北海道Tour09 #5-1
2009/8/12
芽登温泉→新得

芽登温泉→(糠南林道)西喜登牛→(道道88)芽登
→(国道274)北門→(町道・農道)開運
→(道道134)西居辺→(町道)東士幌
(以下#5-2) →(道道31)稲穂→(十勝平原広域農道)富岡
→(十勝大平原自転車道・町道)十勝川温泉
→(十勝中央広域農道)桜木町
(以下#5-3) →(道道62他)大正→(道道62・町道)嵐山橋
→(道道55・町道)旭山→(道道859・町道)上羽帯
(以下#5-4) →(町道他)北清水→(道道973・林道他)広内
→(道道136他)新得
   170km

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 4時に起床、目覚ましに露天風呂へ。出発前にお風呂に入りすぎるとだるくなってしまうので、気を付ける必要があるが、温泉宿はこれがいい。
 昨日の天気予報では今日から天気が崩れ、今晩から明日は全道で大雨になるようだ。そろそろ完全に明るくなっているはずの空は、山間のためか厚めの雲でまだ薄暗い。夏の暑さで有名な十勝でこの天気だと、逆に気温が上がり過ぎなくて好都合かもしれない。でも、同じ十勝でもこの最北部と言っていい山間と、今日通る平野部まっただ中では、天気のニュアンスはやや違うだろう。とりあえず天気が問題無いのなら、ツーリングを目一杯楽しむべく粛々と予定通りに足を進めるだけだ。
 荷物を積みに表へ出ると、昨日の夕方到着時からは考えられないほど空気がひんやりしている。辺りがしっとり濡れているのは雨ではなく、朝露と考えるのが自然だろう。さすがに山深い。

芽登温泉から芽登経由で西居辺へ 赤は本日の経路

 6:10、芽登温泉ホテル発。
 まずは林道糠南線を昨日の逆走で道道88へ。早朝の森は宿周辺と同じく空気がひんやりして気持ちいいが、相変わらず道は埃っぽい。

 それと、森の奥まで何となくしーんと静かなこの時間、薄暗い茂みから何か現れそうな気がして仕方無い。大型のシカが路上に出ているだけでどきっとする。しかし、途中で犬の散歩中の芽登温泉ホテルの宿主さんと遭遇すると、にこにこと至って普通に歩いておられるのであった。

 昨日の夕方に引き続き、曇り空の下、道道88で再び芽登へひたすら下る。
 標高350mの西喜登牛から標高200mの芽登まで15km程、脚をそんなに動かさない経済走行で30km前半〜20km後半ぐらいが維持できる、効率のいい下りが続く。昨日ずっと森だった道の周囲は、西喜登牛から先は基本的に牧草地。段丘部分になると森がある、というぐらいに開けた里の景色となる。

 下り一辺倒の道に時々短い登り返しが現れ始め、「そろそろ芽登か」と思っていると、「芽登9km」の看板が登場。すぐ芽登に着けるわけもなく、途中からでもやはりなかなか手強い道道88である。

 下ると共に空には青い色が現れた。谷間の奥から手前に溜まった雲を想像する。道にも少しだけアップダウン気味になり始め、長かったこの谷も出口に近づいているのだと実感できる。それにしても長い峠区間だったと思っていると、唐突にカーブの出口に民家が続き始めた。

 6:55、芽登着。喜登牛の長い谷間は、本別へ屈曲する狭い谷間に唐突にぶつかって終わっている。その縁に、芽登の町は低くかたまったように続いている。芽登で道道88とぶつかっている国道274からは、芽登の町が国道274に裏手で面することもあり、とても独特の山深く寂しい表情が感じられる。今回は昨日道道88であれだけ無人地帯を通ってきた後なので、何か人の営みに接しているような気分だ。

 芽登からはその国道274。広いお皿のような十勝平野の北東縁へ、標高差100mを乗り上げる、その名も芽登坂の開始である。
 登坂車線まである幅広の道には、さっきまでの交通量皆無の道道88とは打って変わって車がやや多い。大型のトラックやトレーラーみたいのまで、轟音を上げて高速で通り過ぎる。そんな道を、さっきまでの下り基調の快調ペースからは嘘みたいにのろのろ登り続けざるを得ない。地形が変わる台地縁の常で上空の空気がぶつかっているのか、小雨までぱらつき始めた。

 それでもまあ登りきってしまえば、斜面の森の向こうが一気に開け、突然十勝平野が登場。十勝にやってきたことを実感できる一瞬だ。国道274の喧噪も芽登坂の排気ガスも、これがあるから我慢できるのである。十勝平野の東縁で、段丘部の森のてっぺんで一気に十勝平野が開ける景色、実はここだけではなくいろいろな道で見かけることができる。 ▼動画1分44秒

北門から西居辺経由で豊田へ 赤は本日の経路

 十勝平野に着いてしまえば、国道274に長居は不要だ。北門からさっさと脇道へ分岐し、居辺川の谷間へ。

 2年前通った道の逆走で、十勝平野東端部をしばらく南下するのだ。

糠平方面の展望が拡がる RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 パノラマ合成

 空は曇りではあるが、畑の中の道は見晴らしが良く、北側の糠平方面の山裾が見渡せる。
▼北門にて 展望200°(Quicktime VR) 画像上でマウスをドラッグしてください
▼北門にて 展望250°(Quicktime VR) 画像上でマウスをドラッグしてください

 平野上端からまたしばらく下り基調、再び居辺川の谷間へ、川を渡って対岸へ。

丘の上に拡がる畑 RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 パノラマ合成

 田舎道らしく登り返し斜度はけっこう急で、牧場の中を地形など一切お構いなしにどんどん登って下って再び居辺の谷へ。

広い空に外周の山々の景色 十勝の良いところがたっぷり RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 パノラマ合成

 基本的に無駄な登り下りだが、登ると景色はいいし、道がそうなっているから仕方無い。

 谷底の開運から再び十勝平野東縁へ登り返すと、中居辺段丘部の防風林からまたもや広々とした畑の中に放り出された。一気に拡がる十勝の景色、何度見てもいい。 ▼中居辺にて 展望210°(Quicktime VR) 画像上でマウスをドラッグしてください

丘の上だがここまでとは打って変わって十勝平野から続く平べったい地形 RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 パノラマ合成

 その先は、ややせり上がった地形の上っ縁辺りに沿って、一直線の道がしばらく続く。緩い下り基調の道からは、丘の傾斜次第でさっきのように十勝北側山裾まで見通しが開ける。▼動画2分2秒

 期待してこちらに足を向けたものの、伸びやかな景色の感動はやはり想像を軽く上回ってくれる。こちらに足を向けて良かった。十勝平野北部のハイライトの一つだろう。

 地形はとにかく平滑で、緩い緩い下り基調が続く。畑の中を下るに連れ、北上居辺、北開と地名が変わり、平滑ながら丘を感じられたいた展望とわずかな地形の傾斜は、そのうち完全に無くなってしまった。 ▼動画1分31秒

 開運で一旦道は十勝平野の縁の外、段丘部へ降りてゆく。道の方向は変わり映えしないのだが、東の居辺川の谷間が西に少しだけ食い込んでくるのだ。谷を下っても、再び登り返すのは地図で見てわかっちゃいる。
 登り返しで合流する谷底からの道は、居辺からの道道134だ。この道で十勝平野に乗り上げるのは、1999年以来10年振り。前回通った旧道は茂みの中に風化しかけていて、確かその旧道の脇で路盤工事が始まっていた新道が、豪快に谷底から十勝平野の縁まで一直線に高度を上げているのだった。かつての訪問で想像したとおり、10年振りの再会は新道と の再会で、これはこれで感慨深い。 ▼動画2分2秒

 西居辺からは道道316、再び十勝平野の東端の道。もはや限り無く真っ平らな畑と防風林の景色の中、延々とひたすら、さっきより更に斜度は緩くはあるが、それでもまだ下りが続く。
 佐倉、共豊、東豊田と時々交差点近くに集落も現れるようになってきた。豊田の集落で道の向こうにAコープが現れたので、少し立ち寄ることにした。

 店先に自転車を横付けするべく駐車場に乗り上げて店に近づくと、おびただしい数の大型のガが辺りに散らばっている。散らばっているだけではなく、ひらひら飛び回っているのである。ガは店の中にも入り込んで、本棚の裏側にも溜まっていた。ここでようやく、昨日置戸でちらっと耳にしたマイマイガ大発生の話を思い出した。そういえば、朝なのに、ここまでの道でもあちこちでガが飛び回ってたな。
 マイマイガというのはドクガ科の中〜やや大型のガだ。初齢幼虫以外毒は無いらしいが、幼虫も成虫も大型のため、基本的に大量にやって来られると誰だってニガテだろう。幼虫はけっこう大型の毛虫で、背中に赤と青の丸い模様が2列に行儀良く並んでいる。広葉樹にこういう毛虫がいるのを見たことがある人は多いと思うが、なかなか生命力が強くてたちの悪い毛虫だ。今年はそれが大発生している。農作物にとっては大変なことである。マイマイガの幼虫だって成虫だってみんなみんな生きているんだが、やはりおぞましいものはおぞましいのだ。
 店の前ではお兄ちゃんが水でガの死骸を流している。普通このような灯りにやってきて路上に落ちている虫は、夜明けに鳥が根こそぎ食べてしまうものだが、マイマイガは鳥も食べないのか、あるいは食べてもまだこれだけ残っているかだろう。
 そう思いながら先へ向かうと、道ばたの茂みにひらひらとガが絶えることが無い。どうかすると路上一杯に飛び回り、顔にぶつかって大変おぞましい。

記 2009/9/26

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Last Update 2019/8/1
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