苫前→(国道232号)天塩
→(道道121号)北進
→(道道84号)浜頓別
152km

浜頓別

北進

幌延

天塩

遠別

羽幌

苫前

北海道Tour00 #2
2000.8/11 苫前→浜頓別


 夜半から降り出した雨音が時々聞こえていたが、5時頃目覚めてみると、雨煙に煙る大雨である。天気予報では朝までに止むとのことだったのだが…。
 朝食が終わっても雨はいっこうに弱まることはなく、天塩・羽幌地方では大雨洪水警報が出ている始末。それでも天気予報は曇り後雨になっている。午前中に止むと言うことなのか。

 雨足が弱まって、周囲の景色がなんとなくはっきりしてきたタイミングを狙い、8:30、民宿「30ノット」を出発。数km先の羽幌まで牧場やら森の中のアップダウンを行くうち、期待は裏切られて再び大雨になった。天気予報通り、けっこうキツ目の北風も吹き始めている。

 9:10、ちょっとセイコーマートに寄った後、羽幌発。初山別・遠別までは牧草地・畑・原野やら森やら、本当に似たような風景が続く。だが、土地の起伏や低い割に何とは無しに人気の無い山など、道北特有の静かな雰囲気に溢れる風景ではある。

 大雨・向かい風は羽幌を出てもしばらく続いた。のみならず、風はどんどん強くなっていた。車が通過するときなど、目を開けていられない。連続する大きなアップダウンもとてもつらい。
 それでも、初山別を出るころには、雨粒もかなり小さくなり、時々青空が見えるようになっていた。だんだん路面も乾き出した。と思ったらいきなり再び激しい雨になる。こんな繰り返しが何回かあった。

 山の方はまだかなり色の濃い雲に追われていたが、こちらでは路面が完全に乾いて、雨の降り返しも無くなっていた。いいかげん海岸線方面は天気もそろそろ落ち着いてきたかな、というところで11:20、遠別着。思惑通りセイコーマートがあったので、休憩ついでに早めの昼食にした。
 店の前に座り弁当を食いながら落ち着いて考えると、出発時間が遅かったのと、向かい風に路面の抵抗で、恐ろしくペースが出ていない。今日は猿払原野やサロベツ原野の道道を適当に走ろうと思っていたのだが、この分だと下方修正しなければならない。今日の宿、浜頓別「トシカの宿」では18:30から大皿のジンギスカンが始まるという。それにも間に合わないといけない。残念だが、サロベツ原野・猿払原野はあきらめて、最短コースの幌延→浜頓別直行を決めた。まあ、浜頓別への道道84号は初めて通る道だし、浜頓別入門コースということで、いいでしょう!?

 12:00、遠別発。雲が高くなり、日差しがほんの少し暑いぐらいまでに天気は回復していた。一方、海岸線のカーブに沿って道路の向きが少し変わったせいか、向かい風はますます厳しくなり、走っていて下を向きがちになる。いけない。
 気が付いてふと辺りを見回すと、丘の上の道路からは周囲の牧草地、左奥には日本海、右には道北特有の低い山が見渡せるようになっていた。丘の起伏も、遠別までの区間ほどではなく、まあまあなだらかなものに変わっていた。山側の台地に広がる牧草地には、ロールが置かれているのが見える。牧草を刈り取り始めているのだ。
 13:05、天塩着。ここからの海岸沿いの道は、サロベツ原野の脇を海岸沿いに走るといった塩梅で、非常に雰囲気がいい。是非通りたかったが、次回以降の課題にすることを誓い、国道232号を幌延へ向かう。
 内陸方面へカーブを曲がると、一時的だが向かい風が追い風基調の横風になる。とたんに快適に走れるようになり、「やっぱこれだよなあ」とか思う。しかしまたすぐに道路は北向きになり、追い風は容赦なく続いた。

 幌延までは、今までの日本海沿いの道で右側に見ていたような、山沿いの牧草地の中や、森を突っ切って走る道だ。国道というのに交通量は段違いに少なくなった。というより、車もオートバイもほとんど来ない。道北もこの辺りまで来ると、まとまった坂はほとんど無い。やや東向きに変わった進行方向のせいもあって、風の影響も少しは収まってきた。
 内陸部に向かって走るうちに、再び空の雲が低くなり、ちょっと霧雨っぽいかな、と思ったとたんに短い通り雨に降られるようになった。周囲の丘陵の上の方は多分標高100m位から上が雲に覆われている。
 しかし、丘陵地の足下の見渡す限りの緑の牧草地、その向こうのサロベツ原野の灌木帯の眺めがいかにもサロベツ原野の手前のこの地域らしい。今日その中を走りたかった風景の一つだ。風向きと道路の向きは気になるが、緑の低丘陵地を行く、まあまあ快適なツーリングになってきた。

 幌延のセイコーマートで休憩後、14:45、出発。進行方向の山が濃いガスに覆われている。ガスと言うより、雨なのだろう。町外れから始まる坂道を、浜頓別方面への道道84号へ向かった。
 坂を上りきると牧草地の中の緩いアップダウンとなる。私の先々代ランドナーの片倉シルクが、11年目でフレーム破損したのがここだ。リヤのエンドが疲労骨折したのだ。無念と言うよりも信じられない気持ちで後輪が振れる自転車を押して、草原の中のアップダウンを歩いた記憶が蘇った。再訪してみると、あんな気分でも意外と景色を覚えているものではある。もっとも途中の道は、所々で区間変更され、広く新しい道に変わってはいた。

 北進の外れから、浜頓別への道道84号に合流した。
 道北特有の標高2・300mの山に囲まれた谷間の原生林の中を、クネクネとカーブしながら2回丘越えして浜頓別まで48km。標高が低いとはいえ、周囲の雰囲気は山深い。と言うよりも、途中浜頓別の手前の牧草地までついに1軒の家も無い原生林・原野が延々と続いた。ただ、丘越えと丘越えへ向かう緩い登り・下り以外はほとんどアップダウンはなく、そこそこペースに乗った走りができた。道路の両側の原生林はヤナギやクヌギ(みたいな木)の広葉樹主体で、下草が高く、湿地帯のようでもあり、何が潜んでいるのか全くわからない。踏み込んではならないような自然の境界をひしひしと感じた。
 天気は相変わらず低い(というよりも頭上の)雲の空から時々忘れた頃に思いがけない勢いで降り出す通り雨、という具合で、そんな天気もこの谷間の風景の静かな深さの印象に一役買っていた。
 以前のIWASHIさんのレポートに出てきた、何本かの林道の入り口をのぞいてみたが、入り口からして両脇からの木の枝が覆い被さっていた。この天気だし、荷物を積んでの走行はためらわれた。これも次回以降の課題に取っておこう(来れるかどうかはわからないが)。

 やがて周囲に牧草地が広がり、まもなく前方の丘の上の方に建物がいくつか見えてきた。浜頓別の町だ。
 93年以来7年振りの浜頓別の町中は、何か道路が拡がったのか、区画整理を行ったのか、道路の両側の街灯とともに印象が一変しており、そらで走るのは難儀した。

 17:50、トシカの宿着。
 荷物を降ろす間、沼のほとりに建つこの宿の外にしつこい蚊が多いのは相変わらずだった。なにしろここの蚊は、肌に止まってから歩くのだ。やたらとでかい蚊もいる。
 入り口に、ランドナーというか4サイド・フロント・キャンピングのツーリング車が停めてある。黄緑のTOEIで、ストロングライト・リオター・ごっついキャンピングのキャリヤなど、一目見て「ただ者ではないぞ」と思った。「今晩は楽しくなるぞ」とも思った。
 夕食はジンギスカン食べ放題。以前来たときも思ったが、ここのジンギスカンはうまい。夕食後、件の自転車の持ち主の方と、虫が多いにもかかわらず外で2時間以上も自転車のお話をさせていただいた。
 また、この宿には「トシカの宿チャリダーの会」というノートがあり、私も記名させてもらった。私の会員No.は162である。1週間前の宿帳を見損なった去年のWAKAさんの失敗を思いだし、ノートの前の方を見ると、IWASHIさんが載っていたのはまあ予想どおりだったが、兎亀(じゃなくて今はカモシカか)のヤギちゃんの名前もあったのは意外だった。しかし、そういえばヤギちゃんには以前にそういう話を聞いたような気もした。

記 2000.8/12

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Last Update 2003.2/21
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