Canon NewFD80-200mm 1:4.0L |
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NewFD80-200mm 1:4.0L フード付 |
種類 | 望遠ズーム |
マウント | キヤノンFDマウント |
構成枚数 | 12群14枚 |
対角線画角 | 30°〜12° |
最小絞り | 32 |
距離目盛(m) | MACRO 1.2〜15・∞ |
フィルター径 | 58mm |
フード | BT-58 |
専用ケース | LH-C19 |
寸法 | L153mm×φ72.8mm |
重量 | 675g |
発売日 | 1985年11月20日 |
定価 | 本体\88,000 |
参考リンク |
Canonカメラミュージアム Photography in Malaysia>Modern Classic SLRs Series |
FD使いの間では評価の高い名レンズ。
2.8ズームがあったはずのEOS使いの間でも、軽くて高性能なこのレンズの評判は高く、遂にEF70-210/4Lというレンズができました。しかし、EFラインナップ中、このレンズほどの存在感は無いように思います(使ったことはありませんが)。
もうひとつ有名なのは、この時期の最後期FDレンズに共通したチープな外観。距離・深度目盛はすべてプリント、外装の多くがプラスチックであるのみならず、力を入れて持つとほんのちょっと撓むような気もする鏡胴には泣けてきます。
しかし、前玉でも後玉でも、覗き込んだ中のレンズの緑っぽい繊細な反射は、くらくらしそうに幻惑的。いかにもできそうなレンズという雰囲気です。それもそのはず、このレンズには当時量産体制が整った蛍石レンズと、UDガラスレンズが1枚ずつ奢られているのです。
それなのに、価格は本体\88000と大バーゲン。いや、ちゃんと採算は取れているのでしょうけど。
1985年、このレンズの登場時、雑誌での評価は非常に高かったことを覚えています。雑誌掲載前に新宿SSで覗かせてもらったときも、「ファインダー像で違いがわかる」というのを実感しました。前タイプの80-200/4はそう評価の低いレンズではなかったにもかかわらずです。もう圧倒的に抜けが良くてクリアなのでした。
80-200はよく使うレンズだったので、この後そう間を置かずに入手しました。
実際に撮ってみると、ますます抜けが良く発色鮮やか。コントラストが高いのに、繊細でとにかく切れがいいシャープな描写は本当に素晴らしく、景色のロングショットなどでは空気の質感、その場の湿気や温度の雰囲気すらリアルに思い出せるほど。Lタイプの威力を思い知らされました。でも、さすがにボケは豊かというほどではないのが、現代のLタイプとの違いかも。
最短撮影距離の鏡胴記載は無くマクロ域の表示のみですが、前タイプ80-200/4の1mから0.95mへ短縮。軽いだけでなく更につぶしが利くレンズになりました。一方、前述のチープな外観と共に、前タイプの2リングから1リングとなった距離環・ズーミングの操作感は、お世辞にも良いとは言えません。遊びこそありませんが、下に向けると距離環がずるずる垂れ下がり、これまた泣けてきます。まあ高級感を代償にかなり軽くなったので、良しとしましょう。
極端な高性能と極端にチープな外装で価格は大サービス。なりふり構わぬ貪欲な商売の背景には、1985年のミノルタα7000の発売、いわゆる「αショック」があると思います。
クリアでシャープで発色の豊かな描写はファインダーを覗くだけでも楽しく、単焦点に置き換えられること無く現在まで私の主力望遠です。ところが1992年の渡欧時にはT90、20-35とともに盗難に。現在使っているのは、その後もう一度購入した2本目です。
記 2006/6/18