北海道Tour14#2
2014/8/7 民宿地平線の
根釧台地ベスト202km-1

開陽→(町道北19)武佐→(道道775)東武佐→(農道)俵橋
→(道道994)中春別→(農道)別海温泉→(新酪農道)奥行
→(道道930)上風連
(以下#2-2) →(道道121・813)奥別寒辺牛→(道道813)西円
(以下#2-3) →(道道928)上風連→(農道・町道)西春別
→(道道957)泉川→(農道・町道)萩野
(以下#2-4) →(道道13・町道)虹別→(道道885)養老牛
→(道道150他)俣落→(町道北19他)開陽台
→(町道北19他)開陽
 195km  RIDE WITH GPS

赤は本日の経路 灰色は既済経路

 自動的に意識が戻って時計を見ると、3:56。いいぞ、ツーリング中はこうでなくては。
 次に窓の外に雨と水滴の音に気が付いた。やはり天気予報通りに雨が降っていた。しかも大雨だ。昨夜はあんなにその気配が無かったのに。
 予報では6〜9時までは降水量時間0mmの小雨、それ以降は曇り・晴れ。6時まで待って出発してしまえばこっちのもんかもしれない。逆に現実が少し悪化すれば、お昼頃まで雨に悩まされるという事態も十分ありうる。などとうじうじ考えるうちに、あっというまに時間が過ぎてゆく。とりあえず思いついたこと、手近なことから片付けてゆかねば。荷物再編が一段落したら次は朝食だ。
 まだ4時台。薄暗い中での朝食は、あまり食が進まない。歳とともにつらくなっているような気もする。しかし昔は起床がもう少し遅く、そもそも朝食べずに出発して途中でセイコーマートに寄っていたのだ。
 今朝はそういう悪条件を跳ね返す強い味方がいる。昨夜、セイコーマートでHotchefの豚丼を入手しておいたのだ。この豚丼、賞味期限が0時なので、賞味期限外の自己責任で食べるということになる。しかし折角の豚丼がこの早朝に屋内で食べられるのだ。それに賞味期限切れの実態は、単にご飯が冷えているだけで肉もまだあまり固くなく、実に美味しい。
 他にも途中の補給用におにぎりを8つ、クロワッサンはじめパン類を5つも仕入れてある。昨日は羽田で朝食に手を抜いて、結局標茶までつらかった。今は朝食物資を、水で喉に流し込んででも食べておかねば。

 5時を過ぎると辺りは次第に明るくなり、雨は1度完全に止んだ。雲は相変わらず厚かったが、その後再び降り始めた小雨に、もはやあまり深刻に降りそうな気配は無い。こんな空模様から、10分後に天気の状況が悪化することは珍しくない。それでも天気は、次第に9時過ぎの雨上がりに向かうのだろう。そして走れるペースで走っていれば、問題無く今日の予定をこなすことができるだろう。ならばもう迷うこと無く出発してしまえ。

 5:40、開陽発。小雨は案の定ぱらぱら程度に収まっていて、折角着込んだ雨具は単なる防寒具と化している。ありがたい方向だ。

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開陽から中春別経由で奥別寒辺牛へ 赤は本日の経路

 まずは町道北19で東へ。少し進んだだけで武佐上手の展望ポイントに到着するのが、民宿地平線のいいところである。

 

 南へ折れ曲がる町道なりに東武佐方面へ。根釧台地北東部は広々と平滑なので、景色にあまり下っているという印象は無いが、何もせずにどんどん速度が上がるほど道は下っている。確かにこの道、逆方向からだと毎度がくっと速度が落ちるのだ。今日は有り難くただただ下らせていただくことにする。いずれこの道に下りの借りを返すことになるのだろう。そもそも今日の終着は民宿地平線であり、夕方には今下っている分を最低限登り返すことになるのだ。それに今日は1日じゅう根釧台地。登って下っては別に珍しいことでもない。

 

 武佐でこの道には珍しい商店と自販機が登場、東武佐でももう1度商店が登場する。東武佐には国道272との交差点近くに正ハリストス教会がある。かつては標津線の駅もあった。古くからこの辺りでは比較的栄えていたことが伺える。

 そんな東武佐で表敬訪問の証しに、朝のコーヒーをここでいただいておく。ふと気が付くと、国道272の反対側に「遙かなる山の呼声」の撮影地である旨の看板があった。中標津が舞台なのは知っていた。そうか、倍賞千恵子と吉岡くんの家はここだったのか。
 映画そのものは、山田洋次監督に高倉健主演、悪い訳が無い。現在のその場所は、国道の反対側から眺めていることもあって、映画での印象より多少こぢんまりとした雰囲気が意外だ。標津線の駅のすぐ近くだったこの場所、当時はもちろん国道といえどダートだったかもしれない。帰ったら録画を見よう。

 気が付くと、多少雨が降ってきていた。まだ出発直後、戸惑ってはいられない。雨具を着込んで早々に出発、道道774の小さなクランクからコースは農道へ入り込む。

 道道沿いのまばらな民家を抜けると、辺りは一気に牧草地と森のまっただ中になってしまった。俵橋から道道994を経由して別海へ向かうこのコース。道が少ない標津内陸でうまく既済経路の間を抜けてくれていて、全く初めて通る道がしばらく続く。

東武佐から中春別経由で奥別寒辺牛へ 赤は本日の経路

 海岸が近い標津の例に漏れず標高は低いが、その割には微妙なアップダウンが意外なほどダイナミックな彫りの深さを地形に描き、所々開ける牧草地は意外なほど開放感がある。根釧台地の比較的海岸近くに、まだこんな道があったのだ。

  雨降る空の中に突如青空が登場 根釧台地では以前一度経験がある RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 道が僅かに下り基調なせいか、頑張っていないのにやけに快調な行程だが、南に進むに従って雨が強くなってきた。かと思うと、低い雨雲が切れ、突如青空と陽差しが一瞬だけ現れたりもした。根釧台地では、いや、北海道の原野ではこういう変な天気は決して珍しくない。やはりここも根釧台地まっただ中なのだ。

 雨雲は低いようでも、基本的にはそう厚くないのだとも思った。ならば早く消え失せてくれ。

 丘の牧草地、谷間の森が断続する中を道は南へ進んでゆく。東武佐で40mぐらいだった標高が、もう20mにまで下がっている。

 忘れた頃に現れる海岸方面への標識も、標津から尾岱沼、床丹へと推移している。景色は同じようでも、過ぎてゆく時間と景色なりに行程が進んでいることを実感できた。

 道が牧草地の中をくるっと西へ向きを変え、別海温泉で国道243を少し経由して新酪農道へ。いつも営業している気配が無い別海温泉の実態を確かめておきたい。ほんとは3kmぐらい逆方向の別海へ向かい、そろそろセイコーマートに立ち寄りたい。しかしその必要があるわけじゃない。私の脚力では、このコースでそうそう立ち寄りできるほどペースが稼げない。先を急ごう。
 同じ別海町でも国道243が東西エリアの境界になっているのか、新酪農道沿いの風景は、国道243以東の地形に比べて更に彫りが深い印象がある。道はその起伏の中イレギュラーなカーブを描き、風景もダイナミックに動き始める。
 それはこの新酪農道だけではなく、もう少し西の道道121や928などでもみられる、別海町東内陸部全体の特徴であるように思う。更に進んで浜中町に入ると、別海で感じられる地形のダイナミズムに替わり、丘や牧草地の風景に広々とした親しみやすさが漂い始める。地形がより平滑になり、牧草地が増えるとともに、人の痕跡を感じられるようになるのだと思う。
 ひたすら緑とアップダウンで漠々とした印象が強い根釧台地だが、それはそれで場所毎の個性がひとつの見所なのだ。

 アップダウンのバウンドがどんどん大きくなった辺りで、新酪展望台が登場。今日のようなコースで中標津からじっくり根釧台地を味わって来ると、この辺りはやはりその地形自体に見応えがあると思う。牧草地の高台に建つ鉄骨櫓を、中標津の開陽台、標茶の多和平に対抗する別海の必殺技か、などと想像するのも楽しい。今日は雨っぽいので立ち寄りは省略。展望台の手前、大変可愛らしく個性的だった牛の「momoちゃん」の看板が、老朽化のためか全く別のものに替わっていて、やや残念だった。
 相変わらず空は暗く雲は低く、道は黒々ぬらぬらだったが、牧草地の中をいくつか屈曲して上風連に近づくと、いつの間にか雨が弱くなり、おもむろに集落と、このコースで非常に珍しいコンクリートの建物が見えてきた。上風連のAコープである。

 8:55、上風連着。やっと陽差しが出始めていた。

 

 上風連に近づく辺りから、急に腹が減っていた。6時、9時、12時、15時はツーリング中の私的補給タイム。時間通りにがくっと腹が減り始める感覚を、昨日も感じていた。近年顕著になってきたこの傾向、明らかに歳のせいだと思う。大体10台の頃など、朝5杯ぐらい喰って、夕方宿まで保ったものだった。もっとも昔は計画がルーズで、もっとちんたらしていたように思う。そういう感慨とは裏腹にがつがつと集中的に、おにぎり2個とクロワッサンを、水流し込みで腹に詰め込んでおく。

 自転車をA-COOPの屋根の下に停めたので、お店のおじさんが話しかけてきた。どこから来たのかから始まるいつも通りの会話の後、店に入るとおばさんがいた。このおばさん、確か前回2012年にホクレンの無料地図「ZigZag」と牛乳を下さった方に間違い無い。そのお礼を言うと、おばさんは「そう?覚えてない」と笑っておられた。

記 2014/11/5

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Last Update 2020/3/20
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