留辺蘂→(国道242号)置戸
→(道道211号)鹿の子温泉
→(道道88号)西喜登牛
→(芽登糠南林道・芽登川林道)旭ヶ丘
→(道道468号)清水谷
→(国道273号)糠平
→(道道85号)瓜幕
→(道道593号)岩松
→(道道718号)屈足
→(農道)新得
163km

地名など

新得

屈足

岩松

瓜幕

白樺峠

然別湖

幌鹿峠

糠平

旭ヶ丘

西喜登牛

鹿の子温泉

置戸

留辺蘂

北海道Tour00 #9
2000.8/18 留辺蘂→新得


 今日も晴れだ。空が青い。しかし、西の十勝方面には、多少雲が見えていた。

 7:00、留辺蘂YHを出発。早く出発したかったので、YHでは朝食は取らずに、昨日当たりを付けておいた国道39号脇のセイコーマートで食料を買い出し、置戸へ向かう。
 町外れの坂を登り、国道242号で昨日夕陽に包まれていた丘を越える。トウキビ・ジャガイモなど、視界に拡がる丘は有効に農地として使われており、昨日の北見方面の風景と併せ、この辺が豊かな畑作地帯であることを伺わせる。
 置戸まで3度丘を越えるこの道も、90年に通ったはずなのだが、あまり記憶にはない。確かエルニーニョ現象で、北海道へ来ても雨ばっかりで、仕方ないので虫食い的に走りたい場所だけを余裕無く走っていた時期だったのだ。
 それでも、丘の畑の風景の中を谷間の小さな置戸の町に着いたとき、なんとなく町の雰囲気は覚えてはいた。町の北の斜面をバイパスで抜ける国道を避け、町中の道を選ぶ。町の雰囲気は記憶と似ていたとは言え、ふるさと銀河線の駅をはじめ、いろいろな公共施設は見違えるように現代的な建物に整備されていた。

 置戸からは道道211号を行く。置戸までまで決して交通量の多い国道ではなかったが、道路の雰囲気はぐっと静かになり、風景の中を走る喜びを感じる。
 山に挟まれた平たい谷に、トウキビやジャガイモの畑が続く。朝のまだ涼しい空気と青空が、何とも快適だ。谷間の平地を挟む山は、エゾスギがきっちりと詰まっている北見の山々だ。これから峠を越えると、これが十勝の風景になるのだ。それを考えると、何とも自分の休みの終わりが近づいているようではある。

 畑の拡がっていた谷が狭くなった。道道88号の分岐に近い鹿の子温泉には古びた温泉宿があり、「ジンギスカン」などという看板が掲げられていた。食い物に弱い私は、こういうのにけっこうグッと来る。まあ、夕食のジンギスカンを抜きにしても、かなり静かな道道沿いの温泉宿のようで、またいつか来れれば、と思う。

 道道88号線の北見地方と十勝地方を結ぶ峠には、名前が付いていないようだ。少し鹿の子温泉側に登って下ってがあり、その後は東大雪に続く樹海の中を、標高700mの峠までだらだらと少しずつ登っていった。
 坂はだらだらだったが、高いカラマツ・シラカバ等の木々がどこまでも続く大樹海の直線道路の雄大な風景は素晴らしい。樹海の中を道にほぼ沿って流れる川が消えるころ、ようやく峠道もそろそろ終わる雰囲気が見えてきた。
 9:45、峠着。朝7:00の出発が効いて、9時台に十勝地方に入ることができた。今日の幌鹿峠・然別湖は確定だ。

 十勝方面の薄曇りの空の下、下りは登り以上のだらだら坂だった。カラマツや雑多な広葉樹の高い森の中、下ってるんだか平坦なのかわかりにくいほどの緩い下りが延々と続いた。しかし、道を進むにつれ、青空が雲の隙間から見え始め、薄日も差すようになってきた。

 道道88号が芽登まで下る途中の西喜登牛から、国道273号の清水谷へショートカットするため、12kmのダート林道に入った。まあ、ダート林道の場合、近道でもそんなに時間短縮にはならないので、むしろ気分転換的な意味合いが強いのだが。
 芽登温泉まで3kmは走りにくい、がたがたダートだった。砂利も多少深い。が、糠南ダムから先は土が締まって走りやすくなった。とはいえ、約3kmの登りはなかなか急で、ずいぶん押し上げを必要とした。押し上げていると、ゴマフアブやら汗を吸いに来たんだか血をを吸いに来たんだかわからない変な昆虫が顔の周りに集まってくる。キツネらしい動物の糞も、林道の真ん中によく落っこっていた。
 しかし、登り部分のてっぺんでは前方の木立が開け、青い空が開いた木の隙間に見え、何とも気分が良かった。

 木立の中、気持ちよい長いダート下りから舗装道道を経て、国道273号へ合流。ダイナミックな音更川の大渓谷を、広い国道は豪快に大きな曲線を描いて少しづつ標高を上げる。
 12:55、糠平着。ここで昼食休憩。

 13:15、糠平発。すぐに町外れで国道273号と別れ、幌鹿峠へ向かう。高い木々に覆われた片側1車線ずつの峠道は、しばらく結構な登りが続く。9%ぐらいだろうか。頂上までこれだと津別峠といい勝負なのだが、こっちは1/3強登ったところで勾配がやや緩くなる。
 つづら折れ区間が終わる辺りで、道の上をスキーのリフトが何回か横切った。冬はここがスキー場になってしまうのだろうか。やがてもう少し登ると、それらのリフト降場が道の脇にあったので、どうもそのようだ。
 トラバース区間にはいると、間もなく14:40、幌鹿峠着。津別峠程じゃないとは言え、道内急坂峠の一つに加えてもいいだろう。

 幌鹿峠から然別湖湖畔までは13kmもあり、頂上付近はまあまあの斜度だが、下りの途中からはやはり例によってかなりだらだらと樹海の中を下る。こちらはほぼ原生林と言ってもいいのだろう。エゾスギやクヌギ・ダケカンバなどの各種の広葉樹林がかなりごっちゃに生えている。みんなとても高い木だ。
 下る途中の山田温泉で、温泉旅館のひなびた佇まいにまた心惹かれるものがあった。駄目押しで「本日空室あり」なんて看板が出ている。いや、今日は新得まで行っておかないといけない。

 少し登り返して平坦になると、木々の間から湖面が見え始めた。然別湖だ。標高800m、高山帯の湖だ。湖面から丸みを帯びた形の山がいきなり立ち上がっているのが楽しい風景だ。湖面は空を反射しているせいか、やはり青いような気がする。途中から対面通行の狭い道路になり、入り組んだ湖岸にそってクネクネと進み、15:05、然別湖温泉着。

 然別湖ももう長いこと来てみたかった場所だ。北海道を初めて自転車ツーリングで回った86年以来の課題だったのだ。実はここから反対側の湖岸には、北海道3大秘湖の一つ、「東雲湖」がある。芦原の中の静かな小さな湖、という映像をTVかなんかで見たことがある。この時間の徒歩往復3時間はちょっと痛いので、今回は割愛せざるを得ないのだが、糠平湖から然別湖へ来れたこと自体にかなり満足していた。
 ちょっと水を補給して、すぐさま出発。

 然別湖からまた標高差100mほど、小さな駒止湖の脇の白樺の道を登り返す。鉄砲の音らしい大音響が時々山間に響いている。鉄砲の音にしては音がでかいが、特に騒ぎにはなっていないので、多分自動車事故じゃないのだろう。並木のように両側に立つ白樺の間の細い道、見下ろす小さな澄み切った駒止湖、期待していなかったという以上にいい雰囲気の道で、うれしい発見だ。
 間もなく、白樺峠に到着。下った先の空の中に、霞につつまれてぼんやりとしてはいるが、十勝平野が拡がっているのが見えた。

 下り始めると、トラバースで山腹を下る空側が完全にオープンになっているので、見渡す限りの十勝平野を見下ろす形になる。標高差3〜500m程度か。これは凄い光景だと思った。降りながら完全に有頂天になっていた。
 実は去年11月頃に、出張で釧路から千歳空港まで飛行機に乗った。晴天だったので、夏に走った道がまるで地図をトレースするように見えたものだが、その時と似た興奮があった。
 落ち着ける場所を探していたら、駐車場のある広場が道路脇にあったので、自転車を止めた。まあまあ広い駐車場には、車はほとんど止まっていない。やはり道道はいい。

 例によってラーメンやらコーヒーを沸かして、しばらく展望を楽しんだ。 もう空は半分青く半分霞んだような色になっていた。空気中の水蒸気で霞んだ明るい視界の中、遠くは十勝の牧草地に畑、防風林のグリッドが延々と拡がっているが、真下は森林と草原になっていて、響きわたる爆音とともに灰色の煙が上がっている。自衛隊然別演習場だ。そうか、この音だったのだ。
 火器を使うと調理して食べて一息付いて、どうしても何かと30分以上かかってしまう。16:00、扇ヶ原展望台発。

 下りきって夕方の十勝平野の畑や防風林の中を進み、17:45、サホロYH着。
こぢんまりと落ち着いて静かで、内装も綺麗ないいYHだ。初めて北海道に来たときの一番の目的は、この新得の新狩勝峠で列車の写真を撮ることだった。その時は金も無いので駅で寝たものだったが、新得にはこのほかにも食事の多い「サホロハウス」という民宿がある。泊まりやすいいい宿が増えたものだと思った。

 昔そういうわけで駅に何泊かした新得駅には、私には何か懐かしいものがある。駅前に行ってみたが、建て替えでとっくの昔に前の駅舎は残っていない。それでも夕方の駅前には、ザックを担いだなんと無く手持ち無沙汰のような若者が一人、少し離れて大きなザックが3つ置いてあった。多分彼らは駅前で寝るのだろう。

記 2000.8/19

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Last Update 2004.1/2
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