北海道Tour17秋#13
2017/9/17 開陽台・虹別・計根別ポタ-1

開陽→開陽台 (以上#13-1)
(以下#13-2) →俣落→北進→高峰 (以上#13-2)
(以下#13-3) →養老牛→上標津→虹別 (以上#13-3)
(以下#13-4) →計根別→中虹別 (以上#13-4)
(以下#13-5) →養老牛→俣落 (以上#13-5)
(以下#13-6) →開陽台→開陽  100km  ルートラボ

ニューサイ写真 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8 A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 4:15で既に外は薄明るい。東京はまだ真っ暗なのに、さすが道東だ。昨夜町営温泉からの帰りに仕入れておいた、セイコーマートの豚丼をはじめとする朝食資材を、粛々と腹の中に入れてゆく。夏の日々が戻って来た気分が嬉しい。窓から外を眺めてみると、明るくなってきた空と、まだ影の中で薄暗い裏手の牧草地、そしてその向こうに防風林のシルエットが見えた。過ぎてしまった夏休みではなく、今開陽に来ていることが実感できる。そして空は澄み、雲っぽい霞みなど微塵も無い。天気予報通りの晴れだ。快晴と言っていい。朝の光を見ると、今まで「早めに出発せねば」という義務意識だけで動かしてきた身体が一気に軽くなるのが自分でよくわかる。
 今日は1日根釧台地で過ごすつもりだ。中標津〜計根別の裏道や未済経路を適当に往路は100kmコース周辺、帰りは202kmコースの手前まで、それっぽく未済経路主体で組んである。しかしこの天気なら、全体を下方修正して、その分朝と夕方2回開陽台に行ってもいいかもしれない。
 また、明日の天気予報は相変わらず午後から曇り、夕方から雨。飛行機の出発は14時過ぎなので、全く走れないことは無いとは思うが、空が曇り始めると、あまり楽しめないかもしれない。2〜3日前の計画段階とはいろいろと状況が変わって、なるべく今日1日に重点を置いて行動する必要に迫られている。特に開陽台については明日をあまりあてにせず、確実に今日のうちに目一杯楽しむ計画をするべきかもしれないような気がし始めていた。

 5:40、開陽「民宿地平線」発。

 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 まず、昨日立ち寄ったばかりの町道にまた寄ってみた。折角の晴れなので、立寄れるときには何度も訪問しておかねば。

 森や牧草地には、まだ薄暗さが残っている。しかし空は晴れ渡っていて、光が差すというのはこういう状態なのか、と思うほど明るい。そして日なたの部分は赤みを帯びた朝日に照らされている。それにしても覚悟していた以上に寒い。昨日早い段階で202kmコースを断念しておいてよかった。こういうところはやはり十勝の秋とはひと味違う。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成

 寒さで凍えていたはずが、開陽台取付の坂を一登りする間にやはり汗だくになった。西側の丘陵は背中は朝日に照らされ、谷は青く影に沈んでいた。早朝らしい眺めにかまけて、ついつい脚を停める。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成

 6:10、開陽台着。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 開陽台駐車場から東側を展望 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 少ない雲がたまたま日差しを隠し続けて、根釧台地は影の中に沈んでいたが、天気は文句無しの晴れと言っていい。昨日気温が上がったからか、根釧台地の地面近くに霞みが漂い、地平線へと続いている。昨日はくっきり見えた地平線も、国後島も、霞の中だ。しかし上空は見事に晴れ渡っている。日なたと影、靄を纏った牧草地と防風林が眼下に広がって彼方へ続いてゆく。拡がる大地というより、足下から彼方へ続く大地のボリュームが感じられた。地面と相対する空は、上へ遮る物無く続いている。いや、台地が空気を纏っているのが感じられ、更に空気の外側すら伺えるのだ。こんな気分になれるのは、やはり今朝が快晴だからだろう。夕方も良いが朝も良い。たったの3連休なのに、わざわざやってきた甲斐があった。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 開陽台展望台から南側を展望 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成

 1時間を過ぎても厭きない眺めだ。明らかに開陽台で時間を取りすぎである。何なら1日中ここで過ごすか。
 しかし、山裾に雲が現れたと思ったら、青空の中に次から次へと雲がやってきて去ってゆくようになった。意外に雲の動きは速く、日差しが消えたり現れたりし始めた。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成  PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成  PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成  PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 開陽台展望台から東側を展望 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 開陽台展望台から南側を展望 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 開陽台展望台から東側を展望 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 7時半を過ぎると、明らかに地表付近の靄が澄み始めた。太陽はもう文句無しにすっかり高く昇っていて、空気も朝ほど涼しくない。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成  PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成

 このまま雲が行き来して増えたり減ったりして、午後から夕方へと推移するだろうということが実感でき、とりあえず朝の開陽台は充分楽しめたという気になれた。また夕方開陽台へ帰ってくればいい。今は次へ脚を進めよう。


 7:50、開陽台発。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 開陽台駐車場入口 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 俣落に降りてくると、牧草地は早朝から朝に移行していた。風景が全体的にすっかり日なたに出ていて、日差しも上から差していて、風景全体の雰囲気が違う。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 町道北19に合流 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 中標津2泊3日で狙い定めた中日ど真ん中の時間帯が、始まっているのだった。

 俣落から北進へは、2008年に通った下手の道へ向かってみた。いつも通る道道150は、俣落から北進へ80mの登りがある。絶対量はともかく、根釧台地では随一の登りと言っていい。特に北進手前では、段丘を真正面から登る直登区間がある。地図で見ると標高差自体はそう大したことはなく、せいぜい30m。一直線に段丘を一気に昇るその眺めが、視覚的につらいのだ。

 道道150と北進で合流するこちらは、こちらは少しづつ開けた牧草地や防風林の中、視覚的に気付かないぐらいに合流点へ高度を上げてゆく。一括払いか分割払いか、ぐらいの差かもしれないものの、2008年の訪問時はこの道で空がどんどん晴れ始め、真っ青な空と勢いよくどんどん動いてゆく白い雲、そして牧草地の開けた眺め等、いい印象があった。にも拘わらず、今回再訪して、途中の風景は全く覚えていないことに気が付いた。風景が新鮮に感じられるのは、或いは道道150の使いすぎなのかもしれない。

 道が北西方向へ向かい始めると、脚がやや重くなってきた。北側の山裾まで開けた牧草地の道なので、実際には道が登っているようには見えない。自分の貧脚が悲しくなってくるので、「いやいやいやこれは実は登りなのだ」と努めて思う必要がある。貧脚の事実は無くならないので、単なる現実逃避だ。そういう葛藤とは別に、整った牧草地に北側の知床山地、なかなか眺めがいい。

 しかし山裾に近づくに連れ空に雲が増え始め、道道150合流点に近づくと、日差しが隠れ始めてきた。今日は全体的に雲の動きが速い。少なくとも1日中、開陽台で眺めたほどの晴れが続くわけではなさそうだ。

 道道150合流点はそのまま直進して北上。もう少し山裾の高峰まで寄り道してみた。開陽台に長居した時点で、今日はもうあまり先を急がず、その時点その時点で天気の良さそうな方向や楽しめそうな道へ向かう、という気になっていたのだ。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 北進から高峯へ #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 この道も以前1・2度だったか訪問したことがある。高峰を調子に乗って進むと途中でダートに変わるので、基本方針としてはダートまで踏み込まないことにしておく。まあ別に踏み込んでもいいのだが。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 高峯 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 高峯 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 ちょうど雲が固まって押し寄せてきていて空が雲に覆われ、一応時々日差しは出るぐらいまで。山裾に近づいたせいかもしれない。まあ天気の都合は仕方無い。


 道道150に戻ると、もう旭新養老牛だ。

 山裾へ続く牧草地と山の姿がバランス良く拡がる、道道150の中でも一番好きな風景が続く区間だ。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 旭新養老牛 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 空は相変わらず晴れたり曇ったり。知床山脈も隠れ気味ではあった。

 まあしかし、「これを見に中標津までやってきた」風景の一つを楽しめた気にはなれている。

 8:50、養老牛「ながかわ商店」で小休止。その間に再び晴れてきた。さっきの高峰でこれぐらい晴れてくれたら、とも思うものの、まあいい。まだ8時台。今日はこんな感じで晴れたり曇ったりで推移するのかもしれない。あまり一喜一憂せず、その場その場で事態を前向きに楽しんでしまえばいい、ぐらいの軽い心構えで進もう。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 養老牛 道道150ながかわ商店前 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 養老牛の交差点から道道885に名前が変わった山裾1本道を、引き続き少し南西に進んだ後、予め組んでおいたGPSトラックに従い、中虹別から南東へ。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 中虹別 西別岳登山口 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 辺りは開けた平らな地形ではあるものの、山裾から全体的に南東方面へ下り傾斜になっていて、こちらもするする調子がいい。

 勢いよく下るとともに、みるみるうちに空が晴れ始めた。やはり山裾から離れると晴れる傾向にあるのかもしれない。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 虹別 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 安定した地形で牧草地は広々と伸びやかだ。空と台地がまさにここで接しているという感覚が存分に感じられた。そして、明るい牧草地の北側には、知床山脈がちゃんと西から左へずずずいっと並んでいるのがよく見えた。

 10:50、行く手が唐突に小さな町っぽくなってきた。というより、目指していた虹別の市街の外れに着いたのだった。
 この町にセイコーマートは無い。確か711はあるものの、市街地のもう少し西側だったはず。少なくともGPS画面の範囲外なので、今この場所から数百mぐらいの距離はあるはずだ。そちらに向かうとか何とか考える前に自販機を発見できたので、ここは自販機立ち寄りに留めておこう。最低限補給食は持っているし、この先計根別でHotchef付きセイコーマートに立ち寄ることができるだろう。


 改めて地形図を眺め直し、今後の行程イメージを確認しておく。さっき道道150の旭新養老牛で曇り気味だったので、今日の帰りは予定していた南側の既済経路ではなく、さっき通った道道150をもう一度通ってみたくなっていたのだった。夕方は晴れてくれるかもしれないのだ。一番通りたい旭新養老牛を通るような前提で、しかも開陽台には15〜16時頃に着き、お昼は計根別のセイコーマートで食べる必要があるとすると、恐らく計根別の先のどこかで折り返し、養老牛付近かその辺まで北上してあとは道道885〜150、という感じになるのだろう。
 虹別から計根別は、最短だと道道13で1本だ。しかし道道13で計根別に向かっても車がやや多そうだ。多少回り道になっても、楽しそうな道を選びたい。というわけで、道道13を少し経由してからおもむろに北側の町道へ。

 気が付くと北側の空から雲が去りつつあった。再び天気が晴れに向かいつつある。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成

 町道を一直線に上標津へ。

 山裾より下手側のためか地形は安定している。山に近い道道150や875でみられるような小規模のアップダウンはほぼ影を潜め、ひたすらだだっ広く平らな牧草地が拡がっている。牧草地と、防風林がと道が牧草地をグリッド状に囲んでいる様子、そして山裾から知床山脈へと登ってゆく全体像を、程良い距離と空間感覚とともに眺めることができる。

 もう少し南西の西春別は根釧台地202kmコースの主要パートでもあるので、この辺りの地形の形自体は知っているつもりだった。しかし実際に訪れて眺めると、台地を囲む山々の表情が、西春別で眺めるものとは違う。そんな場所が、広大な根釧台地にはまだ他にもあるのだろう。

 町道は次第に細くなっていた。地形図での記号が黒い単線に替わると、実際の道もダートに変わった。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 上虹別 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 道の状態は土地利用状況と一致しているのか、その辺りから地形には僅かな起伏が現れ始め、牧草地であっても茂みっぽくなった。

 道端〜森の際まで、高い茂みがやや放置され気味で、単に道が未舗装というだけじゃなくて全体的にワイルドだ。牧草地には丹頂まで登場した。場合によっては熊も出るのかもしれない。

 町道は最後は小さな河岸段丘の底へ下り、既知の計根別から養老牛方面へ向かう道道505に合流。

 南西へ向きを変えてケネカ川の谷底を計根別へ。

 11:40、計根別セイコーマートきうち着。今日のコース上に、昼食できそうなめぼしい場所はここ以外には無い。時刻的にもお昼ちょっと前。今日は5時台から行動しているので、お昼を食べるには悪くない時間とも言える。ただ、昨夜の見込みでは計根別は距離的に全体の1/3強ぐらいの場所のはず。そういう意味ではやや延着気味かもしれない。というより、朝の開陽台長居を始め、途中で写真を撮るためにかなり頻繁に立ち止まっていることが響いているのだ。
 豚丼、カット野菜、ヨーグルトにみかんジュースなど私的セイコーマートフルセット含みでいろいろ買い込み、のんびり昼食しながら考えた。今日は明らかにこのペースが楽しい。もしこのまま午後も良い天気で推移するなら、そういう余裕を見込むべきだろう。また、あまり冷え込んだり薄暗くなってから開陽台に長居する、などということは避けたい。昨日の16時の気温を思い出すと、15時台、つまりこの後4時間以内に開陽台に到着した方がいい。
 そして明日の天気予報が、午後から曇りではなく10時以降ぐらいから曇りということに変わってしまっている。明らかに前倒しで天気が悪化に向かっているのだ。そもそもこういう時、山裾のこの辺は大体朝から曇りであることが多い。そういうことなら、むしろ前向きに、今日1日で行ける範囲を楽しむという方針で下方修正してしまおう。今日はポタなのだから。
 という観点でもう一度地形図を眺めなおしてみた。まず、今日の往路で使った道道150を、帰路にもう1度通りたい。養老牛から開陽台まで、写真を撮り撮り1時間強。養老牛14時過ぎなら、ここからもう少しもう少し南の大成で13時頃折り返すぐらいがいい線だ。開陽台へも、今日晴れているうちにもう一度訪問する必要がある。養老牛から途中時間の余裕をみて、1時間強。何だか当初のイメージから大分スケールが小さいコースになってしまったな。もう少し自分に脚があればとも思うが、これが秋のツーリングというものかもしれないとも思う。


 12:25、計根別発。道幅も路面も道端もやや鄙びた町道を、計根別南側の大成へ。頃合いをみて道道957で北西へ向きを変える。今日のコースで一番南側の折り返し区間では、脚に重みが感じられた。向かい風気味の他に、僅かに登っているのかもしれない。確かに、GPSの高度計では1グリッドで10mも登っていた。

 空の中、雲はどちらかと言えばやや低めに比較的早く動きながら、次第に空から消えつつあった。日差しは未だ高い位置から照りつけているものの、光の中に早くも、明らかに赤い色が混じり始めていた。8月の13時台には、まだこういう色は感じられない。やはり秋ならではの光だ。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 大成 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 大成 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 根釧台地も道道13より南に来ると、知床山脈の姿はやや遠ざかる印象がある。逆に牧草地はより広々と、山裾まで見通しが良い。光の色が違うことで、風景、特に緑系の色はより鮮やかに、影は僅かに青みがかり始めていた。地形はより平らなのに、風景全体はより鮮やかに変わり始めていた。

 大成という地名は北海道には普通にみられる地名だ。しかし、根釧台地では始めて訪れたような気がする。思えば道道13と国道243に挟まれたこのエリア自体、過去の訪問では南北方向にしか通っていない。さっきの上標津もそうだ。そして訪問時がことごとく濃霧だったせいかその印象は、とにかく延々と続く平地の牧草地と防風林、というだけだ。道道13と国道243に挟まれた、町は概略南北方向に計根別と中西別だけの計根別周辺は、計画して訪れるようなネタが見付けにくい。地元関係者じゃない私にとって、今日みたいなアドリブポタみたいな訪問じゃなければ、訪れにくい場所なのかもしれない。

 あまり偏ること無く、根釧台地もどこも訪れないといけない。とりあえず今日は良い天気で良かった。

 段丘裾にぶつかったところで、段丘上にはもう登らずに裾を北東へ向かう町道へ。

 道道13を横断し、上標津の牧草地の中、正面に知床山脈を眺めながら更に北東の山裾、養老牛方面へと向かう。

 朝に通った道道885が通っている山裾までは、一望に開けた牧草地。その開けた空間が、午後の日差しに明るく照らされている。

 一方で空の雲は依然としてかなり速い。全体としては晴れたり雲が増えたりしながら、雲が絶えずにやや低めの位置で勢いよく、次から次へとやってきては去ってゆく。実際に向かい風もやや強い。今は晴れ申し分無い晴れでも、この後は天気が不安定に向かうのだろうとも思わせる。

 上標津では、午前中通った町道ダートを再びクランク経由。比較的通りやすく、それでいてあまり過去に馴染みがない場所を通ろうとしたら、こういう道の選択になってしまった。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 上虹別 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 中虹別で朝通った道道885に合流し、養老牛からはそのまま道道150に変わった道を北東へ。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 旭新養老牛 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 養老牛 道道150ながかわ商店前 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 雲は皆無という程ではないものの、午後に晴れの旭新養老牛を通れたことは、近年余り記憶が無い。

 北進から俣落へは道道150を外れて、朝と同じ1本南西側の道へ。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 俣落 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 俣落 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 段丘を一気に下り、その後俣落まで風景にやや単調な印象がある道道150に比べ、こちらの道では牧場、牧草地、防風林の眺めが変化に富んでいる。いつも80mを一気に下ってしまうだけの北進から俣落で、今日はしょっちゅう立ち止まってなかなか進まない。

 日差しが傾いて光の赤みが増して緑は鮮やかに、牧草地や防風林では陰影が目立ち始めていた。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 俣落 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 たまたま晴れの周期に入っていたようで、雲が完全に去った空が真っ青だ。この状態で中標津の整った牧草地と、遠景に知床山脈が続くのである。景色が悪いはずが無い。

 景色が変化に富むのは、あるいは道の向きに変化があるからなのかもしれない。帰路に余裕を見込んでいて良かった。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 俣落 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 俣落 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 明日はもう雨なのだろう。結局1日ちょっと開陽周辺をポタしただけだったが、夏の鬱憤が完全に晴れた。今度こそ、もう今年は北海道に思い残すことは無い。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成  PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 町道北19 開陽台入口 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 開陽台への登り #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 15:40、開陽台着。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成

 展望台から根釧台地を見下ろすと、やはり朝より地表付近の空気が澄んでいる。遠景は昨日よりは霞んでいて、オホーツク海も国後島もどこだかわからない。しかしほんのり赤みがかって影の長い根釧台地は昨日と同じだ。やはり夏では見たことが無い表情である。開陽台には天気の良い日は毎日訪れる必要がある、と実感した。

 明日は朝から曇りか雨。日中あまりたいしたことはできないだろうし、もし朝からかなりどんよりの曇りなら、民宿地平線でうだうだするだけでもいいのかもしれない。ならばこれが今回、いや、今年最後の開陽台になるのだ。

 PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成  PENTAX K-1 HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR パノラマ合成
北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 開陽台展望台から南側を展望 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 いつの間にか気温が下がっていて、冷たい風で身体がどんどん冷える。駐車場でフリースを着込んでおいてよかった。お昼頃には厳しい日差しで汗だくになっていたのに。

 根釧台地全体が目に見えて薄暗くなり、寒さに我慢できなくなったところで、最後のミッション「ラ・レトリ」へ。開陽台ドッグを1つ瞬殺。あまりにあっという間で物足りなかったのでもう一つ。アドリブ気味のポタとは言え一応1日サイクリングしたので、たとえ夕食前でもこんなのは間食のうちに入らない。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 開陽台駐車場出発 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
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北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 町道北19合流手前 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 最後にもう一度、夕方のダート町道に立ち寄っておく。

北海道Tour17#13 開陽台・虹別・計根別ポタ 町道ダートで私的定点撮影 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 秋の夕方ともなると、何だか全体的に光が弱くて、影の中に入ってしまった風景全体が青い色に沈み始めていた。いい1日だった。

 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 17:10、開陽「民宿地平線」着。

 荷物を部屋に運んだら、食堂に戻ってTVニュースをチェック。台風18号は既に16時頃宿毛に上陸していた。もう四国なのか。想像以上に進行が早まっている。この後は時速60〜70kmで日本海側へ進み、更に速度を上げて北海道へ向かうらしい。表定時速60〜70kmと言えば、ちょっとした寝台列車より速いぐらいだ。何しろ明日午後には北海道に上陸するかもしれないという勢いだ。しかし、進路が日本海側なのであれば、ここ根釧台地に台風がやって来る可能性も、羽田空港周辺を台風が通る可能性もかなり低い。明日は何とか逃げ切って、問題無く帰ることはできるだろう。
 その時には同泊の方が宿に到着し、下階に降りてきた。京都の方で、明後日釧路空港発で帰らなければならないらしい。ニュースの様子だと、むしろ明後日の飛行機の方が心配であるように思えた。

 今夜のお客さんは3人だ。3人目のお客さんが到着するのを待ち、18時頃に町営温泉へ。
 中標津の町まで車で10分強、車内では飛行機の話題になった。京都の方は明後日の釧路便が動かないんじゃないのかと、とても心配そうだった。中標津空港から関西方面への直通便は無いので、釧路空港から帰るとのことだった。私はと言えば、こんなに東にある中標津空港は今回の台風18号とはあまり関係無さそうな気もするし、中標津羽田便は14:35中標津発だから台風18号からは逃げ切れる、と比較的安心していた。
 3人目のお客さんはマイペース。飛行機が不可抗力で動かないんだから仕方無いでしょ、で通せばいいじゃない、と言っていた。しかし、それは休む側の話であり、社内的には「こんな台風の時に2泊ぐらいであんなに遠くに行って、あいつはリスク管理ができない」という人が必ずいることは、私にはよく理解できる。今回の台風が1日ずれたら、私もそうなっているかもしれない。

 楽しかった今日1日の〆は、風呂上がりの生。いい気分で酔っ払って、一応明日の朝食もセイコーマートで仕入れ、一応明日の準備も万端。まあでも、明日はそんなに期待しないでおこう、という気にもなってはいた。
 19:00、町営温泉発。

 宿の夕食中も、TVの台風報道に釘付けの我々だった。というより、NHKは台風非常態勢で台風18号の話しかやってないのだった。
 内容はあまり思わしくない。台風は未だ高知南部内陸にいたが、その後の速度が更に上がり、北海道日本海側〜道南辺りの通過は明日午前中に早まっていた。明日は道内のかなりの便が欠航になるらしい。かなりの便か。千歳空港や、十勝空港辺りも全滅なんだろうな。道東も一番東の中標津で良かった。
 しかし天気予報では、北海道の東の果てここ中標津も明日は朝から雨と強い風。お昼前から「暴風雨」という天気予報サイトではあまり見たことが無い大まかな表現である。雨具を着込んで中標津空港に向かわなければならない。いや、もう朝早めに空港に向かう方がいいかもしれない。そうしよう。最後の最後で厄介そうだな。
 等と思いながら大河ドラマのさわりをちょっと眺め、20時過ぎに就寝。したつもりだった。

記 2018/2/19

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Last Update 2018/2/20
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