北海道Tour08 #7-1 2008/8/8 花咲港→海岸町

花咲港→(道道310)根室→(道道35)納沙布岬
(以下#7-2) →(道道35)根室→(国道44)厚床
(以下#7-3) →(国道243)奥行臼→(国道244)標津
(以下#7-4) →(国道244)伊茶仁→(国道335)羅臼
→(道道87)海岸町
 202km

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 4:00、まだ薄暗い窓の外、空にはやや雲が多い。もともと夏は霧がつきもののこの道東太平洋岸、それに毎日激晴れの後はそろそろこんなもんだろう。とりあえず雲はそう低くないので、今日も雨の心配は無い。

 花咲港に泊まった目的の一つは、14年振りの納沙布岬再訪である。昨日は一昨日の下方修正の辻褄合わせで一杯一杯で行き損ねたので、行くなら今日しかない。今日は羅臼までの行程で、概算で130km強。これだけならかなり楽勝だが、納沙布岬まで行って根室へ帰ってくると、花咲港から根室半島一周で約50km強。そんなに上乗せして大丈夫なのか。ちょっと検討しないといけない。
 今日のコースはほとんど平坦だ。180km平坦なら恐れることはない。1日掛けてのんびり、しかし粛々と行程をこなせばいいだけなのだ。怖いのは強めの向かい風だが、今朝の空の雰囲気を見る限り、そう天気が荒れる心配は無い。
 となれば、納沙布岬決定だ。なるべく早く出発して、極力のんびり走れるようにしよう。
 一方で明日は羅臼から知床峠一発だけ、しかもウトロ側からの2倍もの距離を掛けて登る羅臼側からの登り。つまり楽勝のリハビリ日として計画してあるが、明日のリハビリ日で、ここまでの疲れを極力回復しておかなくてはいけない。何故ならその後、津別峠、上原峠、上紋峠、そして初訪問の知駒峠と3日間連続の内陸コース、文字通り今回の山場を迎えるのだ。この3日間、途中で疲れきってしまわないよう、ペース配分は注意する必要がある。ここまで4日連続平均200km/日以上、延べ800kmオーバー。当社比ではなかなかいいペースである。一方でもうけっこう疲れていて、昨日も何だか途中から一杯一杯の一日だった。そもそも今日でもう7日目。暦通りなら、8日行程の最終日前日、そろそろ「ああ、今年も良い旅だった。でも明日で終わり、寂しいな」なんて考え始める時期だが、今年は何とまだ旅程の半分まで行っていないのだ。長い。果てしなく長い旅程のようだ。一体いつ終わるのか、今年の旅は。旅の満足度なんて旅程の長さではなく、充実度だけであることをつくづく実感する。

花咲港から納沙布岬経由で根室へ 赤は本日の経路

 5:35、民宿「一福」発。曇り空の下、今朝も空気は涼しいと言うより冷たい。

 古びた倉庫に加工場、鉛色の海に並んだ漁船。何と無く全部灰色の印象がある朝の漁港を、軽トラックが慌ただしく行き来する。

 JR最東端の駅は根室一つ手前の東根室だったと思い出しつつ、西へぐるっと回り込む根室本線をオーバークロス、「納沙布岬」の標識の出ている道道35へ。

 思えば前回の訪問は1994年。1度来たので億劫だったのと、天気が不調だったりスケジュールが合わなかったりで、なかなかこの道に踏み込めなかった。

 14年振りの道で前回の記憶が残っているのは、行きも帰りも向かい風だったのと、南側が集落主体、北側は打って代わって牧草地、森が続く寂しい雰囲気の道だったということぐらいだ。

360°フラットな内陸 ありそうで実はあまり無い景色 RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4 パノラマ合成

 雲の中から時々朝日が射してきた。オンネ沼の低地から、友知、双沖、婦羅理と漁村と台地が断続する海岸沿いの道の、海の拡がりと正面からの日差しに気分は盛り上がる。例によって軽いアップダウンも連続する。▼根室半島南岸の丘 道道35の展望360°(Quicktime VR) 画像上でマウスをドラッグしてください

 基本的にはそう高低差があるわけじゃない道ではあるが、朝の道は涼しいものの何と無く一つ一つの丘で足に力が入らない。やはり体中が疲れているのだ。

 歯舞の台地に乗り上げると、もう根室半島の先端部。

 相変わらず集落が断続して、何かが変わるわけではないが、ここまで来ると陸地全体が平べったいせいか、何となく先端部独特の、広々と物寂しいような不思議な雰囲気が続く。

花咲港から納沙布岬経由で根室へ 赤は本日の経路  

 7:10、納沙布岬着。
 「四島の架け橋」のオブジェのコールテン鋼のテクスチュアは、金属フェチならたまらないだろう。しかし、目の前の歯舞群島、左遠くの国後島、あるのか無いのかはっきりしていないオホーツク海上の国境を前に、これらに何か自ら働きかけているわけではなく結果も全く伴っていなくて、その自己主張自体は何か空しく、先端部の景色特有のもの寂しさに輪を掛けている。オブジェのある広場にも、早朝なのでまだ観光客はいないし、何か全体的に取り付く島が無く肌寒い景色だ。ここはオブジェの影響が少ない少し脇の「納沙布岬」の柱の前に自転車を停め、しばしウミネコ以外誰もいない珸瑤瑁海峡を眺めることにした。

珸瑤瑁海峡を望む RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4 パノラマ合成
  ウミネコの舞う岬 納沙布岬も結構いいではないか RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4

 一方でこういう場所に人っ子一人いないのはいい。これで観光客が多かったりスピーカーの演歌がやかましいと、寂しいんだか賑やかなんだか訳がわからなくなる。前回訪問から14年。そんなに経ったのかどうかちょっと不思議だし、そう考えてゆくと自分がまたここにやってきたこと自体が何か不思議なことのようでもある。しかし、自分で行こうと思って足を向けないと、足を回していないとここに来れていないのも事実である。思えばそれが旅ということなのかもしれないとも思うし、そうでなくても旅に出れば、別に何かを行うわけではなくてもとりあえす旅は続くのだ。でも、また来ようと思う限り、いつか来ることができるのだろう、きっと。

記 2008/9/28

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Last Update 2019/7/26
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