五島列島Tour19#6
2019/5/2(木)
中通島4 津和崎郷→今里郷-1

津和崎→津和崎灯台→津和崎 (以上#6中通島4-1)
(以下#6中通島4-2) →高峰 (以上#6中通島4-2)
(以下#6中通島4-3) →奈摩 (以上#6中通島4-3)
(以下#6中通島4-4) →今里郷
49km ルートラボ

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路と航路

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 13:00、津和崎港着。津和崎港は桟橋の階段が平港より広い。担ぎ上げるのにちょっとはらはらするのも数秒。無事上陸後、船長さんは手を振って、すぐさま次の仕事へ向かっていった。
 山裾に張り付く小さな漁港に、真上からお昼の日差しが照りつけていた。南側には、これから南下してゆく予定の県道218が、海岸から立ち上がる山腹ををどんどん登ってゆくのがずっと見通せた。確か100m以上ぐらいまで一気に登るはずだ。
 この時間なら、南へ向かう前に津和崎灯台の周回部分を通り、中通島最北端の車道を訪問しておきたい。灯台に立ち寄っていいかもしれない。ただ、登り返しは100m超。この後奈摩から中通島西岸の林道に足を延ばすため、なるべく余裕を確保しておきたくもある。

   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 船長さんと会話していた顔なじみらしきおばさんが声を掛けてくれた。
「津和崎灯台には行かないのか。昨日は灯台を掃除しに行ったときに大阪から来た女性サイクリストと話した。頭ヶ島から走って来ていたらしい(すなわち私が頭ヶ島ですれ違った女性ロード乗りの方と思われる)。どうせ自転車ならせいぜい10分で登っちゃうでしょう。」
 10分か、なかなか鋭いところを突いてくるね。只者じゃない。じゃあ、行かないわけには行かないようだな。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 というわけで、津和崎の民家の間から北に向かって分岐する道へ。

 斜面の木立の中からちらちら青い海の色が見えたり時々海が見渡せたり、やや開けて周りが集落に変わった後、約10分(約の多い方)で稜線に到達。

 そのまま周回区間へ。「灯台へ3分」の小さい看板と2〜3台分の駐車場の前を通過し、もう少し先で舗装路と分岐。灯台周回区間となった。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 あまり下りたくないが多少下って何かの公園入口の前を過ぎ、再び20%ぐらいの登りを経て、駐車場へ帰ってきた。20%の登りは厳しかったものの、後方の海と間近な野崎島、やや遠い小値賀島を振り返るのは、坂の途中で立ち止まる口実に充分だった。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
五島列島Tour19#6 2019/5/2(木) 中通島-4 津和崎郷→今里郷 長崎県南松浦郡上五島町津和崎郷池尾 津和崎鼻 津和崎灯台周回道路 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 周回区間のノルマはとりあえず果たしたものの、ここまで来たら灯台へも立ち寄らねば。徒歩3分なら遠いわけでもなさそうだし。駐車場に停めておく自転車に鍵を掛けなくても、ここで自転車を盗ってゆく物好きはいないだろうな。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 森の中をまあ3分ぐらい。灯台の下手がさっき周回区間で通過した公園の一番上手のようだ。灯台の周りは森が少しだけ開けていて、北側の海と野崎島を望む位置にパーゴラ状のあずまやとベンチがあった。公園側から登ってきたらしい方もいた。

五島列島Tour19#6 2019/5/2(木) 中通島-4 津和崎郷→今里郷 長崎県南松浦郡上五島町津和崎郷池尾 津和崎鼻 津和崎灯台前 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 野崎島がすぐ近く、多少黄砂に霞みながらもよく見わたせる。小値賀島も、さっきまでいた宇久島も見える。これからもう夕方には中通島の中程まで南下してしまうのだ。さらば小値賀島、宇久島よ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 13:45、津和崎港を通過し、いよいよ南下開始。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 県道218は青い海を見下ろしながら、米山の集落の中を登り続けた。道は比較的広く安定しているものの、山肌がかなり急斜面なので、道の際に近づいて海を見下ろすのが怖ろしい。にも拘わらず、道沿いには民家や畑がびっしり貼り付いている。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 日差しは真っ青な空の真上から照りつけ、森からは鳥の声が響き、空中には黒いアゲハやクマバチが飛んでいる。照り返しが強く、道を登っていると汗をかく。ただ木陰も多く、海風のせいか大変涼しく快適だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 米山教会は一見して建設年が新しそうだったので、この際通過してしまう。この頃になると教会はもうあまり珍しくなくなって、比較的新しそうなら割愛するようになっていた。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 米山の南端から、県道218の高度は中通島東岸の中腹〜稜線近く、標高100m前後で安定した。

 怖い程切り立った斜面、青い海と青い空、森の緑。目に入る眺めがことごとく濃厚な色で鮮やかで、強い日差しが一杯だ。

 遠景は霞み気味ではあるものの、これだけ日差しが強いと海と空の青が薄く水色になってゆくやや急な色の変化が目新しく見える。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成
五島列島Tour19#6 2019/5/2(木) 中通島-4 津和崎郷→今里郷 長崎県南松浦郡上五島町津和崎郷 県道218 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 遠くの断崖にも見下ろす入り江にも、大きな岩の塊が立ち上がっている。斜めや縦に地層らしい筋が入っているのが更に逞しい。海上にはぽつんと小さい島が霞んでいる。小さいながらも切り立つ岩、生い茂る木々の勢いは、見るからに人の営みを拒む無人島である。

 走りながら風景に見入っているとつい道を飛び出してしまいそうだ。怖ろしくて道の端を近寄りたくない。脚を停めても、道の端に居るとなんだか腰から下が不安定におぼつかない気がする。それぐらいに切り立った斜面である。

 なかなかの絶景中、稜線には送電線が彼方へ続き、風力発電も所々に建っている。また、道の周囲は山の中腹ながら、意外な頻度で集落が断続している。ここは生活の場なのだ。

 一本松で、県道218は東岸から稜線を越えて西岸へ移った。地形図には稜線手前の分岐から、赤波江教会がある赤波江の集落へ直接行けそうな道が描かれていた。しかしこの道は途中が破線となっていて、ルートラボでは拾えず、更に空撮では完全に森が覆い尽くしていた。
 現地では、分岐のやや手前から、地形図で破線になっている辺りがかなり切り立った斜面の森になっているのが見えた。あそこに道があるとは思えない。分岐ではやや細い道が分岐はしていたものの、そのまま西岸へ向かうことにした。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 東岸から西岸へ移ると、風景の表情が少し変わった。いや、切り立った斜面の森と断崖、青く静かな海はあまり変わらないのだが、海上の遠景に続く断崖と島々の眺め、光線の方向、海流によるものか波の感じが変わり、風景の表情が何だか変わるように思えるのかもしれない。

 東岸からしばらく高度は安定しているものの、景色が素晴らしいのと何だか高さが怖ろしく、20km台前半以上で走る気にはならない。しかしのろのろながらとても楽しく、やはり20kmともなると位置は確実に少しづつ進んでいた。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 真浦では海岸へ降りる分岐を通過。計画時には、ローラー作戦で海岸も稜線越えも、ピストン区間は全部行こう、等と考えていたのに。島ノ首ではさっき直接アプローチを断念した赤波江教会への分岐が現れたものの、既に私は教会への興味が薄れていて、目の前の激坂を80m登って稜線を越えて向こう側へ降りる気にはなれなかった。一応スマホで赤波江教会の写真や建設年なども調べて、比較的新しい教会であることも確認しておく。

 江袋でも海岸へ豪快に下ってゆく分岐を通過。もうなりふり構わないリストラツーリングである。まあ、今ここまで来れているなら、一昨日行けなかった奈摩西側の半島の林道に脚を伸ばせるかもしれない。林道訪問に懸けてみたい、という大義名分があるにはある。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 高峰で県道218は再び東岸へ。地形図に描かれていたとおり、つづら折れで切り立つ斜面を登ってゆく道が遠くから見えていた。しかし近づいてみると、あっさりトンネルが登場。もちろんここは有り難くトンネルで抜けてしまう。東岸で変な通行止めが現れるかもしれないのだ。とともにトンネルが現れ始めたことで、曲がりなりにも確実に位置が南下して中通島の中央部に近づいていることが実感できた。

 再び東岸へ出ると、西岸へ出る前より日が傾いていて山が日差しを遮り、穂鉈の岩場や山の襞にも影が増えているせいか、風景全体の色彩が多少穏やかに変わりつつあった。

 小さな半島半島の袂に続き始めている漁村を地図で確認すると、立串である。何、もう立串なのか。それならもう一つ先の小さい岬の凹み辺りは、一昨日朝までいた小串の集落だ。もう浦桑、青方も近いのだ。途中一杯寄り道を省略したし、もう14時過ぎだしな。

 大串から南、中通島には東西両岸に道が通るようになる。東岸は一昨日までいた小串から一昨日通った道だ。西岸は大串以降長大トンネルに大きな曲線、見るからに拡幅済みの幹線県道なのだが、東岸はもう2回通っているし、この後西岸の林道に向かうなら西岸一択だ。それに所詮はまだ大串とか奈摩とか、幹線道路でものんびりした感じなのだろう。

 県道218は大串の山側をバイパスして県道32に合流、再び稜線へ向かってゆく。

 地形図から想像していたほど下らないのは斜面が急だからだろう。今の私には有り難い。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 最高地点は120m、手持ち地形図「立串」で未だ国民宿舎の表示があるホテルマルゲリータを眺めて西岸の下り区間へ。

 この辺にも一杯立ち寄り候補の道があったものの、現地へ来てみるとどこもかしこも急斜面の激坂である。

五島列島Tour19#6 2019/5/2(木) 中通島-4 津和崎郷→今里郷 長崎県南松浦郡上五島町曽根郷 県道32 白草峠 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 さすがは新道区間、もはや殆ど登り返しが無く、安定した斜度で海岸の奈摩まで下り続けた。約1kmの青砂ヶ浦トンネルを抜けると、奈摩の漁村が見え始めた。漁村は意外に広く、青方で買った揚げ物のお店は多分見つかりそうにない。まあいいや。今は林道優先だ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成  RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成  RICOH GRV GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 手頃な自販機を探すのにちょっと行き来した後、16:05、奈摩発。

 中学校脇の細道がアプローチである。

 登り30m程はやや厳しいものの、取付から森に入ってからは緩やかな登りが続くのは、この時間ありがたい。

 林道は奈摩湾内の東岸を北上してゆく。森の中には時々隠し畑のような畑が現れた。緩やかに、しかし尾根と谷を巻きながらどんどん登ってゆき、いつの間にか岬を巻いて西岸に出ていたようだった。木漏れ日が目に見えて明るくなっていた。

 190m辺りで高度はしばし安定した。基本的には森の中の道から、時々海と行く手の斜面や海岸部の断崖が見渡せ、その度に日差しが少しづつ傾き、赤みが増していることがよくわかった。

 道が下り始めて、分岐が登場。「新上五島町清掃工場」という表示もある。昨日太古から眺めた海岸の清掃工場には、ここから下るのだ。もう青方も近いはず。

 その後は軽めのアップダウンを繰り返しつつ高度を下げ、船崎の漁港を経由し、対岸の半島岸の石油備蓄基地を眺めつつ青方湾の海岸に着陸。

 こちらも向こう側も、青方湾は全体的に賑やかであり、青方に戻って来た気分になった。

 17:30、青方通過。やや腹が減っているものの、もう宿到着は近い。

 この際農産物販売所や漁協も通過、フェリー埠頭分岐を過ぎ、跡継トンネルを抜けるともう今里湾だった。一昨日雨の中で眺めた、湾を横切る鯉幟が懐かしい。

 今里大橋を渡って対岸の集落へ。ついさっき眺めた青方のような街の雰囲気とは違う、集落の雰囲気、落ち着ける民家の佇まいが嬉しい。今夜はここで泊まれるのだ。

 17:45、今里郷の一番奥「農家民宿片山」着。宿の前、一見川か湖のような水辺は実は海である。岸辺の石垣がいかにも漁村らしい。

五島列島Tour19#6 2019/5/2(木) 中通島-4 津和崎郷→今里郷 長崎県南松浦郡上五島町今里郷 農家民宿かたやま前 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 夕食は一見素朴ながらその実洗練された珠玉のラインナップで、大変美味しい。皿うどんもボリュームたっぷりだった。

 毎日希望をもってThetaVをUSBに接続していたのだが、今日は何と充電機能が復活していた!PC接続は未だにできていないものの、これで何とか最終日まで360°写真を撮れそうだ。

 明日はいよいよ福江島に戻る日だ。船の時刻は13:50土井ノ浦の五島旅客船ニューたいよう、その前が10時半若松港の五島旅客船フェリーオーシャン。どちらにしても若松島発だ。このため中通島南部を訪れて、最後に若松島に渡る、というのが基本となる。
 出発前に組んだ予定は、中通島西岸の国道384を南下する計画だった。途中行き止まりコースをこなしながら、南岸をぐるっと回って若通島へ向かっても、13:50土井ノ浦なら間に合うだろうと思っていた。
 この計画の小さな問題は、その後の福江島だ。14:40に到着し、明日の宿、福江島西端の玉之浦まで42km、3時間強。夕食予定時刻の18時までには行けるだろう。しかし、ややぴったりすぎるような気もする。もう少し余裕があると嬉しいな、とも思う。
 そもそもそれ以前に中通島で、西岸の国道384自体、雨だった4/29に通ってしまっていた。雨だった悪印象は割り引いても、明日向かうべきはむしろ4/29に諦めた東岸なのではないか。と思っていたら、宿がある今里郷から東岸へ直接、しかもあまり登ること無く抜けられるという、まるで今の私のためにあるような道を発見してしまったのだった。
 そこでルートラボで検討し、
  ・東岸から時計回りで中通り島南部を周回
  ・若松島に抜ける
というコースで何とか辻褄が合った。どうせ土井ノ浦13:50に間に合えばいいのだから、若松港10時半は間に合えば間に合わせればいい。

記 2019/6/8

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Last Update 2019/6/30
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