夜明けの空が青い。日本海が窓から真っ正面、間近に見える。朝焼けとはいえ太陽と反対側。海上の遠くは霞っぽく、空のほわんとした色と一体になっている。
荷物を積んで外に出ると、空気がきりっと涼しい。さすがは道北も天塩だ。ポロシャツを着ることにする。赤みがかった朝陽に照らされた風景には影が多い。なんだかとてもドラマチックな出発の朝だ。
5:30、「天塩温泉夕映」発。夜明けの町は日陰の中、少し薄暗く空気は静かにひんやりしている。幸い風は全く無い。町外れでちらっと天塩の漁港と鮮やかな濃紺の日本海が見え、以前の訪問で港沿いの道が良かったことを思い出した。あっちを経由すべきだったなとは思ったものの、わざわざ引き返す訳じゃない。こんなに天気が良ければ、今日は今日の旅があるだろう。
町を出て少し続いた牧草地と森が切れ、周囲が開けた。
間もなく天塩河口大橋が見えてきた。日陰が無くなって朝陽が差し、青い風景が赤くなった。景色のコントラストが強い。何kmか先のオトンルイ風力発電所の風車がよく見え、緑の草原と日本海が朝陽に輝いている。これだよ、これ。
天塩川は、なみなみと溢れそうに水量が多い。一昨日の大雨の影響があるのかもしれない。しかし水は泥水じゃない。昨日が晴れだったからだろうな。
海岸近くに草原が続く。一直線の道が、遠くの一点に消えてゆく。その一点に別の点が現れ、少し時間を掛けて次第に大きくなり、車になって近づき去ってゆく。行く手の遠くに聳える風車は、かなり遠くから見え始めているのに、なかなか近づかない。この道ならではの、独特の風景と距離感覚だ。
その風景は、海側の防風板が畳まれているため存分に楽しめる。有り難い計らいだ。
スノーシェッドを過ぎると、道端に歩道が無くなり、路端表示も背の低いものに替わり、道と草原と海と空が完全に一体となる。この道の風景としては、この辺が一番好きだ。ただこの区間、意外に稚咲内から近くにあり、今回はてれてれ走っている間に自転車写真を撮る機会を逸してしまった。
こちらが進むにつれ利尻の位置が近づき、より大きく見えるようになっていた。さっきまで全部見えていた利尻は、今は頂部に雲がかかっている。望遠200mで覗くと、利尻に近すぎて200mmでは全体が入らない。贅沢な悩みだ。裾の緑が、多分始めてなぐらいによく見える。過去には夏の日本海上空がどろどろの雲だらけだった年もあったのに、こんなに空気が澄んでいる日だってやって来るのだ。
7:00、稚咲内着。今日は道道109とここでお別れして、最短距離の道道444で豊富を経由、豊富町大規模牧草地に向かう。
記 2025/11/3
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