北海道Tour22#3
2022/8/12(金)開陽→札友内-1

開陽→養老牛 (以上#3-1)
(以下#3-2) →仁田 (以上#3-2)
(以下#3-3) →札友内
km

タイトル行程

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路
ニューサイ写真 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 どうせ雨でも、一応4時には起きねば。昨日は朝4時に起きて、身体がちゃんとしゃきっとできた。普段はなかなか動いてくれないので、早くこの時間から問題無く行動開始できるように習慣づける必要がある。例え2度寝することになっても。
 まあでもどうせ雨なんだよな、と思いながら天気予報とSCWをチェックすると、やはり日本気象予報協会では午前中ずっと2mm~4mmの雨で13時から曇り。昨日と全く変わっていない。SCWでも相変わらず10時まで雨、11時はもうメッシュ表示そのものが全体的に曇りに切替わっている。

   RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 この状況だと、今日の行動は昨日の想定通りだ。今日は雨の後、根釧台地ほぼ全域で雨が上がるのはあてにして良さそうだ。養老牛辺りで空がすかっと晴れてくれるかもしれない。途中どこかで頻繁に脚を停めても、18時頃までに鱒やに着ければいい。お昼頃発なら何をしても大丈夫だろう。昔は15時に開陽台に寄ってから、19時過ぎに平然と鱒やに着いて、始まっていた夕食をそのまま頂いていたのだ。まあそれは20年近く前のこと、今はもう少し余裕と常識のある旅程にしたいとは思う。
 次は5時から出発前提で準備していた朝食用のパンやおにぎりを、予定通りにという理由で食べ始める。食べ終わっても、当然のように雨はけっこう降り続けている。満を持してちょっと寝て起きて、やっと6時過ぎ。SCWで9時までは雨なのと、11時に雨が上がることになっているのは変わっていない。
 今日は10時以降雨が上がった段階で出発だ、と腹を据えた。

 9時半頃から荷積みを始めた。一段落して一息付いて10時、未だに外はかなり雨煙で霞んでいる。豪雨ではないが、細かく密な、すぐ全身が濡れてしまう嫌な感じの雨だ。石川さんとお話ししながらしばらく出発待機していたものの、なかなか雨は弱くならない、ように見える。こういう時、もう2~300m下手に降りるだけで雨が止んでしまうことがよくある、とは思う。11時には降水確率0%になっているんだから、11時まで最悪30分ぐらい、もう少し弱くなった雨に降られたとしても、雨具を着ていれば大したことにはならないだろう。その後晴れるんだから。
 というわけで10時半、いい加減出発することにした。

A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 少し南に下って俣落方面へ向かう町道へ。自転車で5分ぐらいのところまで、ママチャリにヘルメットの石川さんが併走してくれた。石川さんは最近地平線から自転車で20kmほど走ってみたとのこと、自転車も風景との一体感があってなかなかいいと仰っていた。そうでしょう。

 途中、見上げる開陽台の展望台が見えていたものの、どうも寄っていく気にはならないぐらいに空は未だ雲で一杯だし、辺りが薄暗い。曇りの開陽台は昨日眺めているので、このまま脚を進めよう。

 目論見通りに、出発してすぐ雨はほぼ止んだ。

 

 それでもまだ空気に水滴が感じられ風景全体が霧っぽかったものの、俣落手前まで来たら、雨が完全に上がるとともに路面が急に乾いてしまった。これなら見慣れた、曇りのやや薄暗い根釧台地である。

 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 晴れるとは言え、これならいつも通り曇りの根釧台地。このままずっとこんな感じが続くのかなと思ってひと安心していた。

  A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 少し西に進んだ北進では、雲に隠れていた山裾が見え始めた。雲はまだ低いものの、気が付くとけっこうな速度でどんどん動き始めている。

 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 そして一直線区間に入る辺りから、俄然辺りが明るくなり始めた。おっと思っているうちに青空も見え始め、うっすら陽差しまで現れている。

   RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 牧草地や広葉樹の明るい緑、防風林の濃い緑、そして山裾の青みたいな陰影。緑全体が明るく変わり、牧草地も防風林も山裾も、風景全体の印象ががらっと明るく変わり始めている。

 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8
   RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 未だ雲は空に多いものの、昨日空一杯に雲がしっかり覆われていた風景より、今の白く雲が次から次へ勢いよくどんどん動いてゆく方が、やはり風景が軽やかで賑やかだ。

   RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 いつものように、陽差しが出始めると途端に面白いほど一気に辺りの気温が上がる。毎度の事ではあるものの、嘘だろと思うぐらい暑くなるのだ。昔から晴れた日がこんなに暑かったかなとも思う。晴れた日の素晴らしい風景は忘れられないし写真でも見ているのに、暑さの感覚そのものの記憶は全く残っていないのだ。しかし、汗が頭からだらだら垂れて目に入ったのは憶えているし、いつも宿に着いて風呂に入る前、身体と服が汗でベトベトの不快さも身体が憶えている。ということは、昔から今と同じように暑かったのだ。そういえば子供の頃、エアコンが着いていなかった家で、夏に暑かった記憶は全く残っていないのに、例えば台風直撃時、エアコン無しで窓という窓を閉め切っていた家の中が不快そのものだったことは鮮明に覚えている。台風が通り過ぎるまで、一家でじたばたせずに汗水流しつつひたすらじっと耐えていたこと、その耐えがたい時間の長かったこと。今、同じ家にはエアコンが着いている。長年使っていた1台目を昨年やっと替え、2台目はタイマー動作どころかスマホで外から監視操作できる。こういう未来を昔は期待すらできなかったし、今の便利さ快適さの関係が逆じゃないことを感謝せねば。風景に見入りつつも、暑いので妄想は止めどない。

 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 

 12:25、養老牛ながかわ商店着。この場所毎度のイベントで、自販機で缶コーヒーとする。
 まもなく、俣落辺りから抜きつ抜かれつ(というより抜かれた後お休み中にこちらが通過してゆく)だった自転車の2人組のうち、お一方がやって来た。ご挨拶して少しお話しする。中標津の会社員の方で、屈斜路湖岸の古丹でキャンプして1泊して帰ってくるとのこと。
 ちょうど一通りお話しが一段落したところで、もうお一方が旭新養老牛方面の彼方に現れた。頃合い良く、お先に出発させていただくことにした。

 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8
   RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 その先、空はますます晴れ、気温はどんどん上がっていった。昨日眺めつつも通過していた上虹別までの牧草地展望ポイントや武佐岳登山口、中標津・標茶町界などで、各駅停車のようにことごとく立ち止まってゆく。

 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 ふと時刻を見ると、まだ出発したばかりなのにもう13時ではないか。そりゃそうだ、出発が10時半だったからな。

 イレギュラーな時間感覚はそもそもこの辺でこの時間に走ったことがあまり記憶に無いからかもしれない。それは、今までにあまり無かったお天気のパターンをそのまま反映しているのだと改めて気が付いた。

 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8
 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 虹別では、昨日の国道243合流点の手前から国道243の萩野へショートカットする農道へ。

 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8
 

 萩野まで丘一つを、国道243を通らなくてもいいこの道も久しぶりになってしまっている。近年、毎回開陽から札友内に向かってはいても、直接道道885から弟子屈方面へ向かうことが無かったからだ。
 短い区間でもあるし、前回通ったのはもういつだか忘れているし思い出す気にならない。開けた平地っぽい風景の印象とは裏腹に、登り総量は国道243経由とあまり変わらないこと、萩野近くでは森から熊が出そうな怖い雰囲気が漂うことは憶えていた。登り総量についてはあまり変わらないではなく、ほとんど変わらない事が今回よくわかった。そして熊が出そうな怖い雰囲気は、相変わらずだった。2つ着けている熊除け鈴だけが(心の)頼りである。

 萩野からはしばし国道243へ。通ってみれば、車は大変意外にも多くない、いや、少ない。思えばまだ8月12日。今年のお盆期間には入っていないし、今日はそもそも平日なのだ。

 

 国道243の路上は暑い。登りたったの50mで、汗がだらだら出てくるぐらいに暑い。暑いときに思考が逃げる先は、過去の記憶だ。ここは北海道初自転車の86年以来、根釧台地から出るときの道の印象が強い。あの時は暑かった。稜線付近に立っている電波塔も印象的であり、汗だくだったその時の不快さを思い出させてくれる。その時は養老牛のながかわ商店で、別海牛乳の三角パックを買ったんだったな。

 しばらくこの道を通らなかった時期もあった。根釧台地を202kmコースで訪問するようになって以来、開陽→札友内のパターンが崩しにくくなっているため、国道ながら他にあまり選択肢が無いこの道を通る機会がまた増えているのだった。

 スノーシェッドを抜けると仁田の牧草地だ。カーブした道が下ってゆく先、牧草地と樹海が続いてゆく摩周の山裾が彼方に拡がっているのが圧巻だ。たった50mの登りなのに。こういう展開を見ると、国道243もなかなか悪くないと思う。いや、屈斜路湖岸、美幌峠、美幌側白樺並木ののんびりした風景など、見所が多い道だと思う。とはいえ、2014年から弟子屈へ降りる経路としては、国道243ではなく予め仁田農免農道を選んでいる。


   RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8

 仁田の分岐から仁田農免農道へ。牧場が数軒並ぶ仁田の集落へは下りが続く。牧草地から山裾の森へ直滑降、飛び込んでいくような感覚の道だ。もともと曇りでも開放感抜群なのが、晴れているとこの道は更に素晴らしい。今日ほど仁田で晴れているのは初めてかもしれない。特に近年、晴れの日でも開陽から根釧台地へ寄り道している間に雲が出てきて、ここまで来ると曇り始めていることが多いように思う。

 集落、畑から森、そしてまた畑へ。今日はそれにしても暑い。とにかく暑い。途中のちょっとした木陰がとにかく有り難い。

 

 距離が結構あるのに、弟子屈まで100mも下らないんだよな、と思っていると、確かに下りだと思って通っていた区間の大部分が、下っているのか何なのかわからないぐらいのかなり緩い下りであり、あまり実際に下っていないことがよく理解できた。いつも下りで通っているせいで、あまり下り量を意識していないのかもしれない 。

 最後は段丘部の森から、放り出されるように国道243へ。

 

 14:30、弟子屈着。
 セイコーマートで何か喰ってくか、と思っていると、下った交差点の向こう側に蕎麦屋「福住」が見えた。福住はロードサイドのチェーン店、時々国道や道道で見かけている。しかしどこに福住があるということを憶えているほど存在している訳じゃなく、蕎麦を食べたいなどと思って都合良く道沿いに福住があるとか無いとか、そういう頻度で店を見かける訳でもない。店を見かけても、そういう時間じゃなかったり時間が無かったり、毎回その程度の出会いでしかない(でもよく考えたら、数年前中標津で1度寄っているかもしれない)。目の前に福住があり腹が減っていて時間もある今がチャンスだ。
 店に自転車を立てかけ、汗だくで店内へ。店内には冷房は無く、何とか辛うじて扇風機は動いていた。それでも今のところは直射日光を避けられるのと、冷たい氷入りのお茶が嬉しく有り難い。蕎麦はもちろん天ざるである。

  A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 15:06、いつものセイコーマートへ。毎年お会いする店員さんに、今年もお会いできた。今年もというより去年は北海道に来れなかったので、2年振りの再会だった。
 店の前でアイスを食べたり缶コーヒーを飲んでいると、雲一つ無くなった空から、真上ではなく斜め上、というより正面に近い感覚の角度で直射日光が照りつけていて、熱い。どうしようか、これちょっとおかしいんじゃないかと思うぐらい熱い。熱いというより鋭く刺されるような厳しい光である。あまりうだうだせず、食べるものを食べたらすぐ出発することにした。

 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8
 

 厳しい陽差しは美羅尾から摩周湖外輪山の裾でも続いていた。空は晴れ渡り、札友内の国道243との合流点辺りで大変眺めが良い。弟子屈の市街が曇りでもこの辺で晴れる傾向はあるが、今日は特に陽差しが強く手前の牧草地、摩周湖の外輪山裾の眺めが鮮やかだ。

 RICOH GRⅢ GR18.3mm1:2.8
A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路

 15:40、鱒や着。お風呂に入れていただいて汗を流し一息付き、やっとこちらの世界に戻って来れたような気がした。晴れた後は暑かった1日だった。

 明日の天気予報は行程の全域で晴れか曇り。午前中、弟子屈は晴れるらしいので久々に津別峠で晴れるかもしれない。これはかなり嬉しい。一方、お昼から午後津別町と北見市は曇り、それ以外は薄曇り~晴れ。最高気温は12時で25℃。15時で27℃なようだが、これならチミケップ湖訪問パートで暑くならずに大変都合がいい。欲を言えばチミケップ湖でだけ晴れてくれれば良いのだが、それはあまりに都合良過ぎというものだろう。
 問題は明後日だ。確実に雨が降りそうなのだ。発生したばかりの台風8号のせいで明日本州が大荒れになり、そしてそれが明後日北海道にやって来るのだ。勝山から芽登への道道55は久しぶりで楽しみだったし、いろいろと仕込みのあるコースでもあったのだが、もう有り難く休息日として楽しんでしまうという選択しか無いだろうな。
 既に、中止となった場合の輪行パターンは毎日準備してある。明後日の場合、勝山から南富良野への輪行は難度が高いと思っていた。どう行くのかわからなかったからだ。置戸から十勝へ向かう池北線は廃止されて久しいし、十勝から南富良野へは根室本線が運休になってからやはり数年経っている。旭川経由だと、早朝出発で何とか時間の辻褄が合えばいいなと思っていたら、NAVITIME検索ではあっさり池北線代行バスで置戸から池田、その次は根室本線で新得からは代行バスが出てきて驚かされたのであった。

記 2022/11/12

#3-2へ進む    #3-1へ戻る    北海道Tour22 indexへ    北海道Tour indexへ    自転車ツーリングの記録へ    Topへ

Last Update 2023/2/26
ご意見などございましたら、E-Mailにてお寄せ下さい。
Copyright(c) 2002-23 Daisuke Takachi All rights reserved.