紀伊半島Tour24#7
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7:30、合口着。県道36に乗り換え、日置川の谷間から支流の城川へ。
こちらでは谷間が狭くなり、山は低く、川幅も狭い。過度にくねくねした薄暗い森の細道は、至って平坦で走りやすいという感じでもないぐらいに少しづつ登っている。
しかし、いつまで経っても目立って高度が上がるわけでもない。峠部分で急にきりきり登り始める細道を、紀伊半島南部ではよく見かける。
退屈かというと、全くそんなことは無い。森は深く涼しく、木漏れ日と木々の向こうの川面は対照的にきらきらと眩しい。車が殆どやってこない路上には、サナエトンボがすいすい、カワトンボや蝶がひらひら飛び回って可愛らしい。
そしてこんな山奥に人が、という驚きと共に時々集落が現れる。小さい集落には、生活感溢れる民家と共に朝から田植えを始め農作業の方々がいる。朝の農村風景に、何だか嬉しくなる。
森、渓谷、農村を眺め、しょっちゅう脚を停めて写真を撮りながら進んでゆく。
かなり長い間そういう時間が続いているように思えた。2007年、17時過ぎとかに驚く程速いペースでこの道を通過している。迫り来る夕暮れを前に詰め込み過ぎの行程をこなし、宿に着いたのは19:50。この辺の風景に魅せられてはいても、憶えているのは「長閑で美しい農村と森だった」という景色の表面だけになってしまっていた。6時から20時前までかけて196km走ったたっぷり感には満足できても、長い間ここは再訪したいと思っていたのだ。
今回毎度の反省をしながら、今日は大附の田圃の脇で脚を停めるとする。
路上に伸びた梢が作る大きな影の下、草生す石垣に自転車を掛けて木漏れ日の斑を楽しみ、この道を最大級の晴天というタイミングでのんびり感と共に再訪できていることを、つくづく有り難いことだと思う。
記 2024/6/8