紀伊半島Tour24#7
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11:35、田野野で国道371に合流。太地への分岐はもう少し先、あと10kmぐらいか。ただ、想定を超える快調ペースという感じでもない。何故かというと、今日通ってきた森の細道がくねくねで通常の想定よりかなり時間が掛かるのと、森の木陰と渓流が魅力的すぎて、しょっちゅう脚を停める必要があったからだ。この先太地まで、県道ながらまたもや森の細道が続く。想定通りに進めるとは限らない、というよりそう思えない(結局その後、予定コース核心部分のトンネルが、前代未聞の工事やり直しにより、あと2年ぐらい通行止め中であることが判明した)。またこの先、国道371に点在する古座川沿い旧道のローラー作戦を目論んではいたものの、目の前の国道371はやはりどう見ても国道だ。さっきあれだけ素敵な森の渓谷に身を置いた後だと、あまりせこく旧道細道を潰してゆく気にもならない。そして何より、林道比曽原線にすっかり満足してしまっていた。
いっそのこと、もう国道371はさくさく全部通過しちゃって早めに古座に着き、乗れれば1本早いくろしおに乗ろう、と思いついた。今日は自宅到着が多分0時を回るかぎりぎり0時前になる予定なのだ。少しでも帰りが早いと助かる。明日はまだ休日だとは言え。
くろしおは確か13時台に1本あったはずだ、と思う。直前なので指定が取れなきゃあ自由席でいいじゃん、この辺だったらまだ自由席は空いてるだろうからまず乗れるよ。と思っていた。
この思いつきに、後でちょっと後悔することになる。
田野野から先の国道371は、基本的に拡幅済みの道だ。途中所々で古座川の渓谷へ細道旧道が分岐し、新道は岩山をトンネルでばんばん抜けてゆく。2003年に通った時の印象に比べると、少しトンネルが増えているような気はする。
途中に天然記念物「一枚岩」が現れるのは判っていた。巨大な一つの岩が山になっていて河岸に聳えている、他で見たことがない風景だ。
しかしそういうものがあると知って国道を走っていると、この古座川下流域、他にもそういう大岩の山が一杯あるではないか。驚いたことに、大岩は一枚岩だけじゃないのだ。
そして清流で名高い古座川。下流までゆったり堂々と、日置川とはまた少し違う気品と風格に溢れ、拡幅済新道であっても、道からの眺めには退屈しない。古座まで16km、今回の最後を締める楽しい区間となった。
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12:45、古座着。捕らぬ狸の皮算用で13時台の特急をあてにしてはいたものの、時刻表を確認していたわけじゃなかった。距離感の無い道なので、いつ古座に着くかわからなかったからだ。
そのため、駅到着後にすぐ駅の時刻表を確認すると、古座発13:05の新宮行き特急くろしおがある。帰りの方向とは逆方向の列車ではある。
帰りの列車として指定席を確保しているのは、太地発15:28のくろしお30だ。でも、あと20分で輪行作業を終えて13:05に乗れば、紀伊勝浦到着は13時29分。それなら紀伊勝浦13:46発の新大阪行きくろしお26、予定より1本早い列車に乗れる。無人駅の古座と違い、紀伊勝浦なら指定券の変更ができる。指定席が満席でも、紀伊勝浦なら列車の始発新宮からひと駅。自由席には座れるだろう。そして太地から新大阪は、紀伊勝浦で指定が取れなくても、手持ちのくろしお30の指定席特急券で自由席に乗れる。それならプラスの料金は、高い方を想定しても紀伊勝浦から太地までの乗車券+自由席特急券だけだ。その次の新幹線は何とかなるだろう。エクスプレス予約だし、何たって16両編成が3分間隔でジェットストリームアタック状態なのだ。
古座から紀伊勝浦までは特急に乗る必要はある。でも自由席なら料金は500円、いや今時300円ぐらいかもしれない。乗車券+自由席特急券でも大した額にはならないだろう。
という作戦を立てたのであった。
結論から言えば、紀伊勝浦では若い駅員さんに大変お世話になり、くろしお26の指定をラスト1枚で確保できた。新幹線も、くろしお車内でずっとスマホをいじり続けた結果、やっと和歌山の手前でのぞみを予定より20分早い列車に変更できた。新大阪では乗り換え時間がかなり増えてはいたものの、京都駅の爆発物騒ぎで実際の到着は20分以上も遅れたし、毎回楽しみにしているアルデのKYKトンカツ弁当を余裕を持って買え、更に181系山陽特急の写真と模型が嬉しい駅ラーメン屋「しおじ」で食事することもできた。そして自宅到着は23時半過ぎ、予定より20分早く帰ることができた。20分とは言え、この時間の20分は私に取って大きな20分だ。
くろしおや紀勢本線各駅、新大阪の大混雑を眺めるにつけ、列車の変更ができたことは全て幸運としか言いようが無いことを実感できた。
しかし、この変更は半分失敗だったと言えなくもない。
まず、くろしおは自由席が廃止され、指定席だけの列車になっていた。そういう列車に古座から紀伊勝浦まで自由席に乗るつもりで指定券無しで飛び乗ったために、乗車券とは別に指定席料金同額(しかも繁忙期)の1680円を払う必要があった。たった20分強の乗車のためだけに、しかも指定は付かない再犯防止としての料金で。そしてくろしおを1本、1時間半も早めたのに、新幹線では20分稼いだだけ。1時間以上が無駄っちゃあ無駄だった。
大人しくそのままくろしお30のままだとどうなっていたか。もともと新幹線乗り換えに見込んでいた時間は40分。何が何でもアルデに寄ってKYK弁当を確実に買うつもりだったからだ。そして新幹線の切符が変更できたのは16時半過ぎ、くろしお30に乗ってからでも可能だった。つまり、くろしお30のままでも20分早いのぞみに普通に乗れた、とも言える。
更に言えば、国道371で旧道ローラー作戦が可能だったかもしれない。間違いなく残念なのは、くろしお26は非振子車287系(パンダ車ではあったが)だが、くろしお30は振子車のオーシャンアローだったことだ。
一連の行動が失敗だとすると、根本的な原因は国道371合流時点で列車の時刻と特急くろしおに自由席が無いことを把握していなかったことだ。まあ、古座川沿い旧道への再訪も含め、この経験は次回に活かそう。
記 2024/6/8