塘路→(道道221他)阿歴内→(農道・道道1128他)太田
(以上#3-1)
→(道道813他・123)上風連
(以上#3-2)
→(123・国道243)別海→(道道364・根室東部広域
農道・道道363)尾岱沼→(国道244)標津
(以上#3-3)
→(国道244)伊茶仁→(国道335)羅臼
→(道道87)海岸町 188km
15:20、標津発。市街地を出ると砂浜低地の海岸沿い、オホーツク海の広々とした空間の中、微追い風で快調な行程だ。とはいえ海上の雲は低く、国後島は海岸線から上がほとんど見えない。知床山脈も雲の中、海と海岸だけがどこまでも続いて彼方に消えている。断続する番屋も廃墟のドライブインもどこかうすら寂しい、モノトーン気味の景色である。
伊茶仁から国道244は根北峠から斜里方面へ向かい、羅臼へ向かう道が国道335と名前が変わって分岐する。
ここからいよいよ知床半島南岸である。
今日ようやく日曜日だからなのか、羅臼へ向かう自動車は思いの外少ない。のんびりとしたい気持ちには好都合である。というわけで忠類、浜古多糠、薫別と、台地に登って海岸から森林に入った海岸の道をどんどん進む。
川を渡る度に道は台地から海岸近くに降り、台地が海岸から立ち上がる部分の岩肌を伺うことができる。岩は海岸からすぐに30mぐらいで切り立って続いていて、河口部分以外に人が取り付く島は無い。
一方、密で鬱蒼とした森は海岸部独特の雰囲気で、時々木々の間にちらちら海が見える。薫別の手前では、見慣れない舗装道路の分岐を発見。古多糠へ向かう道道1145っぽい。
古多糠の台地では根釧台地北部に似た整然とした畑の舗装道路である道道1145は、薫別川を渡ってこの国道335に合流する最後の区間だけダートで残されていた。区間が短いのと何だかたちが悪そうなので今まで踏み込めずにいたが、一度行ってみなければならない。そうでなくても古多糠の静かな牧草地も寄ってみたいなどと思ってはいた。しかし、のんびり淡々と進むなら、もはやその余裕は無さそうだ。
薫別を過ぎると、知床半島南岸には平地部分が少なくなり、道は海から切り立つ山に張り付く状態となる。
▼動画48秒 崎無異
崎無異でその道が台地から海岸に降りると、海側と正面の行く手が開けた。
と、彼方の知床山脈が、いや、知床山脈があるはずの空が、もう完全に厚くしつこそうな雲で覆われてしまっているのが見えた。
明日は羅臼早朝出発で知床峠を越え、昼過ぎに斜里を出発、清里峠で根釧台地に戻り、夕方の開陽台を眺めてそのまま開陽「民宿地平線」終着という予定だが、この天気だとその予定は危うい。知床峠に踏み込むのは止める方が良いかもしれない、と思い始めた。
峯浜町からは羅臼峠越えを含むアップダウン区間。峠とは言え標高80m、それもこちらからだと一気に登らずに分割払い、スノーシェッド3つであっけなく通過である。
峠の向こうは再び一気に海岸部へ。
スノーシェッドから町営のキャンプ場脇を通過。かつて泊まったことがある民宿甲子園は、今回も建物は寂れて全く人影が無い。すぐ脇の舟木商店加工工場は操業中で煙が上り、住宅は真新しく大きいので、あるいはもう宿は営業していないまでも、皆さんはお元気なのかもしれない。この民宿甲子園、1996年に泊まったのだが、部屋はドライブイン裏手のプレハブ仮設ハウスなのに、食事は今に至るまでここ以外では見たことがないゴージャスさで、今まで北海道で一番印象に残っている民宿である。その後宿泊する機会を持てないうちに、気が付いたら営業休止のような状態になってしまっていて、ずっとその後の消息が気になっているのだ。
根釧台地から延々アップダウンの続いた今日の行程だったが、ここから羅臼まではもう海岸際の道だけだ。
羅臼手前まで、春日町、麻布町、八木浜町、知昭町、松法町と地名だけが変わって、道沿いに漁村が続く。漁業関係者の作業スペースなのか、漁村の道幅は終始かなり広いのが特徴的だ。
道の上には所々でカモメが飛び交い、点在する民宿からは夕食の美味しそうな香りが路上まで漂い、宿到着目前のこの時間、余裕ある行程でてれてれ流しているととても楽しい道だ。
行く手の山々、海上の国後島はもうずっと黒っぽい雲の中、明日はよほど天気が一気に晴れない限り、知床峠は無理だろう。ならば朝の天気次第だが、早朝に空荷で相泊温泉へ往復し、宿へ戻って荷物を積んで開陽台へ出発すればいい。下方修正で宿には早めに着けるし、激坂の開陽台へも宿に荷物を置いて空荷で登れる。開陽へ向かう途中の行程では、さっき寄りたかった久しぶりの古多糠にも再訪できるだろう。結果的に天気には恵まれなかったが、知床峠へ登ってから向こうで泊まる予程を組んでいなかったお陰で、良いことづくめだ。
途中のセイコーマートでまたもや休憩。羅臼到着目前だが、標津からここまで休憩していない。それに明日早朝出発だとすると、ここで朝の食料を仕入れておかなければならない。
レジでは近所のおばさんっぽい方が出てきたので、これ幸いとお土産ポイントを聞いておく。羅臼の魚が美味しいのはわかっているので、今回は羅臼からお土産を実家他方面へ送るつもりだったのだ。同じ送るなら、オイシク安い方が良い。と、
「そうねえ〜、道の駅なら漁協だしねえ。舟木商店さんや阿部商店さんも入ってるしねえ」
とのこと。なに、舟木商店は民宿甲子園をやめた代わりに道の駅に入っているのか。知らなかった。ならば品物に絶対に間違いはないはずだ。いい話が聞けた。
羅臼手前で空は霧っぽくなり、細かい霧粒を感じ始めた。山を見上げても、100m以下辺りから上が白〜灰色の雲で全く見えない。この時点で、明日の相泊温泉が決まった。
17:45、羅臼着。道の駅に寄ると、目当ての舟木商店は17時で閉店していたが、漁協売店協は18時までとのこと。とりあえず漁協で母に干物と出汁昆布を送っておく。
羅臼から宿がある海岸町までは更に8kmほどあるが、羅臼までの国道335が羅臼から先は道道84となるぐらいに微妙に表情が変わった道は、やはり絶えることのない漁村の中を抜けてゆく。
その間、空の雲は決定的に濃厚なのだった。
18:25、海岸町「おじろや」着。
前回は2008年に泊まったこの宿、宿の雰囲気も食事もいかにも漁師さんの宿そのもの、気軽で素朴な雰囲気が印象的だった。前回はキンキの煮付けをオプションで付けてもらったが、確かデフォルトのほっけ干物が素晴らしく美味しく量的にも十分すぎたので、今回はオプション無しで食事をお願いしていた。料理は相変わらず素朴ゴージャスで量たっぷりではあったが、こちらが腹一杯になってしまい別皿で付けてくれたカニが食べられず、隣の工事関係のお客さんの酒盛り用にあげてしまわざるを得なかったのが残念ではあった。
記 2010/9/11
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