札友内→(国道243)ウランコシ→(道道588)津別峠
→(林道上里線)津別峠展望台
(以下#10-2)
→(林道上里線)津別峠→(道道588)津別
→(国道240)本岐
(以下#10-3)
→(道道494)チミケップ湖
(以下#10-4)
→(道道682)最上→(道道27)北見
→(国道39)端野→(道道308)川口橋→(道道7)福山
→(市道・国道238・442)浜佐呂間 149km
ここ毎年泊まっている「鱒や」。いつものように5時半前に荷積みのために外に出ると、釧路川沿いの茂みの中の空気が涼しい。いや、寒い1歩手前だ。うん、これが普通の夏の北海道である。思えば昨年この宿を出発した日、オホーツク沿岸の異常高温で熱中症にやられてしまったのだ。しかしこの様子なら、今日はそんな心配は無いだろう。
それよりも、昨日の夕方の晴れから一転、空には白い雲がどっしり拡がっていた。ただ、すぐに何か降り始めるような気配は無い。夕べの天気予報では、今日の北見地方は晴れ。早朝の雲が9時には跡形も無くなってしまうのは良くあることだ。少なくとも日差しが無ければ、去年のように熱中症になることは無いだろうから、津別峠の登りでの心配が減ったとも言える。
5:50、札友内発。
国道243で釧路川沿いの低木林を抜け、屈斜路湖畔へ。
屈斜路湖畔も同じくどんよりと曇っているが、広々とした湖畔の畑や牧草地、山裾には霧は見あたらない。時々空の中に青い色が見えるような気もする。雨の心配は全く無いだろう。峠の途中で雲の上に出たら、上空は晴れというパターンかもしれない。津別峠では過去何回か経験している。
ウランコシで津別峠への標識が出て、道道588へ分岐すると、湖岸の畑から山裾の森までの少しの間は直登が続く。去年早く日陰に逃げ込みたくて仕方無かったこの直登区間で、今年は決定的に気温が低いせいか、登りが全然楽だ。そりゃそうだ、帰ってから去年ここを訪れた日がいかに暑かったかを、いろいろなWebページで読むことができたぐらい去年は暑かったのだ。
山裾の森は薄暗い緑の世界だ。空気が湖岸にも増してひんやりと気持ちいい。
つづら折れを何回か折り返すと、急に霧が漂い始めた。もう雲の中に入ったのだ。鱒や出発時から低い雲だとは思っていたが、それにしても意外に早い。それだけ登り斜度が厳しいのである。
何度も続くつづら折れの間、ゆっくりと漂う霧は幽玄と、薄暗い森を更に薄暗く涼しくしていた。
しかし森の上空が開け、道がつづら折れから山肌を巻き始めると、その霧もやや薄く、そして中が明るく眩しくなり、上空に時々青い色が見え始めた。
更に高度が上がると辺りはすっかり晴れて、真っ青な空が現れた。明るく鋭い日差しに照らされた森は明るく濃い緑で、この景色こそ津別峠、夏の北海道だと思わせられる。
峠へ続く稜線が行く手に見え始めてからが長く感じられる。開けた斜面の道はさっきの森とは全く違ってもはや日陰すら無い。
澄みきった青空から容赦なく鋭い日差しが照りつけるが、今日はもともと気温がそう高くなく、森からの涼しい風が長い登りを助けてくれる。
振り返ると、本来屈斜路湖から根釧台地、知床山地へ続いてゆくはずの景色が、ラグみたいな雲海に一面覆われているのが見えた。
なるほど、こんなに低い雲ならあのどんよりぶりが納得だ。
8:15、津別峠着。間髪入れず、展望台へのふるさと林道上里線へ。
フロントをインナーに落とし、斜度がぐっと上がった道をのろのろ登り始める。昨日の開陽台の展望台までの登りと並ぶ、今回の登りの中でも一番急な道だ。
一方、木々の間から見える近くの山々と一面の大樹海はなかなか見物で、更に見事な展望台からの景色を思い出す。
この坂も去年は押してしまったが、今年は楽勝とは言わないまでも、つらくて仕方無いと言うほどではない。昨日訪れた開陽台でもやはり去年は押してしまい、気温のせいにする一方で深刻に体力の低下を心配していたのだが、これでひとまず安心できた。
8:35、津別峠展望台到着。
この早い時間に、展望台駐車場には観光客のものらしい車が2台もいる。まあ何もそれに文句を付けるつもりは無い。こちらも例によって展望広場まで最後の一登り、「津別峠」の碑石脇に自転車を停め、写真を撮り始める。しかしさっき津別峠で眺めたように、眼下の屈斜路湖から道東の拡がりはほぼ雲に覆われていて、ちょっと残念だ。まあこういう年もある。空はこんなに青く晴れているのだ、良しとしよう。
展望広場から展望台の最上階へ登り、屈斜路湖とは逆方向を眺めてみる。今回も晴れて澄み切った空の中に、雌阿寒岳、そして大雪らしいシルエットが、手前の樹海の濃い緑から、次第にコントラストの弱い青になって消えて行くのが見えた。
逆に屈斜路湖側はさっき展望広場で見たとおり一面の雲海だ。場所が高いので展望自体はより開けていて、屈斜路湖外周の山々や海別岳が雲海の上に顔を出していたが、肝心の湖、中島、そして湖岸の陸地、知床の山裾は、ほとんど雲に隠れていた。
そうこうするうちに去年見覚えのある売店のおばさんが現れた。9時から売店が営業開始なのだ。おばさんはここの売店営業のために、毎日麓から自動車で登ってくるのである。早速、お店の準備が出来次第ということで、今年も蕎麦を注文。
山鳥の声、風が木の葉を揺らす音を聞きながら、展望台の柵に腰掛けて、空の中でそろそろ雲が切れ始めた屈斜路湖を眺めながら蕎麦を食べ始める。最高の蕎麦である。と、「こんにちは〜」と声がした。昨夜「鱒や」で一緒だった方である。朝食後、宿主さんからこの津別峠展望台の話を聞いてやってきたとのこと。「鱒や」からここまで、車だとたったの30分とか。ええっ、速すぎる。だって国道243はまあいいとして、津別峠の登り区間があるではないか。でもまあ、四捨五入するとそんなもんなのかもしれないし、何にしても自転車とは比較にならないのだろうとも思う。
だいぶ長居してしまったが、次第に下界の屈斜路湖もだいぶ雲が切れてきていた。お昼にはすっかり晴れ渡るだろう。一方、頭上の空は相変わらず絶好調で、今日はもうこの先チミケップ湖には何が何でも行かねば。オートバイや自動車もちょこちょこ上がってくるようになっているし、そろそろ潮時だ。
記 2008/10/5
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