美瑛→(農道)美馬牛
→(国道237号)富良野
→(国道38号)滝川
→(国道451号)新十津川
→(国道275号)札幌
174km

富良野

月形

札幌

当別

新十津川

滝川

芦別

赤平

美瑛

北海道Tour00 #12
2000.8/21 美瑛→札幌


 7:00、美瑛発。低い雲に覆われた美瑛の丘を眺めながら、美馬牛まで走る。美瑛の丘の静かな風景ともお別れだ。

 後輪のスポークが折れた状態でサイドバッグ装着で走るという、危ないとも大丈夫とも、何とも言えない状況だ。今日は再び金山峠を越え、占冠からニニウを通って約18kmのダートを行こうと思っていた。その後は似湾峠を通って千歳へ抜けるという、全部一度通ったことがあるコースだ。ダートは下り基調だし、千歳到着時刻によっては支笏湖経由で札幌へ抜けるのもいい、などともともとあまり深く考えてはいなかった。
 金山峠は大したことはない。似湾峠に至っては標高150m、ちょっと高い丘という程度。やはり、今日の問題は、占冠→富川のダートだった。舗装区間にしても、占冠から先は千歳以外、全く鉄道へのエスケープができない。
 まあ、富良野まで行く間に後輪が何か危なっかしければ、鉄道に沿ったルートである滝川経由の平地コースに変更しよう、と思っていた。

 上富良野で富良野盆地に降り、向かい風の中を進む。道内は今日から新学期。国道にはいかにも自転車通学です、と言う感じのジャージ姿の小中学生を見かける。8:15、富良野着。美瑛からカロリーメイトを何本かかじりながらここまで来たが、町外れのセイコーマートで朝食にした。
 PHSを見ると、通信が可能なようだ。なかなか通信ができない今回の行程中、3回目の通信だ。

 後輪は別に振れるわけでもなく、舗装路を普通に走っている分には特に問題ないようではあった。ただ、やはりダートには一抹の不安が残る。
 ちょっと悩んだが、やはり滝川まで国道38号で下り、その後は札幌まで走ろうと思った。こっちなら万が一のトラブルの際にも、JRでのエスケープはいくらでも可能だ。でも、せっかくの最終日、静かな道道や、いかにも山深い雰囲気の楽しい富川までのダートを走りたかったという気持ちは残った。

 9:15、富良野発。国道38号で滝川方面へ向かう。そう高くない山に囲まれ、そう広くない谷が拡がるという、まあ順当に幹線国道の程良く開けた風景が続く。幹線国道ではあるが、意外にも自動車は少ない。広い道が滝里湖・芦別・赤平と続いた。実は赤平の少し手前、茂尻から富良野までは86年に北海道を初めて自転車で走った時以来の道だ。ちょっと懐かしい気分で通っては見たが、まあ昔のことなので、大まかな道の雰囲気以外はあまり記憶には残っていなかったようだ。特に昔は無かったダム湖の滝里湖周辺では、経路は大幅に変わっていたようだ。

 芦別の手前当たりから青空が拡がり、太陽が凄い勢いで照りつけるようになってきた。次第に拡がる谷を、赤平から滝川へ下りきる。まだまだ真夏らしい青空の下、道央自動車道をくぐり、広い滝川の町中を通ると、ついに石狩平野にまた帰ってきたのだ、と思わずにいられない。
 12:10、新十津川発。ここからは昨夏すがたにさんに引いていただいて通った道だ。今日はかなり急な勢いの向かい風、つまり南風が吹いている。前回も石狩平野はずっと南風だったが、逆向きに進んだので、追い風。何か石狩平野に借りを返すような気分で、それでも足を進めたが、踏んでも踏んでも進まない。

 石狩平野の外れの水田地帯や、その縁、山の森林の始まる際の辺りを、道路はほとんど平坦に近い緩いアップダウンが、約50kmの間延々と何回も繰り返される。地形的に平野と山の境界なので、どこまで行っても同じような水田に広葉樹林が入れ替わり現れる。しかし、頭上の空や風景の何とは無しの拡がってゆくような雰囲気は、まさしく北海道の道だ。とはいえ、前回すがたにさんが言っていた「飽きる。1人じゃ走る気がしない」という感覚は、今回は理解できた。
 しかも、目論見に反して、大型車の多いこと。10t以上のトラックやらトレーラーがまとめて何台もやってくるのは恐怖だ。しかも、北海道はレンタルの農作業機械を運搬する需要があるからか、見たこと無いほど大きなトレーラーも何台か通っていた。
 石狩平野の反対側に、やはり同じように平野の縁を南下する道道が走っているが、あっちの方がずっとましだったかもしれない。

 向かい風に耐えつつ、12〜14時までの1日で一番暑い時間帯を過ぎ、浦臼・月形と次第に当別へ近づいて行く。大都市圏が近くなっているはずだが、一向に周囲の景色は同じようにのどかな、ちょっとほこりっぽい国道脇の田圃や森のままだった。
 15:00、当別を通過。ここからは初日に通った道のまるっきりの逆走だ。

 ますます急になる向かい風の中、当別町から江別市・札幌市と境界を越える。何故か私が通るときにはいつも濁流で今にも溢れそうな石狩川を越えると、周囲の田園風景の中に鉄工所や工場・物流施設などが目立ち始め、遠くには白石区辺りの高層マンションなども見えてきた。東雁来で豊平川を渡ると、周囲は急に札幌郊外の景色になり、それが交差点毎に市内の風景へと変わってゆく。
 16:40、札幌駅北口着。ちょっと水を飲んで一息付いてから、おもむろに輪行作業を開始。ふと気が付くと、さっきの国道275号の排気ガスで、特に顔面が信じ難い程真っ黒のべとべとになっている。そう綺麗でもない指先に、べっとりと真っ黒なすすと油と汗の混合物がすくい取れた。
 12日前、またここに戻ってくるとは全く思っていなかったのだが。札幌で最終日荷造りをする、というのも思えば過去の北海道ツーリングでは初めてで、前回の真昼の田舎の駅での旅の終わり、というのとは違った、またそれはそれでそれらしい気分を感じていた。
 周囲にはまだ何組ものチャリダー集団がたむろしていて、荷造りするわけでもなくどこかへ出発するでもなく、ベンチに腰掛けて休んでいた。まだまだ彼らの夏は続くのだろう。

記 2000.8/22

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Last Update 2004.1/2
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