札友内→(国道243)ウランコシ
(以上#4-1)
(以下#4-2)
→(道道588・ふるさと林道上里線)津別峠展望台
(以上#4-2)
(以下#4-3)
→(道道588)津別
(以上#4-3)
(以下#4-4)
→(国道240)本岐→(道道494)チミケップ湖
82km
ルートラボ
4時に起きてから、いろいろ食べたり荷物を片付けて少し時間が経っても、窓の外はあまり明るくならない。曇りなのだ。この分だと津別峠展望台まで登っても、あまり画期的な展望は期待できないかもしれない。
一方で昨日午後感じていた疲れは、だいぶ取れたようだ。今日の行程は、津別峠展望台から津別へ、そしてチミケップ湖が終着だ。津別峠展望台は毎度の行程中最大の峠だが、全体の距離は90km未満とかなり少ない。そんなに楽でいいの、と自分でも思ってしまうぐらいだが、実はチミケップ湖を終着とする理由がある。ここ数年何度も泊まろうと思ってはあまりの宿泊料金の高さに挫折していた(今回も何度も泊まることにしては考え直し、一度など電話までかけて取りやめた)、あのチミケップホテルに遂に泊まるのだ。
ちなみに明日以降の行程も、チミケップ湖泊が原因で例年と比べて分割地点が変わり、日ごとの行程がやや短くなっている。全てチミケップホテルに泊まるためだ。
明日と言えば、昨日天気予報を視た段階で、全日行程取りやめが決定してしまった。
降水確率90%。それ以上に天気図で日本の北半分、特に北海道全域が低気圧と詰まった線に覆われていた。過去あまり見たことが無い等圧線の密度が、絶望的というより非常事態すら感じさせた。しかしこれを前向きに捉えると、今日チミケップ湖に辿り着きさえすれば、明日は1日輪行移動で休めるということになる。しかも明後日以降は低気圧一過で、天気は少なくとも好転するらしい。つまり、多少疲れていても何でも、とにかく今日はチミケップ湖に辿り着けばいい。チミケップ湖まで行けばいいだけなら、津別峠でも何でもこなせるだろう。今となっては今日が楽な行程でよかったと思う。
本来は明日、道道137で西興部に向かう予定だった。途中にはここ3年通行不能だったり雨だったりで通れていなかった、鴻之舞から立牛への狐沢橋区間が含まれる。今年5月、その狐沢橋が再び開通したと知って、「今しかない」と思っていたのだ。雨に阻まれるのは大変残念でもある。まあしかし、あの天気図を見て山奥に向かう気はしない。それに明日はもう北海道5日目、ここで休むと、ちょうど中休みになってこの先都合がいいのも確かである。実際に身体はやや疲れているし、今できることを前向きに捉え、その後に備えよう。
5:50、札友内発。
国道243へ出ても、身体がややしんどい。脚が何となく回りにくいように感じる。一方、いつもいいペースが出る釧路川沿いの森の区間では、今日も今の自分としては意外なほど快調で、あまり気にすることも無いのかと思う。何故この区間はこんなにいつも快調なのか不思議になる。両方向から勾配は無く、山裾の川沿いの森に風が吹きにくいからなのか、そもそも山裾の川沿いの森には風が吹きにくいのだろうか。
考察から妄想に思考は推移しつつ、屈斜路で国道238から、一昨年以来の屈斜路湖岸デフォルトコース、山裾緩斜面の農道へ。
雨上がりで田舎道の路面が未だぬらっとして、湿度も高い。やや濃い色の雲が低い上空にぐっと迫り、周囲の山々が裾のすぐ上から雲に隠れてしまっている。
▼動画47秒 国道243山側の農道 雲がかなり低い
しかし、道の周りの静けさは、やはり国道とは別世界だ。国道が見えるぐらいの距離しか離れていなくて、畑それ自体はあまり国道沿いの畑と変わらないのに、そしてそもそも国道243自体それほど交通量が無いはずなのに。
トウキビ畑の中からやや山裾寄り、そして集落の中を、道はしずしずと通り抜け、屈斜路湖を南から東へと回り込む。
この辺にしては珍しい中低層?建築物屈斜路湖プリンスホテルが見えてくると、道はおもむろに森に突入、
7:00、ウランコシ分岐着。そのまま県道588へ。唐突に北海道Tour毎度のハイライト、津別峠が始まるのだった。
初っぱなの開けた直登区間は、斜度8〜9%ぐらい。取付区間の例に漏れず斜度が急で、やや幅広の道が視覚的にもつらい。そして登り始めると、やはり想像以上に身体がだるく、すぐ息切れしてしまう。やはり一昨日の疲れはごまかせない。自分で自分を騙すことはできないことも、よく理解できた。
広葉樹林の中に入ると気温はやや低く、斜度が少しだけ緩くなり、身体が楽になる。狭い道幅、森はしっとりやや薄暗く、気持ちも落ち着く。
時々笹の中から甘いような香りが漂ってきて、何だか熊が潜んでいそうで大変にブキミなのも毎回同じ、いや、今日はまだ朝の早い時間だけに、更に熊が出そうに思ってしまう。
しかし朝か昼かに関わらず、やはり津別峠では、森区間が快適で気持ちが落ち着くのは毎回変わらない。
いくつかのつづら折れを経ると、道の斜度に緩急が出始める。
更につづら折れ区間が終わる標高450m辺りから、森が開け始めて道の斜度が緩くなり始める。森が開けるのは、山腹全体がやや切り立ち始めるからだ。
区間毎の微妙な斜度構成を分析できるのは、登りがしんどいからかもしれない。登り途中でしょっちゅう休み休みしながらそんなことを考える。あまり気温は上がっていないのに、ここの登りで近年最大回数休んでいる。今はとにかくこの登りをこなし、チミケップ湖まで辿りつかねば。
つづら折れ区間から山肌トラバース区間に移行すると、もうカーブの残りを数える段階だ。
尾根を巻く峠っぽい引っかけポイントも、毎年来ていればぬか喜びすることは無い。峠手前の100mで斜度が再び急になるのも、毎年の訪問でわかっている。落ち着いて目一杯ギヤとペースを落として、のろのろでも何でも登ってゆくだけだ。終わらない坂は無いのである。
8:25、津別峠着。次は更に200mのデフォルトオプション、というかここを含めての津別峠、津別峠展望台だ。
少し汗が収まるのを待って、息を整え、峠津別側のふるさと林道へ。
初っぱなから12%以上の激坂が、ここまでの%表示から単に「登り急坂」となった標識とともに続くのはもう毎度の事で珍しくもない。こちらもここまでの絶不調を鑑み、インナーローに落として落ち着いて登り始める。
前半の急斜面トラバースから中盤の森林直登区間に渡り、全体の2/3ぐらいの距離で一気に180m登ってしまった後、展望台下手までどういうわけか平坦に近いほどの斜度緩い区間が続く。その間、ついさっき峠まであれほど苦労したのに、途中1度も脚を付くことが無かったのは少し嬉しい。そういえば峠までの登りでは、4サイドなのに普段と同じように、ちょっとセンターで頑張りすぎたかもしれない、と思い出す。そういえば、一昨日の雨の開陽台も、似たような失敗をしている。頑張らないのが私のツーリング中の鉄則ではなかったのか、とも思う。
再び急坂で一気に展望台へ乗り上げる最後の20m、この一登りが毎回かなり厳しい。ここまで足を着けずに行けるかもと思っていても、ここでしんどさを感じるのも毎度の事なので要注意である。途中あんなに中だるみ区間が無い、もう少し平均したまともな区間断面で作ってくれたら良かったのに、と思う。
9:00、津別峠展望台着。
まずは展望台の建物裏手の広場へ。屈斜路湖を見下ろすはずの柵の外は、眺めるまでもなく雲で真っ白け、視界20m。さっき津別峠の手前まで登っている間は青空が見え始め、展望台では一気に晴れるかと期待していた。その後ふるさと林道区間を登っている間、いつの間にか雲が再び空一杯に広がってしまっていたのだった。
風が強くて雲が速い。その雲が時々さっと薄くなって下界の展望が広がり、観光客から歓声が上がる。しかし、また高速で雲が景色を覆い尽くしてしまう。展望台の最上階に登っても、とりあえず駐車場だけしか見えない。屈斜路湖と周囲360℃の山々が、今日は真っ白な霧の中だ。
風は強いだけでなくやや低温で、寒くなってきた。というより身体が冷え始めてきた。相変わらず毎日日中34、5℃の日々が続いている東京からすると、贅沢な悩みである。人間は事程左様に温度変化に弱いのだ、とつくづく思う。
とりあえずあまり人間の造りに逆らっても仕方無い。展望台の建物内に降り、携行食のおにぎりを食べることにした。津別町の施設である建物内は基本的に無人で、がらーんと静かだ。時々訪れる自動車の観光客以外に人気は無く、外の様子は見えるもののもう風の音は聞こえず、ベンチと机以外に何があるわけではない。以前蕎麦と饂飩が食べられた売店部分には、シャッターが降りている。もう営業していないのか、あるいはお盆休みだから休み中なのかはわからない。しかし、毎年訪れても営業している状態に遭遇しなくなって久しいような気もする。
強風から逃れ、一人でおにぎりとパンをむしゃむしゃがつがつ食べつつ、今日は展望は望み薄だ、とわかったら、少し眠くなってきた。やはり疲れているのかもしれない。
去年の津別峠から今日までいろいろなことがあった。毎年無事に旅を続けるために、自分はいろいろな条件をクリアする必要があると意識するようになった今日この頃。北海道に来ることはできたが、明日は全道大雨で終日運休ほぼ決定なのだ。今、自分がここに来れたことはとても嬉しいことだ。最後まで景色が見えない今年の津別峠だが、空と絶景の中に身を置ける年もあるし、もちろん来れない年だってある。こういう年もあるというだけのことだ。もちろん晴れてくれた方がうれしいのだが、今年の訪問それ自体に悔いは無い。そして是非ともまた来年来たい。
10:30、展望台発。ついさっき苦労して登ったふるさと林道の急坂を、直登区間から山肌を巻き、あまり速度が上がりすぎないようにして峠まで。峠近くでようやく辺りの霧っぽさがすっと消えた。
トラバース区間を下るとともに、見渡していたはずの辺りの山がどんどん高くなり、谷間の中へ。下るとともに行程が先へ進むとともに、身体を取り巻く温度が少しづつ段階的に上がっていくのを感じる時、やはり天上の津別峠展望台からどんどん遠ざかっていくことも実感され、寂しい気もする。仕方無い、時はどんどん過ぎてゆく以上、旅を前に進めてゆく必要がある。趣味であるはずの自分の旅には、なかなか制限や縛りが多いとも思う。しかしそれはまた当たり前のことだとも思う。
脳内世界とは無関係に、一方で景色を流れるまま、身を重力に任せ、山肌に張り付く道をきりもみ急降下。
森の中へ、谷間の底へ。
峠区間を下りきってからも谷間は更に津別まで、約21kmで標高差約270m、ほぼ下りのみで続く。延々と続く下りは、斜度は緩いものの、あまり脚を回さない経済走行で下ることができる。
谷底に出たとき、森の谷間が開け始めて牧草地が現れた辺り、農家がぽつぽつ現れて上里の小学校跡を過ぎる辺り、そして谷間の畑の中に道が続いて美都の集落上手に辿り着く美都橋辺りと毎度の各ポイントで、段階的に雲が薄くなり、それ以上にどんどん気温が高くなってきた。
さすがは道内で一番暑い網走地方である。と思うとともに、寒さすら感じていた、標高980mの津別峠展望台をまた思い出してしまう。
結局津別手前の豊郷辺りで、すっかり空が晴れた。これならこの後のチミケップ湖もかなり期待できる。
普通に経済走行で下って、展望台から津別の町外れまでちょうど1時間、これももう毎回同じである。
11:35、津別着。津別は今日の行程上唯一の町であり、補給可能場所だ。今日はもうチミケップ湖まで30kmぐらいだが、とにかく津別では昼食、セイコーマート立ち寄りなどミッションが一杯ある。
まずは明日の、チミケップホテルから北見駅への送迎車を確認しておくことにする。今は晴れていて暑くても、明日はどうせほぼ確実に雨なのだ。もう輪行前提に、潰せる不確定要素は潰しておかねば。果たして予め前日までに予約しないと、北見駅送迎の車は出ないとのこと。電話してみてほんとに良かった。これでチミケップ湖から北見駅までは安心だ。
次は町中大通り沿いの蕎麦屋へ。ファミレス風の蕎麦屋っぽくない店なのに、この閑散とした津別の町中でお昼前なのにお客さんが何人かいた。と思っていると、12時を過ぎてお昼のサイレンが鳴ってから、お客さんが次々入ってきた。果たしてしゃきっと舌触りも味も上々、おまけに大盛りで大当たり。さすがに道内の蕎麦屋は美味しい店が多いように思う。というか、今まで蕎麦がまずい店に入ったことが無い。
昼食後、セイコーマートで買い出しへ。明日早朝の朝食もあるが、それ以上にセイコーマートでは普通に食べたいものが多すぎる。
とりあえず思いつく物を仕入れて店の外に出ると、高校生ぐらいの男の子に
「どこから来たんですか」
と声を掛けられた。以前津別のこの場所で、新興宗教に勧誘されたことが有り、ちょっと警戒しながら答えると
「釧路までツーリングに行きたくて自転車を検討していて、いろいろ話を聞きたい」
とのことだった。
人にものを尋ねる前にまず自分のことを話す態度に、とても感心、いや、感服した。大変真っ当な、大人でも珍しい態度である。最近こういう立派な態度で大人と話ができる少年が、少しずつ増えているように思う。
少年の自転車はいわゆるMTBルック車で、とにかく一度釧路へ自転車で行ってみたい。誰に言われた訳ではないがそれにはやはりそれなりのツーリング車が必要だと思っていて、購入資金のためにコンビニでバイトもしているとのこと。
今の自転車では高校まで自転車通学していて、美幌までなら40分で行けるらしい。私だと裏道の道道経由だが、確か何年か前に美幌から津別まで1時間。彼なら釧路までのサイクリングには十分な体力を持っていると思われた。ならば若い時間を無駄にせず、まず片っ端から近場に出かけてみる方がいい。幸い津別は北海道(私的)最高の峠である津別峠、最高の癒やし系スポットチミケップ湖など、ネタには事欠かない。そうでなくてもたとえば一度網走でも往復してみると、自分が何時間走ればどこまで行けるかの行程感覚や、1日のサドル上での過ごし方、必要装備なども一気に体感できることだろう。自転車なんてその後に考えればいいのだ。そしてできれば、いや是非とも、釧路までの本番には津別峠を含めて欲しい。
などと若いツーリストとツーリングの話をするのは、とても楽しいことである。
結局津別には1時間いた。
12:40、津別発。
津別に着いたときには青空だったのに、空には再び雲が増え始めていた。お昼の津別なら、暑い日は暑くてたまらないはず。過去には軽度の熱中症に追い込まれたこともある。今日は今のところ曇り気味で暑くなりすぎず、大変ありがたい。
チミケップ湖まではいつものペースなら1時間半程度、余程のんびりしても14時半前には着けるだろう。今日は天気予報が早まれば、夕方から雨が降るかもしれない。今もう薄曇りで、この後次第に雲が増えるとすると、青空のチミケップ湖は難しいかもしれない。まあそうなればそうなったで、適当にのんびり走って湖岸で適当にのんびりして、あとはチミケップホテルでのんびりしよう。
本岐からは道道494。ケミチャップ川の谷間を、22kmの間農家や牧場もまばらに、静かに淡々と遡る。
もうあと1時間しないうちにチミケップ湖に到着、今日の旅程は終了だ。
心配なのは湖岸での天気だけ。というぐらいに雲が濃くなってきたのもやや残念ではあるが、雨さえ降らなければこの道毎度の現象、想定範囲内の出来事だ。
14:10、チミケップ湖着。
やはり雲が低く、陽差しは隠れてしまっている。ゆっくり動く雲の濃淡加減で時々辺りが明るくなるものの、濃紺の湖面と輝く緑には出会えそうも無い。
いつものキャンプ場で、木陰の私的特等席で自転車を停め、しばし自転車写真を取ったり湖を眺めたり。津別峠に続いてまたもや昼寝などしてみるものの、時間が経っても雲が切れることは無く、陽差しすらなかなか出ない。
まあ雨はまだ降る気配は無い。今晩から大雨との天気予報からは、かなり上々の現況とも言える。これはこれで大変に穏やかな今年のチミケップ湖岸なのは間違い無い。
▼動画1分1秒 チミケップ湖キャンプ場 今年も来れた
やはり今年もここに来れたこと自体がありがたく、そこにいることができる時間を一杯楽しもう。
向こうの木陰では、キャンプ中のテント脇でバーベキュー中のようで、何だか楽しそうだ。脇には自転車が何台か停まっている。地元サイクリストがキャンプしに来ているようだ。過去、チミケップ湖では自分以外に自転車を見たことを思い出せない。しかし、さっきの津別の高校生とともに、北見周辺にもサイクリストが増えてきたことを現すような出来事だ。
撤収中の別のキャンプ客が話しかけてきた。今はまだ曇りだが、もう今晩から明日いっぱい大雨なので、テントを畳んで北見へ帰るとのこと。それが正解だろう。今晩は大雨のテント泊を仮に楽しめたとしても、明日になったら大雨の中テントを畳まないといけない。なんだかんだ言いつつも、こういうとき今夜の宿が近くにあるのは大変ありがたい。
15:40、チミケップホテル着。
まずはフロントでチェックイン。と、早々にウェルカムドリンクというものを、生まれて初めて選ぶ羽目になった。そうか、こういうホテルにはウェルカムドリンクというものがあるのだ。選択肢にはいくつかのソフトドリンクとビールとワインか何かが含まれていたような気がしたが、ここは迷わずビールを所望。
次にマイクロバスを確認しておく。ちゃんと8時に北見から来てくれるよう手配済みとのことで、わざわざ一人の運搬のために、頭が下がる。
部屋はシングルでやや狭め。「1泊\27500」の文字が頭をよぎるが、駅周辺のビジネスホテルと違い、こういうホテルの宿賃は部屋の広さとの相関関係は全く無いのだと思い直す。アメニティがリッチな部屋付きのユニットシャワーバスでお湯を浴びてから、ラウンジでまたビールを飲んで少し居眠りし、時々いつまでも明るい外を眺める。普段ならまだ走っている事だろう。明日はもう雨らしいし、今日はもう全てをチミケップホテルに委ねればいいだけだ。すっかり気楽である。
それにしても、この静かな湖に1軒だけ建っている超高級ホテルには長い間大変興味があり、いつか一度泊まってみたかった。とともに、何故このチミケップ湖をプライベートビーチ状態に従え、1軒だけリゾートホテルが建っているのか不思議でもあった。そこでホテルの方に尋ねてみると、昔このチミケップ湖で漁をして、捕れた魚を食べさせる旅館が1軒建っていた。その営業権を、北見のとあるホテルが譲り受けた、とのことだった。
夕食前に空が急に暗くなり、おもむろに大雨が降り始めた。明日の雨で急遽お客さんのキャンセルも出たそうで、朝食材料も余ってしまうそうだ。「\2000にしておきます」の言葉に負けて、朝食を7時に作っていただくことにした。さっきの津別で朝食ネタは仕入れているものの、ちゃんとした朝食が食べられるに越したことは無い。しかしこれで、今回のチミケップホテルは遂に1泊\3万になってしまったのだった。
夕食はフランス料理のフルコース。私の夕食は安コースなのだが、前菜、スープ、メインディッシュ、パンやデザートまでいろいろ贅と手間と粋を尽くしたものだった。ツーリング4日目の、味覚とか視覚的オドロキだけではなく、目の前の山盛り料理を腹一杯食べたいという欲求は、とても美味しいパンをお代わりして解決した。貧乏根性で普段のツーリングからの違和感が無いといえば嘘になる。しかしたまにはこういうのもいい、そう思えば何の問題も無い。何と言っても、今自分はチミケップ湖岸に泊まれているのである。
明日の天気予報は昨日通り、大雨だ。90%の降水確率以上に、もの凄い量の等圧線で落ち込んだ低気圧が2つ日本列島の上にやって来る天気図を見れば、もはや走る気は全く起きない。そうなると、食後は速攻で就寝なのも何だか勿体無い。が、外は雨だし、そうでなくても完全な真っ暗闇だし、更にガが飛び交っている。熊も歩いているかもしれない。そうなるともう寝たもん勝ちに思える。
大雨の後、低気圧は去ってゆくらしい。天気図からは大変な異常気象に陥りつつあるようにも思えるのだが、明後日以降は晴れが期待できそうだ。まあそれは明日輪行で西興部に着いてからの話だ。
記 2014/12/30
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