Canon FD50mm 1:1.4 S.S.C. |
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2本の50/1.4S.S.C. 右が初代のAタイプ 左は2代目のOタイプ |
種類 | 標準 |
マウント | キヤノンFDマウント |
構成枚数 | 6群7枚 |
対角線画角 | 46° |
最小絞り | 16 |
距離目盛(m) | 0.45〜10・∞ |
フィルター径 | 55mm |
フード | BS-55 |
専用ケース | C |
寸法 | L49mm×φ65.8mm |
重量 | 305g |
発売日 | 1973年6月 |
定価 | 本体\31,000 |
参考リンク |
Canonカメラミュージアム Photography in Malaysia>Modern Classic SLRs Series |
A-1と一緒に標準レンズとして買ったレンズです。
このレンズ、キヤノンによると「FDレンズ中の基準」とのこと。カメラ毎日の「カメラ・レンズ白書」のレポートのコメントは、ただ一言「最高級の標準レンズ」。ちなみにPlanarT*50/1.4は同じく一言「最高の標準レンズ」、この他にこういうコメントは無く、カメラ毎日でこの2本がいかに評価が高かったかがわかると思います。
描写の傾向は、開放付近は低コントラストでぼわんぼわんの世界、2.8ぐらいから中央の描写が締まり抜けと色乗りが向上、4でぐっとシャープに。5.6〜8辺りでは周辺までかりかり高コントラストと、絞りでがらっと描写が変わるタイプ。発色はニュートラルですが、NFD系と比べるとほんの少し寒色系かも。
こういう描写特性を実感できたのは、実はけっこう最近のこと。手持ちレンズ2〜3本の頃は、まだ有難味は感じていませんでした。35-70/4や50/1.2L、NFD50/1.4、弟のSMC PENTAX A50/1.2などのプリント描写を見て、初めてこのレンズの実力や癖を理解できたのでした。
でも、何となく仕上がりが自然だとか、いざというときは50mmだとか、何となくそんなことは意識させてくれるレンズでした。そうでないとこの後50/1.2Lなんて興味を持たなかったでしょう。
購入翌年の1980年、 FDレンズは突如NewFDレンズにフルモデルチェンジ。
小型化&外観の凸凹も少なくなり、ずいぶん羨ましかったものです。そう思っていると、このレンズのマウント締め付けリングもいかにも古くさく見えてきます。いつか絶対NFDにしようと隙を伺っているうちに時は過ぎ、1990年に突如曇りが発生。新宿SSに持ち込むと、何とレンズ接着面の樹脂劣化、「バルサム剥がれ」とのこと。部品切れのため、修理不能でした。
ここでNFD50/1.4導入でも良かったのですが、50mmというレンズに魅力を感じるようになっていたのと、80-200/4LでLレンズの実力を思い知らされていたので、次の50mmは1.2Lになったのでした。
ところが1992年。デッドストックのNFD50/1.4付T90を入手、初めてNFD50/1.4を使ってみたのですが、同じキヤノンの50mmなのに、キャラクターが全然違う。
少なくとも50mm1.4S.S.C.で感じた、絞ると急に描写が立ち上がってクリアーになる感覚はありません。その代わり、絞りを開けてもそうぼわんぼわんに描写が乱れるということはなく、極めて安定した印象です。発色もやや暖色寄りながらバランス良く、いかにも「標準」レンズ。
しかし、ちょっと絞ったときの切れ味、被写体が浮き上がるような立体感は、旧タイプの方が断然魅力的です。NFD50/1.4に感じていたコンプレックスは、この時完全に無くなったのでした。
そんな私にとっての「青い鳥」でもあるこのレンズ。今、FDレンズの中古価格は、笑っちゃうほど暴落しています。地元カメラ屋さんで一昨年入手した新同価格は、何と\8000でした。
こんないいレンズをこんな値段で楽しめるのだから、まだまだ銀塩MF機も捨てたものではないと思うのですが。
記 2006/6/14