田麦→(林道)板山→(県道78)川谷→(県道241)名木山 |
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5時頃一度目が覚めたので、起き出して中庭に出てみた。
中庭を囲んだ木々の上、青空が拡がっているのが見えた。申し分無いサイクリング日和だと思いたいが、意外な程空気が冷んやりしていない。いや、昨日の昼の暑さを考えると妥当なぐらいの気温なのだ。ううむ、甘く見ていたわけじゃないが、やはり新潟県の夏は暑すぎる。
7時からの朝食後、準備しているうちに、少しはひんやりしていたはずの空気が、蒸し暑さを感じさせるものに変わっていた。「今日もつらいぞ」と思ったが、空の中には雲が現れ始めていた。
そのうち、予定通り白鳥さんが登場。びしっと精悍で走り込んでいそうな、明るい感じの方である。自転車はケルビムのフレームにサンプレ5500ロングゲージ、私の自転車と何だか構成が似ている。
8:00、前回と同じように宿のおじさんおばさんに見送られて出発。桜坂峠方面へ板山まで下らずに直接出る道へ、おじさんに聞いておいた通りに集落上手から入り込む。
行く手の空は青いが、もう高く昇った太陽の方面から雲が拡がっていて、何と無く周囲は薄暗い。それにも係わらず、べとつくように蒸し暑い。昨日の暑さから考えると、これからまだまだ暑くなるのである。いつもと違って日差しが無いのが有り難い。
開けた斜面、棚田の上っ縁を行く道からは、緩く下ってゆく谷が一望できた。その風景は、地図から予想してはいたが、東頸城特有のドラマチックな景観そのものである。途中の田圃や畑では、農家の方が仕事を始めていた。
板山で合流した県道13では、合流点でそれまでの急登りが一段落するようで、庄屋の家のおじさんが言っていたとおり急登り返しを回避できたようだった。しかし桜坂峠方面へ向かう限り、登りから逃げることはできない。
それでもしばらくは狭く浅い谷に緩い登りが続いた。途中の棚田にはなぜか重機が入っていて、大々的に整地を行っていた。かといって道路を拡幅しているという雰囲気でもなく、あくまで棚田の整備を行っているようなのだ。まあ土でも入れ替えているのか、とその時は考えていた。
ところが、地場の建設業者が公共工事削減などで農業へシフトを始めている、という事例が、帰ってからのTVで紹介されていた。場所が何と新潟県東頸城郡大島村とのこと。多分これがそれだったのだ。
ちょっと急な登りで、ちょっとしたピークを通過。その向こうには吉川方面からの谷が拡がっていた。桜坂峠への道はここを下ってから桜坂峠へ登り返すが、我々はここから吉川町方面へ下る。前回訪れたのは3年前、ランドナーオフの初日だった。このときの印象が良く、もう長い間再訪したい道だったのだが、みんなで行く頸城はいつも雨で、なかなか足を向けることができなかったのだ。
下り始めてすぐ、急に私の前輪がパンクした。最近よく起こるトラブルで、いつも必ずチューブのバルブが根本から割れるように裂けているのだ。しばらく皆さんに待っていただく。
川谷、石谷と、下り基調の道に集落が続く。斜面の途中、小ぢんまりした平場に、棚田、農家、学校や商店が次々現れては入れ替わる。何ともまとまりの良い愛らしい風景だ。しかし、前回道端のとある木陰にいたヤギは、最後まで現れなかった。つらいことになっていないと良いが。
少し登り返して分岐、北側緩斜面から南側急斜面へ移り、一気に安塚方面へ下る。急斜面だけあって、杉の木の合間から急に落ち込んだ谷、そして谷を挟んで反対側に続く山々を見渡すことができる。時には森の中、時には肩を寄せ合うような集落が断続する。急斜面に張り付く道は危なっかしく、道の脇の杉は独特な頼もしさがある。
国道253から県道43に分岐、安塚の街に入る。安塚はこの辺りで最大規模の町だ。
お店はどこも閉まったままだったが、書店軒万屋のような店の軒に自動販売機があり、どうも他に場所も無さそうなので、しばらくそこで休憩することにした。すでにかなり蒸し暑い。休憩というよりも、実態としては避難に近いと言えた。
店で何か食べ物か飲み物を補給しようとしたが、商工会の定休日らしく、店を整理中の店主には商売っ気が無い。手持ち無沙汰で日陰の自販機で缶飲料を仕入れる。
この先菱ヶ岳方面へ向かうという話もあったが、DOIさんと白鳥さんがここから国道403方面へ向かうという。どうもそっちの方が道としては楽しそうなので、そちらへ向かうことにした。
安塚から集落の中に続く坂を100mぐらい登って下ると坊金だ。国道253から続く別の谷に、わざわざ山を一つ越えて来たことになる。最初から安塚へ向かわずにここへ直行しても良かったような気もするが、小山を一つ越えて着いた、緑に包まれた坊金の谷はなかなか雰囲気が良く、山深い印象だ。
坊金からは引き続き国道403でもうひとつ山を越える。細野の集落の中に厳しい登りが続いた。
稜線付近からは周囲の丘陵が一望でき、尾根を超えると向こう側の谷間、大島の集落が一望できた。
記 2004.7/11
Last Update 2005.6/2