く、八千代や広野辺りに比べて広々と平地まっただ中である。
しかし空はもう完全に雲に覆われ、やや薄暗く、水滴すら感じるようになっていた。風も冷たい。風雲急を告げるように不穏だ。
上美生の手前が今日の折り返し予定地点だ。山裾上手の上伏古から八千代へ向う予定だったが、時間に多少余裕がある。ここは中札内での目論見通り、直接上伏古へ向かわず、美生川の谷を遡って明日のオプションコースを潰しておくことにした。
美生川を渡る谷間は、段丘の高低差が少なくて助かる。谷によってはけっこう盛大に登り返すので、この辺りの道の厄介な要素になっているのだ。
14:55、上美生着。地元の方が集落中程の商店を教えてくれた。ここで少し休んでいくことにした。
過去に何度か上美生を経由しているものの、この店を見かけた記憶は無い。かといって店の佇まいは周囲に馴染んでいるので、過去の訪問時に絶対に建ってなかったとも言い切れない。
店内は普通の萬屋というよりやや今風、イートイン未満の休憩スペース的に緩めな場所がある。調理パンなど個人的に今必要な物もあるので、コース上の補給場所として好印象だ。今は素直にこの店の存在を有り難がっておき、今後の訪問時には参考にしよう。
相変わらず気温は低い。空気中には水滴が感じられるような気もする。でも、低い雲は動きも速く、それほど薄暗くはない。今日の所はこのまま山裾寄り道区間へ行ってみよう。でないと、また後で訪れないといけないことになる。
集落から山裾へ道は一直線に向かってゆく。最後の牧場の牛舎手前で舗装が終了、ダート区間に替わった。山裾に近づくにつれ、見上げる雲の色が濃くなり、いつ雨が降り始めても不思議じゃないような表情が漂い始めていた。基本的に辺りは薄暗い一方、雲の狭間から陽差しが出始めてもいて、天使の階段が差していた。
少し畑の中に一直線に続いたダートは、山裾に到達して川原の森の中へ突入した。茂みがやや高くなり、その先で一旦辺りが開けても、そこは人里と森に隔てられた狭い空間でしかない。薄暗いのも手伝って、カラマツの森の中のダートが心細く感じられた。
しかし地図でそう長くない道であることはわかっている。地図通りに道は川原に近づき、美生川を渡り、対岸で上伏古へ下ってゆく舗装道に合流してひと安心。
R0010662.JPG 北海道Tour20#12 2020/9/19(土)帯広空港→八千代町 北海道河西郡芽室町上美生 清流橋にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
下りに任せて調子良く下っていると、ちょうど雲の切れ間から陽差しが射し始めてきた。こうなると俄然気分もいい。
気分が良くなったところで、上伏古の集落手前から未済経路をもう1本、八千代牧場へショートカットする道へ。ショートカットだと思って何の気無しに選んだトラックはまたもや森のダート。今度は完全に林道というか森林管理道っぽく、さっきより更に熊が出そうな雰囲気が溢れている。早く終わってくれないか、とはらはらしながら山裾の小さな谷越え沢をひとつ、もうひとつ、まだあるよ、などと渡ってゆく。路面はところどころ水たまりでズブズブ寸前になった。
八千代育成牧場沿い、一番山裾の道から狙い定めて八千代へ下るつもりが、その道が途中から工事通行止めで1本下手に迂回させられた。不可抗力で想定通りの綺麗な経路にならかったものの、16:20、八千代着。
R0010663.JPG 北海道Tour20#12 2020/9/19(土)帯広空港→八千代町 北海道帯広市八千代町基線 帯広八千代YHにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
まだ16時半前とはいえ、もう辺りは夕方も日没前に向かっていて、未だ明るいものの空気がどんどん冷え始めていた。秋はこれぐらいの到着が良い。
楽しみにしていた夕食の十勝牛ステーキが、やはりものすごいボリュームで美味しい。これが3日間続くのだ。我が生涯で、最も豪華な夕食の3日間になるのだろう、と思った。
今日のお客さんは4組。家族連れは夕食地にはまだ着いていなかったようだ。夕食後に寝てしまったので気付かなかった。
記 2021/2/17
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