北海道Tour18#7
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浜鬼志別→東浦
(以上#7-1)
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9:00、川尻着。コースはここで宗谷湾沿いの国道238から、内陸へ南下する道道1077へ分岐する。この分岐は、道北の私的最重要幹線ツーリングコース「道北縦断道道」シリーズの、一応最北端ということになっている。ここから南下し始めるということは、コース全体の南下フェイズに移った、すなわち旅が後半に入ったということだ。思えば今日で旅も7日目。そういう兆しがあって然るべきだろう。
内陸に入り込むと、平地では少しは空気が澄んでいて、谷の拡がりを囲む山の裾までは見通すことができた。しかし、裾からすぐ上が厚く暗い雲の中であることに変わりは無い。
下増幌では道道1077が東へと直角に向きを変え、そのまま南下する道は農道となって道道1077から分岐した。道道1077は、オホーツク海岸の東浦で国道238から分岐した道である。宗谷湾から南下する南北方向の道と宗谷丘陵の南端の東西方向の道が、一続きの道として道道1077に指定されているのだ。宗谷丘陵越えの区間は長らく未開通だったためか、近年までここ下増幌での農道分岐は、山中で行き止まりとなる太い道がいきなり一直線の細い農道に突き当たり、交差点からその道が道幅は変えずに名前だけ道道1077となって宗谷湾へ北上してゆく形となっていた。
今回、宗谷湾から既に道道1077は拡幅されていた。道としては南北に一続きだった農道も拡幅されたのかと思っていたら、一連の道道1077だけが拡幅されていて、直角部分はやや緩やかな1/4円を描く道道1077から細道が分岐するようになっていた。道はこういう風にして、次第に姿を変えてゆくのだろう、と思った。
下増幌から増幌へ向かう途中で、辺りが目に見えて薄暗くなってきた。やはり標高の低い平地であっても、海岸部から内陸部に進むとこういうことになるのだ。
北海道Tour18#7 2018/8/15(木) 浜鬼志別→中川 北海道稚内市増幌 道道121 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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増幌では谷間の真ん中に通る道道121ではなく、東側の丘裾を通る道道1199へ。
道道1199は道道121に比べると途中丘越えはあるものの、こちらの方が車が少なく静かだ。とはいえ実は道道121も車が多いというほど通りゃあしない。沼川の手前では丘越えがあるし、基本的に谷の真ん中の道なのだが比較的のんびりした風景の中を通っている。特に何か決定的に通りたくない理由があるような道ではない。
つまり、どっちを通ってもいいんだが、道道121で3〜4年前やや風が強かった印象があり、そしてさっき宗谷丘陵に行っていないので時間があることが、道道1199へ向かってみようと思う理由となっていた。
北海道Tour18#7 2018/8/15(木) 浜鬼志別→中川 北海道稚内市上声問 道道121 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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空は一面雲、山は見えず薄暗いが雨でもない。こういう日には絶景ポイント的な場所で、景色の良さがわかりにくい。そのため、専ら道が通っている地形だけをイメージしながら道を辿ることになる。
というわけで、何度か通っている既知の地形を、改めて地形を想像、復習しながら沼川を目指す。
丘陵を下って開けた谷間の先、また登り返す丘の裾、牧草地の草原の中の森に所々屋根が見える。沼川だ。単に屋根が見えるというよりも、だだっ広い草原や森や丘陵を眺めた後では、何だか楽しそうな場所であるように見える。あれが人の営みというものなのだろう。
10:05、沼川着。
もう10時、とは言え川尻からまだ1時間。6時前の浜鬼志別出発から4時間強、68km。徒然なるままに脚を動かす内に、ここまでのんびりではあったものの、順当っちゃ順当な時間が経過して距離が過ぎている。まあ、沼川と言えばまずはA-COOP、やや肌寒い軒先でカップ麺で休憩を食べるとする。
相変わらず空は薄暗い。こんなに寒いここだって、晴れれば暑くて仕方無い日も過去にはあったな。去年もそうだった。と、暑さをまず思い出してみる。そう言えば去年はここに立ち寄った後、道道138で小石峠を越え、浜鬼志別へ向かったんだよな。このまま小石峠を越えれば、2時間で浜鬼志別、ホテルさるふつに戻っちゃう。そうしたら、もう中川へ向かう気はしないだろう。中川の宿もキャンセルする必要がある。朝はホテルさるふつにいたというのに、時間が経つということは面倒なものだ、等とも思う。そういうことをしに旅に来ているのに、何だかそういうことが面倒に思えていて、でも結局予定通り中川へ向かうんだろうな。無駄な逡巡は全て自分だけの時間であり、わざわざ休暇を取って北海道までやって来て、面倒臭がっている。旅という物はもともと大変贅沢で無駄なものなのだ。などと考えると、折角の道北で余り天気が良くなくても、もっと言えば走れなくても、「大変贅沢」ということで納得できるのかもしれない。
沼川に話を戻すと、そんな風に自分の行程を省みる気分になる、今日のコース上の要所である。そして沼川が要所である必要条件は、道が交叉していることよりA-COOPが存在していることが大きい。次の要所はセイコーマートがある幌延だ。幌延までは商店は1軒も無かったはず。自販機はあったかもしれないが、あまりあてにはできない。
記 2019/2/21
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