新得→(道道75)上左幌
→(町道)新屈足
→(道道718)岩松橋
→(道道593)瓜幕
→(道道85)幌鹿峠
→(不二川迂回林道)ナイタイ高原レストハウス
→(道道806・337)上士幌
→(国道274)協進
→(十勝平原広域農道・北進農道)北進
→(農道・道道316・道道73・町道)下士幌
123km

下士幌

北進

士幌

上士幌

ナイタイ高原

幌鹿峠

然別湖

白樺峠

瓜幕

岩松橋

新得

北海道Tour02 #1
2001.8/9 新得→音更


 北斗星小樽の寝台で目覚めると、一面緑の山や牧草地が霧に包まれていた。昨日までの暑く人が多い東京が嘘みたいだと思った。まあそりゃそうだ、新幹線で捕まえた北斗星は、ずっと一晩中走り続けているのだから。
 窓の細かい水滴に気が付いた。北海道がここ最近雨らしいことは出発前に知っていたが、現実の風景で見ると、やはりショックは大きい。思えば2月頃の長期予報で、今年はエルニーニョ現象の影響が大きいらしいことを言っていたが、以前もエルニーニョ現象の年は北海道へ来てもずっとこんな感じだったのだ。ちょっとこの先の天気が思いやられる。
 南千歳で乗り換えて新得へ向かう途中も、ずっと辺りは霧に包まれ、川は泥水の濁流で溢れそうになっていた。

 11:08、新得下車。濡れた路面に低い雲。ある程度覚悟はしていたが、ホームに降りてみると、何と弱い小雨が降っている。それになんだか寒い。気を取り直して自転車を組んで荷物を積む。
 今回は走行9日の日程だ。ここ数年の走行12日ぐらいの旅程に較べると短くなった。そこで、それをいいことに荷物を減量し、4サイド+フロントを止めることにした。
 まあ減量したとは言ってもフロントバッグ+サドルバッグ+サドル袋(?)に目一杯荷物が詰まっているので、ある程度は重い。でも、去年まで程ではない。減量効果は自転車の重量の他、輪行時間や列車に乗るときの身軽さに如実に現れた。

 駅前のスポーツ用品店で熊除けの鈴を買い、国道38沿いのセイコーマートで補給して、出発。
 瓜幕までは去年通ったのとほぼ同じ道だ。いかにも十勝らしいカラマツと牧草地の風景の中を進み、十勝川を渡り、台地の縁を登り、また牧草地とカラマツの防風林の中を西へ向かう。決定的に違うのは今日は霧が濃いこと。瓜幕手前などの道では、晴れていた去年の風景、見渡す牧草地にその奥の緑の山々を思い出して走る始末である。

 瓜幕で看板に従い、然別湖方面へ向かう。カラマツの防風林の列を幾つもくぐるうちに、登りの斜度が次第に増し、やがて菅野温泉へと向かう道との分岐が現れた。雰囲気が良くて有名な山奥の温泉だ。いずれは今日行く予定の幌鹿峠への道に合流する道である。幌鹿峠方面だと一昨年通った道の逆走になる。ちょっと立ち止まって悩むが、冷静に考えると、時間が無いし天気も悪そうだ。長いダート登りが続く菅野温泉の道は今回はあきらめることにした。
 分岐から分かれると、道は白樺峠へ向かい、明らかに登り始める。山から下りてくるのか、周囲は霧に包まれ、すぐに100mぐらい先が見えなくなった。道路脇には自衛隊然別演習場の看板が目立つ。その道の脇が開けると、本当は十勝平野が見渡せるはずなのだが、今日は真っ白なガスで何も見えない。

 扇ヶ原展望台、3本の覆道を過ぎたが、いかんせん100mぐらい先が完全に見えないので、見えない向こうが単なるカーブなのか峠なのかさっぱりわからない。おまけに長期ツーリング初日の常で、昼の時間帯を過ぎてなんだか凄く眠たい。坂自体はだらだらなのに、先の見えなさと眠さがつらい。
 まあそれでも順当に白樺峠を通過し、下り始める。とたんに汗が引き、寒さを感じ始めた。静かな林の中から見下ろす駒止湖も今日はは霧で何も見えないが、いかんせん寒さで風景どころじゃない。

 14:45、然別湖着。湖面にも濃い霧が漂っていて、水面は冴えない重い色だ。
 寒いのと眠いので、「あったか〜い」マークの缶コーヒーを2本続けて飲むと、まあ何と無く暖かいように思えてきた。
 15:05、然別湖発。湖畔沿いのブラインドコーナーの多い細道を過ぎ、記憶通りの僅かな登りがだらだら続く。最後は何となくだんだん坂になって、16:00、幌鹿峠着。注意して霧の中をよく見ると、すぐにダート林道の分岐といかにも林道入口っぽいゲートが開いているのが見えた。不二川迂回林道である。
 今日はこっちに進んで上士幌へ直接降りる。時間があれば途中で分岐するナイタイ高原への周回道路へ向かいたいと思っていた。でもこの霧にこの時間である。宿泊地は音更町までなので、寄り道は非常識だろう。
 新得で買った熊除けの鈴をフロントバッグに取り付け、ダートへ突入。

 不二川迂回林道は幌鹿峠から標高差600mのダート下りなので、当然と言えば当然だが、下りが延々と続いた。おまけに所々で砂利が深くなる。相変わらず霧は深く、鬱蒼とした山の中はいつ熊が出てきても何の不思議もない雰囲気だ。現にキタキツネ、キジのような大形の鳥、エゾシカを何度も見かけた。シカなどは行く手の物陰から大2頭と小1頭が急に走り出て、驚かされた。1頭は山の中に逃げ込んでいったが、もう2頭は山に入りそびれてしまったのか、いつまでも前方の道を駆けて行き、霧の中に消えていった。

 山腹を下りきって沢に合流しても、まだしばらく森の中のダートは続いたが、唐突に道が登り始めた。短い登りの行く手、頂上が明るく開けているのが見えた。そろそろ終わりかと思っていると、果たして坂のてっぺんで急に牧草地が広がった。ナイタイ高原牧場の下端である。
 ちょっとレストハウスで休むと気分はいいのだろうが、まあこの曇りである。身体が冷えて寒いだけだろう。そのままカラマツ林や牧草地の中を下り続けると、下手の霧が晴れて、町が広がっているのが見えた。あそこが上士幌だ。

 16:50、上士幌着。そのまま町外れの町道を走り抜け、今日の宿泊地の北帯広YHに18:30到着を目指す。国道241に合流すると、一気に通行量が増えた。幅の狭い道に大型車、バスが恐ろしい。道路の端に寄って走っていると、何度かの舗装でちょっと深めの段差になっている路肩に入ってしまう。舗装だっだり土を被っていたり、何かが落っこちていそうな不安定な部分なので、車が少ないタイミングを狙ってそのまま内側に戻ろうとした。
 と、乗り越えかけた段差が意外に大きかったのか、前輪が段差の縁でずるっと滑り落ちて、ちょっと不安定になったと思った瞬間。
 自転車が転倒して投げ出されてしまっていた。やばい、35kmから転倒である。
 自転車が「ごつ!」という鈍い音を立てた、と思った。

 絶対にやばい!と思った。が、起きあがってみると、身体の数カ所にひりひりとした痛みは感じるものの、意外なほどの軽傷で済んだようだった。自転車はどうか。先の鈍い変な音が気になる。とは思ったが、フロントバッグに穴が空いてタイヤが外れた他、ボトルケージの接着部分が外れたりチェーンが外れたりはしていたが、自転車も意外にダメージが少なさそうだった。この間10秒ぐらいだと思うが、気が付くと後続のトラックがゆっくりと減速して停まってくれていた。驚いた顔でこっちを見ている運ちゃんに、立ち上がってとりあえず手を振って大丈夫な旨を伝える。
 何台か車が先に行った後で、もう一度自転車をよく見ると、前輪のタイヤは裂けてこそいないが、一部が外れて完全に裏返っている。その部分のチューブは、何と破裂を通り越して完全に切れていた。段差で車輪がずり落ちたとき、段差への摩擦と落ちた衝撃でタイヤがリムから外れ、外に出たチューブが切れてフォークか何かに引っかかり、前輪が急に止まって自転車全体が勢いで回転したらしい。

 車の行き交う国道241の脇で、2本持ってきた新品のチューブに交換する。ホイールの振れもチェックしたが、大丈夫なようだ。再び走り始めると、どうやら全く問題なく走れる。
 士幌の協進の交差点はそこからすぐだった。見覚えのあるセイコーマートで小休止する。思えば確か以前ここを通ったときに、同じような段差トラブルがあったことを思い出した。その時は転倒には至らなかったので、すっかり忘れていた。全く我ながら学習能力が無い。
 この段階で17:50。この分ではYHの夕食時間には間に合わないので、電話を入れる。この先は、十勝の地形を考えると、僅かに均等な下り基調だろう。30分遅れ強ぐらいで何とか着くだろうと思う。
 膝上の擦り傷は面積は広いが浅いので、ここで絆創膏を貼ってまあ安心できた。他の擦り傷もまあ絆創膏一発程度で大丈夫だろう。他の打ち身数カ所も深刻そうじゃない。ちょっと痛むのが左手の子指だった。爪の下が軽く内出血して、赤黒く変色していた。それと、直径5mmぐらい、皮膚がはがれたように擦れていた。しかし、骨が痛いという感じではなく、このままツーリングを続けても心配はないだろう。まあそう大したことはないようで、一安心。

 その名も「十勝平原広域農道」で夕暮れの十勝を南下する。道は国道より多少狭いが、良好な路面に圧倒的に少ない交通量だ。思った通りほとんど平坦な下り基調で、同じような畑と防風林の直線がどこまでも続く。まあ単調と言えば単調だが、先が見えた気楽さで、あまり細かいことを考えずに快適に走ることにする。

 宿の手前でちょっと迷って、19:05、トイピルカ北帯広YH着。まだ新しく、小綺麗で広い、なかなかいいYHだ。食事も多く、満足。

記 2002.8/10

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Last Update 2003.3/23
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