高知空港→土佐山田→土佐山
(以上#1-1)
→川口→大仲間
(以上#1-2)
→郷の峰峠→小松
83km
RIDE WITH GPS
道は標高745mのピークを越え、明るい杉林の中を下り始めた。こちらの下り側で杉主体の森を明るく感じられるのは、斜面の落ち込み方がかなり急なので木々の外側がすぐ開けていて、谷がざっと300〜500m程度は落ち込んでいるのがちらちら見えるためだ。
深い谷底には、やや広めの道が日差しに照らされて大きくカーブしていた。こちらは山中の細道でも、谷底まで下ればああいう道が続いているのだろう。こちらは森の中なのである程度の安心感はあるものの、やはりできることなら早くこの稜線近くの区間から谷底に下ってしまいたい。
明るい杉の森をしばらく下り、15:50、郷の峰峠を通過。「国道439」という文字と↑が描かれた細道と交叉したとき、森の向こうに見下ろしていた深い谷間の広い道が何だったか、やっとわかった。あれは国道439だ。2001年、雨の与作を、私は郷の峰トンネルで通過したのだ。
標高615mの郷の峰峠から先は、再び760mまで登り返しとなる。100m以上登り返しなのは事前のルートラボ計画でわかっているものの、16時過ぎの登り返しが気持ち的にはやや厳しい。そして今日の宿泊地、大川村小松までは、下り基調とは言えまだまだ距離がある。
登り返しの序盤、峰石原の集落で一気に森が開けた。
周囲の斜面集落が手前の山腹にぐるっと続き、谷底ま全く見えないほど落ち込んでいるようだ。
谷間の向こう、振り返る方向には、さっきの郷の峰峠らしき稜線凹部が見える。谷間の反対側には、一面杉の森の山肌が、真っ正面に立ちはだかっていた。さすがに600m以上の展望は見応え十分だ。
峰石原から稜線を回り込み、北の斜面へ。
森の向こうに外側の山々をちらちら眺めつつ、標高750mを越えた道はおもむろに下り始めた。
登り同様に下りも斜度は比較的緩めで、下っていて怖くなる程の斜度ではない。
穏当な斜度ではあるが長い間下りは続き、いつの間にか降りてきた谷底には、渓流から渓谷に変わった川原が更に延々と続いた。「瀬戸川渓谷」という看板も所々にみられる。谷間の空気はいかにも山奥らしくきりっと涼しい。モミジを始め淡い新緑の落葉樹が多く、きっと紅葉が見事なのだろうと思う。
しかし、車でもここまで来るのはしんどいかもしれない。自転車では楽しい細道県道6は、車だと何かと気を遣うだろう。それに逆方向の本山からだって、結構な山間だ。
下っても下っても、瀬戸川渓谷は延々と続いた。GPSの道の形と地図で自分の位置はわかるので、さめうら湖までの距離も大体把握はできているのだが、それにしても山深い場所だ。
もうこの先さめうら湖まで下り基調に任せるだけと思っていると、期待に反して最大数10m程度の登り返しも現れた。
しかし、登り返しと共に川幅が谷底一杯に拡がって、やっと湖が登場。
そして七尾、細野とようやく空き家が多めの集落が断続しはじめた。
大川橋でさめうら湖を渡り、17:25、小松「筒井旅館」着。
小松は標高340m、さめうら湖岸に張り付く大変小さな集落だ。しかし村役場がある。大川村は日本一人口が少ない村であり、「筒井旅館」はその役場の隣に建っている。食堂も併設していて、東京で言えば帝国ホテルのポジションにあるような旅館だ。
商人宿っぽい部屋からは、目の前のダム湖と対岸に壁のように聳える山々、そして明るい夕方の空がよく見えた。部屋は少し暑いぐらいで、早速網戸にしてからお風呂で汗を流すことにした。
高知県西部では日中29℃まで気温が上がったとのこと。なるほど。暑かったわけだ。しかしここ小松では、夜から早朝は冷えるらしい。夕食には猪鍋も出た。
明日の天気予報は晴れだが、明後日以降は出発前5日までは晴れ続きだったのに、曇り後雨に悪化していた。まあ、明日が晴れならとりあえずは問題無い。明後日の話はまた明日考えればいい。
記 2017/5/21