八千代→(道道216・農道)雄馬別→(農道)上美生
→(道道55)美生→(道道317他)芽室
(以上#5-1)
→(道道54・農道)美蔓→(国道274)笹川
→(道道771)中士幌
(以上#5-2)
→(国道241)足寄
(以上#5-3)
→(国道241)阿寒湖畔→(国道240)上阿寒 230km
14:45、足寄発。
阿寒湖畔まで50km、阿寒湖畔手前の足寄峠まで標高差は400m。中足寄、奥足寄と、そう広くなく狭くもなく、煮え切らない浅い谷間の牧草地と畑の中、国道241は登りと言うより単純に遡っているだけのゆるゆる登りで谷間を進む。
まあしかしこの国道241、とにかく交通量が少ない。煮え切らないがのんびり穏やかな谷間の表情は、北海道の谷間らしくて決して悪くない。いや、なかなか良い道である。
初道内ツーリングの86年も、午後からこの道を遡り、野中温泉YHに向かったのを思い出した。もっと言えば、今日は上士幌の少し先からその時とほぼ同じ経路である。そういえば今回の15日行程も、同じく学生の時の86年以来初の2週間越え行程である。そういうタイミングでこの道を再訪しているのだ。何だか非常に感慨深い。
しかしそれにしても進んでも進んでも山間の景色は一向に変わらず、50kmは伊達じゃないことを痛感した。
螺湾、美利別を過ぎ、一度は足を向けてみたいカネラン峠への分岐がある上足寄を過ぎると、次第に道の両側に山々が近づいてきた。
ようやく涼しくなってきたことに気が付くが、それでも足寄峠までまだ半分。前回1998年、この道を通ったのは逆方向から、つまり足寄峠からの下りだった。たしか下りらしい下りは峠の付近だけ、長い間森が続いてからようやく辺りが開け、更にその後延々と開けた谷間の下りが続いたのを覚えている。
今はまだ辺りに牧草地や畑が続いている。少なくともこれが森に変わらないと、峠まで近づいていないのだ。
それでも茨城、伊那と遡るうち、谷の行く手の空に赤っぽい岩肌が露になった雌阿寒岳と阿寒富士が現れ、「お、阿寒湖まで近づいたのかな」などと思っているといつの間にか辺りの開けた畑は完全に森に変わり、道の斜度は増して、何と無く峠っぽくなってきた。あと標高差200m弱。
オンネトーへの分岐が現れ、登り斜度がようやく峠らしくなって、しばらく直線基調の登りが続く。またもやふと86年のこの道の登りを思い出す。
野中温泉YHから出発して、こんな感じの登りをじりじり登ったのだった。坂道のてっぺんを見つめて登った結果、その風景だけ鮮明に覚えているのが面白い。
17:50、足寄峠着。森の中、全く視界が無いタイプの峠である。
さあ、ここから下り一方だと思ったが、その後登り返しのだまし峠が2回。山裾のなだらかな地形を考えるとわからないでもないが、なかなか一筋縄では行かない道である。恨みついでに、釧勝峠へ行ったらどうだっただろうと想像してしまう。
向こうなら標高は490mちょっと、多分今頃もう国道38で白糠から庶路辺りへ向かっている頃か、庶路から内陸に入り込んでいるかもしれない。
等と考えても、今は想像以上にならない。目の前の行程を粛々とこなして阿寒に辿り着いてから、後でたらればシミュレーションでもすればいいことである。
山の中で国道240と唐突に合流、やや車が増え、さらにしばらく森の中を下る。高い木々で、道はもうずっと日陰になっていたが、時々道の方向と沈んでしまいそうな夕日の方向が合い、道がぱっと真っ赤に明るくなる。▼動画18秒
なんだかちょっと嬉しくなるのが我ながら単純だ。しかし、もう18時過ぎ。
18:20、阿寒湖畔着。湖畔の森に遮られ、道からは湖がほとんど見えない。まああまりのんびりしている暇は無いし、確か湖畔の道はホテルや旅館が建ち並び、足を向けるほどの道でもなかったような記憶がある。代わりに有り難いことにセイコーマートが登場、ここで補給しておくことにした。
阿寒湖の向こう側、やはり湖畔から山の森に少し入ったところで国道241から分岐。道は広いが、周りは無人の森の中。山肌から谷間に降り、阿寒川が谷を下ると共に道は進んでゆく。
もともと谷間の斜度がかなり緩く、軽い登り返しがしょっちゅう現れ、なかなか思うように下る一方という感じではないが、もう気にしてはいられない。
秒速で辺りは暗くなってゆく。進んでも進んでも山の中、19時を過ぎて辺りはどんどん暗くなり、空がほわんと明るいだけになった。景色もあまり見えず、せいぜい辺りの山のシルエットが夜空の中でわかるだけだ。一直線の道、遙か向こうのカーブの向こうが明るくなってから対向車がそのカーブに現れ、やがて目が眩むようなライトでこちらを照らしながら通り過ぎてゆく。そのライトで、すれ違う闇の中に大きなガが飛び回っているのがよく見える。ガは時々顔にも当たってきて、非常におぞましい。山の中のナイトランで、車がいないときは完全に真っ暗、ライトが本当に有り難い。計画時に想定していなくても、やっぱりライトを使う機会があるのだ。いやこれは計画の精度次第か。
黙々と、粛々と、走るという実感ある行為というよりは単に足を回し続け、進んだというよりは単にだいぶ時間が経つと、いつの間にか辺りは牧草地に変わっていた。もうだいぶ長い間細切れ開通で残っている国道274との交差を通過。この国道274さえ開通していれば、釧勝峠の国道392から直接ここに来れたのに。こんなに大回りしなくて良かったのに。でもここまで来れば、阿寒湖の分岐から2/3以上来ている。もうあと一息、というほど阿寒は近くないが、いや、それでももう一息だ。
しかし、それからも牧草地は延々と続いた。というより、道が一直線になり、真っ暗な中の道と牧草地の景色は更に単調になった。それでももう道の脇には牧場農家が断続するようになって、人の営みが実感できるのが心強い。もう何とかなるところまで下ってきたのだ。
19:45、上阿寒「赤いベレー」到着。やったやった、ついに到着である。明るいところでメーターを確認すると、230km。おお、230km行きましたか。釧勝峠とか十勝平野の経路云々ではなく、明らかに事前の計画ミスである。下幌呂までは遠すぎたのだ。
そもそも事前お電話より延着で、この宿にも申し訳ない。反省である。温泉併設の公共施設で、この時間でもまだ地元のお客さんが新たにやってきているのが、まあ少しは気が楽だ。
夕食は準備済とのことで、20時半までに食べる必要がある。宿に迷惑は掛けたくないので、汗だくだがささっと食べてしまうことに。
あの時間に予約して、フルオプションを用意してもらえるのが凄い。さすがは食堂併設の公共施設、食材は保管庫に確保してあるのだ。しかし肝心のオプション、鹿肉に鴨肉の料理は、品数は多いものの何かイメージが違う。野菜が少ないのだ。思えば普通のお客さんにはこういう料理の方がいいのだろう。
明日は花咲港まで。下幌呂発の計画だったが、今日の下方修正で、コースイメージからどこかを端折ることになる。しかしようやくたどり着く根釧台地に道東太平洋岸、どこも通りたい道ばかりだ。予定通りの釧路湿原北を突破のコースを再確認するが、一方で今日230km走ってしまったので、明日はやや抑え気味にしておきたい。となると、釧路に出る方が無難だ。問題は釧路から先。ややアップダウン多めでくねくねの太平洋岸へ向かうか、それとも禁断の幹線国道、国道40をしばらく我慢するか。
どっちにしても悩ましい選択で、結論が出る前に眠さに負けてしまった。
記 2008/9/22
#6-1へ進む #5-3へ戻る 北海道Tour08 indexへ 北海道Tour indexへ 自転車ツーリングの記録へ Topへ