2007/6/17 大弛峠・三国峠・
|
|
(以上#1) |
|
大きな屏風のような岩の壁を短いトンネルで抜けると、その先は壁のように切り立った高い岩に挟まれた、薄暗いほどの狭く深い谷間である。
谷間には、神流川と道だけがくねくねのたうち回ってしばらく続く。
大黒で唐突に始まった鉱山施設は、真っ暗で細長い雁掛隧道を抜け、神流川から名前が変わった小倉沢の谷間にしばらく断続する。
鉱山施設は、生産に関係する部分はまだ動いているようだが、鉱山従事者の住宅や厚生施設関係は来る度に年々寂れてゆくようで、山奥の道沿いに異彩を放っている。
その鉱山施設の途中から、もう八丁峠へ向かう山腹の道が始まる。
例によって広葉樹に覆われた道は木漏れ陽に包まれているが、この道では路上の細かい落石が非常に多い。
まあそんなことを考えて緩い坂を登っていれば退屈しないぐらいの静かな道だ。
最後はやはりこの道お馴染みの、谷の向かいに恐ろしいほど切り立った急斜面の大きな石灰石採掘場を眺め、17:00、八丁トンネル到着。
トンネルの向こうは、ガードレールの向こうがすとんと恐ろしく落ち込んだ深い谷間である。薄く高い雲の増えた空の下、緑の山と谷がどこまでも続き、遠くでその境界は曖昧に消えてゆく。あるいはその辺りからもう平野部なのかもしれない。
その落ち込んだ足下へ、これから向かう金山志賀坂林道がくねくね続いているのが見えた。ここを出発すると、10分強ぐらいであんな所まで下ってしまうのである。まあそうだろう、500mも下るのだ。澄んだ空気で正面の二子山は過去最高の眺めだし、そう思うと何だか名残惜しいし、峠脇の絵画のような独特の枝っぷりの枯れ松も物寂しい。しかし、峠脇には小さな駐車広場とあずまやがあるだけで、とりつく島はない。あずまや裏手の湧き水も、今回も枯れていた。もうここの湧き水をあてにしてはいけないのかもしれない。
17:10、八丁トンネル発。
上から眺めた通り下りは急で、尾根から大きなつづら折れで切り立った斜面を一気に下りきってしまう。
途中、道の角度によっては、ついさっきまでいた筈の八丁トンネル出口のガードレールがよく見上げられる。それにしても、そう長い時間下っていないのに、意外なほどの落差ではある。
緑の森をどんどん下ってゆく道には、所々に落石の細かい岩くず溜まりが現れ、なかなか危ない。あまり速度を上げないように、そろそろと下る。
つづら折れが終わっても山肌を巻きながら、金山志賀坂林道は更にしばらく下り続ける。いつの間にか辺りの森は広葉樹から杉に替わり、緑の色が濃くなっていた。温度も上がり、季節が急に下ったような気にさせられる。
17:30、志賀坂峠着。目の前の志賀坂トンネルの向こうはもう群馬県だが、迷わず小鹿野町側へ。ここで金山志賀坂林道から国道299に合流したということになるが、峠と言うだけあってと言うか、この期に及んでと言うか、道はまだ下り続けるのだ。それもそのはず、八丁峠から500mも下ったのに、志賀坂トンネルでまだ標高780mもあるのだ。
山腹のつづら折れからようやく谷底に降りても、延々と谷間の農村に下りは続く。小鹿野町からは軽い登り返しが2回、次第に薄暗くなる秩父盆地へ。最後は武甲山のいつ見ても無惨な姿を夕方の空中に眺めつつ、18:50、西武秩父着。
輪行作業を速攻で終え、早速駅前の蕎麦屋へ。時間がないので蕎麦を掻き込みながら、もう少し時間の余裕があればいいなあと思いつつ、デジカメをチェックしてびっくり。何と450枚以上も写真を撮っていたのだった。
記 2007/7/8