2017/5/2 四国Tour17#2
|
|
4時半前。外の空気はきりっと冷えていたものの、震える程ではない。それよりも東京に比べて明るくなるのが30分以上遅いことが、知ってはいても新鮮だ。そして、明るくなってきた早朝の空が澄み切っているのが有り難く感動的だ。
空が明るくなってきても、山に隠れて日差しはまだ谷間に射してこない。真っ青な明るい空と真っ青な山影を、さめうら湖が鏡のように映しているのがまたいい。この宿に泊まって良かったと、心から思った。
今日は町道瓶ヶ森線で四国山脈を越え、愛媛県の久万高原町へ向かう。1500mまではほぼ一発登り。その後も四国山地稜線の道、町道瓶ヶ森線で多少アップダウンはあるものの、基本的には1700mを越える最高地点まで登り基調が続く。今シーズン的に標高1700mまで登るのは初めてだ。更に、一眼レフとレンズ4本を持った状態でこれだけ高いところに登るのも過去初めてだ。ややびびっているので時間はたっぷり取っているし、この快晴なら天気は全く心配無い。何を見ても素晴らしいと書いてある程の展望にも期待できる。
朝食は6時半。おにぎりを貰って、6:50小松「筒井旅館」発。流石にもう日差しが谷間を照らしていて、朝日はまばゆく、辺りはすっかり明るい。
小松外れの橋で渡る、さめうら湖支流の谷間に思わず脚が停まる。奥の山肌は日なたで山肌の緑が明るく輝き、手前の日陰の山肌は相変わらず青く見える影の中だ。
新緑、水、青空。眩しい朝日ときりっと涼しい影が静かな県道17沿いに続き、上流側に進むにつれ、山の表情は山深さを増していった。今朝は初っぱなから既に脚がなかなか進まない。
時々対岸へ渡る橋が現れた。県道17は湖岸の森に続く一本道なので、分岐そのものが新鮮だし、赤く塗られた橋の鉄骨が谷間の緑に映え、まるで「渡ってくださいよ」と言わんばかりだ。
こちらも計画時には少しでも静かな道がいいと思ったので、実は対岸の県道285を今日のトラックデータとしてGPSに入れては来ている。しかし実際にはこちらの県道17で十分静かというか、静かすぎて行く手に猿がうじゃうじゃしている程。あちらはずっと森の中、静かというより全く人気が感じられなくてなんだか恐ろしい。さすがは日本最小人口の村だ。
気が付くと見下ろす貯水池が次第に狭くなり、谷底の川原に巨大な岩がごろごろし始めていた。県道17はそのまま山肌に張り付き、ダム湖から川に戻った吉野川を遡ってゆく。
対岸の岩場には、時々旧道らしき道の痕跡を見つけることができた。こちらとそんなに距離は離れていないが、岩越え谷越えの道に先人のご苦労が忍ばれる痕跡だった。
谷間に現れた小集落、上小南川を過ぎて、急峻な山肌、谷底の荒々しい岩と透明度の高い吉野川が、奥へ奥へと続いてゆく。県道17も、登りではあるが急に斜度を上げるわけでもなく、かといって谷底に降りることも無く、淡々と谷間を遡ってゆく。
谷間が深いので、既にかなり高いはずの日差しは道の向きと山の位置によって時々遮られ、まだ山影は青く見えた。日陰では空気はきりっと涼しく、木陰では木漏れ日の緑に染まるようで、日向では鋭い日差しで一気に気温が上がった。
この先標高1000m以上の区間へ臨むのには、極上の天気だ。
記 2017/5/26