Canon NewFD80-200mm 1:4 |
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1986/2 北海道上川郡美瑛町にて |
私の最初の望遠ズームは、タムロンのQZ-210Mこと85-210/3.8-4.5でした。父が自分用として前述のナショナルストロボと共に、いや、私に使えるようにと、自分はほとんど使わないのに買ってくれたのでした。
意識せずに見ている範囲は28mmですが、普通に注視する範囲がちょうど200m。自然な画角の狭い方ということで、鉄道撮りにこのレンジの中望遠ズームは非常に使いやすいものでした。
当時のタムロンは、ラインナップをアダプトール2シリーズへ切替中でしたが、このレンズは旧シリーズ。レンズ専業メーカーが、ひたすら安さでの勝負を強いられた時代の製品でした。でも、私自身はあまりレンズの描写とかいう概念を理解していなかったので、このレンズ自体に不満は感じていませんでした。色が50/1.4と何か違うのも、そんなもんかなと。
※2021/1/31追記 2021年現在見直してみると、このレンズ決して悪くないどころか、むしろ寒色寄りながらがしっと硬質な描写が魅力的なレンズに思われます。ごめんね、QZ-210M。
ところが1981年、叔父からNewFD100-200/5.6を戴きました。さすがに純正、やや締まった発色に目から鱗が落ちたものです。
その時から常用望遠ズームは100-200/5.6に替わりましたが、一方で大きな問題を抱えることになりました。タムロンの開放4.5ではまだ使えたピント板は、5.6だとかなり真っ暗&ざらざらになってしまったのです。また、私の鉄道用カラーフィルムのコダクローム64はISO64。f5.6と晴天で1/250以上はOKですが、明るい薄曇りでもう1/125。f4.5なら明るい薄曇りで1/250がOK、よほど薄暗い曇りで1/125でした。1/125だと200mm手持ちの不安に加え、そもそも走る列車が止まらない。ロングショットの場合にすら不安が残ります。
これが開放F4なら、曇りでも何の不安も無いはず。
余談ですが、かつてズームの主流が一気に開放2.8に切り替わったのも、当時のベルビア大流行が原因なのではないかと思います。ベルビアの公称感度はISO50ですが、実効感度はISO32程度、屋外でも明るいレンズを必要としたはず。
種類 | 望遠ズーム |
マウント | キヤノンFDマウント |
構成枚数 | 11群15枚 |
対角線画角 | 30°〜12° |
最小絞り | 32 |
距離目盛(m) | 1〜20・∞ |
フィルター径 | 58mm |
フード | 組み込み |
専用ケース | LH-B24 |
寸法 | L161mm×φ67.9mm |
重量 | 790g |
発売日 | 1979年5月20日 |
定価 | 本体\100,000 |
参考リンク |
Canonカメラミュージアム Photography in Malaysia>Modern Classic SLRs Series |
キヤノン純正中望遠ズームには、旧FD時代から普及タイプで100-200/5.6S.C.が、一方高級タイプとして、80-200/4S.S.C.がラインナップされていました。
キヤノンがA-1販拡ガイドブックとして発売した「Super Shooting Manual」にも、見開き写真で草の中にA-1+モードラMA+328フローライトとAE-1+ワインダー+80-200/4が並べて置いてある写真が載っていて、ばりばり使える高級ズームという印象が演出されていました。以前からのそんな印象と、喉から手が出るほど羨ましい開放F4、さらに最短撮影距離1mでマクロレンズ的にも使え、2リング型と大型内蔵フードでバランス良い外観、だめ押しでカメラ毎日のカメラ・レンズ白書での高評価。使ってみたい憧れの1本となっていったのでした。
しかしその一方、値段は\10万。使ってみたくても実際に使うことは考えられませんでした。
このレンズをNewFD化したのが表題のNewFD80-200/4。実際に私が入手できたのは1985年、地元カメラ屋にA-程度の中古が比較的安価で出た時に、タイミング良く国道トンネルパース描き(確か安房トンネルだったような)のまとまったバイト代が入ったのでした。
NewFDとなったこのレンズは、旧FDより少し大型の内蔵フードにレンズ名称の彫り込みレタリングが施され、更にかっこ良くなっていたのでした。周辺光量減がやや大きいものの、描写もシャープで発色は自然。やや重めでしたが手持ち撮影も十分に可能、200mmでの最短1mで虫や草花等を撮るのも楽しい、使いやすいレンズでした。
しかしNewFD80-200/4を入手した1985年、80-200/4Lがこのレンズより\12000も安い破格で登場。雑誌での高評価、それ以上に新宿SSで覗かせてもらった衝撃の高性能に、翌1986年に4Lを入手してしまいました。
結局憧れのレンズだった割にはこのレンズの出番は僅か1年強、家でA-1に付けて外観を楽しむ以外に無くなったのでした。300mmF4方式で、外観そのままのLタイプ化だったら良かったのに。
記 2006/6/16 追記 2021/1/31