北海道Tour19#9
2019/8/16(金)仁宇布→名寄-1

仁宇布→松山峠 (以上#9-1)
(以下#9-2) →幌内越峠 (以上#9-2)
(以下#9-3) →サンル大橋 (以上#9-3)
(以下#9-4) →名寄 (以上#9-4)  64km  RYDE WITH GPS
(以下#9-5) →大村(輪行)

タイトル行程

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路
ニューサイ写真 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 
北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道中川郡美深町仁宇布 ファームイントントにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 5時。ファームイントントの食堂から見えるプライベート牧草地には明るい霧が真っ白に輝き、その上に青空が見え始めていた。大変いい感じである。去年、下川・仁宇布間の道道49・60は往路にタクシー輪行を余儀なくされ、復路、さらに今年の往路も雨天運休だった。変に因縁ができつつあるこの道道49・60に、今日は全く問題無く向かうことができる。

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北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道中川郡美深町仁宇布 ファームイントントにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 テラスで写真を撮り、屋内へ戻ってレンズを片付けると、明らかにさっきより陽差し範囲が増えている。再び写真を撮り直し、その後はもう切りがないので止めた。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
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 やはりここ仁宇布、晴れると果てしなくいい景色だ。そう感謝できるのも、雨の日があるからこそだ。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道中川郡美深町仁宇布 ファームイントントにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道中川郡美深町仁宇布 ファームイントントにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 6時から朝食を頂き、6:40ファームイントント発。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道中川郡美深町仁宇布 ファームイントント前にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
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 仁宇布までの下り、牧草地やソバ畑が朝の陽差しに照らされていた。まだ道道49に出てもいないこの段階で、既にしょっちゅう脚が停まってしまう。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道中川郡美深町仁宇布にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
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北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道中川郡美深町仁宇布にて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 ここ3年間、毎年訪れてもこんなに晴れることは無かった。こういう機会にしっかり眺めておかねば。

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 交差点まで下って道道49へ。松山峠までしばし、約130mの登りが続く。印象的な白樺林の後、盆地の外れが縁へせり上がり、いつの間にか狭い谷間へ推移してゆく。道北内陸にありがちな、なだらかな地形である。

 松山湿原への分岐を過ぎ、本格的に登り区間が始まると、松山峠まで周囲の景色が開けることは無い。狭い谷間の真正面から朝日がまともに照りつけて、眩しく暑い。晴れた途端にこの暑さである。

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 谷を挟む森の深さは、西尾峠周辺と同じく圧迫感と、圧迫感故の単調さが感じられる程だ。

 下りではそれなりに距離感を感じるのに、遙かに遅い登りの方があっという間に時が過ぎるのは毎度の事。もちろん、10〜15分で通過してしまう下りより、登りの方が時間が掛かっている。


 7:15、松山峠通過。

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北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道雄武郡雄武町上幌内 道道49 松山峠下 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 そのまま峠から山裾へ一気に急降下、更に深くて今にも熊が出てきそうな谷間の森を、一気に通過してしまう。

 登りでは他の峠に比べて斜度が印象的な7〜8%基調、今日はもう調子に乗って下る下る。

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 今日はこの道のこの時間にしちゃあ、車が意外に通っている気がするので、ささっと勢いよく通過してゆけば熊の心配は無いだろう。

 安心できさえすれば、朝の陽差しに深い茂みが輝いている、ようにも見える。

 7:30、上幌内着。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道雄武郡雄武町上幌内 道道49・道道60分岐 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 道道49から折り返すように道道60へ合流、次は幌内越峠への約100m登り返しだ。

 谷底から折り返し無く山裾を巻き、意外に長い一発登りである。昔はところどころ見渡せたはずの谷間も、もう大分前から殆ど森に隠れ気味である。眺めはやや退屈な、面白くない道だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 たかだか100mが、尚更時間が掛かるように思える。

 幌内越峠の100〜200mぐらい手前に、道道60と奥幌内本流林道の合流点とちょっとした広場がある。一方地形図でもGPS地図でも、幌内越峠と雄武町と下川町の町界はもう少し南となっている。地形図では一応その場所で破線の道が道道60に突き当たってはいるものの、実際にはその場所は茂みで他の場所とは区別は付かない。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道雄武郡雄武町上幌内 道道60・ピヤシリ林道分岐 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 峠から前後200mずつぐらいがほぼ平坦になっていて、先の奥幌内本流林道合流点も含めて峠周辺に斜度の変曲点というものが無い。つまり幌内越峠となっている場所は町界と小さい峠の標識以外に目立った特徴は無く、事実上まるっきり道道60の途中であり、林道合流点の方がすぐ近くの峠よりずっと峠っぽい表情を醸している。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道雄武郡雄武町上幌内・上川郡下川町サンル 道道60 幌内越峠 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 等と行き場の無い葛藤とともに8:20、幌内越峠通過。まあ、それでもここは峠なんだろうなと、毎回思う。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道上川郡下川町サンル 道道60 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 幌内越峠前後の平坦区間から緩い下りに移行し始める間、周囲には大木がすかすか気味に立つ開けた原生林が続く。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 脚を停めると次第に速度が上がってゆくぐらいの緩下りが、原生林を巻いて白樺の森へ入って、やっと本格的に下り始めたと思ったら、すぐに斜度は緩くなって白樺や広葉樹林の下りが少し続く。ここも登りより下りの方が通過時間を長く感じる場所だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 白樺がカラマツの森に替わって間もなく辺りが開け、サンル牧場の一番上手へ。突如拡がった牧草地と空の明るい伸びやかな空間に、つい脚が停まる。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道上川郡下川町サンル 道道60 サンル牧場 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 やはりこの道、晴れると風景が絶好調だ。そういえばこの道で晴れだったのは、もう4年以上前なのだった。今日この道に来れて本当に良かった。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道上川郡下川町サンル 道道60 サンル牧場 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 牧草地自体は人の所為以外の何物でもない。しかし圧迫感を感じるような大森林の後、その明るさと拡がりはあっけらかんと開放的で、むしろ自然のものに感じられるような気がする。

 などと思って道端から牧草地へ続く道をのぞき込むと、少し先にうず高い熊の糞が見えた。こいつは危ない、早く去ろう。やはり人に優しいような場所ではないのだ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 周囲は明るい牧草地から青い森の木陰へ。

 森の中では、ミズナラの梢に木漏れ日がきらきら眩しい。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 茂みの中からサンル川が現れて道道60に接し、また薄暗い森の中へ消えてゆく。ちらっと眺める川面もまたきらきら眩しい。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道上川郡下川町サンル 道道60 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 森の茂みを抜けると再びサンル牧場の牧草地、辺りが一気に拡がって明るくなる。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 青空の色は濃く鮮やか、凄く晴れた日独特の色だ。そして陽差しが鋭く厳しい。

 木陰はまだ涼しいものの、いやいや立ち止まるとそろそろ空気がぬるくなっているのがよくわかる。

 道を取り巻く緑と青い影は繰り返し入れ替わりつつ、道道60はいつの間にか新道区間に入っていた。この道も、意識しないと新道と従来からの道の区別が付かなくなってきたなと思う。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 山裾を巻きながら少しづつ高度を上げ、森の中から森を見下ろすように離陸し、前方の谷間にサンル大橋が登場した。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 遂に自転車でサンル大橋に来て、完成後のサンルダムを見下ろす時が来た。2004年以来、15年間想像し続けた瞬間である。去年ここを渡ってはいてもタクシー輪行だったので、1年お預けまで食らっているのだ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 縁石に自転車を立てかけ、まずは下流側、下川方面を見渡してみる。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 水が溜まっているのは橋の真下から200〜300m先だ。荒野に戻りつつある畑と畦、畑を区切る農道も、ある場所から向こう側が水没しつつあり、少し高い橋が島の様に水面から浮き上がっていたりした。しかしその手前、森だった木々はことごとく立ち枯れの、白骨のような姿でばきばきと拡がっている。一見水没していないように見えても、恐らくある程度の期間湖水は既に大橋の真下を越えて溜まり、今はたまたま水量が減っているだけなのだ。道道60の旧道が橋の真下から荒野に変わってしまった畑に一直線気味に続き、遠くでおもむろに湖水に貫入している。その路面にも干上がったような痕跡がみられた。建設中のサンル大橋を見上げ、旧道を通過していた頃を思い出した。そんなに昔じゃない(ように思えたものの、最後は2012年。もう7年前なのだった)。

R0010184.JPG 北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道上川郡下川町サンル 道道60 サンル大橋から下流側を望む #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 畑や道の規則的な形、微妙な高低差による水際の複雑な線は、私にとって人の営みの痕跡と、それらを過去に押し流す2019年サンルダム完成という現実の境界線である。湖水に突っ込む道道60旧道は、更に過去の訪問を象徴している。一直線の道が突っ込んだ先が水面が、風景の記憶を2019年の現実に引き戻す。そして水面は湖水の中程で空を映し、岸辺のリアリティとは裏腹に夢で見る異国の空みたいに非現実的な、眩しい水色になって周囲の低山に囲まれていた。これは現在過去未来の未来パートというより、全てを沈ませた湖水の存在感というものだろうな。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 次は反対の上流側だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 上流側は谷幅も奥行きも浅く、周囲の山々は比較的間近で高い。密な森が山から眼下の橋の下まで埋め尽くしている中に、やはり道道60旧道とサンル川が通っていて、夏だというのに川岸の上流部の森はある場所から手前が立ち枯れ始めている。そこまで一旦水位は上がったのだろう。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道上川郡下川町サンル 道道60 サンル大橋から上流側を望む #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 立ち枯れの木々は、完全に朽ち果てるまで2〜30年かかるのかもしれない。80〜90年代朱鞠内湖を訪れ始めた頃、湖面に突き出す立ち枯れの木々を、自分はどのような気持ちで眺めて良いかわからなかった。破壊されてゆく自然に腹を立てるべきか、或いは幽玄たる水と枯れ木の佇まい、時の推移に詩的な気分になるべきなのか。今、それがはっきりした。長かった、それだけだ。立ち枯れしてゆく木々には悪いが、ダム建設に治山の目的があるなら、種として存続するにはこちらの方が良いのかもしれない。

 エゾゼミの声でふと我に返る。静かに、しかし確実に時間が今も過ぎてゆく。風が通り過ぎ、川越十万石饅頭を思い出せるのが、50代半ばの私の強みというものだろう。
 そろそろ脚を進めよう。もう何でもいい、とにかく感動的で満足できたサンル大橋訪問だった。


 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 サンル大橋からダムまで外周道路区間の道道60は、小山の中をやや大きめの線形と切り通しと登り返し込みで抜けてゆく。

 湖に注ぐ沢の谷間を渡る時に時々見える湖に、かつての畑と違いなみなみと水が入り、対岸の山と青空を鏡みたいに映している。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 かつて単純に見下ろしていた谷底が、全く新しい表情の風景に変わっていたのであった。

 最後にダムを眺めて谷間へ一下り。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道上川郡下川町サンル 道道60 サンルダム #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成
北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道上川郡下川町サンル 道道60 サンルダム #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 山間の涼しさはもう全く消え失せて、路面の照り返しが暑い暑い。

 辺りにはソバ畑と農家が現れ始めた。もうすっかり人里だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 9:55、下川着。下川の手前で現れた距離標識によると、名寄まで18kmある。1時間は見とく方がいいだろうな。11時着か、そんなに早く列車に乗れると思っていなかったので、午前中の名寄の時刻はあまり真面目に見ていなかった。確か11時20分台だったように思う。それなら輪行時間含みで午前中の列車に乗れるかもしれない。全体的に前倒し行程で、美瑛での行動も安心だ。まあ全部輪行するだけだが。
 というわけで、セイコーマートにも寄らずにそのまま国道238へ。

 一昨日から続く東風に漏れず、国道238ではやや強めの追い風熱風に煽られ続けた。しかも下り基調なので、軽く脚を回すとすぐ20km/h台後半に速度が上がった。我ながらさっきの松山峠や幌内越峠とは別人の走りなのが可笑しい。試しに36km/hまで上げてから、やや抑え気味に30〜32km/h巡航で行くことにした。

 しかしそれにしても暑い。水を飲んで出た汗がすぐ乾く。こういう時は熱中症の危険が危ない。

 国道238は近年西興部・下川間でほぼ毎年使っている。しかし下川から先、名寄までは2002年以来訪れていない。18kmの距離感覚や起承転結も、何もかも忘れている。上名寄というバス停の名前がちらっと見え、そうか、1989年に廃止された名寄本線にはそんな駅もあったな確か。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 その先には二の橋・三の橋同様、元名寄本線のオーバークロスがあった。と思っていると、大分先にもう無くなったのか、と確信した頃にオーバークロスが現れた。この頃になると、暑いのと下りながら脚を回しているので、ちょっとした登り返しがもう厳しく、途中で売り切れるのが情け無い。暑さで参りかけているかもしれない。
 陸橋の上で少し立ち止まり、水を飲んで辺りを眺めてみる。強い夏の陽差しで風景の色彩が変な程に鮮やか濃厚、コントラスト過剰気味になっていた。

 名寄盆地手前のちょい坂だけはよく覚えていた。短い坂なのに、昔は若くて体力が有り余っていたのに、こういう坂は嫌いだったので良く覚えているのだ。

 ちょい坂の向こうではあまり下らない。下川の谷間から名寄盆地へは下ってゆく位置関係なのに。そして名寄盆地に降りたのに、いつまでも盆地縁沿いにやや高台を北上しながら、辺りは田園と森のまま、名寄の町っぽくないのんびりした風景が続いた。そういえば名寄も、初めて訪れてから1990〜2000年代に随分発展したんだったな。

 しかし行く手に「名寄駅」の看板が出た。その通りに曲がってみると、道は一気に下って突如市街地まっただ中へ。名寄駅はもう陸橋のすぐ向こうだった。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 10:30、名寄着。下川から35分で着けた。下りの追い風とは言え、我ながらよくやった。これなら余裕を持って輪行できるぞ。と思って駅で時刻を確認しておく。
 しかし、旭川行は10:59なのだった。あれ、11時20分台じゃなかったのか。まさか10時台に着くと思っていなかったから、最初から13:35名寄発でいいやと思って、この時間は真面目に見ていなかったのだ、と自分で思った。
 10:59までだと25分しかないなー。でも25分か。25分、過去の最短記録15分よりはマシだ。じゃ、やってみましょう!やや受動的ながら全速で輪行開始。ミスをしてはいけない。ミスしたら遅れるぞ。

 結局自転車を袋に詰めて10:47、バッグ緊結を残した状態であと12分。階段で跨線橋を渡った向こうのホームにさっき着いた列車が旭川行きっぽく、振り返るとキハ40の2両編成、車内はガラガラだった。もうあとはバラバラのバッグを列車に積んでしまえ。発車まで12分もある。自転車とバラのバッグを運ぶのに2往復、楽勝だ。
 自転車とバッグを運び始めると、改札の駅員さんがご親切で手伝って下さると申し出て下さった。でも発車1分前ならともかく、こんなの一人でやらねば。


 10:59、名寄発。330PSエンジン換装済とはいえ、やはりキハ40は遅い。各駅出発時の加速、塩狩峠の登り、何かと走りが重たい。まるで自分の走りのようで、同情したくなる。明日はもう1日運休。全行程が終了してしまったので、自分の走りなどもはや他人事なのだ。

 
北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道旭川市 旭川駅 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 12:48、旭川着。空は完全に曇っているものの、劇的に薄暗いというわけではない。ただ、不穏な風は吹き始めているようにも思う。
 次の富良野線まで1時間。お昼時なので、町中へ行ってもどこも混んでいるだろう。往復10分ずつとして、食べ始めるまで20分、食べるのに20分もかからないけど、かなりかつかつだ。1時間なんて意外に潰しが利かないね。というわけで、こういう時は駅蕎麦を食べるチャンスだ。
 訪問何回か目でやっと食べることができた江丹別蕎麦、流石の江丹別で期待通りにオイシイ。駅蕎麦屋では駅弁も売っていた。昔ながらのメンツが懐かしく、往年の夜行列車を思い出しつつ駅弁を食べても良かったな等と思う。まあ又の機会に。余った時間でイオンでお土産を送り、ホームに戻って富良野線へ。

 13:46、旭川発。富良野線のはキハ150。エンジン出力は450PS、キハ40とは見違えるように軽い軽い。ちなみに大雪のキハ183は460PS、宗谷、サロベツのキハ261は920PSだ。
 14:18、美瑛着。美瑛も旭川と同じく曇り始めていて、風が吹き始めているものの、まあまあ比較的普通な雰囲気である。農業祭りの準備は進んでいるものの、タクシー乗り場は移動されていない。上手い具合にちょうどやってきたプリウスに輪行状態の自転車を載せ、YHへ。ついでにこの段階で、明後日早朝旭川空港までのタクシー予約もお願いしておく。
 明日はもう1日、YHで台風籠城だ。毎年食事が楽しみだった美瑛ポテトの丘YHは、今年から何と食事を提供しなくなった。このため、美瑛ポテトの丘に併設されているレストランに、夕食と朝食を予約してある。しかし明日の朝食だけは仕入れておく必要がある。このため市街北側のセイコーマートに大回りで寄ってもらう。

 美瑛ポテトの丘YHには14:50過ぎに到着。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道上川郡美瑛町大村 美瑛ポテトの丘YH到着 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 輪行袋を倉庫に入れさせていただき、15時ちょうどにチェックイン。この段階で未だに雨は降っていない。空は曇っているものの何となく青い色すら伺えるし、辺りは意外に明るい。しかし風は次第に、そして決定的に強くなりはじめていた。この風の中旭川盆地を走って、楽しいかと言えば楽しくはないだろう、と思えるぐらいに強い。道道49・60の素晴らしい印象と共に名寄で行程を終了して良かった、と確信できる。うん。
 明日は雨と嵐なんだろうな。

 夕食はYHの奥に建つレストラン「ブランルージュ」。

北海道Tour19#9 2019/8/16(金)仁宇布→名寄 北海道上川郡美瑛町大村 美瑛ポテトの丘 レストランブランルージュ #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 鶏のキャベツ煮、ビーフシチューの2択メニューである。今晩のところはビーフシチューをいただいておく。YHの夕食を担当しているというレストランとの通り、ご飯共に大変美味しくボリュームたっぷり、十二分に満足できた。

 

 反面、YHはお客さんも少なくひっそりとしていた。今回予約時にオーナーから伺った話では、美瑛の観光客自体は減ってはいないのに、美瑛に宿泊する観光客が激減し、宿が打撃を受けているとのこと。美瑛と言えば、宿泊施設を予約するのに毎回一苦労していたのに、にわかに信じ難かったこの話。実際に訪れると納得できた。同じ連泊でも、最終日の行程で慌ただしかった昨年はあまり意識していなかったものの、確かに昨年、既にお客さんが減りつつあったかもしれない。
 2019年夏の、ややショックな出来事だった。

記 2020/1/19

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Last Update 2020/2/2
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