清水→(国道371)向山口→(県道37)玉伝
→(県道36他)生馬口
(以上#2-1)
→(県道220他)大坊→(県道35他)富家→(県道218)見行
→(林道)鍵原→(県道29・30)下津川
(以上#2-2)
→(国道425)小家谷口
(以下#2-4)
→(国道424他)小森→(県道29・林道)龍神温泉
(以下#2-5)
→(国道371・425他)安井
136km
RIDE WITH GPS
最高地点で標高710mと一見比較的お手頃の県道29だが、昨日の将軍川林道と同じく、かなり訪れにくい場所にあり、通ろうと思ってコースを組まないとなかなか訪れる機会が持てない。そう思ってコースを組んで問題無く行けそうになってきた、という現状は大変有り難い状況である。
まずは取り急ぎ集落の酒屋前自販機でコーヒーだけ飲み、国道425の遡上を開始する。
紀伊半島を御坊から尾鷲まで横断する国道425は、一般的には日本3大酷道として知られている。いや、知られていないかもしれない。酷道としての表情は、龍神から東側の区間で顕著である。牛廻越に白谷トンネル越え、池原貯水池沿いと、元林道の細道が人里離れた山中や、集落でもやはりかなりの山奥に、海岸沿いの尾鷲までくねくね延々と続くのだ。
一方、これから私が向かおうとする西側は、地形図やツーリングマップルを見ると、山間でも川沿いの山里というか、どちらかというと里を辿ってゆくような印象を受ける。拡幅済みの区間も多いようだ。しかも西海岸側の御坊から少し郊外っぽい区間もある。山中から市街地の外れに急降下する尾鷲側には、こういう区間は全くみられない。
そして龍神から東側区間は、過去に分割で訪問したことがあるが、西側は今まで訪れたことが無かった。雨でほぼ絶望的な明日の行程は、国道425東側を再訪する予定だったし、今日これから向かう国道425は、今回のメインテーマのひとつでもあったのだ。
下津川から脇ノ谷、松原と、幅広の道が静かな山間をばんばん通過してゆく。事前にルートラボの空撮モードでわかってはいたことだが、何だか酷道らしくない。しかし、これはこれで紀伊半島の拡幅済みの道らしくもある。
小入から細道が断続し始めた。やっと国道425の面目躍如である。いや、道本来の使命としては拡幅済みこそが本来のあり方だというのはわかっちゃあいる。
空撮で何だか大々的に工事しているように見えた田ノ垣内では、なんとその工事場所にダムが登場。なるほど、ダム工事だったのだ。そのダムの脇を、国道425の新道が、トンネルと橋で通過してゆく。
細道が通っていたはずの主家平、高串を、新道に乗ったままショートカットしてしまった。せっかくの酷道425なのに、この辺りは拡幅が進んでいてあまり酷道ではないことを、私はようやく理解し始めていた。
谷間の1本道が延々と続いていて、いいかげんそろそろしんどいような面倒臭さも感じ始めてもいた。上洞からはつい、というかもういいやというかそんな気持ちになり、新道へ進んでこの際休場の集落もショートカット。
最後は川又から小森へ、集落を縫うような細道が復活すると共に本格的な登り区間が始まった。
下津川からここまで、時々雨はぱらついたものの、曇りのままで推移してきている。川又からは、空に拡がった雲の色が明るく、時々青空すら現れ始めていた。今のところ、夕方まで雨は降らないだろうと思われた。
標高410mぐらいで小さいトンネルを抜けると、いよいよこの先の県道29へ進むかどうかの悩みどころ、小家谷へ下るだけだ。
ここまでの国道425としては、民家が断続しながら細々と集落が続いていたものの拡幅済み区間が多く、日本3大酷道たる国道425らしさを期待するとやや拍子抜けする、という結論に達した。
13:45、小家谷口着。前述の通り、今日最大の山奥区間となる県道29への分岐であるここに、一応目安として立てたスケジュールの幅として、早い方だった14時の前に着けたことになる。順調だ。
まずは分岐の万屋で一休みだ。人気の無い店には、あまり期待していなかったパンが売っていた。ここは何が無くとも食べておくべきだ。大声で「ごめん下さーい」と店番のおじさんを呼び出し、パンを仕入れて道端でむしゃむしゃ食べながら、空を見上げて少し考えた。
さっきから空模様は、どちらかと言えば好ましい方向へ向かいつつ推移している。今日の宿は龍神村。この時間にここにいるなら、あまりこの後時間の心配は無い。県道29へ向かってみてもし天気が問題ありそうなら、その時点で目の前の道を逆に向かえば、10kmぐらいで宿に着くことだってできる。そして天気がこのまま推移するとすると、明日はもう1日雨だ。つまり、今日なるべく走っておく方がいい。
何となく考えてみようと思ったが、あまり考えるまでも無くこのまま前に進むべきなのだった。少し休みたかっただけかもしれない。
記 2016/5/18