北海道Tour14#4 2014/8/10
札友内→チミケップ湖-3

札友内→(国道243)ウランコシ (以上#4-1)
→(道道588・ふるさと林道上里線)津別峠展望台
(以上#4-2)
→(道道588)津別
(以下#4-4) →(国道240)本岐→(道道494)チミケップ湖
82km  RIDE WITH GPS

津別峠到着 まずは碑と記念写真 PENTAX K-5 SIGMA30mm1:1.4DC ウランコシから津別峠経由で上里へ 赤は本日の経路

 9:00、津別峠展望台着。
 まずは展望台の建物裏手の広場へ。屈斜路湖を見下ろすはずの柵の外は、眺めるまでもなく雲で真っ白け、視界20m。さっき津別峠の手前まで登っている間は青空が見え始め、展望台では一気に晴れるかと期待していた。その後ふるさと林道区間を登っている間、いつの間にか雲が再び空一杯に広がってしまっていたのだった。

 PENTAX K-5 SIGMA10-20mm1:3.5EXDC パノラマ合成

 風が強くて雲が速い。その雲が時々さっと薄くなって下界の展望が広がり、観光客から歓声が上がる。しかし、また高速で雲が景色を覆い尽くしてしまう。展望台の最上階に登っても、とりあえず駐車場だけしか見えない。屈斜路湖と周囲360℃の山々が、今日は真っ白な霧の中だ。

 PENTAX K-5 SIGMA10-20mm1:3.5EXDC パノラマ合成

 風は強いだけでなくやや低温で、寒くなってきた。というより身体が冷え始めてきた。相変わらず毎日日中34、5℃の日々が続いている東京からすると、贅沢な悩みである。人間は事程左様に温度変化に弱いのだ、とつくづく思う。

霧が薄れた 美幌峠方面を見下ろす あちらも今日はいまいちっぽい PENTAX K-5 SIGMA APO50-150mm1:2.8EXDC

 とりあえずあまり人間の造りに逆らっても仕方無い。展望台の建物内に降り、携行食のおにぎりを食べることにした。津別町の施設である建物内は基本的に無人で、がらーんと静かだ。時々訪れる自動車の観光客以外に人気は無く、外の様子は見えるもののもう風の音は聞こえず、ベンチと机以外に何があるわけではない。以前蕎麦と饂飩が食べられた売店部分には、シャッターが降りている。もう営業していないのか、あるいはお盆休みだから休み中なのかはわからない。しかし、毎年訪れても営業している状態に遭遇しなくなって久しいような気もする。
 強風から逃れ、一人でおにぎりとパンをむしゃむしゃがつがつ食べつつ、今日は展望は望み薄だ、とわかったら、少し眠くなってきた。やはり疲れているのかもしれない。

 去年の津別峠から今日までいろいろなことがあった。毎年無事に旅を続けるために、自分はいろいろな条件をクリアする必要があると意識するようになった今日この頃。北海道に来ることはできたが、明日は全道大雨で終日運休ほぼ決定なのだ。今、自分がここに来れたことはとても嬉しいことだ。

津別の山々の原生林 PENTAX K-5 SIGMA APO50-150mm1:2.8EXDC

 最後まで景色が見えない今年の津別峠だが、空と絶景の中に身を置ける年もあるし、もちろん来れない年だってある。こういう年もあるというだけのことだ。もちろん晴れてくれた方がうれしいのだが、今年の訪問それ自体に悔いは無い。そして是非ともまた来年来たい。

津別峠展望台から東側 赤は本日の経路

 10:30、展望台発。ついさっき苦労して登ったふるさと林道の急坂を、直登区間から山肌を巻き、あまり速度が上がりすぎないようにして津別峠へ。

 峠近くでようやく辺りの霧っぽさがすっと消えた。

 トラバース区間を下るとともに、見渡していたはずの辺りの山がどんどん高くなり、谷間の中へ。下るとともに行程が先へ進むとともに、身体を取り巻く温度が少しづつ段階的に上がっていくのを感じる時、やはり天上の津別峠展望台からどんどん遠ざかっていくことも実感され、寂しい気もする。仕方無い、時はどんどん過ぎてゆく以上、旅を前に進めてゆく必要がある。趣味であるはずの自分の旅には、なかなか制限や縛りが多いとも思う。しかしそれはまた当たり前のことだとも思う。

 脳内世界とは無関係に、一方で景色を流れるまま、身を重力に任せ、山肌に張り付く道をきりもみ急降下。

 森の中へ、谷間の底へ。

 峠区間を下りきってからも谷間は更に津別まで、約21kmで標高差約270m、ほぼ下りのみで続く。延々と続く下りは、斜度は緩いものの、あまり脚を回さない経済走行で下ることができる。

津別峠展望台から上里経由津別へ 赤は本日の経路

 谷底に出たとき、森の谷間が開け始めて牧草地が現れた辺り、農家がぽつぽつ現れて上里の小学校跡を過ぎる辺り、そして谷間の畑の中に道が続いて美都の集落上手に辿り着く美都橋辺りと毎度の各ポイントで、段階的に雲が薄くなり、それ以上にどんどん気温が高くなってきた。

 さすがは道内で一番暑い網走地方である。と思うとともに、寒さすら感じていた、標高980mの津別峠展望台をまた思い出してしまう。

 結局津別手前の豊郷辺りで、すっかり空が晴れた。これならこの後のチミケップ湖もかなり期待できる。

 普通に経済走行で下って、展望台から津別の町外れまでちょうど1時間、これももう毎回同じである。

 11:35、津別着。津別は今日の行程上唯一の町であり、補給可能場所だ。今日はもうチミケップ湖まで30kmぐらいだが、とにかく津別では昼食、セイコーマート立ち寄りなどミッションが一杯ある。
 まずは明日の、チミケップホテルから北見駅への送迎車を確認しておくことにする。今は晴れていて暑くても、明日はどうせほぼ確実に雨なのだ。もう輪行前提に、潰せる不確定要素は潰しておかねば。果たして予め前日までに予約しないと、北見駅送迎の車は出ないとのこと。電話してみてほんとに良かった。これでチミケップ湖から北見駅までは安心だ。
 次は町中大通り沿いの蕎麦屋へ。ファミレス風の蕎麦屋っぽくない店なのに、この閑散とした津別の町中でお昼前なのにお客さんが何人かいた。と思っていると、12時を過ぎてお昼のサイレンが鳴ってから、お客さんが次々入ってきた。果たしてしゃきっと舌触りも味も上々、おまけに大盛りで大当たり。さすがに道内の蕎麦屋は美味しい店が多いように思う。というか、今まで道内で蕎麦がまずい店に入ったことが無い。

 昼食後、セイコーマートで買い出しへ。明日早朝の朝食もあるが、それ以上にセイコーマートでは普通に食べたいものが多すぎる。
 とりあえず思いつく物を仕入れて店の外に出ると、高校生ぐらいの男の子に 「どこから来たんですか」 と声を掛けられた。以前津別のこの場所で、新興宗教に勧誘されたことが有り、ちょっと警戒しながら答えると 「釧路までツーリングに行きたくて自転車を検討していて、いろいろ話を聞きたい」 とのことだった。
 誰かにものを尋ねる前にまず自分のことを話す態度に、とても感心、いや、感服した。大人でもこういうことができる人は少ない。最近こういう立派な態度で大人と話ができる少年が、少しずつ増えているように思う。
 少年の自転車はいわゆるMTBルック車で、とにかく一度釧路へ自転車で行ってみたい。誰に言われた訳ではないがそれにはやはりそれなりのツーリング車が必要だと思っていて、購入資金のためにコンビニでバイトもしているとのこと。
 今の自転車では高校まで自転車通学していて、美幌までなら40分で行けるらしい。私だと裏道の道道経由だが、確か何年か前に美幌から津別まで1時間。彼なら釧路までのサイクリングには十分な体力を持っていると思われた。ならば若い時間を無駄にせず、まず片っ端から近場に出かけてみる方がいい。幸い津別は北海道(私的)最高の峠である津別峠、最高の癒やし系スポットチミケップ湖など、ネタには事欠かない。そうでなくてもたとえば一度網走でも往復してみると、自分が何時間走ればどこまで行けるかの行程感覚や、1日のサドル上での過ごし方、必要装備なども一気に体感できることだろう。自転車なんてその後に考えればいいのだ。そしてできれば、いや是非とも、釧路までの本番には津別峠を含めて欲しい。
 などと若いツーリストとツーリングの話をするのは、とても楽しいことである。
 結局津別には1時間いた。

記 2014/12/30

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Last Update 2020/3/20
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