北海道Tour18#5
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生田原→丸瀬布
(以上#5-1)
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札久留峠からずっと下りが続いて身体がすっかり落ちついたためか、たかだか標高差80mの瀬戸牛峠では、再び面白いほど一気に汗が吹き出てきた。
滝上で油断して補給しなかったボトルの水も飲み過ぎ気味で、もう残り少なくなっているものの、所詮は標高差80m。12:05、瀬戸牛峠着。
毎回、峠の少し向こうで見下ろせる西興部の町の眺めは楽しみなのだが、下り途中の道端懐的展望台風のスペースでは、斜面下側から背を延ばした木々が、いつの間にか眺めを遮るぐらいに生い茂っていた。思えばここ何回か興部からバスでやってきてここは通らなかったり、雨の中あまり景色を眺める余裕が無い訪問が続いていたな、と思い出す。いずれ木が伸び放題になって眺めは完全に遮られるか、或いはまた役場かどこかが見るに見かねて枝が刈り取られるのかもしれない。そうやって年月が経ってゆくのだ。
北海道紋別郡西興部村字西興部 道道137 北海道Tour18#5 2018/8/13(月)生田原→仁宇布 - Spherical Image - RICOH THETA |
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12:10、西興部セイコーマート着。出発以来6時間経過として、あと6時間。175kmのコース中の97kmだから、行程的にはなかなか順調である。というより、思っていたより残りの距離が少ないんじゃないか。ツーリング中の目論見で、都合の良いことはあまり無いはずなのだが。とにかく下川のタイムリミット15時発に向け、引き続き気を抜かずに脚を進め続けなければならない。確か西興部から下川までは、50kmは無いが、40kmは確実にあったはず。
12:30、西興部発。国道239で下川へ。
町外れで登場した標識には、下川まで28kmとあった。なんだ、下川まで40kmどころか、30km無いのである。我ながら自分の記憶は相当にいい加減だなと思ったものの、まあ、実際が記憶より短い方で良かった。後で調べ直すと、前回の2012年には、確かに2時間半かかっていた。
再び日が照りつけ始めていて、上興部までの緩登り区間ではかなり暑さが感じられた。雲に陽が隠れてくれるのが有り難くて仕方が無い程だった。
しかし天北峠を越えると、空気はやや涼しくなった。空が曇り始めたせいもあるかもしれない。何だか今までの晴れ基調と違って空一杯に拡がった雲がやや厚く色が濃い。この後下川から先の山間で、雨にならないといいのだが。
峠から一下りで一の橋、更に下り基調で二の橋へ。
山間から平地に出て下るに連れ、再び空は明るくなり始めた。さっきまで下川着15時ぎりぎり一杯を覚悟していたのに、現状の行程はかなり好調だ。
これなら美深松山峠を17時過ぎ頃には通過し、18時までに仁宇布ファームイントントに着けそうだ。今日やっと、最後まで余裕を持って行けそうな気になってきた。なかなか気分が良い。
14:05、下川着。何と下川に14時に着けてしまった。
でもそもそも、これなら毎回のコース所要時刻通りである。積み上げ計算で少し余裕を見込みすぎたかもしれない。毎年同じコースを通っているとコース検討能力が減退してしまい、同じコースでも分割地点を変えた途端にこういう状況である。
下川から終点仁宇布まで約50kmは完全に無人地帯だ。そこで今日の宿ファームイントントに電話しておくことにした。この先の様子を確認しておきたいというより、順調に進んで17〜18時には着けそうだという報告のつもりだった。
ところが、女将さんのお話は、大変思いがけず今後の見通しを覆すものだった。
「こちらは土砂降りで、けっこ〜う降ってますよ。天気予報も朝は晴れだったのがいきなり雨に変わってます。」
「わかりました。とにかくそちらまで確実に行ける方法を考えます。」
と答えてまずは天気予報をチェック。確かに終日晴れと曇りだった天気予報は、下川町、美深町、江差町のどこも15時の桝から後が雨、しかもけっこ〜うしっかり降りそうな予報に変わっていた。
この先確実に雨、とみる方が適切っぽい。雨に降られただけで死にゃあしないとは思う人はいることだろう。私の知っているけっこうなベテランツーリストでもそうだ。しかし、低温、体温の下降、不安定な路面に見通しの悪さ、薄暗くなって現れる動物(特に熊)、落雷。平地でも嫌なのに、あの山深い山間で土砂降りに降られたらどうなるか。
でも今から仁宇布へ輪行するのに、名寄→美深の宗谷本線は頼れないし仁宇布までバスは無い。ならば解決策はただ一つ、タク輪である。とすぐに思ってしまう程、出発から4度のタクシー・バス・乗用車輪行を経て、私の心のハードルは下がっていたのであった。
何はともあれ下川でタクシーをなんとか捕まえねば。名寄辺りのタクシー営業所があるかもしれない、と思って向かったバスターミナルへの途中、そのものずばり「下川ハイヤー」の営業所を発見することができた。何と下川にはタクシー会社があるのだった!そして更に幸運だったことに、ちょうど空いていた介護タクシーの3号車に、自転車を解体せずに載せてもらうことができたのだった。
まあ、下川ではここ15年ずっとサンルダム工事中だったので、タクシー会社位あっても不思議ではない。とは言え、女将さんとの電話が終わってからここまで10分強。まるで仕込んでいたかのようにスムーズな展開だったのは、運命だったのかも知れない。
14:30、下川発。下川ではまだ空は明るかったものの、道道60の谷間に入るとすぐに雲が低くなった。ソバ畑の終端からダム新道へ登るのは毎度の通り。しかしダム新道を上っている途中、何と工事中だったサンルダムが完成体となって目の前に登場した。
いや、ずっと2018年完成予定ということは知っていた。2003年に初めて付け替え道路が工事中であることを旧道から発見して以来、ずっといつかは完成するんだろうなと思っていたサンルダム。そのサンルダムとの初対面の時が遂にやって来たのである。しかも、それが毎度の自転車ツーリングではなく、何と乗用車の中から眺めているのである。そして何年もいつかは感慨とともに完成したサンルダムを眺めるのだろうと思っていた割には、完成して水を湛えたサンルダムとダム外周道路は、まるでずっとそこにあったかのように力強く落ちついて静かな、普通に巨大な土木建造物なのであった。完成するまでの年月が生んだ感慨に浸るより、やはりこれから完成したサンルダムを眺める機会を大切にすべきなのかもしれない。
サンルダムの新道区間から幌内越峠まで雨は降らなかったものの、辺りはいつ日が暮れるのかというぐらいに薄暗く、1時間以内ぐらい前には雨がけっこう降っていたぐらいに路面の生乾き状態が続いた。
上幌内から美深松山峠への登りに入った途端に道の濡れ具合が増し、美深松山峠から仁宇布ではもう完全に黒々ぬらぬら路面だった。雨も、とりあえず水滴が空中に舞い続けていた。降っているのか止んでいるのかわからないぐらいの状態が続いたものの、終始いつ本格的に雨が再び降り降り始めても不思議ではなかった。そして実際に、松山湿原入口から先では小雨が降り始め、仁宇布の交差点が見え始める最後の白樺直線区間で本格的に雨が降り始めた。何となくここまで、車が通っている間は雨が降っていない区間は多かったものの、やはり一番山深い美深松山峠区間でこの状態。自転車で走っていたら、どんなに不安だったことか。
15:30、早々とファームイントント着。
到着段階で一旦弱まっていた仁宇布の雨は、その後風呂から上がると、牧草地の遠景や山が見えないぐらいの土砂降りに変わっていた。サンルダムから続いた空の暗さだと、むしろこの降り方が自然である。やはりタク輪にしてよかったと、心から思った。
などと、こんなに早い時間から牧草地を見渡す食堂でビールを楽しめている。かなり緩い旅だが、まあいいではないか。何も好き好んで過酷な環境に身を置く必要は無いのだし、何よりも今年も仁宇布に来れているからこそ、この時間が持てているのだ。
明日の天気予報は、中頓別町、中川町、幌延町、浜頓別町が12時まで曇りで15時以降雨、猿払村は終日曇り。こういう状況だと、できれば15時には猿払村に入っていたい。そして猿払村に15時に着いているために、知駒峠を始めとした内陸の奥に深入りする訳には行かない。
結局、明日も仁宇布→歌登→中頓別→浜鬼志別の最短経路だ。確か計画時には130kmぐらいだったはずだ。それなら、道道120での熊の出没を避けるためにも5時台に出発する必要は無い。全130kmなら、7時に出発しても安心だろう。
女将さんは、それでも朝食を5:30に作って下さるとのこと。こちらもお言葉に甘えることにした。旅の朝はとにかく早い方が何かと良いのだ。
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