北海道Tour15#3
2015/8/8 民宿地平線の
根釧台地ベスト202km-1

開陽→(町道北19)武佐→(道道775)東武佐→(農道)俵橋
→(道道994)中春別→(農道)別海温泉
(以上#3-1)
(以下#3-2) →(新酪農道)奥行→(道道930)上風連
→(道道121・813)奥別寒辺牛
(以上#3-2)
(以下#3-3) →(道道813)東円朱別→(道道928)上風連
→(農道・町道)西春別
(以上#3-3)
(以下#3-4) →(道道957)上多和原野→(道道13)萩野
→(農道・町道)虹別→(道道885)養老牛
(以上#3-4)
(以下#3-5) →(道道150他)俣落→(町道北19他)開陽台
→(町道北19他)開陽
 202km  ルートラボ

ニューサイ写真 RICOH GR GR18.3mm1:2.8 A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路
   RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 3:58起床。身体の中に疲れは全く感じない。まあここ2日間短め行程だったし、昨夜は9時間も寝た。9時間睡眠の効果は予想以上に大きいように思えた。今後も毎日極力睡眠時間を取り、日中快適に走るサイクルを確立しなければならない。そして、外には雨の気配は全く無い。空は晴れてはいないが、牧草地に濡れた気配が全く無い。いいぞ、つつがなく根釧台地202kmへ出発せねば。ここで200kmをこなすために、初日2日目と軽めの行程にしておいたのだ。
 最低限頭をはっきりさせて、ちょっと苦しいがセイコーマート豚丼と昨日のおにぎり残りをかきこむ。渇いた口の中で米粒がなかなか飲み込める状態になってくれず、水と共に強制的に中へ押し込み、次のおにぎりへ。食べられるときに食べておかねばならない。おにぎりは残すと捨てるのが勿体無くて切ないから、しかも、「食べねばならない」というより、食べればちゃんと力になってくれるのである。

 サイドバッグ無しだと、出発前の準備は早い。夜明けより霧が濃くなっていて、宿が建つ森も隣の牧草地もしっとり濡れている。少し寒さも感じる。フリースを着てレインジャケットに着替え、5:15、民宿地平線発。

 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 宿の前の道は黒々と濡れていたが、幸い雨は降っていない。まずは町道北19号、出だしの緩い登りは無理せずに。今日は長丁場、まずは経済ペースを作らねば。

 走り始めるとちょっと脚の付け根が筋肉痛的に傷むが、身体に違和感は無い。30分もしたら消え失せているような類のものだろう。やはりさすがの9時間睡眠。毎日これで行きたい、とまた思った。

 東武佐の道道774交差点までは120mの下り。出発早々本コース随一の下りである。開陽という場所は、事程左様に中標津の山裾なのだ。一直線の道を脚を止めたまま、なすがままにどんどんスピードが上がる。

 中標津らしい整然とした開放感に少し鬱蒼とした味わいが加わる、武佐独特の森がどんどん通り過ぎてゆく。

 5:40、東武佐到着。霧が晴れてきた。今日はこの調子でどんどん晴れてほしい。道道脇の商店で、去年と同じくコーヒーをいただいておく。次は上風連まで自販機が無い。今のところ時間は去年とほぼ同じだ。このまま先へ進もう。

 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 エリアは標津の低地へと移行する。平べったい牧草地を進むうちに、標高差10〜20m未満ぐらいのアップダウンが時々現れ始め、所々で景色が開ける。

 低地なので起伏は大して大きくないのに、ダイナミックな空間の拡がりが意外だ。

 思えば去年、この辺はやや強めの雨だった。同じコースなのに記憶に無い風景が時々登場するのは、雨で気分が一杯一杯で、あまり景色を楽しむ余裕が無かったのかもしれない。やはり走るには雨より曇りの方がいい。

 2010年に塘路から羅臼へ向かうのに、別海から標津まで斜めにコースを組み、低地にしては意外な程変化に富んだ空間を感じられたことも思い出す。この辺りは眺め入るような景色が多いのだと思った。

 さすが202kmコースの序盤である。

 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 国道272をはじめ、行く手に現れる交差点や分岐の標識には、標津や内陸方面の上春別が表示されていた。その地名が床丹へ推移する頃には、標高は10m台前半、地形も平滑に安定し始めていた。

 この202kmコースでは、一見どこも同じように思える根釧台地の特徴的な部分を、微妙な地形の変化と、根釧台地の美味しいところでアクセントを付けて、たっぷり味わえるように道が選ばれていると思う。2年目ともなると、コース立案者石川さんの意図を思わされるとともに、いいコースとはそういう起承転結や展開を持っているものなのだ、と改めて気付かされもする。

 ひたすら南東へ一直線基調で進んでいた道は、美原で南向きに方向を変える。

 それまで比較的安定していた地形に替わり、川を渡るアップダウンや、カーブと分岐が現れ始めるとともに、別海の町が近いためか牧草地の中には集落未満の牧場が目立ち始めた。エリア自体が標津から別海に移行したことを感じさせる。


 国道243をほんの少し経由して新酪農道へ。

 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 いよいよ別海中部、国道243が地形の境になっているかのように、周囲はやや掘りが深い台地へと変わり、直線の道が谷へ下り、また登り返して次の丘に登ってゆくのがずっと見通せる、ややげんなりさせられる光景が続き始める。

 しかし実際に通ってみると、そう大変な登りではないのもまた事実ではある。

 奥行で西へ向かう道道930へ分岐。

 牧場の中を屈曲するうち、防風林の向こうに鉄塔とコンクリートの建物が見えてきた。このコース上、コンクリートの建物は数少ない。今登場しているのはその中でも最大級、上風連中学校である。ようやく上風連まで下って来たのだ。

 8:45、上風連着。別海と茶内原野の間に位置する上風連。根釧台地では小中学校、A-COOP、商店まで揃う集落は、国道沿いや旧標津線沿いを除くと珍しい。私的幹線道道123上でも、毎度の行程上程良い場所にあり、根釧台地に於ける南北方向の目印となっている。開陽からここまで70km、何も考えずに淡々と粛々と、しかしあまりペースを上げないで、去年より15分ほど稼ぐことができている。早着の一番大きな要因は、実は単に雨具の着替えが無いことだろう。しかしそれでも、去年と変わらないペースが出ているとは言える。まずは好調な一学期終了であり、完走に向けて大きな自信となった。
 前述の通り、上風連には、このコース上最大の商店であるA-COOPがある。しかし今日は店のシャッターが開いていない。考えてみたらまだ8時台、営業開始前なのであった。そう言えば去年のA-COOPは、開店直後での訪問だったな。おじさんが最初に出てきて、おばさんがやや遅れて出てきたんだっけ。15分の早着が、こんな所に影響しているのが大変可笑しい。
 食料は十分に持ってきている。この先まだ茶内原野のオアシス西円取扱所があるし、折角稼いだ15分、開店後に何か仕入れて時間を食うわけにはいかない。

 9:05、上風連発。ここから私的根釧台地幹線の道道123〜813だ。

 昨日も通った道道813の分岐を過ぎて入り込む、丘の間に続く拡がりと動きのある風景は、根釧台地でも突出している。別海南部の魅力を象徴するような風景だと思う。

 東円朱別で、後で北上区間となる道道928との分岐を過ぎ、こちらはコース中盤の折り返し区間、茶内原野の長大直線区間へ。

 ひたすら一直線の道が全長9km、茶内原野の起伏を次々越えて行く、本コースハイライトの一つだ。若松から高知の惰行区間を挟んで別寒辺牛まで含めると、14kmにもなる。本コースのハイライトなら、当然根釧台地のハイライトの一つでもある。

 行く手の遠くに坂が下から上まで全部見えていて、その坂の向こうにはまたもや下って登ってが待ち構えている。一直線なだけに、さっきの新酪農道よりその風景は強烈だ。周囲はずっと牧草地と防風林。牧場が無いのも、景色の際限無さに輪を掛けている。まあ実際には登ってしまえば、経済走行で十分にこなせる程度のあまり厳しくない坂が多い。そして、ほとんど絶え間なく牧草地が断続するということは、人の手が入っている場所だということだ。とは言え、基本的に無人の場所がそれなり以上に続くため、あまり備えなしに無防備で踏み込める場所ではないことも確かである。

 まるで砂漠のような無人牧草地に突如現れる、根釧台地202kmコース全体でも珍しい商店が、西円のJA浜中取扱所だ。砂漠のオアシスのようなこの店を、またもや今のところはそのまま通過。帰りに寄ればいい。

 萩の里でトライベツへの分岐を過ぎ、茶内原野の先で再びカーブが現れて、浜中町から厚岸町へ。昨日早朝にいた厚岸町に近づいているのである。中標津山裾の開陽からスタートしてここまで南下してきた、これが根釧台地の距離感覚だと思った。

 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 9:55、奥別寒辺牛着。茶内原野から続く牧草地の台地と別寒辺牛湿原へ続く丘陵の境界であり、糸魚沢からやって来る農道と道道813の合流点だ。この202kmコースでは「適当に折り返す」と書かれている、コースの最南端である。さっきの上風連15分早着に続き、ここ奥別寒辺牛到着は35分早着で何と9時台。普通のツーリング行程だと、開陽出発の場合は早朝開陽台立ち寄りやら何やらをこなす必要があり、奥別寒辺牛到達は少なくともお昼前ぐらいという印象がある。上風連の15分早着から更に時間は稼げたものの、多分途中のAコープ立ち寄り省略が効いているというだけの話で、何もペース自体が速いわけではない。しかし全体的な前倒し行程こそ早出のお陰であり、意図するところでもある。
 道ばたの防風壁に自転車を停め、「この辺りもいつの間にか防風板だらけになった」などと考えながら、むしゃむしゃおにぎりを食べておく。どこもかしこも防風板が建つということは、強風とか地吹雪の対策に防風板が有効であることの証しだろう。かつて高知では晴れた日には知床や摩周、雌阿寒岳まで見渡せたものだったが、今はその開放感が防風壁でだいぶスポイルされてしまった。しかも今日は雲が厚い。


 10:05、別寒辺牛発。

 高知から再び一直線を折り返しつつ思うのは、これだけ選びに選んだコースの中で、行き帰りに別ルート経由ではなくわざわざ同じ道のピストンが202kmコースとされていること。

 この辺りに一直線道路は数あれど、道道813の突出した独特な雰囲気故なのだろう。

 私的にも印象的で、根釧台地に来たら通るべきだと思っていたこの道、やはり石川さんも好きなのだ、と思ってまた嬉しくなる。

 西円のオアシス、A-COOP西円取扱所へ缶コーヒー表敬訪問の後、11:05、東円朱別で左折。ここから道道930の北上だ。次第に空は明るくなっていて、目立って気温が上がりはじめ、防風林のエゾゼミが急に鳴き始めていた。

 牧草地の向こう、森から先は演習場。森に漂うちょっと独特な緊張感は、かつては演習場ならではと思っていたが、最近は飼い慣らされていない平地の原生森に特有の雰囲気ではないかと思うようになった。

 そういう雰囲気が漂う森沿いに反時計方向に回り込むように、コースは北上する道道930から西北へ向かう農道へ。

 気が付くと、なだらかにダイナミックに起伏して空間を変える丘の風景が、台地上の開けた牧草地に替わっている。別海中部の丘陵から、別海西部の安定した台地に移行しているのだ。思えばこのコース、根釧台地の縁や各エリアの境界等々、「境界の風景」を大変上手くつなげて構成されているように思う。

 一方、北側は台地上に拡がる牧草地。晴れていれば知床山脈の山裾まで見通せるはずだ。今日は遠景に溜まる雲っぽい霞に隠れている。雲の向こうに知床山脈を心の目で眺めつつ、蝉の声を聞きながら牧草地の中で休憩とする。

 時刻は12時ちょっと過ぎ、空が少し明るくなると、かっと日差しに照らされるように辺りの気温が急に上がってきた。

 演習場入口を過ぎた辺りから南側の森は演習場ではなくなっていて、それでも演習場へ続く森と牧草地の間に道は続く。

 起伏の多い根釧台地中部から、平滑な西北部の地形に次第に移行しつつ、緩い起伏の地形や緩いカーブが時々現れて森と牧草地を通り過ぎてゆく。

 そして台地上の平地とはいえ、まるっきり平坦ではなく、標高は西の根釧台地縁に向かって少しづつ高度を上げてゆく。

 そのため、視覚から期待できるペースが思うように出ないのは昨日のこの辺りと同じ。通ったばかりで勝手がわかっていても、次第にストレスが溜まる、ちょっと嫌なエリアだ。更に開陽を出てそろそろ7〜8時間経ち、そろそろ眠気が出てきた。

 掘り割りの国道272との交差は、こちらがオーバークロス。さすがにウワサの国道272、まるで高速道路のような片側2車線に車が通り過ぎる光景が壮観だ。この202kmコースのど真ん中を横切る国道272を、朝に越えて今また横切ったということは、今回の202kmコースもいよいよ後半まっただ中に入ったことになる。

 道はもう完全に台地上に乗り上げて、谷間を横断することも希になり、昨日と同じようにひたすら緩い登りを少しづつ進んでゆく。

 実は西春別の市街地に近づいているのだが、コース上の信号の少なさもこのコースの目玉のひとつであり、あえて幹線道路上にある近くの町を外している。単に持ってきているもの以外の目新しい食料に出会うためだけに、安易に町に立ち寄るわけにはいかない。


 西春別で道道957へ突き当たり、90°方向を変えて西南方面へ。

 GPSに従って進む道の景色が、去年の記憶と何となく違っていることに気が付いた。そう言えば平坦な地形にかまけてGPS画面ばかりに頼って、矢臼別演習場手前からしばらく地図交換を怠っていた。

 地図を交換すると、いつの間にか位置がそれなりに進んでいるのみならず、泉川の近くに来ていることに気が付いた。もう既に、去年経由していなかった正規コースへ入っているのだった。

 過去にも一昨年も通っていて、結果的に202kmコース全体としては分割払いの達成状態だったこの区間。コース通しで通って、道道957は西春別から泉川にかけて掘りが深くなる谷底やアップダウンをまともに貫いていること、そして根釧台地でのエリア、すなわちこのコースのフェイズが進んだことに気が付いた。平滑な台地上に続いていたさっきまでの区間と比べて、根釧台地全体の地形も理解できるようになっている。この区間、202kmコースに載っていて訪れてみた一昨年の前に訪れたのは1999年。その後通らなくなった国道272からの、道道885方面へのショートカットでの通過だった。牧草地の奥まで入り込んで引き返し、道道13まで戻るような線形になっているため、なかなか訪れにくい道なのだ。この道道957がわざわざ組み込まれていることに、このコースの緻密さをまた感じさせられた。

 最後にぐいっと台地の縁に乗り上げ、一昨年見覚えのある、牧場の間を北上する区間へ。台地縁から内側に向かって全体的に傾斜している牧草地の風景はどことなく広々と開放感があり、防風林のグリッドのリズムが程良く味を付けている。

 特に道道14手前数グリッドの牧草地では、地形が起伏し始めて空間に変化が出て、とても居心地がいい風景の中を走ることができる。快晴の涼しい日(そんな日があるかどうかは知らないが 笑)に、この道を走ってみたいとつくづく思う。

 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 道道14を少し経由し、最高地点から少し下って萩野の農道へ。

 防風林の中に続く登りは、このコースでの開陽台の次に大きな登りであり、ピークでは珍しく210mまで標高を上げる。

 虹別へ下る途中の、眼前に養老牛、開陽へ開ける山裾の風景が楽しみだった。しかし、そちら方面の森のすぐ上は、やや薄暗い雲に覆い尽くされ、遠景は低い雲に隠れていた。当分雨が降る心配は無さそうな雰囲気ではある。しかし、台地上にかかっている雲は徹底的に低い。霧と言ってもいいかもしれない。

 昨日に引き続き、道道885〜150の本来の風景には出会えなさそうだと思った。まあ、低温の霧が根釧台地の夏の風物なら、これもまた本来の根釧台地の姿なのだ。

 虹別で国道243をちょっとだけクランク、道道885へ。

 一直線の道が、牧草地の中を開けた山裾へ向かってゆくこの交差点の風景は、私的に長らく弟子屈や標茶方面の、中標津出入口としての象徴的な風景である。

 最近は少し西側の農道を経由することが増えたが、この景色にはやはり胸が熱くなる。

 そして本コースとしても、いよいよ開陽への最後の1辺、あと30km。

 次々に現れる風景も何度も訪れている親しみがあり、帰ってきたという気分になってきた。

 15:05、養老牛着。ペースは大変理想的だ。順調に進めば、俣落に15時台に着けるかもしれない時間である。そして昨日とほぼ同じ時間に同じ場所にいることが何だか可笑しく、この先大好きな道道150の山裾区間が50分ぐらいで終わってしまうことが寂しい。濃いめの曇り空の下、交差点の長川商店も毎度のように単なる無人自販機スポットなのも何だか寂しく、ここまで来たらもう最後まで進むだけという気になってくる。缶コーヒーをぐいっと飲み、水をボトルに入れて、15:15、養老牛発。


 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 東に進むにつれ、霧はどんどん濃くなってきた。毎日続くこの天気は、やはり温暖化の影響かもしれない。その前、1990年代前半の中標津も、確かこんな天気が多かった。そして私的には、夏の北海道で冴えない空模様は、その年々前半の「エルニーニョ現象」という言葉とのセットだ。今年も去年もエルニーニョ現象の年である。その言葉を天気予報に聞いた4月の段階で、道東のこういう天気もある程度予測はしていた。

 ただ、霧で風景が薄れても、山裾に拡がる牧草地と防風林を眺めると、この道を走っている喜びを感じられるのも確かである。

 旭新養老牛から北進へ進むと、霧がいよいよ地上に降りてきて、視界2〜300mぐらい向こうが霞み始めた。

 そして15:55、俣落に降りてくると、まだ路面までは濡れていないもののもうすぐ向こうの防風林が霞んでいる。開陽台方面は雲の中だ。202kmコースとしては、もう俣落から直接民宿地平線へ帰ってしまってもいいことになっている。しかし、今日は折角泉川の正規ルートを経由した。そして民宿地平線へ直行するには、時間の余裕がありすぎる。開陽台にも行っておくべきだ。

 町道北19から分岐した開陽台への登り途中で遂に路面が濡れ始め、ほぼ同時に空気中で極限まで上がった湿度は水滴となった。結局今年も最後は雨だったということになる。

 こういうはっきりしない天気が、夏の根釧台地でごく普通であり、かといって晴れたらいきなり毎日30℃以上である。北海道は何だかずいぶん走りにくい場所になってしまったと思った。

 

 16:20、開陽台着。雨の便所軒下に自転車を停め、雨に霞む展望台へ。風景はもちろん霧の中。まあこんな感じだろうという想像の範囲内である。となればノルマ消化に移行だ。展望台のカフェ・開陽台でゴーダチーズローストビーフドッグ\580×2個と開陽台ソフトを瞬殺。自分でも面白いぐらいに何でもすいすいがつがつ腹の中に入ってしまう。あまり空腹は感じていなかったものの、やはり200km近く走るとそれなりに腹は減っているのだった。

 再び降りてきた雨の駐車場は厚い雲で何だか薄暗く、そして雨の開陽台を訪れる人はしばし途切れていて、泊まっている数台の車以外に人は誰もいない。あと少しの202km完走にはやや寂しいフィナーレだ。思えば今日1日こんな道ばかりだった。これはこれで象徴的な終盤の風景だろう。雨の100m下りに気を付け、無事に地平線に帰ろう。

 

 16:55、民宿地平線着。メーターはちょうど202km、やはりコースタイトルは正しかったのだった。
 地平線にも早めに着けた。あとは食前に温泉に連れて行ってもらえば、食後にすぐ寝ることができて、9時間睡眠で明日も完全復活だ。さあ、粛々と物事を進めねば。
 と思ってはいたのだが、民宿地平線のせいではない諸般の事情が眼前に立ちふさがった。詳しくは書きづらい、諸般の事情から更に諸般の事情が発生し、温泉終了は20時過ぎ、就寝は21時半に。衝撃の睡眠時間6時間半の危機である。朝あんなに毎日9時間睡眠で行くと決めたばかりなのに。人生うまくいかないものだ。しかも明日は津別峠である。

記2015/11/7

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Last Update 2016/3/7
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