幾寅→(北落合農免農道他)北落合
(以下#6-2)
→(北落合農免農道他)幾寅
→(国道38)西達布→(農道・道道253)麓郷
(以下#6-3)
→(道道253)布礼別
→(町道ベベルイ基線他)東中→(道道298)上富良野
(以下#6-4)
→(道道298・農道他)美瑛→(農道・町道)大村
119km
RIDE WITH GPS
夜中、外に雨音らしい音が聞こえて耳を疑った。せっかく2日北落合へ向かえる行程を組んでいたが、昨日は雨と霧で北落合への訪問を断念していた。明日も北落合へ行けなくなるのは大変残念なことだ。
しかし、夕方晴れていても夜中に雨が降るのは別に珍しい事ではない。ましてや上川地方の一番山奥なのだ。それに、布団の中で耳を疑ったからって天気が変わるというものではない。気にしたって気付かなくたって、朝には降っているか雨が上がっているかのどちらかなのだ。
4時に起きるとまだ雨は少し残っていたが、何とか5時過ぎには順当に相当弱くなり、5時半過ぎにはほぼ完全に止んだ。それでもまだほんの少し、顔面に水滴を感じつつ、6:10、幾寅発。
まずは幾寅川沿いの谷間を、農免農道北落合線で遡る。
雨はとりあえず止んだものの、谷間の空気にはまだ湿気がたっぷり残っている。水分とともにしんと静かな森や茂みは、なんだか大型野生動物が潜んでいそうで大変ブキミである。
そんな森と茂みの中、誰も通っていないアスファルト道路の範囲だけの人里の香りと、この先の北落合のイメージを心の支えに、少しづつ段階的に上がる斜度で落ちたペースで、そろそろおそるおそる進んでゆく。
しかし時々路上を寝ぼけたように歩いているミヤマクワガタが、その不安な気持ちを和らげてくれた。中にはけっこうな大型クワガタまで登場した。
道ばたの畑が狭くなり、森と川原と道だけになり、ぐいぐいっと道が登り始めて少し経つと、突然牧草地の土手が前方に登場。土手を回り込むように登り詰めたところで、突如それまでの狭い空間からは想像しにくい北落合の畑が拡がった。
7:10、北落合着。
頭上には相変わらず低い雲が垂れ込めているが、動き続ける雲の隙間から、ほんの一瞬青空が見えた。
少し待てば晴れの北落合に出会えるかもしれない。今日はどうせ美瑛へ行くだけだ。個々北落合で680m地点に行かないと時間が余ってしまうぐらいに余裕があるのだ。というより、北落合でゆっくりするための、2日がかりの計画なのである。夜中には一度諦めかけた北落合に、今到着したのである。焦らずに落ち着いた訪問にすべきだ。
元学校などが点在する北落合中央には、商店の類は一切無い。小学校には給水栓はあるものの、まだ敷地内に入り込むのも気が引けるぐらいの朝である。しかもそもそも水はまだ一杯ある。
そのまま680m地点に向かう。隆起する丘には牧草地や野菜畑、防風林が広がり、農家が点在する。しかし、拡がる畑や丘を縫って続く道は、目の前の景色として眺める分にはなんだか開放的だが、脚に感じる抵抗は間違い無くこの道が5〜6%ぐらいの坂であることを教えてくれる。まあしかし、昔の美瑛とよく似ている景色を、落ち着いてのんびりゆっくり眺めることができるとも言える。思えば昔巡った美瑛の丘は、ここ数年ますます観光化して親近感が無くなってしまった。北落合の風景には伸びやかな印象と個人的な郷愁が感じられ、北海道の中でもとても好きな場所なのだ。
680m地点は、北落合の一番上手にある。一直線の道が最後の10%ぐらいのひと登りで、畑の縁に乗り上げるこの場所で、しばらく休むことにする。
▼動画46秒 北落合680m地点到着 曇りだけど私的に感動的
昨日の狩勝峠から今朝未明まで、天気で何かと危ぶまれた北落合訪問だったが、思い切ってきてみて良かった。のみならず、昨日の狩勝峠より標高の高いこの場所で、何とまだ7時台。幾寅泊の効果が遺憾なく出ている。しかし、空気は朝の爽やかで一杯だが、いかんせん天気は曇りで湿度も高く、ややぬるいそよ風と共に頭上のかなり低い位置を薄いグレーの雲が高速で次々に通り過ぎてゆく。さっき北落合中央で青空が見え始め、辺りが明るくなってはきたものの、今は再び薄暗くなって、顔に水滴がぱらぱらっと落ちては止むこともある。
上川地方の天気予報は曇り。しかし、この山奥では予報はやや危険側に見込む必要がある。このまま天気が悪化しても、何の不思議も無い。更に言えば、今日この先の行程で、途中天候が悪化しても何の不思議も無いのだ。そう考えると、今目の前の風景を精一杯楽しんだら、あまり必要以上に長居せずもう次に進む方がいいような気もしてきた。いや、そもそも必要以上の必要とは何なのか、という問題はあるが。
しかしあまりうじうじ考えていても、天気は一向に変わらないような気もしてきたところで、ちょうどまた水滴をぱらぱらっと顔に感じ始めた。もう下り始めよう。これが今年の北落合訪問なのだ。
記 2014/1/26
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