日足から県道44経由で鎌塚へ 赤は本日の経路 #2-1の曽根町 つくづく国道311の海岸区間は素晴らしい RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4

九鬼港→(県道574)九鬼→(国道311)二木島 (以上#2-1)
→(国道311)大泊→(国道42他)有井 (以上#2-2)
→(県道141)永田→(町道)相野口 (以上#2-3)
→(県道740)三和大橋→(県道780・国道169)日足
(以上#2-4)
→(県道44)鎌塚    111km

2009/5/3 紀伊半島Tour09
#2-5 九鬼港→鎌塚


 13:10、日足から県道44へ。赤木川に沿って8km、山間の集落小口を目指す。

 やはり熊野川の谷と同じく山々はすぐ切り立っているが、山間の谷間には少しは平地があり、時々集落と、水を張って田植え作業真っ盛りの田んぼが現れる。

 眩しい陽差しに青々とした山々、空。そして田植え、鯉幟。カエルの声も軽やかで、5月の良い気分である。

 小口では連休で賑わうキャンプ場を眺めつつ、先へ進む。この小口では、前回通った和田川松根スーパー林道こと県道229と、それを上回る激坂細道、那智勝浦へ向かう県道44が分岐する。今日はこの県道44を更に奥へ進み、県道45から途中で古座川流域の県道43へ向かう予定なのだ。

 こちらは2003年以来訪れていないが、狭い谷底の川に落ちそうな細道、澄んだ川と人が近づくと猿の大群がキャーキャー騒いで逃げて行く川原、そして隠里みたいな滝本の集落に森のダブルトラック舗装道と、見所満載の道でとても印象深い。

奥へ奥へと進む小口川 RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4 パノラマ合成

 いつかまた来たいと思っていた道だったのだ。

 前回の訪問から6年。

道は細くフェンスなど無い ちょっと怖い道 RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4 パノラマ合成

 流石に道はところどころ崩落復旧のためもあるのか拡幅されていたり、柵ができていたりしたが、基本的には記憶通りの細道が新緑の谷間に続いた。

 ただ、時刻はもうお昼過ぎ。流石に猿の大群は川原にはいない。

淵の透明度がとにかく凄い RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4 パノラマ合成

 しばらく進むと森が深くなり、記憶通りに唐突に行く手に激坂が始まった。

 この坂がまた強烈である。15%ぐらいは楽にあるのではないか。

 えっちらおっちら少し登ると、森の中に突如現れる土手ノ本の廃校辺りから斜度は一段落。

土手ノ本 RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4 パノラマ合成

 鎌塚の集落(といっても民家が3軒と集会場だけ)では少し展望が開け、棚田と大雲取山が上下に現れた。これ幸いと脚を着いて写真を撮る。

鎌塚 見上げる大雲取山 RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4 パノラマ合成

 その先は鬱蒼とした杉の森に登りが続く。

 登りは緩急あるが、視覚が坂に麻痺してしまっていて、あまり見ただけではどれぐらいの坂なのかわからない。

向野 RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4 パノラマ合成

 向野の集落を過ぎ、また森の中へ。実はこの道、小口川沿いから何故か一山越えてまた元の小口川沿いに至る道だ。この先そう登らずに、もうそろそろ下りが始まって、下りきると滝本の集落が登場するのだ。とすると、同じ川沿いなのにわざわざこんなに急な道でしか行けない、しかしけっこう民家は集まっている滝本の集落は、あるいはほんとに隠し里なのかもしれない。まったく紀伊半島は奥が深い。

 登りながらそんなことを考えていると、突然脚に固い弾力ある感触があり、その瞬間ペダルがすかっと空回りした。固い弾力の感触と同時にぶちっという音を感じたと理解したのは、実は1タイミング遅れてだった。まあそれぐらいペダルが急に軽くなった。
 チェーンが切れたのだった。

  日足から県道44経由で鎌塚へ 赤は本日の経路

 自転車を停め、「その時ワタクシ少しも慌てず」等とつぶやきながら、携帯工具セットからチェーン切りを出そうとすると、何と今回に限ってチェーン切りが無い。トラブルとはそういうものだろう。等と呑気に考えるほど、今回に限っていくら探してもチェーン切りが無いのだった。チェーンの駒は端切れを2本も持ってきているのにも係わらずである。これじゃチェーンの端切れが役に立たないね。等とのんびり考えても、とにかくチェーン切りが絶望的に見あたらない。
 ということはここでツーリング終了である。いや待て、ラジオペンチを持ってきているぞ。そこでラジオペンチでチェーンのピンを途中まで押し込んでみるが、満身の力を込めても最後のところで反対側のプレートにピンがはまらない。
 うーん、これはほんとに絶望的かもしれない。

 

 時計を見るとまだ14:30。一番確実なのは、小口まで下ってどこかのタクシーを呼んで新宮へ向かい、今日の宿の串本みさきロッジYHへは、とりあえず列車に乗れば何とか夕食の常識的な時間には間に合う。しかし、トラブルが無ければこの先ずっと夕方まで山奥の癒しの細道でひたすら串本を目指せたのだ。串本着予定は17時頃、紀伊大島へ渡ってちょっと一回りもできたはずなのに、悔しい。何とか滝本か、そのずっと先の樫原の集落で修理ができないか。
 いや、滝本に自転車屋さんなんて無かったぞ。自転車屋さんがあったのは、歩いて1時間以上は楽に掛かりそうな樫原だった。しかも、それもうろ覚えの記憶というより希望的観測に近い。そもそもあんな小さな集落に自転車屋さんなんて都合の良い物があるわけが無いのだ。
 落ち着け。もう1度時計を見た。14時半、まだ一番確実な大回りの方法で、今日の夕食には間に合うのだ。

 

 結局そのまま来た道を引き返すことになった。途中ここに書くわけには行かない話含みの、あり得ないラッキー連発があり、何と時間的に全く問題無く新宮、そして串本に向かえることになった。自転車も新宮の町でとりあえず応急処置が済み、串本みさきロッジYHには18時45分着。

記 2009/5/17

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Last Update 2019/7/26
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