2015/5/3 紀伊半島Tour15#2
清水→安井-1

清水→(国道371)向山口→(県道37)玉伝
→(県道36他)生馬口
(以上#2-1)
(以下#2-2) →(県道220他)大坊→(県道35他)富家
→(県道218)見行→(林道)鍵原→(県道29・30)下津川
(以上#2-2)
(以下#2-3) →(国道425)小家谷口 (以上#2-3)
(以下#2-4) →(国道424他)小森→(県道29・林道)龍神温泉 (以上#2-4)
(以下#2-5) →(国道371・425他)安井
136km ルートラボ>http://yahoo.jp/DnNt9S

ニューサイ写真 RICOH GR GR18.3mm1:2.8 A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 さすが関西、夕方遅くまで明るい分、朝は時計を見直すほど夜明けが遅い。薄暗くてもさすがに起きた5時、外はしとしと音がするぐらいの雨だった。

 6時半、貸しボート受け付け開始にうじゃうじゃ集まってきた釣り客を横目に出発準備するのは前回と同じ。6:40、清水「おおとう山遊館」発。

 雨具を着込んで、まずは昨日の逆走で向山口へ。

 途中の百間山渓谷への分岐手前で、合川貯水池の端に小さな橋が架かっていて、切り立った岩山と張り付く木々、そして静かに水が満ちる湖面がなかなか山深い雰囲気だ。あいにくの天気で写真に写しにくいものの、しばし脚を停める。

 向山口からも引き続き昨日の逆走継続で、県道37へ。

 日置川沿いでは、時々本格的な雨に見舞われた。

 雨の新緑は、若葉が雨で喜んでいるような不思議な明るさの黄緑色に見える。そんな時、雨だからこそこの緑の中に身を置けるのだ、と思えて、ちょっと得したような気分になれることも多い。

 ただ、そうであっても、そしていくら雨具が進歩しても、やはり雨具無しの方が気持ちがいいのは言うまでもない。それに晴れの日は晴れの日で、緑はやはり輝くように喜んでいるように見えるのだ。

 7:30、関場で昨日の逆走が終了。ようやくここから走り始めるのだ、という気分になる。

 切り立った山肌に張り付く県道37は、地形図では日置川際にずっと続いているように見える。しかし昨日通った区間から先へ進むと、川が折り返すように急角度で曲がる場所を越えるために、尾根を乗り越えてゆく。何だか無駄に登って下るようで気持ち的にはややしんどい。

 7:45、玉伝着。山中で突如県道が分岐する。国道細道やら山中の分岐や古来の道が林道だったり、こういうのも紀伊半島や四国の道の、何だか不思議で面白い光景だ。

 県道36は日置川沿いから離れて、軽いトンネル越えで田辺側に抜ける。谷間から山間に入り込んだ途端、また雨が強くなってきた。山裾に雲がまとわりついているのだろう。ややしつこそうな雨に、雨具のズボンをはき直すのにもいちいち時間を掛けてしまう。

 それなのに、卒塔婆隧道を抜けると向こう側ではきれいに雨が上がっていた。

 のみならず下りきる途中で道が乾き始め、雲が高くなり、青空と日差しが登場。さすがは和歌山南部の中心地、天気が安定しているのだ。

 8:30、生馬口着。さっきの卒塔婆隧道入口側の標高190mから標高30mまで下ってしまったことになる。


 周囲は谷間から冨田川河岸へ出た段階でもうすっかり開けた田辺郊外の雰囲気に変わっている。これからしばらく紀伊田辺の周囲丘陵部時計回りに北上し、紀伊半島横断道の国道425が御坊郊外から山間と言える部分へ出た辺りを目指す。未済経路の国道425のいいとこ取りを目論んでいるのだ。

 まずは県道220で大坊へ。

 冨田川河岸の裏道はのんびりと静かな道だったが、正田で乗り換えた県道35は交通量が多く、軽い丘越え一発でうんざりしてしまう。

 9:00、富家で再び細道へ。途中細道に入ったところで、自販機で一息つく。ここでこの先の天気予報を確認すると、午後の天気がやや好転し、何だか15時ぐらいが曇りに変わっている。その分18時以降〜明日は雨となり、明日はどうやら輪行を覚悟せざるを得ない。

 とりあえず今日午後の先行きに関係するのは、天気予報で対象となっている地域中心部の天気ではなく、より降水確率が高くなると思われる山間の天気だ。予報は曇りでも、山間は雨かもしれない。実態は予報より好転して、山間でも曇りかもしれない。幸い今日は一度宿のある場所に近づいてから、山間を大回りして宿に向かうコースだ。現地の様子を見て判断すればいい。

 辺り一面は梅畑ばかり。集落の農家にも倉庫や加工所、販売所などが目立ち、梅畑と農家が細道にびっしり続き、時々軽トラが通り過ぎてゆく。活気ある農村だ。

 この辺りは2005年に訪れているので、大体の雰囲気は知っていた。そしてこの先の登りがかなり急なことも知っていた。

 記憶通りに、畑中から登りが始まり、上三栖の梅畑の中を一気に高度を上げ、東原ではここまでの登りを振り返って見下ろすほどに。谷間一杯に拡がって、隣の谷間に続いてゆく梅畑が見事だ。

 県道218に分岐し、正面の切り立った山の狭間へ。まだ登るのかと思って地図を見直すと、やはりその山の谷部分に進むことになっている。まあ集落の先が登りというのは当たり前の話ではあるし、正面が山である以上登りというのは当たり前の話だ。ちょっと現実逃避してみたかっただけだ。

 道の両側は、垂直に切り立った岩壁だ。露出した岩がが迫ってくるような狭い谷底の、細い川岸に大きな岩がごろごろ転がっている。下から見上げてこの道はある程度の山中だと思っていたが、これほど切り立った岩山とは。田辺北側のこの辺りは、切り立った山々が続いているのかもしれない。一つ西の谷間の県道29には「奇絶峡」という名前も付いている。

 その狭い岩山の間を抜けると、目の前に伏兎野のこぢんまりした農村が拡がった。

 もうすっかり紀伊半島の山間の風景だ。2006年には前述の奇岩峡を、今夜の宿からバスで通っている。その時に田辺手前までいつまでも続く農村と、その後の渓谷一目散下りに驚いたものだった。一つ隣の谷のこの道にも、その風景を思い出させる雰囲気がある。

 この道は山間で行き止まりになる。こちらは集落上端の見行から細道で尾根を越え、秋津川の谷間の鍵原へ向かう必要がある。どの道かと思っていると、目を疑う細道が前方の山を登っているのが分岐直前になって見えた。やっぱりこういうことになるのである。

 最高地点は284mだが、10%を軽く越える押そうかと思うような急坂で、汗だくになってしまった。さすが南国の紀伊半島。5月でも暑いのだ。

 既に田辺北側の西向き区間に入っていた。秋津川、上芳養、西本荘と、3つの谷間に農村が続く。それぞれの谷の間には標高298mの木道峠ともう一つ100m足らずの細道峠、一応二つの峠がある。

 基本的に山間部分では道は紀伊半島南部標準(?)の4m幅。

 一方で農村部では道がそこそこ拡幅済みでもある。谷間や丘陵の斜面に拡がった梅畑と農村は、

 何か目立って大規模施設があるわけではなく人口密度は普通の農村並み。しかし梅の倉庫、加工場、出荷場など梅関係の施設が目立ち、そういえば軽トラも道ばたに停まっているのが目立つ。何かと農村に活気があるように思われる。

 以前からこの辺りの南高梅が大変美味しいことはよく知っている。サイクリングに行った先がどこもかしこも限界集落ばかり、毎年毎年廃村が増えているという一方、どこにも負けない名産があって商売になっていれば、農業はこんなにも元気なのだ、ということを感じさせられる農村なのだ。

 特に上芳養は、通販で時々買っている美味しい南高梅の産地だ。ツーリングマップルにもその会社が載っているので、多分有名なのだろう。

 実際に通って眺めて、こういう所で作っているのだ、と思った。旅の思い出と共に好物が増えていくのは、大変嬉しく楽しいことだ。

 小さい峠を一つ越えて南部川の谷間へ下ると、標高はもう20m台。ここまでの農村部に比べて谷間が広く、海岸の南部へ続くやや広めの平野部であることを感じさせる。田辺外周部の大回りがいよいよ終了だ。

 番号は同じながら北へ向きを変える県道30に乗ったまま、国道425を目指す。

 熊瀬川沿いの谷間は急に狭くなるものの、しばらく谷の間に梅畑と農村が絶えることなく続く。

 細道の風景はのんびり静かで天気は曇り時々晴れ程度。まあ平和なサイクリングだが、谷底で風景が開けず、そろそろ行程に変化が欲しいような気がする。

 小さな峠はたったの標高175mだが、この辺りの例に漏れず直前で急に登り始めるタイプである。そろそろお昼が近く、気温が上がっていてだらだら汗が出る。

 隣の狭い谷間にも畑と農家が続く。相変わらずの谷底の風景にそろそろじれったさを感じ始めていた。

 狭い谷間に屈曲する道が続き、地図で等高線と道のボリュームが読みにくいのと、いい加減に今日の大きな目的、国道425に早く合流したいのだ。

 更にもうひとつ小さい丘を越えると、ようやく下津川、国道425が通る切目川の谷間である。

 11:50、下津川着。
 いよいよ国道425に合流する下津川に、ぎりぎりお昼前に着けた。行程的に上々であるというだけではない。この後訪問しておきたい県道29が、朝はお天気含みで絶望的だったのが、雨さえ降らなければ時間的には何の問題も無いというところまで押し返したということである。つまり、分岐の小家谷でのお天気で判断すればいいだけであり、この時間になって俄然現実味を増してきたのだ。


 最高地点で標高★700m台とボリュームは比較的お手頃の県道29だが、昨日の将軍川林道と同じく、かなり訪れにくい場所にあり、通ろうと思ってコースを組まないとなかなか訪れる機会が持てない。そう思ってコースを組んで問題無く行けそうになってきた、という現状は大変有り難い状況である。
 まずは取り急ぎ集落の酒屋前自販機でコーヒーだけ飲み、国道425の遡上を開始する。

 紀伊半島を御坊から尾鷲まで横断する国道425は、一般的には日本3大酷道として知られている。いや、知られていないかもしれない。酷道としての表情は、龍神から東側の区間で顕著である。牛廻越に白谷トンネル越え、池原貯水池沿いと、元林道の細道が人里離れた山中や、集落でもやはりかなりの山奥に、海岸沿いの尾鷲までくねくね延々と続くのだ。

 一方、これから私が向かおうとする西側は、地形図やツーリングマップルを見ると、山間でも川沿いの山里というか、どちらかというと里を辿ってゆくような印象を受ける。拡幅済みの区間も多いようだ。しかも西海岸側の御坊から少し郊外っぽい区間もある。山中から市街地の外れに急降下する尾鷲側には、こういう区間は全くみられない。

 そして龍神から東側区間は、過去に分割で訪問したことがあるが、西側は今まで訪れたことが無かった。雨でほぼ絶望的な明日の行程は、国道425東側を再訪する予定だったし、今日これから向かう国道425は、今回のメインテーマのひとつでもあったのだ。

 下津川から脇ノ谷、松原と、幅広の道が静かな山間をばんばん通過してゆく。事前にルートラボの空撮モードでわかってはいたことだが、何だか酷道らしくない。しかし、これはこれで紀伊半島の拡幅済みの道らしくもある。

 小入から細道が断続し始めた。やっと国道425の面目躍如である。いや、道本来の使命としては拡幅済みこそが本来のあり方だというのはわかっちゃあいる。

 空撮で何だか大々的に工事しているように見えた田ノ垣内では、なんとその工事場所にダムが登場。なるほど、ダム工事だったのだ。そのダムの脇を、国道425の新道が、トンネルと橋で通過してゆく。

 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 せっかく細道が通っているはずの主家平、高串を、新道に乗ったままショートカットしてしまった。

 しかし谷間の1本道が延々と続いていて、いいかげんそろそろしんどいような面倒臭さを感じ始めてもいた。上洞からはつい新道へすすみ、休場の集落はショートカットしてしまった。

 最後は川又から小森へ、集落を縫うような細道が復活すると共に本格的な登り区間が始まった。

 下津川からここまで、時々雨はぱらついたものの、曇りのままで推移してきている。川又からは、空に拡がった雲の色が明るく、時々青空すら現れ始めていた。今のところ、夕方まで雨は降らないだろうと思われた。

 標高410mぐらいで小さいトンネルを抜けると、いよいよこの先の県道29へ進むかどうかの悩みどころ、小家谷へ下るだけだ。

 ここまでの国道425としては、民家が断続しながら細々と集落が続いていたものの拡幅済み区間が多く、日本3大酷道たる国道425らしさを期待するとやや拍子抜けする、という結論に達した。

 13:45、小家谷口着。前述の通り、今日最大の山奥区間となる県道29への分岐であるここに、一応目安として立てたスケジュールの幅として、早い方の時刻だった14時の前に着けたことになる。
 まずは分岐の万屋で一休みだ。人気の無い店には、あまり期待していなかったパンが売っていた。ここは何が無くとも食べておくべきだ。大声で「ごめん下さーい」と店番のおじさんを呼び出し、パンを仕入れて道端でむしゃむしゃ食べながら、空を見上げて少し考えた。さっきから空模様は、どちらかと言えば好ましい方向へ向かいつつ推移している。そして今日の宿は龍神村。いざとなったら目の前の道を逆に向かえば、10kmぐらいで宿に着くことができる。県道29へ向かってみて、もし天気が問題ありそうなら、園路展で引き返せばいいだけだ。
 しかも天気がこのまま推移するとすると、明日はもう1日雨だ。つまり、今日なるべく走っておく方がいい。つまり、この時間にここにいるという段階で、あまりこの後の行程に心配は無い。何となく考えてみようと思ったが、あまり考えるまでも無いのだった。少し休みたかっただけかもしれない。


 13:55、小家谷口発。少しだけ国道425拡幅済み区間の対岸の道を経由し、小森へ。

 あちらは切り立った岸辺に道が続くだけ、こちらは川岸集落に続く道。こちらの方が本来の道っぽい、という大義名分もある。まあそんなことは関係無く、落ち着いた細道が続くのが嬉しい。

 小森からはいよいよ県道29がスタート。集落の外れを過ぎると、かなり細い道が両側を切り立った岩場に挟まれた狭い谷底に続く。

 覆い被さるような森の中であるのみならず、路面には木の枝、微少落石から時々軽い崩落まで現れた。かなり荒れた表情であり、少し心配になる。

 しかし一方、路面には真新しいのから古いのまで軽自動車らしき跡を見つけることができた。大丈夫、通り抜けられる道なのだ。

 高野手前で急に谷間が開けた こういうのはいかにも隠し里っぽい

 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 集落外れで対岸へ細い新道が分岐。こちらにもあちらにも、狭い谷間の森の道がしばらく続く。

 こちらにはしばらく小集落が細道沿いに断続する。

 集落の間は深い森の中。木漏れ日の中、延々と渓谷が続く。こんなに奥まで細道と集落が続くのが不思議な気分になってくる。

 こちらと違って集落が無く、ずっと森の中を並行していた対岸の林道は、上小藪川ようやくこちらに渡ってきて再合流。その辺りで断続していた集落も終了した。集落区間に道が2系統続くのは珍しい。狭く険しい谷間で道を拡幅できないとかどうせ林業で道が必要だからとか、何かそんな理由があるのかもしれない。

 そして少し先で県道29としての県道区間も終了。路側帯の表示線がその部分で途絶えたところで、それとわかっていないと目に付かないぐらいの林道標識が道端に登場。そのまま林道区間に移行する。

 道幅自体はあまり変わらないものの、道の隅や路面には細落石が目立ち始める。

 林道だと思っていると、路肩も何となくそのまま崩れそうな気がするし、道の縁をアスファルトで盛り上げただけでその外側がすかっと落ち込んでいる箇所もあり、何となく一人で緊張感が高まりつつあった。

 空は山間に入って一旦暗くなっていた。雲も地表の高度が上がっているからか相対的に低くなっているようだった。しかし、集落が終わってから再び空の中が明るくなり始めてもいた。これなら最後まで行ってしまえそうだ。

 15:25、不老の水着。水場というだけで大変有り難いのに、水場にしちゃあ立派な祠まで建っている。ここで標高★400m台、最後の峠部分では標高★700m。地図で眺める分にはとても★200mも登ると思えないので、きっと10%以上が続くに違いない。美味しい水を飲み、ちょっとだけ不老効果を期待しながら、最後のおにぎりをいただいて少し休んでおく。

 水場の先には、予想通り、いや、予想以上のもの凄い坂が現れた。登っていてフロントが浮くので、15%以上はあると思われる。

 急に荒れ始め、路面の落石や砂利が急に増え始めた。山肌に張り付いてぐいんぐいんに登ってゆくのもあり、道の表情が俄然荒々しいものに替わった。僅かだがダートも登場、ダートでは早々に押しに入る。

 RICOH GRU GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 事前のルートラボ検討では、標高差★mぐらいの区間が目に見えて斜度が急になっていた。一応覚悟はしていたし、何しろ林道なので当たり前と言えば当たり前の範囲内かもしれない。しかし、それにしても無茶苦茶な坂だ。

 斜度が厳しいだけあって面白いぐらいにすぐに高度が上がり、今登ってきた道をもうかなり下に見下ろすことができた。なるほど、いい登りだ。

 稜線部に辿り着くと、ラスト40mは普通の登りに。助かった。いくら林道とは言え、もう少し平均的に造ってほしいものだという気もするが、道には道毎の歴史や成り立ち、使用頻度というものもあるのだ。好き好んで訪れる道に文句を言うものではないかもしれない。

 16:00、峠部分着。標高716m。あとは無事に下ってしまえば、県道29の訪問がつつがなく終わるということになる。空の雲はやや厚く、辺りは多少薄暗くなり始めていた。早めに下ってしまおう。

 汗だくのまま下り始めると、今までの登りが凄かったのと同じく、もの凄い下り斜度だ。路面には細かい落石や砂利も多く、道端にガードレールが殆ど無いので、転倒などして放り出されたら恐ろしいことになるかもしれない。

 注意して慎重に下っているが、やはり登りと同じく面白いほど勢いよく高度が下がってゆく。

 下の方から通過してゆくバイクのエンジン音が聞こえ始め、下側の杉木立の向こうに道路が見えた。最後のひと下りなのだった。

 16:20、龍神温泉の外れで国道425に合流。


 標高430mの谷底に降りてきたのに、空気中に水滴が感じられ始めていた。薄暗さがさっきの下り途中より増していて、気温も下がっている。雨雲の下に入ってしまったようだ。

 今日の宿まではもうこのまま日高川沿いに国道425を100m程下ればいいだけだ。そして天気から言って、もう速やかに宿を目指すべきだろう。未拡幅の旧道区間をうだうだする余裕は無さそうだ。

 この道は2006年に牛廻越から降りてきて、紀伊田辺を目指して一目散に下った道である。宿のある龍神村の中央部までは10km。下り基調ではあるものの、広めの川幅と両岸に迫る山肌が形成するやや閉鎖的な空間に道は延々と続き、ともすれば行程の長さが感じられる。

 前回は、時々途中に現れる軽い登り返しがつらかった記憶があった。そう思って今再び通ってみると、それほどどうということは無い程度のものだ。当時は暮れなずむ空模様に田辺までの長丁場で気持ちが焦っていたのだと思う。

 思い返しながら辿る道につらさは無いものの、ゆったりした雰囲気の景色に広い谷間が続き、やはり10kmの長さが宿到着を目前にしてじれったい。

 そして気持ちが落ち着かないと、ちょっとした交通量が妙に気になってしまう。いや、多いという程の交通量ではないのだが、1日山奥の車皆無の道を通って来ると、こんなのでも車が多いように思ってしまうのである。落ち着かねば。

 明日向かう予定だった引牛越への県道★★への分岐を過ぎると、やっと龍神村中央部、西(という地名の場所)である。日高川の反対は東という、両岸で何ともストレートな地名が付いている。基本的には「龍神」なのだ。

 龍神村は今は田辺市に編入されていて、元の町役場は田辺市龍神支所ということになっている。その前には田辺行きのバス停がある。2006年には、ここでバス停を見つけた途端に、即輪行作業を始めてしまい、後でバスの中でやはり走れば良かったかもしれないなどとうじうじ後悔したものだった。今日はもう宿到着が目前だ。余裕のある行程はいい。

 17:10、安井「ペンションとおせんぼ」着。ちょうど更に暗くなっていた空から雨がぱらつき始めたところだった。

 18時半、風呂から上がってくると、もう外に音がするほどの雨が降っていた。
 明日は1日じゅう大雨の予報である。それでも18時ぐらいからは晴れるとのことで、昨日まで雨の予定だった明後日は、どうやら朝から晴れの行程を楽しめそうだ。熊野灘沿いの国道311、奥瀞峡の国道★169と、見所一杯の行程も仕込んである。  一方、明日の行程は確実に全運休になりそうだ。せっかく数年ぶりの酷道425、しかも引牛越、★白沢トンネル、北山貯水池と3連発フルコースの今回全行程中のハイライトだったのに。いろいろと努力して旅程を組んで遠路はるばるやってきても、なかなか天気は読みにくいものである。

記 2016/5/

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Last Update 2014/2/22
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