北海道Tour10 #4-1 2010/8/9 海岸町→開陽

海岸町→(道道87)相泊温泉→(道道87)海岸町
(以下#4-2) →(道道87)羅臼→(国道335)薫別
(以下#4-3) →(道道1145)北標津→(国道244)西北標津
(以下#4-4) →(道道975)武佐→(町道北19)開陽
  107km

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 夜中に宿の前の道を通る車の音で、路面がびっしょり濡れているのがわかった。これだと知床峠どころか相泊温泉すら断念だが、とにかく今は寝るしかない。
 目が覚めるとアラーム2分前、3:58。ツーリング時間に身体がばっちり合ってきてるのはいいが、薄明るい窓の外を伺うと、肝心の空はかなり雲が低い。
▼展望200° 海岸町おじろやの朝 画像上でマウスをドラッグしてください

雨上がりのおじろや前 RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 パノラマ合成

 下で雲が低いのに知床峠が晴れている場合もある。2002年の訪問では、下界は曇り時々雨ぐらいだったのが、峠手前から雲が切れ、峠では真っ青な空と、濃厚な緑の羅臼岳に圧倒された。しかし、麓から峠まで終始霧と雨の中だった、2008年のような場合だってもちろんある。
 当初予定通りに知床峠から清里峠を経由して開陽へ向かうとしても、雨を避けて空荷で相泊へ往復してから直接開陽へ出発するとしても、今は最低限いつも通りに荷物をすぐ積める状態までまとめておく必要がある。荷造りしながら時々窓の外を伺っていると、空が何となく明るくなってきた気がしたり、絶望的にどす黒く暗くこともある。煮え切らない天気だ。しかし、ずっと共通しているのは、海上に国後島のシルエットが全く見えないこと。つまり、間違いなく湿度が高そうなのだ。下界で湿度が高ければ、山の上の方まで雲が切れない可能性も高そうに思える。
 とすれば、昨日宿到着前からずっとあれこれ悩んでいた知床峠だが、やはり今日は断念すべきだろう。ならば今朝はまず相泊温泉往復である。

海岸町から道道87経由で相泊温泉へ 赤は本日の経路

 荷物を部屋に置いたままで、6:05、空荷で海岸町おじろや発。
▼動画21秒 海岸町 天狗岩のトンネル

 やはり空荷は圧倒的に自転車が軽い。おまけに追い風、かなり快調な往路である。復路はこれが向かい風になって返ってくるが、そのことは今は考えないことにしよう。

 オホーツク海から切り立った知床山脈。その海岸縁に張り付く漁村を、道道87は北上してゆく。昨日の羅臼までの道より全体的により陸地が狭いが、やはり道幅は広めで、海岸側は番屋、山側に民家。各季節の漁最盛期には、路上まで使って作業が行われるのかもしれない。

 さっきおじろやを出て岩山のトンネルを抜けた岬町辺りで、一旦空は明るくなってちらっと青空すら見えたりしていた。しかし、「世界自然遺産」の看板が出る北浜辺りで行く手の視界が開けると、相変わらず知床半島のシルエットの上の方がどっぷり濃い灰色の雲に浸かっているのが見えた。

 煮え切らない天気に出発してからも迷いがあったが、これを見てようやく諦めが付いた。今日は知床峠断念で正解なのだろう。

 

 一方、すぐ上から薄暗い灰色の雲に包まれてはいたが、山の緑はますます鮮やかさを増し始めた。その鮮やかさは、さすがは世界自然遺産、としか言いようがない迫力で、道ばたに登場し始めた鹿と共に、知床半島をどんどん北上している気分にさせてくれる。

 一度途切れた海側の番屋が、昆布浜辺りから復活。どこでもその地名の通り昆布漁が真っ盛りのようで、どの番屋でも老若男女総出で昆布を干し始めていて、なかなか活気がある。昨日家に昆布を送って良かった、と思った。

瀬石温泉 RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 パノラマ合成  

 瀬石温泉は今年も閉鎖されていた。前回どういうわけかわからなかった、波打ち際の岩場の湯船だけ目視確認して通過。

 7:00、相泊温泉着。

  相泊温泉到着 海岸を見下ろす RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 パノラマ合成

 浜の波打ち際近く、ブルーシートの掘立小屋は健在だ。最高のシチュエーションなのは相変わらずだが、今回は温泉小屋の前にはテトラポットが置かれていた。これでは海と国後島の展望がかなり損なわれるはずである。残念ではあるが、これだけ波打ち際だと、波が高くなって小屋がすぐ壊されてしまうのかもしれないことは、理解はできる。
▼展望360° 相泊温泉到着 画像上でマウスをドラッグしてください

海岸に降りる RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 パノラマ合成

 浜の掘っ立て小屋に降りてゆくと、ラッキーなことに先客がいない。

 お湯につま先を漬ける。記憶通り、いや記憶以上に熱い。どうせ一人なので、湯船の脇の水を出しながら入ることにする。相変わらず湯船も脱衣棚も丁寧に手入れされているし、こんなに便利なものがちゃんと設けられているのである。有り難いことだ。

 水を加えていい湯加減になった湯船に、結局30分以上入っていた。途中で何人かおっさんが去来したが、そのうちの一人はウトロ側から来たらしく、知床峠と向こうのお天気を教えてくれた。峠は霧雨だったが、ウトロではなんと青空が見えていたらしい。やはり峠へ行った方が良かったかな。でも峠は霧雨とのこと、いくら下界が晴れでも霧雨の知床峠越えは避けないと。

相泊温泉から羅臼経由で薫別へ 赤は本日の経路

 7:35、相泊温泉発。

 予想はしていたが、やはり向かい風は予想以上に強い。えっちらおっちら、向かい風の中をゆっくり南下する。

どことなく寂しい道道87 やはり最果ての道 RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9

 重くても遅くても、帰らなくてはならないのだ。

 往路と同様、岬町の手前で青空が登場。しかしトンネルを2本抜けると、海岸から切り立つ山は色も密度も濃厚で低い雲にとっぷり浸かっていて、上空の天気が容易に想像できた。

記 2010/9/17

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Last Update 2019/8/1
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