開陽→(町道北19他)開陽台
(以上#3-1)
(以下#3-2)
→(町道北19他)俣落→(町道・農道)
→豊原(道道831・123)上風連
(以上#3-2)
(以下#3-3)
→(道道813)奥別寒辺
(以上#3-3)
(以下#3-4)
→(道道813)大別→(道道1128他)片無去
→(町道・農道)阿歴内原野→(道道221)塘路
(以上#3-4)
(以下#3-5)
→(国道391)五十石(農道・町道・道道13)標茶
→(国道391)磯分内→(農道)弟子屈→(道道717他)札友内
180km
ルートラボ
今日も自動的に目覚めは4時。それはいいが、何となく身体に疲れが残っている気がする。というか残っているな。まだ身体がツーリングの日々に慣れていないのかもしれない。
しかしこういう状況でも、とりあえず店開きした荷物をサイドバッグに詰めたり、豚丼やらパック野菜やおにぎりを水とともに腹に流し込んでいると、頭も身体もしゃきっとしてくる。疲れていることは疲れているが、まだそれほど深刻なものじゃない。
窓の外が次第に明るくなってきたことも、気持ちに張りを与えてくれる。空の雰囲気を伺うと、昨夜の予報通り、開陽を発つ今朝になってそこそこ天気がいいようだ。ならば今朝も開陽台に行かねば。昨日は雨で開陽台本来の展望を楽しめていない。
5:45、開陽「民宿地平線」発。毎回この時間に起きている女将さんが、今日も見送ってくれた。また来年も序盤で連泊して、根釧台地202kmコースを走りたいと思いつつ、森を抜けて前の道へ。
道に出ると、町道はまだ黒々濡れていた。やはり昨夜遅くは雨が降ったのだと思った。しかし、空は薄曇り以上に晴れていて、部分的な雲は高く、曇りの光線状態というより明るく赤みの帯びた朝の陽差しが辺りを照らし始めていた。
途中私的撮影ポイントの町道ダートへ立ち寄ろうと思って曲がり角を入ったところで、この時間のこの道にしては珍しく、乗用車が続けて入ってきた。追い越すだろうと思って自転車を道の脇に寄せて立ち止まると、後ろの車も少し向こうで停まり、何と「民宿地平線」の石川さんが降りてきた。出発見送りに、わざわざ車で追いかけてきて下さったのだ。
昨日雨のせいもあって押してしまった開陽台への登りは、今朝は全部自走で登ることができた。いつも4サイドで登るときと同じように、インナーローまでギヤを落としてじっくり登れば、ちゃんと登れるのである。少し安心。思えば昨日は、202km空荷の順調ペースで何となく快調な気がして、ちょっと重めのギヤで踏み込みすぎたかもしれない。雨でちょっと焦っていたかもしれない。
6:20、開陽台着。駐車場の私的指定席に自転車を停め、まずはたっぷり濡れたままの展望台へ。
空は薄曇りだが雲は高く、青空が出ている部分もある。そうかと思うと西側の丘には未明の雨雲がまだ部分的に残っていて、手前の山裾の森に朝もやが残っている。
しかし雨上がりのためか景色は全体としてクリアでしっとり。手前から遠景に続いてゆく防風林のグリッドが、やはり昨日よりよく見える。
済んだ空気の中で低い雲が常に動いてゆき、刻一刻と変わってゆく根釧台地。上々の開陽台ではないか。
車がやってくる音がする。この時間にして、早くも時々早起きの訪問客が車で上がってくるのだ。この景色を共有できる人がいることが嬉しい。しかし、展望台から駐車場を見下ろして初めて気が付いた。今年はバイクが駐車場に1台も停まっていないのだ。えっ、と思って展望台裏手のキャンプ場を眺めると、こちらにもテントが一張も無い。いくら雨続きだったとは言え、ライダーの聖地だった開陽台にライダーがいないのは、かなり異例と言っていい。
そういう観光客の些細な傾向とは関係無く、今日の開陽台は来て良かった、また来ようと思わせてくれる眺めである。
6:50、開陽台発。
まずは俣落から一目散に南下開始、中標津市街地の西側から根釧台地南部を目指す。
この辺りの既済経路を微妙に避けて組んだコースで、所々不連続な町道や農道を少しづつスライド。段丘から低地へ、そしてまた台地に乗り上げ、牧草地、防風林、谷や森を通り過ぎてゆく。
こういう走り方はGPS導入で計画も実走も以前より飛躍的に簡単になった。既知と思っているエリアの、全く知らない新鮮な表情を楽しめる場合が多く、最近よく使う方法だ。
▼動画37秒 俣落から南下中 1
いつの間にか路面は乾き始めていた。空の雲が動き、濃い色の青空と鋭い陽差しが辺りを照らし始めていた。それまで気温が多少低くても、こうなると周囲の体感温度が一気に上がり始める。
途中見つけた自販機で缶コーヒーを飲みつつ、現在位置を確認。開陽台の麓から100mも下っているためか、距離も順調に稼げている。まあまだこれからだ。
▼動画41秒 俣落から南下中 2
国道272を渡り、更に不連続な道を少しづつ乗り換えて道道831を目指す。コース計画で地図を眺めて道を繋いだ時には、それなりに効率良くコースを組んだ気でいたコースだった。
実際の道は、不連続な道と微妙なカーブが続き、「ここで曲がるのか」「こっちへ行くのか」となかなか勘所が掴めない。地図を見ていないと今どの辺りなのかすらわかりにくい。
また、ルートラボ上での自動選択が大回りで、近道をポイント指定で結んだ区間は、ことごとくダートだった。自動選択の理由がよく理解できた。
ダート区間はパンク回避の観点から、ペースをかなり落とす必要があるため、結果的に自動選択の大回りより時間がかかったかもしれない。
しかし、それらのダートがどこも概ね良好路面だったのは有り難かった。
▼動画48秒 道道831開始
地形が中標津の平原から、別海の掘りが深い丘陵へと移行してゆくとともに、道道831は次第に大きくなってゆく丘や谷を越え、南下してゆく。
空の雲は再び低く、ボリュームを増やすとともに、辺りの景色から陽差しの色の成分が消えていた。
まあこれぐらいが涼しくて助かる。雨にさえならなければ。
途中豊原の道道と町道の交差点に、1軒だけぽつんと建つ商店には記憶がある。というより、以前特に何の気も無く撮った写真が、その後印象に残っていたのだ。確か1996年の写真だったと思う。そのお店が、たまたま今日の道に登場したのである。そう言えば確か前回も、養老牛温泉から中標津西側を通ってこちらに来たと思う。久しぶりの表敬訪問のつもりで店で缶飲料を買おうとしたが、店番のお婆さんは何だか店先まで来るのがしんどそうな雰囲気だった。必要とされているからお店が続いているのだとは思うが、どこも年月が経っているのだ。
道道831で南下する間に、天気は予報通りいい方に変わっていた。低い雲が勢いよく流れ、真っ青な空が見え、陽差しが辺りを照らし始めた。
10:00、上風連着。昨日も来た上風連、今日はA-COOPには寄らず、とりあえず道道813の交差点でおにぎりを食べるだけにしておく。
上風連からは昨日も通った道道813へ向かう。
道道813は広々とした台地上、丘の森、牧草地を、直線とカーブを繰り返して通り抜けてゆく。晴れの日に眺めるこの辺りの風景はとても変化に富んでいる。
最近こちら方向から通る時に、これだけ晴れる日があまりなかったような気がする。というか、あまりことらからこの道を通っていなかった。良い道は逆から通っても新たな発見がある。
昨日通った根釧台地202kmコースも、また別の日に通る価値があるのだと思った。また来年この道を走る理由ができた。
▼動画11秒 道道813 アップダウンを経済走行中(笑)
西円から茶内原野へは一直線アップダウン。その後は高知の広々とした牧草地。
やはりこの道、天気がいいと印象が全く変わり、広々と伸びやかな台地の風景が心に残る。
奥別寒辺牛から先は別寒辺牛湿原区間へ。ようやくここから昨日のコースの外へ出る。
足かけ3日間の広大な根釧台地の後だと、毎回何となく奥行きの知れない雰囲気が感じられる森の丘も、比較的こぢんまりした距離感で淡々と進める道になってしまう。
しかし、途中丘の切れ間に拡がる別寒辺牛湿原は、やはり何とはなしに雄大、重厚とでもいうべき存在感を感じさせてくれた。
湿原が開けた後は、大別の牧草地まではあと少し。丘陵のアップダウンを経て、丘の植林が牧草地に変わり、眼前に大別の谷間が拡がった。
牧場の間を近道で抜け、12:10、大田で道道14を通過。厚岸と標茶を結ぶ道道14は、根釧台地の外郭線のひとつと言える。その道を越えることは、根釧台地の外側へ出るということだ。あまりすかっと晴れなかった今年の根釧台地だったものの、ちょっと寂しい。毎回こういう気持ちとともに道東から道北へ。そしていつの間にか旅の時間が過ぎてゆくのである。
太田からは道道1144へ。厚岸から標茶への台地はやや彫りが深く、まともに横断する道ではアップダウンが頻発する。この道道1144は道道なだけあって、台地上の平坦な部分を上手い具合に通り抜けている。何本かある丘陵深入りルートの農道は、過去何回かの訪問で全て通ってしまっていて、この道も農道も楽しい道であることはわかっていた。
今日はおとなしく台地上へ、穏当な地形の道道1144を進む。
今日もお昼を過ぎてから、何となく眠気に襲われつつあった。
13:15、南片無去「夢紀行」到着。もう10年以上前から牧草地の中にぽつんと喫茶店ギャラリーが2軒、そのうちの1軒だ。以前は確かグリーンウェーブという名前で、ある時点で夢紀行という名に変わったのだが、今回その事実関係を確認できた。店内の営業許可証が「株式会社グリーンウェーブ」名義になっていたのだ。多分団体名はグリーンウェーブで、店の名前だけ変えたのだろう、等と勝手な想像をしながら外の軒下で。少しソフト休憩とする。
休憩していると一気に眠気が襲ってきた。やはり少し疲れが出ているのかもしれない。
東阿歴内では国道272を横断するため、一気に谷底へ降りる。この後塘路湖へ向かうには、国道272を越えてからまた登り返し、更にすぐ下ってしまう。せめてここに大きな橋があればとも思うが、無いものは仕方が無い。
そんなことより、国道272を横断する少し手前に「おはか→」と手描きで描かれた看板があって、やはり毎回私的名所となっている。最初見たときにはちょっと驚いたこの看板、東阿歴内墓地への標識のようだ。今日のように夏の比較的過ごしやすい日ばかりではなく、冬の凍り付くような寒さの中でもおはかを見守る気持ち、何だか亡くなった親族、地域の人々への親しみと尊敬が感じられる。素敵だなあと思う。
阿歴内側に渡ると道は一端台地の上へ。どうせ登ってもまたすぐ低地へ下ってしまうこの道、いつも無駄な登りだとは思うが、登り返し後は180°以上の丘陵の展望が開ける道でもある。
過去の訪問ではいつも塘路湖側から来る事が多く、この風景に根釧台地の香りを感じていたが、根釧台地側から来るとやはりここはもう別のエリアに属する場所だと思った。
丘を巻いたら農道は一気に谷底に下り、阿歴内の低地を塘路湖岸へ。
もう塘路湖だと思っていると湖岸区間は意外に長く、アップダウンもあってなかなか塘路に着かないのが、いつも大変じれったい。
14:10、塘路着。
ここから標茶手前の五十石まで、国道391を通らねばならない。この道、走ったことがありそうで実は初めての道である。もともと釧網本線と釧路湿原沿いの幹線・観光ルートだし、かなり以前釧路から別保の先まで通った時に交通量が多かったので、今まで何となく近寄らなかったのだ。塘路湖、シラルトロ湖岸を通るため展望はいいものの、途中の丘を登って下る無駄なアップダウンが有ることも、地図でわかっていた。
実際の国道391もやはり慌ただしく埃っぽい。釧網本線からは見えないシラルトロ湖岸のリゾート地っぽい印象と、釧網本線がいかに釧路湿原へ入り込むかを実感できたことが目新しかったものの、ちょっとしたアップダウンが大変鬱陶しい。更に腹が減ってきて、ここまでの疲れも炸裂し始め、何だか気が散って前に進むのが億劫である。
のろのろ走っていると、前方道ばたにワゴン車が停まっていて、脇にこちらに向かってカメラを構える人を発見。例によって今日の宿「鱒や」の宿主さん、橘さんなのだった。釧路での仕入れの帰り道、私を発見したとのこと。
「もう乗ってきゃいいじゃん」と言って下さる橘さん。しかし、やはりこの先の広域農道を通りたいためにこの国道391を我慢して通っているのだ。ここは橘さんに先行していただき、少し先の五十石で一昨日通った農道へ入り込む。
静かな道に戻って、癒やし系ツーリングの再開である。
15:20、標茶着。
腹がかなり減っていた。食料を持っていないわけではなかったのだが、かといって停まるに相応しい場所が無く、そんな簡単な理由で走り続けざるを得なかったのだ。とはいえ、途中で襲ってきた眠気には道ばたで立ち止まったまま居眠りして対処している。自分でも単純に気分の問題なのだろうとは思う。やはり昨日一昨日の疲れが出ているのかもしれない。
食事には中途半端な時間なので、豚丼はじめHotchefのメニューは売り切れだった。PBブランドの美味しいカップ麺をこの機会に食べておくことにする。そんなことをしていると、すぐに時間が経ってしまうのであった。
結局40分も休んでから、16:00標茶発。
弟子屈までもう約20km余り。何だか安心感も手伝って、一気に疲れが出てきてしまっているような気がする。
幸い風は僅かに追い風気味の横風、道が曲がると向かい風気味になるものの、1時間我慢して進めば弟子屈到着だ。
途中磯分内から、広域農道へ入り込む。実は標茶の少し先で、最初の分岐ポイントを見逃してしまい、無駄に国道391を走ってしまっていた。
最後にこの広域農道自体を走るために全体を決めた程、今日のコース中重要パートのこの道。去年橘さんに車で釧路へ送っていただくときに教わった通り、やはり牧草地や森の中を淡々と進む、車の少ない静かな良い田舎道だ。アップダウンは無いわけじゃないがこの辺の道にしちゃ比較的少なく、広域農道のためか道路の表情は最近の道道みたいにゴージャスじゃなく適度にくたびれているのも、更に癒やし系である。
今日のように体力と時間と気持ちの余裕が少ないときに、標茶方面から弟子屈への私的幹線、内陸経由でやや登り総量が多い道道53を通らなくて済む、楽しく実用的なルートだと思った。
それでも標茶から弟子屈までは20数kmなりの距離感覚がある。磯分内、南弟子屈と並行する釧網本線の駅を地図で眺めたり、釧路川の向こう岸の谷間を伺っていると、1986年の最初の北海道ツーリング時に国道391で弟子屈から標茶へ向かったときのことを思い出す。あのときは暑い日に退屈な国道、しんどい1時間だった。日焼けで水ぶくれまで起こしたっけ。今日はもう夕方、日が傾いて木陰が多く、空気が涼しくて大変助かる。
南弟子屈を過ぎてしばらくすると、道がおもむろに河岸段丘から谷間に下って、すぐに弟子屈の町外れが始まった。17:10、弟子屈着。いつものセイコーマートで無事明日の朝食の豚丼や行動食を仕入れ、サイドバッグに押し込み、道道717へ。
17:50、札友内「鱒や」着。
「だいぶ寄り道したんじゃない〜」と橘さん。さっきお会いした地点と時刻にしては到着が遅い、というツッコミだったが、確かに標茶でかなり休憩しているし、広域農道の静かさに甘えてずいぶんのんびりペースだった。さすが橘さん、この辺の距離と行程感覚はばっちり。お見それしました。
早寝しようと思って予約時に一人部屋をお願いしておいたのだが、私のレーパンに着いていたガムらしき物体がシーツをまだ敷いていなかった布団に着いてしまい、鱒やさんにご迷惑を掛けてしまった。恐縮です。
しかし一方、鱒やでは嬉しい再会があった。夕食時にお話ししていた一人旅の方が、「確か以前ここでお会いしたことありますよ」という話になって思い出した。2008年に鱒やに泊まった翌日、津別峠で写真を撮っていただいた方だったのである。大好きな会津の昭和村が故郷とのその方に、こちらも2008年に撮っていただいた写真を高地Netでお見せして、ようやくご報告できた気分になれた。
記 2014/11/9
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