四国Tour23#5 2023/5/3(水)
直瀬→川西路-1

区間1 (以上#5-1)
(以下#5-2) 区間2 (以上#5-2)
(以下#5-3) 区間3 (以上#5-3)
(以下#5-4) 区間4 (以上#5-4)
(以下#5-5) 区間5
km

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路
ニューサイ写真 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

直瀬→七鳥→美川 11km https://ridewithgps.com/trips/119825758

 4時に起き、座って少しぼうっとしてみる。やはり疲れてる、かもしれないな。
 自販機を探しに部屋の外に出てみると、特に1階ロビーがかなり寒い。ここは標高500mを越えていることを思い出す。七鳥からちょっと登り返したものの、あれだけ下ってまだ500m。いかに町道瓶ヶ森線が高所かがよくわかる。
 とりあえず荷物をまとめ、6時前から自転車に積んではみた。何となく身体が重く、やはり疲れは悩ましいものの、何か深刻に身体が動かないということも無い。今日の予定コースは最初は国道440、地芳峠まで登らず途中で分岐して東から四国カルストに入り、地芳峠を串刺しにして西側稜線へ再び登り返し、四万川川上流へ降りるというコースである。これをかなり短縮し、国道440から直接地芳峠へ登って下るだけならどういうことになるだろう。登り標高差は700m。いや、峠下からなら500mだ。今日の宿は檮原町。地芳峠から宿までの登り返しは宿手前の3〜40mだけだから、全押しでも夕方までには着けるだろう。
 なら、自走を前提にとにかく出発してみてもいいんじゃあないか、と思える。何しろこの晴天だ。天気が希望に満ちているのが有り難く、悩ましいところでもある。まあとにかく今日も、行ってみましょう。

 7時から朝食後、7:35直瀬「古岩屋荘」発。

 まずは昨日登ってきた県道20の谷閧下ってゆく。

 谷閧フ下りで日陰が寒い寒い。途中で缶コーヒーで暖を取っても未だに寒い。体調のせいなのか少し心配になるが、昨日車から降ろしていただいた七鳥に出たら暖かくて助かった。

 後で聞いた話によると、そういう不思議に気温が低い谷閧轤オい。ある種のパワースポットなのかもしれない。

 向かい風でもないのに、普通なら普通に25km/h以上出そうなごく普通の県道の緩い下りで、脚を回さないと25km/hが出ない。普通にてれてれ流すだけじゃなく、脚を回さないと、という感覚があるのだ。ちょっと登りだと途端にペースが落ちる。登りでペースが落ちるのも脚を回さないと25km/h出ないのもいつものことかもしれない。しかしやはり決定的に疲れていることは、否定できないのだろう。

 毎日こんなことではいけない。腹を据えて休む必要がある。しかしこの晴れを目前に、四国カルストに行かないという手も無い。今日の体調でこれからあと300m登って、トンネルを抜けて梼原に下ると、少なくとも午後にはなる。というより15時は過ぎるかもしれない。必要なことを全部やるのは、今日の体調じゃ無理だ。これを解決するのはタク輪しか無い。タク輪でもう後は下るだけ、というところまで行けると良いな。などということを考え始めていた。

 8:10、御三戸着。三川村の役場があったり商店があったり、この辺りとしてはやや纏まった大きめの町である。しかし道端にタクシー営業所らしきものは無い。ツーリングの神様が「地芳トンネルまで走れ!」と言ってるんだろうな。じゃ、粛々と行きますか。途中登れなくなったらその段階で久万高原町からタクシーを呼べばいいのだ。とりあえずまだ行ける。

 と思いながら御三戸を過ぎ、御三戸嶽の見事な大岩を眺めて久万川を渡りいよいよ国道440へ。
 国道440はやや幅広で埃っぽく田舎国道っぽい佇まいながら、車が少ないのが有り難い。これから登りがどんどん厳しくなるんだな。まあ、のんびり行こう。と思いつつ町から離れて渓谷に入ってゆく。するとすぐ道端に、シャッターの閉まった食堂とともにタクシー営業所を発見!マイクロバスと介護タクシーらしき2台が停まっている。

 あーれー、と思ってそのまま通過しかけ、戻った。こんな道にタクシー営業所が有ることは希、と言うより奇跡に近い。現に今回のツーリングで、タクシー営業所などというものを見た記憶が無い。これはやはりツーリングの神様のお告げだろう。あまり無理すんな、という。
 まず貼ってあった広告ポスターの電話番号に電話してみると、そちらは久万高原町の営業所だった。本社営業所は何とこことのこと。そこまで話したところで、食堂の建物から優しそうなおばさんが出てきた。この方が救いの女神様なようなのでご相談してみると、準備が済めば出発できるとのこと。
 つくづく有り難いことだった。坂道を押しても夕方までに着けないことは無くても、今日もなるべく寝て休む方がいい。絶対にいいのである。


 運転手さんはぱっと見20台。明るい方だ。道中全区間に渡り、一杯お話ししてくださった。2017年にとろめきを訪問した話なども、喜んで聞いて下さった。そのとろめき訪問時、下って来て見上げた落出のループ区間を過ぎると、国道440は四国細道国道の例に漏れず急に細くなった。そして道に貼り付く集落をいくつか通り過ぎると、きりきり山腹の森を登り始めた。この登りだと、早々に私は押していたに違いない。
 トンネル手前で道はやたらと広くなっていたが、予めお願いしておいた道は自転車予定コース、四国カルストに東から入る県道303。初っぱなは幅4mぐらい、集落から森の中に延々と、10%ぐらいの細道登りが続く。もの凄い道である。私の希望で通るこの道を、なんと運転手さんは「こっちの方が走りやすくて助かります」と言って下さった。「向こうは細い上に今日はひっきりなしに車が来ますからね。対向車交換時に20mバック何度やるかわかりません」なるほど。確かにそうかもしれない。
 谷底区間から離陸すると、山肌を巻いて延々と登りが続く。この登りが又かなり急だ。終盤では辺りの森が一気に開け、周囲の稜線を見下ろしつつ四国カルストらしきひときわ高い場所へ登ってゆく。開けた展望に「うわ、」と声が挙がるが、運転手さんは「こんなもんじゃありませんよ」。

 稜線に登った後は、天狗荘脇の駐車場と、四国カルストの運転手さんお奨めポイント2ヶ所で停まってくださった。しかも四国カルストの展望ポイントは、5分ぐらい車から歩く場所へ連れて行ってくださったのであった。

 お奨めポイント、四国カルストの最高地点では、ぐるっと周囲の山々を遠く見下ろす掛け値無しの360°展望が拡がった。最高地点に立つと、開放感というより自分が空の中へ溶けていきそうな浮遊感すら感じられる。この空中感覚は、まさに今日の天気ならではのものだろう。自分が真っ青になってしまいそうだ。凄い。
 町道瓶ヶ森線の、見渡す稜線と見下ろす谷底と空がどこまでも続き、空の中に飛び出してしまいそうな恐怖すら感じさせる空中感覚とは、また全くタイプの異なる高度感だ。四国にはこんな道があるのだと、町道瓶ヶ森線を初めて訪れた時と同じく、また思った。自転車じゃなくてちょっと残念だったものの、間違いなく来て良かった。

 ロードバイクが20%位の坂道を天狗荘方面へ走り去り、あっという間に点になった。ここを自転車で走るのは骨が折れるだろうが、また体調を万全に管理して訪れたい。とは思うものの、この天気を狙って2度目に会えるかどうかはわからない。できることは体調管理と無理の無い行程計画と、せいぜい毎年気象神社にお参りしておくことだろうな。

 四国カルストの下手、レストハウスで私が降りるかと、運転手さんは一旦止まってくださった。私はと言えば地芳峠まで乗るのだという先入観があったので、そのまま予定通り地芳峠までお願いしたのだが、考え直すと全部下りなんだから、レストハウスから下っちゃっても良かったかもしれない。

 何はともあれ下りも急で15%以上の斜度が続いた。自転車で来れなくて残念だったという気が、少し甘いかなと思い始めた頃、おもむろに地芳峠到着。10:20。
 素晴らしい四国カルスト訪問だった。タクシーの運転手さんには感謝しかない。お金は掛かったものの、想定金額を下回っていたのは意外だった。ここまでかなり登ってきてはいても、距離自体はそんなに無いのかもしれない。


地芳峠→永野→川西路 19km https://ridewithgps.com/trips/119824092

 自転車に荷物を積み、10:30、地芳峠発。さあ、梼原へは下りだけだ。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 地芳峠旧道区間では、くねくねつづら折れと素敵な木漏れ日の細道が続いた。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 後半、永野から斜面集落が断続し、ところどころで谷へ続く展望が開けた。さすが音に聞こえる地芳峠、大変素敵な峠である。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 四国には素敵な峠が一杯あるなと思った。そして、こんな訪問ではあっても、地芳峠とは良い出会いになったことは感謝である。

   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 11:00、トンネルからずばーんと飛び出した幅広国道440に合流。下り始めてすぐ、道端に建つ小屋と幟に気が付いた。幟に確かに「そばうどん」と書いてある。朝お腹に入りにくかったのに、今はさっき食べたおにぎりに加え何か食べたくなっている。もう梼原まで下りだけではあるものの、この際何か食べておくことにした。饂飩のように太い蕎麦は素朴な味わいでとても美味しく香り高く、印象的な訪問となった。

 このままだとお昼に宿に着いてしまうので、昼食後、宿にも早着のお願いを電話しておく。女将さんはこの時間帯、農家レストランの繁忙時間帯だったようで、無理を言ってお手数をお掛けしてしまったのは申し訳得ないことだった。

 女将さんのお話しだと永野から宿まで10分。電話が終わってから、「いや自転車ですから」と思ったものの、広幅の新道は行く手に立ちはだかる山をトンネルでばんばん抜け、谷を大きな橋で飛び越え、直線と大きな曲線で一気に下ってゆく。

 10分かどうかは別として、あっという間に梼原の町中に着いてしまった。

   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 市街地はタクシーの運転手さんが仰っていた通り、なかなか統一感があって洒落ている。町づくり条例を早くから決めて、道路込みで整備しないとなかなかこういう町並みにならないものだ。そういう事をやっているのだと思われる。
 町のスーパーでカップ麺や物資を仕入れ、宿方面へ。案の上たかだか標高差30mぐらいの登りで息が切れ、タク輪にして本当に良かったと思う。

   RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 12:10、川西路「農家民宿 いちょうの木」着。到着してすぐカップ麺を食べた後、すぐ爆睡させていただいた。

 15時半、農家レストランから帰ってきた女将さんに、町営温泉に連れて行っていただいた。良い温泉だったのもさることながら、檮原町の諸作品が有名な隈研吾さんの話題になり、帰りに町中をぐるっと回ってくださった。お陰様で見たい建物は大体見ることができたのだった。

 

 夜ご飯を食べ、毎日のことではあるが明るい内から就寝してしまう。
 狭い谷間の上には大小の鯉幟が懸けられているのが窓からよく見える。その田圃では、蛙が賑やかにけろけろ鳴いている。里の夕方だ。徳島2泊、高知愛媛とここまで山中の宿だったので、4日かかってやっと里に来たか、という感慨がある。
 多少寝ても疲れは残るとは思うものの、明日はやっと下り基調の日だ。四万川川・梼原川の谷閧ゥら与作細道区間に合流、引き続き梼原川を大正まで、大正から四万十川中流部の細道をローラー作戦的に辿り、江川崎の先で支流に少し入った用井「寿荘」で終着である。標高440mの四万川川沿いから60m弱の江川崎まで100km以上が、下り基調というより纏まった登り返しが無い全て下りなのだ。オプションで朝一に四万川川のより上流部を訪れることができる400m登り返しのコースを考えていたものの、そんなもんやめてしまえという気になれた。多分裏手の山から50mぐらい登り、短いトンネルを抜けて四万川川方面へ降りる最低限コースで一杯一杯だろう。
 それに明日の天気は曇りのみならず、6時までは雨マークが付いている。その後は曇りで昼から晴れっぽくなるみたいなので、雨が行程には影響しないとは思われる。まあ緩目に行こうぜ緩目に。

記 2023/6/4

記 2023/

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Last Update 2023/6/20
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