北海道Tour24#7
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今日は運休だ。でも4時に起き、昨日弟子屈で仕入れておいた野菜とヨーグルト、5時から自転車袋詰めの後はだらだら鞄の荷造りを進めてゆく。
まだ薄暗く風も強く、いかにも出発はためらわれるぐらいだった。しかしその後明るくなり始め、5時には低い雲を透かして青空がうっすら見え始めた。こんなことで欺される私じゃない。別の方向、特に山側の空はとっぷりと色が濃い。山とか森に取り付いて登り始めた途端に霧が出て、雨に変わることだろう。
生田原輪行の列車は去年と全く同じ。一見、10:10発で網走着14:05で到着時刻としては十分早いし、これだと特急大雪にも乗れる。しかし、8:00発12:23着なら、生田原でレストランノースキングのランチタイムラストオーダー13時に間に合う。まあ生田原にはセイコーマートがあるので、いざとなったら珠玉のセコマPB商品で何とかしちゃうということも可能ではある。津別峠とチミケップ湖を天気で諦め、ホテルのレストランとセコマPB商品の狭間で揺れる59歳の夏。なかなか贅沢だ。
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7時から朝食をいただき、7:40に橘さんの車に乗せていただいて鱒やを出発。
車の中から眺める空は相変わらず青空が見える箇所が少しだけあり、それ以外はガスっぽく、特に近くの山の上の方は煙っている。だいたい200mぐらい上か。そういう時の津別峠越えを思い出した。いや、越えられずに美幌峠に行き先変更したこともあった。天気予報はきわどいものの、曇り30%で谷間が雨っぽいのはごく普通の話だとも言える。等とやや言い訳がましいのは運休輪行毎度の事。
去年キハ54とキハ40の2両編成だった8:00発の網走行きは、今年はデクモが単行でやって来た。遂にキハ40がデクモに替わったのだと思った。
8:00、摩周発。単行なので車内の混雑度が心配だった。かつてキハ54の狭いデッキに、溢れそうに自転車が置いてある風景を何度も見たことがある。ましてやここは釧路湿原・屈斜路湖・摩周湖・知床方面・網走と、夏の学生ツーリスト的名所目白押しの釧網本線。自転車が5〜6台載っていたらどうしようと思っていたものの、乗車してみたら座席すらガラガラでそれは杞憂に終わった。しかし夏休みのこの時期に単行で問題無い方が問題だ。これが釧網本線の現実なのだ。
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弟子屈でそこそこまあまあ爽やかの範囲内だった天気は、川湯温泉を過ぎ緑への峠越えに差し掛かると、俄然霧が漂い始めた。ここでやっと今日は輪行して間違いじゃなかったと確信できた。この先天気が良くなる区間はあると思われるものの、今日は運休で間違いないのだ。
デクモの走りはすいすい軽々、宗谷本線での塩狩峠と同じ印象だ。峠部分のトンネル手前では一応それなりに速度は下がる。100kWモーター2台搭載のデクモ単行をインバータ制御の軽量ステンレス電車1M1Tだと考えると、少し物足りない。キハ40に合わせたダイヤのせいかもしれない。全車デクモ化が完了したらいずれスピードアップするのかもしれない、等と無責任に思う。ついでに妄想すると、261系1000番台の後継車は電気式になるんだろうな。できれば285系復活だと嬉しいのだが、もう無理だろう。或いは同じハイブリッドでもHC85系のノウハウが活用されるのかもしれない。
登場して4年。私はデクモを好きになってきた。車両の印象としては、キハ40よりかつてのキハ22に近いと思う。黙々訥々と頼りになる奴というところが似ているような気がする。
緑で清里町の平原に降り、斜里で海岸沿いに到達するまでに、空の雲は次第に薄くなって青空が拡がっていた。そしてオホーツク海沿い区間では直射日光が厳しいぐらいに晴れた。これだけ見ると運休判断がちょっと悔やまれる。しかし海上を眺めると、陸から100mぐらい向こうにもうガスがうっすら漂っている。そして振り返ると、陸側の雲は低めだ。海岸際の狭い一皮だけなんとなく日が当たっているのである。こういう状態は、実は過去に何度か経験していて、大体全体的に眺めているよりろくでもない天気なのだ。今日もそんな変な、要するに不安定な天気なのだと思うことにした。
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ところで問題は明日の天気予報だ。生田原→仁宇布のほぼ全区間で晴れ、降水確率10%なのは有り難い。ところが気温が高い、というより高すぎる。遠軽町で最高31℃なのは、5時に出発して7時台までに通過しちゃうからまあいい。その後滝上町で10時台が28℃、かなり暑いだろうと思われる状態。更にその後西興部町で31℃、下川町32℃、美深町に至っては34℃。最高気温30℃を越えたら止めちゃえと思っていた、その通りの展開になってしまっているのだった。
東京で毎日34〜35℃以上の暑さに悩まされていると一見ましだと思ってしまうが、北海道では路上の気温が東京より遙かに高くなる。山の中では涼しいかもしれないとか西興部からバス輪しちゃえとか何とか思ってはみても、多分滝上・西興部間でもうふらふらになってしまうんだと予想される。今のところはまだ予想して心配するだけだが、この後夕方までに身の振り方を決める必要はある。というより、このままだとまたもや2日連続運休となる可能性は高いように思われる。
などと思いながら淡々と快調な走りのデクモ車内で、日なたの中で夏っぽい色になっているオホーツク海と線路脇の茂みと国道の賑わいを眺めていた。
9:49、網走着。
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一見晴れていて周囲に陽差しは当たっているものの、突然空気中にさーっと霧雨が舞い始め、雲の中にいるみたいに霧雨の濃度が上がったり薄まったりしている。町を囲む丘の濃い緑も霞んでいる。それでも陽差しは当たっていて、日なたは結構暑い。すごく変な天気だ。
去年駅の構内に並んでいたキハ40ラインナップは、丸ごとデクモに替わっていた。しかも両数が大体半分になっている。
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10:10を過ぎてやっとホームにやってきた遠軽行きは、釧網本線に引き続きやはり単行だった。去年に比べて全体的に車両数が半分に減っている。去年は釧網本線からやって来た車両が一旦側線に引き上げ、再び同じホームに遠軽行きとしてやって来て、「乗ったままでいさせてくれよ」などと思っていた。流石に今年は別の車両に変わっていた。或いは去年は、石北本線運休の影響で運用の変更があったのかもしれない。
10:19、遠軽行きで網走発。
列車は網走湖沿いに、というより防風林の間を呼人、女満別と快調に進んでゆく。防風林が切れて国道38と付かず離れずで併走したりする。防風林に囲まれた線路敷きの空間は、宗谷本線でも見かけるやや広めの空間であり、実際のところどうなのか別として、往年のロータリー車やラッセル車による除雪を連想させる。呼人で毎回思い出すのは、SL時代に早朝の急行大雪を撮るために鉄が泊まったという呼人旅館だ。そして国道38のロードサイド空間が、車窓風景をぼーっと眺める気分を一気に現代に引き戻す。
女満別辺りから周囲は谷間に入り込み、端野峠越えとなる。辺りは未だ明るいものの、ここまで青空が見えていた空は、やはり雲で覆われてしまった。
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北見盆地に降りても、厚めの雲は垂れ込めたままだ。こういう展開を見ると、やっぱり今日は輪行で問題無いよなあという気になってくる。
高架線から地上に降りて、11:18、北見着。停車時間は20分。スナック菓子と飲み物を仕入れに改札を出て売店へ向かう。お土産コーナーに北見のハッカ油が山ほど置いてあった。虫除けに大変効果がある(と思っている)ハッカ油は、私の最近のツーリング必需品となっている。今回嬉しかったのは、補充用があったこと。この機会に一杯仕入れておいた。
11:37、北見発。今度は平地市街地には珍しいトンネルを通過する。このトンネルの地上部は、元線路敷きを公園に利用していて、以前北見通過時に通ったこともある。
列車が地上に出ると、辺りはやや古めの農業倉庫が目立つ北海道の郊外駅らしいの佇まいに変わっていた。雨は降っていないものの、空にはやや厚めの雲が垂れ込めている。これで走れないかどうかと言われると、この場所では走れるとは思う。
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その後辺りはすっかり畑に替わり、留辺蘂から上紋峠越えの谷間へ突き進んでゆく。すっかり深い森の少し頭上には、当然の様に雲が厚く低く、霧まで掛かっている。
生田原に降りても、空は晴れない。結局は天気予報で眺めた印象に相違無く、今日の運休を納得できるぐらいに行程途上の天気は冴えないのであった。
12:23、生田原着。輪行袋をロビーに置かせていただき、まずはレストランノースキングで昼食とする。明日の予報をもう一度確認、この段階でも最高気温が下がっていないどころか、下川町は34℃に上がっている。もはや迷わず運休一択、JRの特急と美深町のデマンドバスを予約した。
夕方ベッドでごろごろしながら、念のためもう一度天気予報を確認しておく。更に事態は悪化していて、滝上町で既に最高33℃。これだと午前10時過ぎには確実に熱中症だ。却って諦めが付く。
走らないと思ってしまえば、気温30℃以上の車窓風景がどんなに鮮やかになっているのか楽しみでもある。過去の高温日では、厳しい直射日光のため風景が不自然なほど鮮やかになっていたからだ。そういう様子を空調の効いた室内から眺めることができる。まあ、気分だけは前向きに明日も運休輪行しましょう。
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記 2025/1/13