北海道Tour08 #13-1
2008/8/14 抜海→天塩川温泉






抜海→(道道106)富士→(道道254)稚内→(国道238)宗谷岬
(以下#13-2) →(国道238)浜鬼志別
(以下#13-3) →(国道238)浜頓別→(国道275)敏音知
(以下#13-4) →(国道275)咲来→(村道)天塩川温泉

188km

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 稚内に近いだけあって、「ばっかす」のお客さんには早出して6時過ぎの利尻・礼文への船に乗る方もいるようだ。例によって4時に起きた私が荷造りしている間、何人かが出発していった。

 

 外を伺うと、昨日高かった雲がもう少し低くなっているようだ。今日は雨という昨夜の予報を思い出す。しかし、とりあえず路面は乾いているし、そもそもまだ雨が降っていない。
 今日はこのまま速攻で宗谷岬へ行ってしまえば、その後はオホーツク海側へ出て、終着は内陸の天塩川温泉である。もう今日から最後の道央方面への南下が始まってしまうのだ。オホーツク海側の浜頓別から先は、内陸の中頓別・天北峠経由か、枝幸・歌登・札来峠経由か、どちらも一長一短で悩ましく、決めていない。とりあえず例によって結論先送りにして、浜頓別到着時刻と天気で決めればいいだろう。
 気になるのは明日の天気予報。長かった今回のツーリングも、今日を含めてもう3日。その3日の内の貴重な1日の、明日は道内ほぼ全域で大雨らしい。しかし、もし走れるとなると、美深峠と江丹別峠が行く手に待ちかまえている。両方とも標高400m台、そう高くない峠だが、登りも距離も少ない今日はなるべく疲れずに済ませて明日と最終日を迎える必要はある。

 5:35、抜海「ばっかす」発。

抜海から野寒布岬経由で稚内へ 赤は本日の経路

 昨日の道道106北上を継続、稚内へ向かう。景色は相変わらず陸と彼方へ続く道、海と空だが、陸に小高い丘陵が立ち上がっているのが昨日に較べて目新しい。昨日はサロベツ原野で視界が平べったかったのが、もう稚内手前の台地に接しているのだ。空の雲は思っていたより低いようで、遠くは霞んでいるし、海上の利尻島、礼文島もどこだかよくわからない。時々顔に水滴も感じられるし、空気の感じがあまり爽やかではなく、じとっと蒸している。

 やがて富士で道道106は丘陵を超えて稚内へ向かってゆくが、何だか面倒臭いし、ここまで日本海沿岸を北上してきたのでつながりが良いのと、せっかくなので北海道先端のツートップを押さえておきたい。ここはそのまま日本海沿岸の道道254へ、野寒布岬を目指す。

 足を向けてはみるが、ルエラン、又留内、ルエベンルモ、潤内、富士見と断続する漁村には何があると言うわけではない。

 低い雲の下次第に増えて行く人口密度と人々の営みを何となく眺めつつ、何となく時は過ぎてゆく。

 唐突にくるっと道が曲がって野寒布岬を通過。ここも特に立ち寄るわけではなく、早朝の寒々しい観光港の景色を横目に120°ぐらい方向転換、道なりに稚内市街へ向かうだけ、まあ毎度のことではある。

 

 くるっと回り込んだ宗谷湾側の陸地は、日本海側に較べてけっこう栄えていて、野寒布岬からあっと言う間に都市化が進んで稚内駅に着くような印象がある。しかし、今回は早朝で、町〜街にはまだ人影が少ない。天気が悪いのもあって、何だか寒々しい印象すらある。まあそれも、いつもの早朝の稚内通りだ。

 

 かつて私が稚内に来るのは早朝が多かった。周遊券時代、夜行列車の座席で夜を明かしたときに、行きがかり上訪れざるを得なかったのである。街並みの他に、早朝の利尻・礼文へ向かう人々の民族大移動にも、鮮烈な印象があった。
 駅としてはもうだいぶ長い間訪れていない稚内駅だが、全然変わらない町並みやそれらの強い印象のせいで、何だか駅前を通る度、昨日来たような印象がある不思議な駅だ。

 6:40、稚内到着。朝のコンビニ休憩とする。さっき120°方向転換したお陰で、昨日ずっと吹いていた風が今や正面からの向かい風になってしまっていた。この先しばらくこの強風に耐えないといけない。

稚内から声問経由で宗谷岬へ 赤は本日の経路

 7:10、稚内発。
 街が町になってそれが漁港の景色になり、国道238に平行して何本か通っていた道がいつの間にか少なくなって1本に合流、声問の町の先から番屋が断続する海岸際の道となった。

 稚内空港を過ぎると番屋も民家もしばらく途絶え、最北端の道そのものの表情となる。空の雲は相変わらず低く、時々水滴を感じるのも相変わらず。

 海も何だか重い色で、まあこれはこれで最北端に向かう気分としては悪くない。

 道なりに走っていればいいのであまり地図は確認せずに進んでいたが、陸側に丘陵が現れ、川尻、富磯、清浜と漁村が断続し始めると、早くも宗谷のセイコーマートが現れた。

 こんなところにまでセイコーマートがという驚きで印象に残っている店だったが、もう登場か。そうか、稚内から宗谷岬まで32kmぐらいしか無いんだよな。

 というわけで、宗谷、珊内と断続する漁村を眺めつつ先へ進むと、すぐに8:35、宗谷岬着。▼動画1分36秒

 厚く低く暗い雲の下、この8月中旬に涼しいというか冷たい風が吹いている。金属のような重く暗い色の海に、展望広場の石のオブジェと、軽やかで勢いのある夏の生命を連想させるような物は無い。夏服の観光客達が違和感一杯だ。しかし、襟裳岬、納沙布岬と同じく、早い時間の到着で人が少ない。みんな落ち着いてぶらぶらと、写真撮りの順番待ちも無いのが非常に良い。

 

 それにしても、1回のツーリングで襟裳、納沙布とこの宗谷岬、北海道の東南北を訪れることができたのは、今回が初めてなのである。毎年の北海道Tourでは、一周や先端制覇そのものに拘るつもりが無いのと、日程にひたすら余裕が無いので、こんなコースは考えたことが無かった。
 西側はというと、北海道の腕というか首の部分、円弧を描く陸地の、幹線道路の国道229は初日に通っている。本当の岬である帆越岬には道道ピストンが必要だが、ここを訪れているのといないのでは、羅臼から北の相泊に行ったか行っていないかぐらいの差があるのだろう。しかし、西もけっこう良い線行っているとは言っても良いだろう。
 というわけで東西南北完全制覇ではなくあくまで東南北なのだが、改めて今日ここに来れて良かったと思うし、つくづく15日行程の威力を感じる。

  言われるままに宗谷岬で記念撮影 こういうとき自転車は徳だね RICOH GR DIGITAL 2 GR5.9mm1:2.4

 国道に直接岬が面しているこの宗谷岬、道からのアクセスは非常に良いが、その分写真を撮ってしまうと、もうやることが無い。いや、いつもそうなのだが、ここは特に居場所が無いのである。事務的にはWCなどにいろいろ用事があるので、それらを次々に事務的にこなして出発せねば。

記 2008/10/13

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Last Update 2019/7/26
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