再び 平野の桜木町に降りてきた段階で12時前。
今のところ南下を続けているが、今日の宿は十勝北西部の新得である。いずれは、というよりそろそろ方向を変えて北に向かう必要がある。また、北に向かう前に十勝平野をどこかで東から西へ横断する必要もある。真ん中の平地より山裾の方が景色がいいからだ。
東から西へ向かうタイムリミットは、芽登温泉を出発した段階では12時、希望到達地として、去年道の駅でチキンカレーがとても美味しかった中札内まで行けるといいなと考えていた。
中札内は20kmぐらい先だが、折り返しタイムリミット12時はイメージ誤差の範囲として、まだもう少し南下してもいいような気もする。中札内を早めにこなせば、清川の「ジンギスカン白樺」にも行けるかもしれない。
いや、でもこれから十勝帯広空港の脇を通って中札内へ出るのに、多分1時間以上かかってしまうようにも思える。その後折り返しの新得行きは、余裕無く時間遅延気味の行程になってしまう可能性が高い。となると、「ジンギスカン白樺」で昼飯を食べるのは難しいだろう。一方、早めの安全側チョイスでこれから西へ向かって大正の町に出れば、2年前立ち寄ったCEVAで炭火焼き豚丼が食べられる。というより、地図で見ると現在地点は大正のほぼ東だ。
とにかく何か食べたい。地点のチョイスというより、豚丼にカレーにジンギスカンのイメージ攻撃で、頭の中は真っ白になってしまっていた。
結局豚丼目当てで大正へ向かうことにした。
道道62でお皿の縁から真ん中の平地まっただ中へ。桜木町に降りてから吹き始めていた東向きの風が向かい風となるが、まあ順当に畑と防風林が次々過ぎ、帯広広尾自動車道を越え、12:40、大正着。
とりあえず豚丼、まっしぐらに国道236沿いのCEVAへ。
何故か地元団体客が宴会中で、豚丼大盛りが出てくるまで少し時間がかかった。思えば前も物が出てくるまで少し時間がかかったような気がする。時間が掛かっても、炭火焼きの豚肉の味は豊かだし、濃いめのたれも美味しい。というより、一昨日弟子屈で食べ損ねて以来、何か豚丼が食べたくて仕方がなかった気持ちが満たされたのである。これで\600、高コストパフォーマンスがウレシイ。中札内に行けたんじゃないか、チキンカレーを多べたかったな、という残念な気持ちはまだ少しあるが、豚丼で十分満足はできた。それにゆっくりと時間の余裕も持てている。
13:15、大正発。道道62で戸蔦別川を渡り、再び畑と防風林の景色の中へ。
これからはお皿の中から西の縁方面へ、緩々ではあるが登り基調となる。さっき吹いていた東向き向かい風も更に厳しくなってしまっていた。
空も陸も広々と伸びやかだが、お昼過ぎの高い日差しの中、変化の無い景色は単調だ。ややつらい行程ではある。
既知の道ばかりだと面白くないので、基松町で方向を変えたときに1本西の帯広川沿いの町道へ。
川沿いと言ってもそれほど川には近づかず、道の脇が畑じゃなくて茂みになるだけだが、次第にお皿の縁に近づいて景色に変化が出てきたのはウレシイ。ただ、相変わらず茂みにはマイマイガどもが喜々としてひらついてやがる。
この辺りは毎年お馴染みの道なので、少しずつ経路をずらして未済区間が多くなるようにする。いつもの道道より、町道や農道は交通量が少なくのんびり静かだし、道自体も簡素で、多少こぢんまりした空間感覚で落ち着ける。
まあそれでも結果的にあまり変わらない景色の中を淡々と淡々と進み、北上帯広で方向転換。
やはり牧草地と畑と防風林がひたすら続いた後、地図通りに道が屈曲し始めて唐突に14:35、嵐山橋着。
嵐山橋では、去年早朝八千代YHを出発して通った道道55とクランク交差となる。ところが、クランク交差の反対の方向に何か公営の施設があるようで、そっち方面には道にはためく幟が見えた。ああいう幟はまず100%蕎麦とかうどんとかラーメンとかカレーとか、とにかく食べ物が書いてあるのだ。この場所でこんな物に出会うとは。去年通ったばかりの道だが、全くノーチェックだった。
近づいてみると、道の脇から拡がる大型の駐車場には、確かに去年記憶がある。その中にソフトの幟を発見。もう行くしかない。
食堂はその先の森の中、国民宿舎新嵐山荘に併設されているようだった。泊まったら気持ちよさそうな場所だ。でも、私がここに泊まることは当分無いだろう。なぜなら帯広八千代YHが近くにあるからだ。またステーキが食べたい。
等と、寄り道の理由も寄り道して考えることも食べ物のことばかりなのが我ながら可笑しい。きっと疲れ始めているのだ。暑さにも、旅程にも。
涼しい森でソフトを食べ終わり、再び道道55に出ると、厚くやや低めの雲が空の中に拡がり始めていて、青空は完全に見えなくなっていた。全道で大雨の明日の天気予報を思い出す。天気が変わり始めている。
新嵐山を回り込む町道から谷間の大陽へ、そして河岸段丘上へ登り返して上渋山へ。
ここでようやく十勝平野最西端の道に到達、しばらく十勝清水まで既知の道を北上することになる。
既知の道だが、道が山裾に近づくこの旭山から剣山、そして円山牧場の辺り、地形の変化は、道のアップダウンや細かいカーブ、そして周囲の景色の変化となる。
円山牧場をハイライトとして山側にも、そして所々で開ける十勝平野の展望も、楽しい道だ。 ▼旭山にて 展望200°(Quicktime VR) 画像上でマウスをドラッグしてください
また、山裾の道と十勝平野のグリッドの道とがイレギュラーな斜め交差となり、これもまたお皿の中のグリッドに乗った道とは趣が異なる。
それにやはりここも道幅が狭い、落ち着ける田舎道だ。
記 2009/9/26
#5-4へ進む #5-2へ戻る 北海道Tour09 indexへ 北海道Tour indexへ 自転車ツーリングの記録へ Topへ