大村→(町道・農道他・道道353・291)上富良野
(以上#10-1)
→(道道298)東中→(町道ベベルイ1号線)布礼別
→(道道253)麓郷
(以上#10-2)
→(道道253他)しらはぎ→(国道38)幾寅
(以上#10-3)
>→(農免農道落合線・村道他)北落合
→(農免農道落合線・村道他)ルーマ
(以下#10-5)
→(道道1117)串内→(道道136)トマム
114km
RIDE WITH GPS
いつもの幾寅川沿いの狭い谷間を少し遡ると畑が無くなり、人気の無い森の谷間に幾寅川と1本道だけが続く。
緩い上り勾配の斜度が少しづつ増え、その度に遅いペースが更に落ちていく。
途中で稜線方面の東幾寅へ分岐する道へ。少し登り量は増えるが、地図では台地上に段階的に畑が拡がっているのが読めた。北落合らしい雰囲気の、また別の風景が拡がっているのではないかと期待していたのだ。
森の中、そう長くはないものの、きりきりっと厳しい登りが少し続いた後、広葉樹の林の向こうにのんびり静かな畑の風景が拡がった。
13:15、東幾寅着。想像通り、北落合のどこかとまるっきり同じというわけはなく、しかしこの付近独特の、起伏豊かな丘に伸びやかな広がりが感じられる畑の風景だった。
今日ももうお昼過ぎ。ここまで来る間にも雲が早く動いていて、谷間では水滴を感じることもあったが、今はもういつのまにか晴れ始めている。
しばらく続いた登りで、身体中汗だらだらだ。ボトルから飲むぬるい水がとても美味しい。この暑さ、日差しの強さ。やはり道央から南部の日高エリアに近づいていること、そして旅が終わりに近づいていることを感じる。
▼動画36秒 東幾寅 展望240°
森の中の沢を渡る短いアップダウンを経て、北落合中央に着くと、比較的広い畑に1本だけ立っていた印象的な木が無くなっていた。かなり絵になる大きな木だった。再会が楽しみだったが、まあ前回来たのが2008年。4年も経てば、それなりに景色が変わっても不思議ではない。
畑の真ん中に1本立つ木というものは、誰かが「ここに木を植えたい」と、何かを意図して植えるのではないかと思われる。それが景色として必要なのか、何かの目印に必要なのかは想像するしかない。それが無くなってしまうのも、また何かそれなりの理由や出来事があったのかもしれない。全部余所者の想像に過ぎないかもしれないが。
いつもの農免農道落合線へ足を向けることにする。周囲は比較的開けた農村だが、北落合中央から目指す北落合の一番奥、標高670m地点までは100m強の登りだ。更に今日は向かい風がかなり強く、相変わらず雲が速くて時々水滴も感じると思えば日差しも青空も現れる。田舎道の畑を日高や狩勝の山々が取り巻く風景は、いつものように北落合ならではの雰囲気だ。どうせ脚力の都合で急いだって急げないので、きょろきょろしながらゆっくりと脚を進めていけばいい。時間は取ってある。
14:05、670m地点着。
来てみれば青空と日差しが一応現れている。雲は多いものの、刻一刻と動いてゆく雲の形は退屈しない。足下から下ってゆく一直線の道、行く手にそびえる日高の山々、狩勝の山々に囲まれる裾野の畑。パソコンのデスクトップで見慣れた景色と同じで、何だか2008年以来とは思えない。しかし、手前の畑が前回のニンジン畑の明るい緑から、今回はソバ畑も変わっていて、白い緑色の茂みがややボリュームがある。まあいずれにしても、全く問題の無い、大変爽やかな北落合の風景だ。
▼動画1分1秒 北落合 670m地点 展望360°
おにぎりを食べながら、30分ぼうっとするのも前回と同じ。ぼうっとするのにとてもいい場所だ。ここまで来るのに美瑛からなんだかんだで半日ずっと移動し続けているし、それは今日に限ったことではない。釧路から道東や道北まで回ってここに到達できたことが、何だかとても不思議に思えてくる。これから札幌へ向かうのにも、トマムか落合へ下って列車に乗る必要がある。それに何だか見慣れている気がする景色とは言え、前回の訪問から4年。嵐の日も極寒の冬も越え、4回目の夏でまた似たような景色が拡がっているだけのことなのだ。
ここがどこであっても、普通に走っていれば普通にどこかに辿り着き、またどこかへ向かってゆく。それだけのことなのだが、今自分が身を置いているのが北落合の空気の中だと努めて感じるようにすると、贅沢な時間だとも思えてくる。そういう気分になれるのは、やはり自分が気に入っている場所なのだろう。そして考えるのは一瞬だが、やはりなるべく長い間この場所にはいたい。行程の空気を読みつつ。
14:30、もうタイムリミットだ。670m地点発。
▼動画1分4秒 670m地点から下り始める
空にはまだ雲は多いものの、もうすっかり晴れ基調。日差しは今日も午後の赤みが混じり始めて、赤みが映えた森や草の緑が眩しい。
道ばたの畑やら牧草地の入り口やら、北落合中央に下る途中でしょっちゅう寄り道してしまう。タイムリミットだというのに、北落合は見所一杯だ。
そうでなくても、北落合中央の下手には絶対外せない立ち寄りポイントがある。道ばたからほんの少し畑の入り口手前まで踏み込んだところで、見上げる丘の上に立つポプラが余りに様になっているので、1998年の初北落合以来いつも立ち寄る丘である。
ところが今回訪れてみると、丘を見上げる定位置が、立ち入り禁止のフェンスの向こうになってしまっていた。大変残念だが、誰か畑の中で三脚でも立てたのかもしれない。また、道の反対側、丘の向こうにポプラ並木を眺める場所も、今年はソバの背が高く、ニンジン畑で眺めのよかった頃と比べて少し景色のニュアンスが変わっていた。
▼動画37秒 北落合 丘を見上げる定位置 展望360°
北落合からは農道へ。北落合の段丘からシーソラプチ川の谷間へ降り、落合方面へ下ってゆく。
2008年以来4年の経過を感じさせることが多かった訪問になったが、まあしかし、私などは数年に一度一瞬訪れるだけの通りすがりだ。旅先の、その土地の事情で変わったり変わらなかったりする風景や人々を自分の感性で眺め、粛々と脚を進めることが、私のするべきことである。
記 2013/2/23
#10-5へ進む #10-3へ戻る 北海道Tour12 indexへ 北海道Tour indexへ 自転車ツーリングの記録へ Topへ