清水→(国道371)向山口→(県道37)玉伝
→(県道36他)生馬口
(以上#2-1)
→(県道220他)大坊→(県道35他)富家
→(県道218)見行→(林道)鍵原→(県道29・30)下津川
(以下#2-3)
→(国道425)小家谷口
(以下#2-4)
→(国道424他)小森→(県道29・林道)龍神温泉
(以下#2-5)
→(国道371・425他)安井
136km
RIDE WITH GPS
周囲は谷間から冨田川河岸へ出た段階でもうすっかり開けた田辺郊外の雰囲気に変わっている。これからしばらく紀伊田辺の周囲丘陵部時計回りに北上し、紀伊半島横断道の国道425が御坊郊外から山間と言える部分へ出た辺りを目指す。未済経路の国道425のいいとこ取りを目論んでいるのだ。
まずは県道220で大坊へ。
冨田川河岸の裏道はのんびりと静かな道だったが、正田で乗り換えた県道35は交通量が多く、軽い丘越え一発でうんざりしてしまう。
9:00、富家で再び細道へ。途中細道に入ったところで、自販機で一息つく。ここでこの先の天気予報を確認すると、午後の天気がやや好転し、何だか15時ぐらいが曇りに変わっている。その分18時以降〜明日は雨となり、明日はどうやら輪行を覚悟せざるを得ない。
とりあえず今日午後の先行きに関係するのは、天気予報で対象となっている地域中心部の天気ではなく、より降水確率が高くなると思われる山間の天気だ。予報は曇りでも、山間は雨かもしれない。実態は予報より好転して、山間でも曇りかもしれない。幸い今日は一度宿のある場所に近づいてから、山間を大回りして宿に向かうコースだ。現地の様子を見て判断すればいい。
辺り一面は梅畑ばかり。集落の農家にも倉庫や加工所、販売所などが目立ち、梅畑と農家が細道にびっしり続き、時々軽トラが通り過ぎてゆく。活気ある農村だ。
この辺りは2005年に訪れているので、大体の雰囲気は知っていた。そしてこの先の登りがかなり急なことも知っていた。
記憶通りに、畑中から登りが始まり、上三栖の梅畑の中を一気に高度を上げ、東原ではここまでの登りを振り返って見下ろすほどに。谷間一杯に拡がって、隣の谷間に続いてゆく梅畑が見事だ。
県道218に分岐し、正面の切り立った山の狭間へ。まだ登るのかと思って地図を見直すと、やはりその山の谷部分に進むことになっている。まあ集落の先が登りというのは当たり前の話ではあるし、正面が山である以上登りというのは当たり前の話だ。ちょっと現実逃避してみたかっただけだ。
道の両側は、垂直に切り立った岩壁だ。露出した岩がが迫ってくるような狭い谷底の、細い川岸に大きな岩がごろごろ転がっている。下から見上げてこの道はある程度の山中だと思っていたが、これほど切り立った岩山とは。田辺北側のこの辺りは、切り立った山々が続いているのかもしれない。一つ西の谷間の県道29には「奇絶峡」という名前も付いている。
その狭い岩山の間を抜けると、目の前に伏兎野のこぢんまりした農村が拡がった。
もうすっかり紀伊半島の山間の風景だ。2006年には前述の奇岩峡を、今夜の宿からバスで通っている。その時に田辺手前までいつまでも続く農村と、その後の渓谷一目散下りに驚いたものだった。一つ隣の谷のこの道にも、その風景を思い出させる雰囲気がある。
この道は山間で行き止まりになる。こちらは集落上端の見行から細道で尾根を越え、秋津川の谷間の鍵原へ向かう必要がある。どの道かと思っていると、目を疑う細道が前方の山を登っているのが分岐直前になって見えた。やっぱりこういうことになるのである。
最高地点は284mだが、10%を軽く越える押そうかと思うような急坂で、汗だくになってしまった。さすが南国の紀伊半島。5月でも暑いのだ。
既に田辺北側の西向き区間に入っていた。
秋津川、上芳養、西本荘と、3つの谷間に農村が続く。それぞれの谷の間には標高298mの木道峠ともう一つ100m足らずの細道峠、一応二つの峠がある。
基本的に山間部分では道は紀伊半島南部標準(?)の4m幅。
一方で農村部では道がそこそこ拡幅済みでもある。谷間や丘陵の斜面に拡がった梅畑と農村は、何か目立って大規模施設があるわけではなく人口密度は普通の農村並み。
しかし梅の倉庫、加工場、出荷場など梅関係の施設が目立ち、そういえば軽トラも道ばたに停まっているのが目立つ。何かと農村に活気があるように思われる。
以前からこの辺りの南高梅が大変美味しいことはよく知っている。サイクリングに行った先がどこもかしこも限界集落ばかり、毎年毎年廃村が増えているという一方、どこにも負けない名産があって商売になっていれば、農業はこんなにも元気なのだ、ということを感じさせられる農村なのだ。
特に上芳養は、通販で時々買っている美味しい南高梅の産地だ。ツーリングマップルにもその会社が載っているので、多分有名なのだろう。
実際に通って眺めて、こういう所で作っているのだ、と思った。旅の思い出と共に好物が増えていくのは、大変嬉しく楽しいことだ。
小さい峠を一つ越えて南部川の谷間へ下ると、標高はもう20m台。ここまでの農村部に比べて谷間が広く、海岸の南部へ続くやや広めの平野部であることを感じさせる。田辺外周部の大回りがいよいよ終了だ。
番号は同じながら北へ向きを変える県道30に乗ったまま、国道425を目指す。
熊瀬川沿いの谷間は急に狭くなるものの、しばらく谷の間に梅畑と農村が絶えることなく続く。
細道の風景はのんびり静かで天気は曇り時々晴れ程度。まあ平和なサイクリングだが、谷底で風景が開けず、そろそろ行程に変化が欲しいような気がする。
小さな峠はたったの標高175mだが、この辺りの例に漏れず直前で急に登り始めるタイプである。そろそろお昼が近く、気温が上がっていてだらだら汗が出る。
隣の狭い谷間にも畑と農家が続く。相変わらずの谷底の風景にそろそろじれったさを感じ始めていた。
狭い谷間に屈曲する道が続き、地図で等高線と道のボリュームが読みにくいのと、いい加減に今日の大きな目的、国道425に早く合流したいのだ。
更にもうひとつ小さい丘を越えると、ようやく下津川、国道425が通る切目川の谷間である。
11:50、下津川着。
いよいよ国道425に合流する下津川に、ぎりぎりお昼前に着けた。行程的に上々であるというだけではない。この後訪問しておきたい県道29が、朝はお天気含みで絶望的だったのが、雨さえ降らなければ時間的には何の問題も無いというところまで押し返したということである。つまり、分岐の小家谷でのお天気で判断すればいいだけであり、この時間になって俄然現実味を増してきたのだ。
記 2016/5/18