北海道Tour24#8
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発着地点 | パターン2 | 実施案 | パターン3 | |
生田原発
石北本線 旭川着 |
7:27
↓ オホーツク2 ↓ 09:41 |
9:34
↓ 大雪2 ↓ 11:43 |
11:16
↓ 特快きたみ ↓ 13:49 |
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旭川発
宗谷本線 美深着 |
13:35
↓ サロベツ1 ↓ ↓ 14:50 |
15:04
特快なよろ2 16:27 |
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名寄発
宗谷本線 美深着 |
16:39
稚内行 17:05 |
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美深発
名士バス 仁宇布線 ファームイントント着 |
15:50
↓ 5便 ↓ 16:20 |
17:10
↓ タク輪 ↓ 17:40 |
東向きの窓から見える空が薄明るくなっている。時計を見ると4時7分前。体調としてはいい感じ、でも今日は2日連続運休の2日目だ。
缶コーヒーを飲んで目にコンタクトレンズを入れ、少しづつ荷造りを進めてゆく。走らなくてもだらけちゃあいけない、最終日まで。まだ10日行程の5日目なのだ。と思って、もう5日目なのかとも思う。この後はあっという間に日数が過ぎてゆくんだろうな。まるで人生のように。
TVを点けると、ニュースは専らこれから東北を直撃する台風5号の話題だ。東北のJR各線が一昨日から早々と運休を決めている位にかなり雨が降るらしく、各地の被害が心配だ。ツーリングでお世話になった宿を思い出す。鱒や橘さんのお話だと、むしろその次の台風が心配らしい。17〜18日に道北を直撃する可能性があるとのこと、私としても8/18(日)旭川空港発の便に大きく影響する可能性がある。
かっと強い陽差しが窓から部屋に差し込んできた。山の間から陽差しが出始めたのだ。すごく熱く鋭い陽差しに、今日の最高気温31℃を納得する。しかし雲もかなりの速度で動いている。陽差しはすぐ隠れてしまった。雲が動くと、また陽差しが現れるんだろうと思う。
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6時40分、ロビーに降りて鍵を返しておく。荷物一式はロビーに置いたまま、ホテルのポーチから外に出てみた。いつもこの時間だときりっと爽やかな空気に気分が盛り上がるのだが、今日はやはり既に暑さが感じられる。これ以上暑くならないといいな。望み薄ではあるが。
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7時から朝食、その後は荷物を運んで7時半には生田原駅に到着。普通列車が行ってしまった後、待合室には私一人が残された。これから2時間無人駅で過ごすことになる。
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私的に、旅先の無人駅で過ごす時間は、とても贅沢で豊かな時間だと思っている。しかし生田原の駅舎は、無人駅だというのに町営図書館が併設されているかなり豪勢な箱物的コンクリート造だ。待合室内はコミュニティ施設的に裁けていて、無人駅という言葉から連想される鄙びた雰囲気は皆無だ。地元の方にとっては、その方が遙かに望ましいのは言うまでも無い。
ガラス張りのホーム側壁面から、かなり強い陽差しが室内に射し込み、室内の気温はどんどん上がり始めている。かと言って扉を開けるとアブが入る。思い通りにはならないものの、生田原の炭鉱史が描かれた展示など眺めるのは、やはり無人駅ならではの楽しい時間だ。この豪勢な建物の待合室に自分しかいないのだ。
などとと思っていると、JR等全く使わないバイク乗りが休憩のためだけに入って来たりして、あまり落ち着かない。まあ飲料の自販機はあるし、ホテルのロビーよりは良いかもしれない。
30分が過ぎ、1時間が過ぎてゆく。大雪2到着まで20分を切ったので外に出てみた。想像以上に気温が上がっている。ものすごい青濃度の空、駅前広場もその向こうの山も鮮やかでコントラストくっきり。想像していた以上の、暑くなる日特有の色の感覚だ。走らなくて良かった、と心から思う。ただこの真っ青な空を眺めていると、遠軽まで走っても良かったかもしれないとは思う。どうせ2時間も余裕があったんだから。
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線路の彼方に踏切の警告音が聞こえ始めた。少ししてかすかにジョイント音が、そしてその合間にエンジン音が聞こえ、森の彼方眩しい遠景にヘッドライトが現れた。これだけ眩しい陽差しの中、ライトが更に眩しいのは凄い。
大雪2は本当に283系に替わっていた。スーパーおおぞらやスーパー北斗で見慣れた長大編成じゃなく、4両編成なのが何だか見慣れない。283系は本当に振り子運転していないんだ、とも思った。でも異様に細長い独特のシルエットは、いかにも283系そのもの。やっぱりかなりとんがった車両だし、未だにJR北海道最速の気動車、という気がする。輪行袋とバッグを抱えて乗り込むにも283系はドアがとても広く、荷物の多い乗客として有り難い。9:34、生田原発。
ところで大雪2の指定券は、昨日えきねっとで買った。生田原にはえきねっと対応の自販機が無いので、指定券は発行できずに乗車している。車掌さんに相談すると、4分停車の遠軽で改札から出て、えきねっとの発券を済ますことになった。
遠軽到着直前、臨時の車内販売として、ボランティアの方と北見工業高校鉄研の学生さんがやってきた。販売はケーキや洋菓子、私に必要な塩分っぽいものは売っていない。でも、かつての特急おおとり食堂車や暖房過多のキハ56、真夜中漆黒の山中で車体をずしずし言わせた急行大雪の寝台車など、私的石北本線思い出の1ページに加わえさせていただくには十分だ。そして、こういう鉄研の夏もあるんだなと思った。頑張って、石北本線の夏を盛り上げてほしい。
遠軽ではダッシュでホームへ、速攻で窓口へ。発券はすぐできた。こういう客が一杯いると発券できない乗客が出るんだろうとは思うものの、お盆時期の朝の列車でこれだから、普段は推して知るべしなのだろう。これがJR北海道ローカル幹線の現状だ。
これでやっと大手を振って乗車できるようになって落ちついて車窓風景を眺め始める。途中、山間の谷間は生田原より鮮やか、鮮やかすぎて見慣れないほど色彩豊かな風景だった。多分大変な気温になっているだろう。石北本線は瀬戸瀬まで廃止されてしまっているようだった。
上川から旭川は平地区間となる。走りが一気に快調に替わるのだが、それでも旭川までは長く、40分もかかる。この区間はやはり侮れないのだ。谷間から旭川盆地まっただ中へ出て、もはや風景は見ただけでかんかん照りが判る。
11:43、旭川着。13:39のサロベツ1まで2時間弱ある。一昨年(去年だと思ってたら去年じゃないことにちょっと驚く)、丸々そのままこのパターンで生田原から仁宇布へ向かっている。このため、この2時間で自分が行動してできることは基本的にわかっている。というより2時間もあるというのに、何となく所在なげにうろついてる間駅構内に置きっぱなしの自転車が心配になるだけ、ということがよくわかっている。今年はもう悪あがきせず、駅ラーメンを食べて母にえんじゅのお椀を送って、用事をお終いにすることにした その後はホームで1時間ちょっと、サロベツ入線を待機する。屋根の下とは言えエアコンは無い。そしてホームにはアイドリング中の283系と補機運転中の789系0番台ライラック。両方ともJR北海道自慢の、全国屈指の高速車両なのはいいのだが、何しろうるさい。
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暑さと騒音に我慢して、それでも時々居眠りしながら座っているうち、小学生らしき鉄の男の子が登場。車掌帽を被り誇らしげにカメラを持ち、大人鉄と一緒に283系を撮影している。こういうのは微笑ましく、眺めていて心が癒されるのであった。
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13:39、サロベツ1は4分遅れで旭川発。遅れ回復を諦めない範囲の、しかしやや遅れ気味なので途中の平常運転を越えるペースが期待できるという、絶妙な遅れ具合だ。果たして261系は期待通りの目の覚めるような走りを見せてくれ、和寒で2分遅れまで回復。名寄到着までには遅れは無くなっていた。
宗谷本線の車窓風景も、走らなくて良かった、と確信できる程にやはりものすごい色彩で鮮やかである。特に名寄盆地。山々の上は真っ青な空が拡がっている。走りたくないとはいえ、かなりの晴れだったんだろうなとは思う。
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14:50、美深着。仁宇布まで乗るデマンドバスまで1時間弱。ホームがかなり暑かったので、あまり悪あがきせず待合室で過ごすとする。
美深のとても美味しいトマトジュース「太陽の水」を母に送っておく。授産施設で作っているためか毎回商売っ気の無いこのトマトジュース、味は濃く甘く、私が飲んだ中ではダントツに美味しい。福島や新潟の有名トマトより美味しいと思う。
デマンドバスはちょっと早めに駅前にやって来た。15:44、美深発。珍しく町中でお客さんを乗せていった。時刻がちょっと早い理由はこれだったのかと思う。
16:15、ファームイントント着。ここ仁宇布の山裾にして、未だ陽差しは高くじりじり照りつけ宿の前のプライベート牧草地は未だ煌々と鮮やかだ。
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明日の行程に備え、到着してすぐ自転車を組立て、その後チェックイン。美深では35℃、この辺でも34℃まで出たとのこと。仁宇布でそれじゃ、走るのは無理だよな。
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明日の天気はどこも曇りで降水確率20%、気温は中川で最高気温31℃だが他の場所は大体20℃台。午後は曇りか、夕方以降雨が降るようだ。とりあえず朝の内に歌登まで下ってしまい、歌登か中頓別でお昼以降の天気予報を確認して行動すればいい。行けるようなら知駒峠に行くし、午後早い段階で降りそうなら、咲来峠か天北峠経由で音威子府、そして佐久から中川に向かおう。
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問題は明後日とその翌日。何だか2日とも終日雨っぽい。明日走ってまた2日連続で運休という線が濃厚だ。またかよとは思うものの、10年ぐらい前道北が毎年お天気絶不調だった頃を思い出すと、あんな天気の日に走るのはイヤだ、と断言できる。もし明日走れるようなら、せいぜいちゃんと走っとこう。
ということはやはり知駒峠だ。
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夜の空は、夏には珍しく激晴れだった。星がよく見え、特に流れ星の強烈なのがびゅんびゅん飛んでいた。ちょうどペルセウス流星群がピークだったようだ。
記 2025/1/13