北海道Tour09 #4-4 2009/8/11 上里→芽登温泉

上里→(道道588他)津別→(国道240)本岐
→(道道494)チミケップ湖 (以上#4-1)
→(道道494)チミケップ湖町営キャンプ場 (以上#4-2)
→(道道494)大谷→(道道986他)境野→
(道道50・農道他)置戸
(以上#4-3)
→(道道211)勝山→(道道1050)常元
→(道道88)西喜登牛→(林道糠南線)芽登温泉   137km

十勝への名無し峠 下りは20km以上 殺風景だし長居は不要 RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 置戸から常元経由で西喜登牛へ 赤は本日の経路

 13:40、置戸発。1日で一番暑いのは10時から14時の4時間。あと20分でその時間帯が終わろうとしている。ちょっと我慢すれば、何とかなるはずだ。なってほしい。

 置戸からは同じ常呂川の谷間が続くが、道はの名前は道道211となる。谷間の幅はそろそろ狭くなり始めていて、トウキビ、ジャガイモ、人参、小麦、牧草地と谷間に拡がる色とりどりの畑、程良く近づく背景の山々が、程良くメリハリのある景色とのんびりした空間感覚を醸している。しかも今日はこの晴天、緑が例によって鮮やかで濃厚だ。

 だが、いかんせんこの暑さでは、ぼうっとした頭でとぼとぼ先に進むだけである。唯一救いなのは、今日は比較的時間の余裕があること。余裕を持った行程で良かった、と心から思う。

 勝山外れの温浴施設「ゆうゆ」で、迷わずソフト休憩へ。冷房の効いた涼しい建物でソフトを作ってもらう時間、しばし安らぎのひとときである。しかし、こういうときに限って、一切待たされることなく素早くソフトが一丁上がりになってしまう。
 温浴施設のエントランスの日陰でソフトを食べてしまえば、もう荒れ狂う日差しの中へ出発しなければならない。この先もう宿までお店など無いのだ。

 勝山から先、また道の名前が変わって道道1050となり、谷間は一気に狭くなる。

 2002年に泊まった鹿の子温泉の前を通ると、その後2006年に通ったときと同じく窓の雰囲気から言って明らかに営業していないのだが、どういうわけか道ばたの幟は2006年からあまり風化した気配が無い。北海道の山間の激しい気候に晒されて、単なるぴらぴらの布が劣化しないわけ無いと思う。あやしく鄙びたいい感じの温泉だったが、あるいは単にお盆は休み、というパターンなのかもしれない。

 常元で芽登への道道88へ分岐。そのまま進めばすぐ先のおけと湖で林道になってしまうので、十勝山裾の芽登へ抜けるこちらの方が、番号付き道道としてのつながりとしては適切と思われる。
 おけと湖の湖岸道路までは、標高差100mも無い。毎回毎回ここを通る計画をする度に、時間があれば行ってみようぐらいのことは考えているのだが、しかも今回時間はまあ大丈夫と思われるが、体調がとてもそんな状態ではない。という大義名分があるので、そのままスルーする。

常元から道道88経由で西喜登牛へ 赤は本日の経路

 分岐から道道88は、標高差100mぐらいのちょい一発峠へ入り込む。芽登との間、いや、十勝地方との間の名無し峠はまだまだ先。勝山から律儀に順当な谷間を遡る道道211〜春日林道がダートで残されていて、ちょい峠のショートカット新道が一続きの道道番号になっているパターンだ。春日林道のダート区間は約10km程度、坂はどうってことは無さそうだが、近年は長い間崩落で通行止めだった。

 坂が始まるとと、やはり脚に全然力が入らない。2年前に留辺蘂で輪行を決めたとき程じゃないが、完全に体が熱にやられてしまっている。もともと大した斜度でもないので何とか登れているのだ。もう14時台、いい加減そろそろ涼しくなってこいよ。
 照り返しが暑さの大きな要因なので、木陰に入ると嘘みたいに涼しい。少ない木陰に一喜一憂し、と、行く手のカーブをとりあえずの目標にして、何とか鞍部にたどり着く。

 登り途中のちょい峠なので、下りはほんの少しだけ、また登り返しが始まる。その登り返しの始まりは、さっき通った勝山からの道道211〜春日林道の合流点だ。
 道ばたの森の奥へ続く涼しそうな薄暗い道を見て、ようやくさっきの勝山で、春日林道のダート通行状況を伺ってもいいかな、と計画段階では確かに考えていたことを思い出した。ところが暑さで一杯一杯だったのと、春日林道自体が今まで大体通行禁止だったので、そういう可能性自体すっかり忘れていたのだ。
 そもそも時間はあったし、こちらの方が絶対涼しくて登り総量も少ない。未済ダートを訪れる良いチャンスだったのに。暑さにかまけて惜しいことをした。

 等という後悔は一瞬、気持ちを切り替えて先へ進む。登り返しと言え、この先はかなりの緩い登りがひたすらだらだら続いたはずだ。

 開けた広い道ではあるが、高い木々に囲まれた道の雰囲気はなかなか山深い。それに登り返しが始まって間もなく、標高550m辺りから少しは涼しい風が吹き始めてくれた。助かった。

 頭がはっきりしてきたので、景色を楽しむ余裕も出てきた。直線基調のだらだら登りが森の中延々と続くうち、景色が更に開け、辺りの山が見え始めた。

道道88の名無し峠から西喜登牛経由で芽登温泉へ 赤は本日の経路

 山々は平地の低山のように低くはないが、これだけ山奥に来ても谷間が開けているので、深い谷間という雰囲気は無い。その広い谷間は樹海で埋め尽くされ、なかなか見応えがある。

 15:50、峠着。
 標識を見ると、「芽登35km」とある。標高700mちょっと、決して高い峠じゃないのに、ここから35kmも延々下りが続くのだ。過去にはあっちからもこっちからも登ったことがある既知の道、地図を見ればそんなことは定量的に把握できるが、それにしても長い峠だ。
 今日の宿の芽登温泉は、芽登へ下りきるだいぶ手前の西喜登牛で分岐する、ダートの糠南林道沿いにある。西喜登牛から芽登まで10km強ぐらいあったはず。ということは、西喜登牛まであと20km強ぐらいということである。

 茂みに囲まれた峠の駐車場はやや広めで、いかにも吹雪一時待避兼仮眠場所風だ。あずまや以外に何も無い。一応屋根の下でおにぎりを食べてはみるものの、屋根裏、柱、ベンチ、そして路面と、いくら山奥とはいえ大きなガが異常な程多くて閉口してしまう。あまり長居するような場所でもないし、その気にもならない。時間は余裕たっぷりだが、もう早めに宿へ行って温泉にでもゆっくり浸かろう。こうなると、ますますさっきの春日林道へ行かなかったことが悔やまれる。

 下りもやはり幅広の道が、やはり長い長いだらだら下りで続く。▼動画4分1秒

 緩下りは、あまり脚を回さなくても、あるいは少し脚を回してけっこういいペースが保てるぐらい。向かい風は一切無いので、今まで暑さも含めてつらかった分、一気に快調な行程だ。

 下るに連れ、見下ろしていた周囲の山々が次第に稜線を見上げる位置関係になった。開けた谷間の山の間、景色もさっきまでと同じく樹海の中で、次第に高くなる辺りの山に囲まれた雰囲気が山深く、他ではあまり見かけない雰囲気である。▼動画3分25秒

 森の道は延々続き、時々ホロカピリベツ川が現れたり森の中に消えたりした。

 地図の「上幌加製品事業所」に建物の記号を発見しても、実際はもう建物がない単なる置場みたいな広場だった。幌加美里別ダムと湖の文字に景色の変化を期待しても、それらは森の向こうで見えやしない。

 しかし、延々続いていた森が唐突に切れると、牧草地と牧場が登場。やっと西喜登牛の集落なのだった。ようやく人のいる場所に戻ってきたことになる。常元から60kmぐらいあっただろうか。この間完全にずっと無人の森だったことになる。

 16:55、林道糠南線起点着。
 今日最後の林道糠南線は、2000年以来10年振りの道だ。どういうわけか埃っぽく時々とんでもなく砂利が深いのは、偶然だと思うがチミケップ湖周辺と共通している。

 芽登温泉への日帰り客らしい車が通る度にもうもうと、白煙が立ち昇るのを止まってやり過ごす。しかし立ち止まると無数のゴマフアブがやってくるし、そろそろ薄暗くなる時間帯、茂みの中が何と無く不気味だ。

 というような道ももうわずか3km強。17:10、芽登温泉ホテル着。

置戸方面から道道88経由で芽登温泉へ 赤は本日の経路

 この芽登温泉、前述の2000年の林道糠南線訪問時、ダート林道沿いの森の中の1軒宿で、しかも天下の国土地理院が1/5万地形図のタイトルにしてしまっているので、とても印象に残っていた。長いこと一度は泊まろうと思っていたが、去年ちょっとしたきっかけがあり、今回訪問することにしたのである。
 かつて泊まった留真温泉や東居辺の山の湯のように、雰囲気たっぷり、いいお湯に食事も充実。つくづく来て良かったと思わせられた。一度これら十勝外周部の温泉宿を日替わりで巡る、冬の十勝温泉ツアーなんてやってみたい。

 夜の天気予報では、今日はここ足寄町でも日中35℃まで上がったとのこと。盆地の足寄で35℃というのは、フェーン現象としては不思議は無いかもしれないが、普通に考えてやはりかなり高い。十勝地方の気温と今日通ってきた北見・網走地方の気温が必ずしもリンクするとは言えないが、やはり北見でもかなりの高温だったのだろう、と思われた。
 その天気予報、もうひとつ見過ごせない情報があった。何と明日夕方から天気が下り坂、明後日は全道で大雨らしい。その後は晴れが続くようなのだが、さて、明日はいったいどうなるか。

記 2009/9/23

#5-1へ進む    #4-3へ戻る    北海道Tour09 indexへ    北海道Tour indexへ    自転車ツーリングの記録へ    Topへ

Last Update 2019/8/1
ご意見などございましたら、E-Mailにてお寄せ下さい。
Copyright(c) 2002-9 Daisuke Takachi All rights reserved.