厚内→(町道)上厚内
→(国道38)浦幌
→(道道56)上浦幌
→(国道274)足寄
→(国道242)陸別
→(道道51)本岐
→(国道240)津別
→(道道588)津別峠
→(町道)津別峠展望所往復
→(道道588)ウランコシ
→(国道243)古丹
201km
屈斜路湖
古丹
津別峠展望所
津別峠
上里
津別
本岐
陸別
足寄
本別
留真
浦幌
厚内
北海道Tour01 #3
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窓の外がうっすら明るくなってきたようだ。何と無く目覚めると、夜中も止まなかったはずの雨音が全く聞こえない。外を覗くと、路面が乾いている箇所すらある。雨が止んでいるのだ。出発前の「釧路 雨・雨」という天気予報よりは、希望が持てそうだ。それに今日は海岸部よりも晴れる傾向がある内陸部へ向かう。
6:30、厚内「待ちぼうけ」発。
ブキミに物静かな海岸近くの丘陵の谷の道から、国道38号に合流する。国道38号が通る山の間は低いガスがかかっている。果たして自動車に追われて浦幌に向かうまでに雨がぱらついてきた。が、それも浦幌の手前で完全に止んだ。
7:30、浦幌着。コンビニ前で朝食を取る。脇の住宅の人が
「胡瓜持ってかないかい。たくさん取れちゃってねえ。この前も自転車の人に持ってってもらったんだ」
と声を掛けてくれた。思いがけない胡瓜を待っていると、もう全部漬けてしまったとのこと。あまりでかい胡瓜をもらっても困るぞ、と思っていたので、親切だけありがたく頂いておく。
8:00、浦幌発。これからしばらく浦幌川沿いの盆地を本別の手前まで遡る。
低い山に囲まれたそう広くない浦幌川沿いの盆地には、畑作エリアが続く。畑には例によってトウキビ・ジャガイモ・テンサイ・ソバ・アブラナまで様々な作物が、あるものは元気良く葉を伸ばし、あるものは花を付けていて、いかにも夏らしく賑やかである。
盆地を遡るうち、何となく周囲の山が明るくなってきたと思ったら、太陽が出てきた。しかしまだ雲は切れず、空全体が明るくなっているという感じだった。低い雲に日光が反射して、白い発光体のようになっている。目を一杯に開けていられないくらいにまぶしい。日光の厳しい北海道ならではの現象だ。
浦幌から30数kmも離れた上浦幌で、ぎりぎりまで低くなった盆地のエッジを乗り越え、標高差約100mを降りて9:20、本別着。盆地のある台地から河岸段丘の谷間の本別に降りるわけだが、台地上の浦幌川と段丘の下の利別川と、それぞれ全く別方面に流れていっているのが、なかなか微妙な地形で面白い。
セイコーマートを探し小休止後、9:50、本別発。ここから陸別までは、行きがかり上約50km弱国道242を通ることになる。
まだ髪の毛がアフロ(?)の頃の松山千春のイラストが看板になっているドライブインの交差点を曲がり、10:40、足寄通過。国道なので大型車・排気ガス・塵などを覚悟していたのだが、足寄を過ぎてからは交通量がぐっと減り、谷が狭くなって山が近づいてきたこともあって、そう悪い気分ではなかった。
天気はもうすっかり晴れになり、照りつける太陽が暑いくらいになっていた。谷が狭くなってだんだん周囲の山が近づき、12:20、陸別着。
陸別は山の中の町で、平屋の公営住宅・林業関係の事務所が小さな町並みと共に狭いエリアに肩を寄せあっている。ふるさと銀河線の陸別駅に併設されて道の駅なんかもあったが、セイコーマートもあった。こういう時、休憩場所に私はセイコーマートの店の前を選んでしまうのである。それほどセイコーマートは北海道のどこでも見ることができるのである。
12:45、陸別発。国道24号から分岐して、道道51号で本岐まで向かう。いくら今までの国道242が交通量が少ないと言っても、さすがにこういう田舎の道道は交通量は圧倒的に少ない。道の緩い坂やこの後の津別峠の激坂対策もあって、落ち着いた気持ちでのんびりと進む。
同じような低い山々と狭い谷間が延々と続く。低い山を覆う樹木は植林されたものなのか、杉が多い。谷間は畑や牧場になっている。十勝と北見の境の緩く低い峠は開けた牧草地になっていた。
途中、時間に余裕があれば、去年訪れたチミケップ湖に寄れるかもしれないと思ってはいた。いや、というより時間が多少厳しくても絶対再訪したかった。しかし、この後の津別峠を考えると、チミケップ湖はあきらめる方がいいのかもしれない。陸別発があと30分早ければ別に悩まなくても良かったのだが…理性と感情の葛藤に悩んでいると、せっかくの静かな谷間の風景を味わうのを忘れてしまう。
悩みつつだらだら坂を下っていると、チミケップ湖への分岐が近づいてきた。「まあ悩むぐらいなら行ってみますか」と思い分岐に入ると、何と「工事中 通行止め」とのこと。拍子抜けしたが、ちょっと「助かった」とも思った。落ち着いて考え直すと、これから激坂の津別峠へ行くのに余裕がある方が絶対にいい。
畑、牧場と、低い山間の狭い谷間を下り、14:20、本岐着。そのまま国道240で多少今までより拡がった谷間を進む。下って谷が更に拡がったところで民家が目立ちはじめ、行く手に製材工場らしい櫓が見えてきた。14:15、津別着。
例によってセイコーマートで休憩後、14:40、津別発。
津別峠までは、やはり今までと同じように、低い山間に北海道としては比較的狭い谷間が続く。谷には丁寧に作られた畑・牧場が拡がっている。津別峠へ抜けるしかないので、国道240の通る谷よりも交通量も少なく、より静かで鄙びた雰囲気の谷だ。
途中、上里の行き止まりの道との分岐には、小さな小学校がある。平屋の小さな木造校舎があって、何本かの大きな樹には樹名とともに「長い年月を見てきたよ」と札が掛かっていたり、狭い校庭に小さなゴール、何か典型的な田舎の小さな学校という佇まいである。95年に津別峠へ向かう時に一度休憩してから、私の中ではけっこうお気に入り(かなり個人的な趣味だが)の休憩ポイントなのだ。
今日も地図交換と水飲みのためだけにわざわざ立ち寄ってみた。静かな校庭には誰もいない。それでも小さな木造校舎の窓は開いていて、カーテンが微風に揺れている。エゾゼミの声がカラマツ林の中から聞こえていた。
津別峠の斜度は所々で最大11%。この時間、170km以上走った脚にはちょっと厳しい。荷物も多く、こういうときには誰が何と言おうと28×26のインナーローがありがたい。まあそれでも標高が上がると、雄阿寒・雌阿寒岳など周囲の山々が見渡せるようになり、今までの苦労が吹き飛んでしまうのが現金なところだ。
途中、北見ナンバーのワゴン車の老夫婦が
「大変だねえ。乗ってく?」
と声を掛けてきたが、せっかくの津別峠、ここは自分で登らないと。展望所のうどん屋の営業時間を聞くと、知らないとのこと。まあまだ開いているかもしれない。
16:45、津別峠着。まだ16時台なので、当然更に標高差200m以上ある津別峠展望所を目指す。
標高が上がって苔生した針葉樹が目立つ木立の中、峠から展望所までは、記憶通りやはりほぼ10%かそれ以上の勾配が連続していた。
17:05、ようやく津別峠着。展望所の駐車場で、今まさにワゴン車に乗り込んださっきの老夫婦と再会。
「うどん屋さん、美味しかったよ。あなた来るの待っててもらってるよ」
え!?
展望所の2階、土産物屋に併設のうどん屋のある部屋に足を踏み入れた瞬間、周りの数名のお客さんから拍手が起こった。ちょっと恐縮したりびっくりしたり照れたりしながらうどんを注文。恐縮する私に
「いや、お客さんが切れるまで開けてるから、特に何時までってのはないんだけどね」
とおじさんが言いながら、夏バイトっぽいお姉さんがうどんを作ってくれた。ここまでの峠登りで塩分を身体が要求しているのか、去年もそうだったのだがうどんがとても美味しい。いや、おつゆの底にはちゃんと鰹のだしが溜まっていた。普通に食べても美味しいに違いない。さっきのおじいさんも言ってたじゃないか。
うどんを食べ終わって、展望台に出た。
去年も来たはずのこの展望台からの風景は、本当に素晴らしい。もう夕方で、空の色は昼ほど濃くない空色、西側から拡がった夕焼けのオレンジ色、その中間トーンの何とも言えない曖昧な白、という3色になっていた。その空の中に浮かぶ屈斜路湖とその外周の山々、斜里岳・西別岳から知床へと続く道東の山々、それらの山々を部分的に覆う雲。
夕方の光の中で、影、木々の緑、山の姿が、緑から青、紫の混じったような色になっている。その向こうには、柔らかそうな黄緑色の牧草地と精密な防風林のグリッドが、裾野から拡がる緩い起伏のある台地から根釧台地へと続いてゆくのが一望にできた。まさに近くの真下、白っぽい空を反射して妙に明るい屈斜路湖は、模型のように見えるほどの展望である。
しばらく涼しい風に吹かれていた。去年もそう思ったが、ここまで来て本当に良かった。また、この時間に来て、今日が晴れで良かった。津別峠はやっぱり素晴らしい。
★すいません、写真は2000年8月、しかも午前中撮影のものです。 |
17:30、津別峠発。
冷えすぎないように注意しながら一気に下りきって湖畔をちょろっと進み、18:05、のんき舎着。18時だとばかり思っていた夕食は、19時からとのこと。それなら名高い屈斜路湖外周のダート林道にも行けたのに、とちょっと残念。いや、夕方の未知の林道は避けて正解だろう。はまるとかなりとんでもないことになる。
のんき舎の壁にはフラットバーを付けたちょっとフレーム小さめのランドナーが立てかけられていた。フレームにはRUCCと書かれてあって、エンブレムは京都のI'sBycycleさんのものだった。持ち主は京都の女子大生さんで、今日は清里YHから野上峠、摩周第3展望台を越えてきたとのこと。
「峠が好きなんです」
という、なかなかいい心がけの方だったが、私の方が疲れて寝てしまい、ほとんど何もお話しできなかったのがちょっと残念。
記 2001.8/13
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Last Update 2003.12/31