2007/6/17 大弛峠・三国峠・
中津川林道・八丁峠 #1

赤は本日の経路 濃い灰色は過去の経路

塩山→(県道38・国道140)窪平→(県道210)杣口
→(杣口林道)柳平→(川上牧丘林道)大弛峠
(以下#2) →(川上牧丘林道・村道)梓山
(以下#3) →(県道68・林道梓山線)三国峠
(以下#4) →(村道13)中津峡
(以下#5) →(県道210)大黒→(林道金山志賀坂線)志賀坂峠
→(国道299)中寺尾→(県道72・国道299他)西武秩父
  137km

川上牧丘林道のオアシス区間 カラマツの美しさは筆舌に尽くしがたい ましてやこの青空 RICOH GR DIGITAL GR5.9mm1:2.4

 しばらく某導入促進事業で忙しい日々が続いたため疲れが溜まっているようで、この季節だというのに身体がなかなか目覚めてくれない。しかし、新緑が最高に美しいこの季節、そして最高の晴天が期待できる天気予報、今日を逃す手は無いのである。
 いつものように4:15国分寺着、高尾・大月と各停を乗り継いで、6:23塩山着。

塩山から杣口林道・川上牧丘林道経由で大弛峠へ 赤は本日の経路

 6:45、塩山発。
 東京ではもう朝でも生暖かさを感じるようになってきたというのに、塩山はきりっと涼しい。その涼しい空気の中を、県道38で恵林寺へ、そして国道140と離合する替地へ。行く手の空にはうっすらと高い雲が走っているが、空の青濃度は今日の晴天を確信させるには十分なものだ。

 替地から登り始めた道は、請地で「クリスタルライン」の矢印に従ってそちらの方向へ入ると、いよいよ本格的な登りとなる。

 周囲には葡萄畑、林檎畑、田んぼなど農村が続き、勢いがいい明るい緑の葡萄棚には、早くも小さいというよりまだ細かい葡萄の粒を見つけることができた。

 葡萄畑の緩斜面を直登してきた道は、金峰神社の赤い鳥居と町営の温浴施設を過ぎると、農村部から山腹の森に突入する。振り返ると、塩山辺りからせり上がっている甲府盆地の縁が、青空の下朝日で輝いていた。

 そろそろ日差しが強くなって暑くなりはじめていたので、涼しい木陰が有り難い。間もなくくるっと道が折り返し、杣口林道が始まった。

 杉の林の中は今までにも増してひんやりとして、斜度が緩くなるのもあり、少し肌寒さすら感じる。

 森の隙間からは富士山の姿も予想外の角度に意外なほど間近に大きくはっきり眺められ、改めてもう1000mを越えているこちらの標高を感じさせる。

 6月下旬も目前、もはや濃厚に生い茂った薄暗い森の中、道はくねくねと入り組んだ山肌に沿って、尾根と谷を次々にこなして着実に斜度を上げてゆく。

 その森にカラマツが現れて辺りが開け、相対する山肌とその間の谷間を見下ろせるようになると、周りから少しずつヒメハルゼミの声が聞こえ始めた。

 山腹を巻いて杣口林道がどんどん高度を上げて行くと、深緑一色の正面の山のかなり上の方に、巨大なコンクリートの壁が見え始めた。ダムである。もう何年も工事を続けていた琴川ダムが遂に完成したのだ。

 ふとさっきの富士山を思い出して振り向くと、上の方に残雪が残った黒い山々がやや遠くに見えた。今まで見えたことがなかった南アルプスが見えていたのだった。

 巨大な琴川ダムが登るにつれ次第に近づき、鳥居峠を越えると辺りの森が切れ、杣口林道の終点柳平へ、このコース大弛峠まで唯一のほんの少しの下りとなる。

 一昨年は下って行く谷間、昨年は工事現場だったはずの眼下の場所一面に、静かな水面が拡がっているのが鳥居峠から眺められた。同じコースを毎年通っているようではあるが、こんな山の中でもやはり毎年少しづつ何かと景色は変わるものだ。
 8:45、柳平着。可愛らしい分校に民宿「金峰山荘」の他、給水ポイントがいくつかあるはずだが、この際このまま先へ進むことにした。

柳平から川上牧丘林道経由で大弛峠へ 赤は本日の経路

 少し下った分なのか、ここから先しばらく大弛峠山梨側では一番斜度が厳しいように思う。その激坂がほんの少し続いて、斜度が一旦少し緩む辺りで牧場は終了、再び森が始まる。ここの5月一杯まで毎年冬季閉鎖されているゲートから、道は杣口林道から川上牧丘林道へと名前を変える。

 渓谷沿いの森で、再び激坂が開始。谷の奥で折り返す標高1700m辺り以降では、激坂と空気の薄い相乗作用で、もう頭がくらくらになる。それでもたまに木々が開けて見える富士山に南アルプスは堂々と素晴らしく、目を覚ましてくれた。確かここがこの道で富士山が見える最後の場所である。

 また、山の鳥の声、ヒメハルゼミの合唱、渓谷の涼しい流れの音。きりっと涼しい空気と共に、つくづく来て良かったと思わせられた。

 周囲の森が広葉樹からカラマツに変わる手前で激坂区間は終了。

 ひんやり薄暗いカラマツの森は小鳥の声が響き、鬱蒼とした森の向こうが突然開けて南アルプスを見渡す場所もあり、湧き水が美味しい水場もある。

 のんびり落ち着ける、川上牧丘林道のオアシスとも言える。

 山肌を巻きながら再び登りが始まると辺りは開け、今度は正面に、大弛峠から続く甲信国境の金峰山と朝日岳が見え始めた。

 その向こうには何と八ヶ岳が見える。本当に今日の展望は凄い。そもそも南アルプスだっていつも雲に隠れていて、あんな位置のあんな角度では見えたことがなかった。展望がいいだけあって、金峰山と朝日岳も何だか普段より全然間近にはっきり見える。数百m上の頂上付近に岩が塔状に重なっているのまで間近に見え、つい空中を歩いて向こうへ行けるような気分にさせられるのがのが凄い。

 あとは地図の通りに延々と山肌を巻きながら高度が順当に上がって、辺りの樹種は針葉樹に変わっていった。

 稜線が凹んだ大弛峠が見え始めるとつづら折れ区間開始、最後は回り込んだ山腹の通りに道がぐるっと山肌を半回転。

11 塩山から杣口林道・川上牧丘林道経由で大弛峠へ 赤は本日の経路
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 その辺りへ来ると、例によってハイカーの駐車でこの標高2300mの路上に自動車が溢れているのだった。
 10:55、大弛峠着。

 山梨側がこれだけ展望が良いと、長野側の展望も期待を遙かに上回る。峠下の木々が育って見えにくくなっていた川上村の高原野菜畑も、正面の南相木村との境の山々も高く青い空も、すべて鮮やかにはっきりくっきり見える。こういう日は、この先のカラマツのダートがさぞかし見物だろう。ここはじっくり時間を掛けて下るべきだ。そもそも、シーズンに入って峠は車だらけ、居心地が悪い。ハイカーおやじも脇で煙草を吸い始めたことだし、とっとと下ってしまおう。

記 2007/7/8

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Last Update 2007/8/22
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