頸城の春05#2-3
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(以上#2) |
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ここから柿崎まで10km程、いよいよ国道8以外に道が無くなる。腹を決めて大型車が爆走する国道8へ向かうと、海岸間際の国道8は路側帯の幅が意外に広く、さっきの内陸部ほど取っつきは悪くない。おまけに朝からずっと向かい風っぽかった風は、強追い風に変わっていた。
調子に乗って一気に足を進め、13:10、自分でも驚くほどあっと言う間に柿崎到着。ここから再び内陸へ向かう。
平野に谷間、丘陵のアップダウン、田圃や森、そして集落の中の細道を繋ぎ、阿弥陀瀬、川田、岩野と進む。
東頸城丘陵も西端の裾野のこのエリア、川の迸るような雪解け水は相変わらずだが、生い茂る新緑には、もうほんの少し奥の谷の残雪の面影は無い。
松留から東横山までは、ようやくという感じで頸城らしい登りが始まる。
登り途中の棚田、高い木々に包まれるような斜面の集落なども、馴染み深い風景だ。
何と無く不安な気持ちで足を進めた東横山から坪野までの実線は、昨日通った大出口の一つ下の道。
廃道化がちょっと不安ではあったものの、結局何となく進むうちにいつの間にか通過したようで、無事に再び集落が始まって坪野到着。
もう15:00、次のほくほく線が虫川大杉15:53発。これに乗るなら、もうあとはほぼ下るだけで列車にはちょうど良い時間だろう。いや、ほんとはあと1時間ぐらい早くこの辺まで来る予定だったのだが。安塚の道の駅にも行きたかったが、今回は諦めざるを得ない。
でも、せっかく午後の日差しと新緑が素晴らしいのである。列車をあと1本遅らせれば、坪野から山直海へ下り、去年の頸城OFFで印象的だった名木山→蕨岡の県道376を楽しんで、虫川大杉辺りでかなり余裕を持って輪行ができるだろう。
旧吉川町の谷間がぐっと狭くなる山直海では、狭い谷間の美しく纏まった集落が、人の営みを感じさせる。
その少し奥、道はきりきりっとした激坂で一気に登り始める。
それにしてもさっきの山直海からそう距離は無いのに、この辺りまで来るとちょっとした木陰や谷底がもはや積雪1mの世界である。
15:35、急斜面の名木山で唐突に県道376と合流。この道、実は昨日最後に通った川谷や朝出発した大島村方面へ続く道だ。途中に続く集落は、景色もなかなか良い。が、今日は別の選択肢がある。
その名木山から大島村とは逆方向へ下り始める。
小麦平の集落とくねくね細道がすかっと落ち込んだ急斜面に張り付き、程良い間隔の杉を通して谷間がよく見える。
道の上手には集落、下は落ち込む谷間か棚田、それ以外は杉や新緑の広葉樹、対岸にはやはり新緑の低山。それらの中をくねくね細道がすり抜けてゆく。
次々にころころ変わる景色と空間感覚がとても楽しい道だ。前回の朝の雰囲気も良かったが、今日は午後の陽射しで新緑が期待以上に鮮やかだ。
道はやがて谷底に降り、谷間には田圃と集落が拡がり、16:00、蕨岡で国道253に合流。
ここから虫川大杉に向かうつもりだったが、思い直してもう少し先の浦川原まで進むことにした。駅は虫川大杉の方が静かで落ち着けるが、浦川原の方が辺りに店がありそうなのだ。
16:15、浦川原着。果たして旧道沿いの旧市街の他にも駅前に物産館があり、ここで缶ビールとスナック菓子を仕入れることができた。虫川大杉には菓子屋しかなく、ビールが買えないが、これは便利である。虫川大杉の雰囲気も好きなので、今後はケースバイケースで使い分けよう。
記 2005.5/23