下畑野川→川口→中黒岩→七鳥
(以上#3-1)
→蓑川
(以上#3-2)
→長崎→二箆
(以下#3-4)
→とろめき→日野浦
(以下#3-5)
→森→長者
72km
RIDE WITH GPS
峠部分からの下りは再び杉の森の中。
密ではあるが梢が高く、やや明るめの木立が続く。
しばらくきりもみ状態のように下ると、民家が断続した後森が開けた。二箆(ふたつの)の集落だ。
空は相変わらずどんよりだ。谷を挟んだ正面の山には、多分1000m辺りから上に濃厚な雲がまとわりついてる。南下するにつれ、雲が増えているようにも思う。
この先、更に南の石神山が標高1000m程度。場所はやや離れているし時間も経つから、現地では絶対行けなさそうじゃないかもしれない。でももう無理して石神峠に行くのはやめよう、と思った。
今のところはまず「うつぎょう」「よらきれ」方面訪問だ。
うつぎょう、よらきれとは、とろめきを初めて地形図で発見したとき、その近くでやはり目を引いた二つの地名である。平仮名の名前もさることながら、語感も相当に異彩を放ち、何か山中の竜宮城みたいな桃源郷がそこにあるのかもしれないと思わされた。まばらな地形図の家屋記号とは別に。
その後16年が経ち、地図でわからなければWebの航空写真で見てみる、という計画手法が可能になった。今回の計画時、うつぎょうとよらきれは、航空写真では集落らしいものは全くみられず、手前の集落からはかなりしんどそうな斜度で登る必要がありそうなことを確認できていた。というわけで手前まで行ってはみるが、その先は行ければ行こうという方針になっている。
置俵、そして谷底の長崎はかなり山奥の集落ながら、畦の線を描く石垣はびしっと揺るぎなく、農家の庭先には春の花が一杯だ。鯉幟も所々でみられる。人々の暮らし、営みが感じられる農家の生活空間を訪れている、という気分になる。
こういう道を走りに来たんだよな、と思わせてくれる道が、今回のコースには多い。長崎では石垣上の低い軒の農家、やはり石垣の狭く不整形な田んぼ、そして農家の軒先に積まれた薪等、さすがに谷間奥の一番山深い雰囲気が一杯だ。
集落の一番奥から、いよいようつぎょうへの登りが始まっていた。しかし、見上げる登り斜度はかなりやはり激しい。途中から斜度は更に激しくなるはずだし、その登りを20分ぐらい汗水垂らして登った森まっただ中で「ここがうつぎょうか。よし、いよいよ次はよらきれだ」などとつぶやくのも、かなり億劫であるように思えた。
あまり悩まず、ここは次のとろめきに向かうことにした。
記 2017/6/11